取り違え
取り違え
取り違え
『堤中納言物語』「はいずみ」 せっかちな男が、昼間に愛人の家を訪れる。あわてた女は、櫛箱の白粉をつけるつもりで、取り違えて掃墨(=眉墨)の入った畳紙を手にし、顔中に掃墨を塗りつける。真っ黒になった女の顔を見て、男は驚き、恐れて逃げ帰る。
『今昔物語集』巻28-12 殿上人の妻が、夫の留守に密夫の僧を引き入れる。侍女が、殿上人の装束をかけるべき棹に、僧の衣をかけ、そのため殿上人に狩衣を届ける時、間違えて僧の衣を使者に渡す。夫は妻の不貞を知り離別する。
『東海道中膝栗毛』(十返舎一九)2編上「箱根」 大名の国元から江戸入りする女中数人が来るので、役者上がりの喜多八は、「白い手拭いをかぶると顔色が白くなって、いきな男に見える」と言い、さらしの手拭いで頬かぶりする。女たちは笑って通り過ぎるが、実は喜多八は間違えて越中ふんどしを頭にかぶっていたのだった。
『サザエさんうちあけ話』(長谷川町子) 翌日の朝刊に載せる「サザエさん」を描き終えたが、できあがった4コマを見ると、カツオの顔の表情が気に入らない。そこで新聞社の人に1時間ほど待ってもらい、あらためてもう1枚描き直した。ところが、「これで良し」と思って、気に入らない方を4つに引き裂いたつもりが、描き直した方を破ってしまった。さんざん待ってもらったあげく、不出来な方を渡したのだ。
『蝸牛』(狂言) 「長寿の薬である蝸牛を取って来い」と、主が太郎冠者に命ずる。蝸牛を知らぬ太郎冠者は「蝸牛とは土から生じて藪に住み、頭が黒くて腰に貝をつけ、折々は角を出し、年功を経たものは人ほどの大きさになる」と教えられて、藪中に寝ている山伏を蝸牛と思い、連れ帰ろうとする。
『恋におちて』(グロスバード) クリスマス・イヴ。建築技師のフランクは、妻や子供たちのためにたくさんのプレゼントを買った後、書店へ行った。イラストレーターのモリーも、夫や老父に贈るたくさんのプレゼントをかかえて、書店に寄った。2人とも手に持った荷物が多く、レジ付近が混雑していたこともあって、買った本の包みを互いに取り違えてしまう。2人は帰宅した後に、間違いに気づく。これがきっかけで、彼らはデートするようになった。
『堀の内』(落語) 男が粗忽な性格を治してもらおうと、堀の内のお祖師様に参詣する。弁当を風呂敷に包んで来たつもりが、枕を女房の腰巻きに包んであったので、帰って女房を叱ると、そこは隣の家だった。男は息子を湯屋に連れて行き、他人の子の着物を脱がせ、よその人の背中を流し、ついには湯屋の羽目板を息子の背中と間違えて洗う。
*荷物と赤ん坊を取り違え、荷物を捨てずに赤ん坊を捨てる→〔子捨て〕5の『現代民話考』(松谷みよ子)6「銃後ほか」第5章の1。
「取り違え」の例文・使い方・用例・文例
- 同情を愛情と取り違える
- 取り違えてしまって申し訳ありませんが、あのランプは別のお客様に送られるはずのもので、誤ってBradfordさんに配送されました。
- 私たちがその問題を取り違えているようでしたら申し訳ございません。
- 私はその手紙を取り違えて送ってしまった。
- 私はその意味を取り違えていました。
- 彼は私と弟を取り違えた。
- 自由と放任を取り違えてはならない。
- 私は彼を彼の兄と取り違えた。
- 私は彼らの名前を取り違えた.
- 君は私の言わんとすることを取り違えている.
- 彼は数字を取り違えて 91 を 19 と書いてしまった.
- おばあさんはよくセロリとレタスを取り違える.
- 君の傘と僕のとを取り違えて家に帰った.
- 私の言うことを取り違えないでください.
- 自由と放縦を取り違えてはいけない.
- 意味を取り違えた
- 彼は君の言うことを取り違えている
- 効果的に行われた仕事の量と、増大した設備と出費を取り違える
- あるものを他のものと取り違えた結果として起こる間違い
- (他のものと)取り違える
取り違えと同じ種類の言葉
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