団体行動権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/20 18:52 UTC 版)
ストライキなどの争議行為をすること。この団体行動権は団体交渉権の裏付けにもなるものである。ただし、これが発動されることによって多くの国民が不利益を被るような職種の場合、公共の福祉の観点から団体行動権が法律で制限される場合もある。なお、条文上は「団体交渉その他の団体行動をする権利」とあり、(別個のものを列挙する際に用いる)「その他」ではなく(それ以前に示したものが例示であることを示す)「その他の」であることから、団体交渉権は団体行動権の一種とも読めるが、一般に、団体交渉権と団体行動権は別個のものとして理解されている。
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団体行動権
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 14:22 UTC 版)
団体行動権に関連して、政治目的での団体行動や、争議行為の一環として使用者の生産設備を勤労者が奪取する行為(生産管理と呼ばれる)が憲法28条の保障する団体行動に含まれるかについては争いがある。判例はいずれも消極に解する。 政治目的での団体行動の例として、自衛隊の派遣地域からの撤退を求めて行うストライキや、使用者であるZ社が武器禁輸原則の撤廃を政府に働きかけて、収益の拡大を目指す方針を掲げたことに反発した組合が行うストライキ、有事の際に協力義務を課せられる船員の組合が法律の改廃を求めて行うストライキなどが挙げられる。 政治目的での争議行為が憲法28条の保障の外にあると解される理由は団体行動権の趣旨・沿革にある。団体行動権の趣旨は、使用者よりも劣位にある被用者が給与、勤務時間、休暇などの雇用条件について使用者と交渉するにあたって、実質的に対等、平等の立場に立つための基盤を確保し、もって労働者の経済的地位の向上を目指す点にある。しかし、政治目的での団体行動は、使用者との交渉による雇用条件の改善を目指して行われるものではない。それゆえ政治目的での団体行動は憲法28条によって保障されないとされている。 もっとも政治目的での団体行動といえども、政治問題が直接又は間接に雇用条件に影響を及ぼすことは否定できないことに鑑みると、それを全く保障されないものとしてしまうことには問題がないわけではない。上の例で言えば武器輸出の拡大によって勤務時間が延長されたり、武器を国外に輸出されることによって勤労者の精神衛生に悪影響を及ぼすということもあり得るであろうし、危険な戦闘地域での輸送業務への従事は勤務内容そのものである。このため直接的影響がある場合には政治目的での団体行動は憲法による保障を受けるとしたり、あらゆる政治目的での団体行動が憲法28条によって保障されているとする見解も主張されている。 生産管理の手法は、大きく分けて二つあり、工場などを占拠して生産活動を不能にする行為と、工場を労働者が占拠するのみならず、生産活動を労働者自らが行い、その収益を労働者に分配する行為の二つの類型がある。いずれの行為も使用者の私有財産を侵害するものであって、許されないとするのが一般的である。もっとも団体行動の代表例であるストライキ(同盟罷業・怠業)においても使用者が生産設備を活用できないという私有財産の制約は生じうるのであるから(ストは生産管理と異なり、設備は使用者の支配下にあるので、物理的には別の人間を連れてきて生産活動に従事させることができるが、まず無理である。したがって私有財産の制約という意味ではストと生産管理に差はないというのである)生産管理だけを特別視して保障の対象外とすることへの反対論もある。
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