戦時中の奨励とは? わかりやすく解説

戦時中の奨励

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/12 02:55 UTC 版)

日の丸弁当」の記事における「戦時中の奨励」の解説

戦時中1939年昭和14年)からは国民精神総動員一環として毎月1日興亜奉公日定められ戦場苦労偲んで日の丸弁当だけで質素に暮すことが奨励された。陸軍省では毎月7日を「日の丸デー」と定め、7銭の日の丸弁当売って恤兵費用捻出した。鉄道の駅もやがて日の丸弁当のみに制限された。 この日の丸弁当奨励背景には、当時台湾朝鮮から米が移入され、米が比較安価入手できたという事情もある。米穀配給制度施行も同1939年であった。この時代はまだ食に不足しているというほどではなく日の丸弁当質素ながら、ある程度人気があった。文化史学者の小木新造は、日本人は米を主食とし、以前から単食の傾向強かったため、副食梅干だけでもさほど辛い食生活感じなかったと指摘している。また、和歌山県日高郡の旧南部川村(後のみなべ町)は梅干し生産知られているが、日の丸弁当登場により梅干し需要伸び、さらに当時日本軍弁当用いられ好評を得、南部基礎となった。 特に日の丸弁当奨励されたのは小学校中学校である。学校に通う子供たち昼食日の丸弁当持参したが、貧し家の子供の弁当は飯に野菜屑などを混ぜて量を水増ししており、白い飯と良質梅干し弁当持参できる豊かな家の子供は、羨望憎しみ対象にもなった。興亜奉公日忘れて弁当におかずを添える子や、興亜奉公日知りながらも、親が育ち盛りの子供のために飯の中に密かにおかずを隠すことも多かった弁当食べ終えた後は、弁当箱を器代りにしてを飲むことが定番であった当時の子時代経験したたちからは、銃後の守りとして粗食に耐えたり、戦場で戦う兵士たち感謝して好き嫌い我慢したとの意見もあれば、梅干し1個の弁当味気なくて嫌だったとの意見もある。 当時弁当箱アルミニウム製のものが多かったため、梅干しクエン酸溶けて穴が開くことが多かったが、後にアルマイト処理開発され耐食性の強い弁当箱により穴を防ぐことが可能となった。しかし戦後間もない頃の産業復興当時は、粗悪なアルマイト多く、やはり梅干しにより弁当箱穴が開くことがまだ多かった日の丸弁当外観は、前述のように日本国旗イメージ重なるため、愛国弁当としても意味づけられた。副食梅干し1個だけの弁当自体戦時中より前から存在しており、戦時中には愛国心煽るためにあえて「日の丸弁当」と呼ばれたともいう。国民決意の標語欲しがりません、勝つまでは」とともに、「日の丸弁当」の名は戦時中流行語にもなり、興亜奉公日象徴とも見なされた昭和初期人気小説怪人二十面相でも、倹約象徴として日の丸弁当場面盛り込まれるようになった一方ではこうした運動形式主義批判し、「御役人衆はうんと旨い物を召し上がって能率倍加し貰いたい民衆日の丸弁当よりも、てきぱき公務進捗して貰うことを要望するのである」との評論もあった。 1940年昭和15年)から1944年昭和19年)頃にかけては食糧事情悪化に伴い家庭重湯すいとんなどの代用食しか食べられないうになると、日の丸弁当すら贅沢と見なされ、日の丸弁当学校持参した子供が罰を与えられることもあった。

※この「戦時中の奨励」の解説は、「日の丸弁当」の解説の一部です。
「戦時中の奨励」を含む「日の丸弁当」の記事については、「日の丸弁当」の概要を参照ください。

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