カヴァとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > カヴァの意味・解説 

カバ【(スペイン)cava】

読み方:かば

スペインカタルーニャ原産発泡性ぶどう酒シャンパン同様に、瓶の中で二次発酵させてつくる。

「カバ」に似た言葉

カヴァ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/07 00:41 UTC 版)

カヴァ
1. カヴァ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : モクレン類 Magnoliids
: コショウ目 Piperales
: コショウ科 Piperaceae
: コショウ属 Piper
: カヴァ P. methysticum
学名
Piper methysticum G.Forst. (1786)[1]
シノニム
和名
カヴァ、カバ[2]、カワ[2]、カヴァカヴァ[3]、カバカバ[4]、カワカワ[5][注 1]、アヴァ[3]、アバ[6]、アワ[6]、ヤンゴーナ[7]、シャカオ[2][6]
英名
kava[8], kava-kava[8], kava pepper[8], kawa pepper[8], ava pepper[9], inebriating pepper[9], intoxicating pepper[9]

カヴァ学名: Piper methysticum)はコショウ科コショウ属に属する低木の1種(図1)、またそれから作られる嗜好飲料のことである。嗜好飲料であるカヴァは穏やかな鎮静作用・抗不安作用があるとされ、南太平洋のメラネシアからポリネシアにまたがる地域 (フィジートンガサモアハワイなど) で特に宗教的、社会的な儀礼において飲まれる。カヴァ (kava) はトンガ語で「苦い」を意味し[5]カバカバカバカヴァカヴァとも表記される。ハワイ語ではアヴァ ('awa)、フィジー語ではヤンゴーナ (yangona)、ポンペイ語ではシャカオ (sakau) とよばれる。

特徴

高さ 2–4メートル (m) ほどの低木であり、地表面直下で多数に分枝している[9] (下図2a)。主枝は直径 1–3センチメートル (cm)、緑色から赤褐色、紫褐色、節が膨らんでおり、葉痕が残る[9] (下図2b)。葉は互生し、ハート形、10-30 × 8-23 cm、先端は尖り、無毛または細かい毛が密生、葉脈は掌状、托葉は大型で宿存性、葉柄は長さ 2–7 cm[9] (下図2c)。

2a. 地際で多数に分枝している
2b. 節が膨らんでいる
2c. 葉はハート形、花序は穂状

雌雄異株 (まれに雌雄同株)、花序は頂生または葉に対生状につき、穂状、長さ 3–9 cm[9] (上図2c)。は単性で小さく、花被を欠き、雄花は雄しべを2個、雌花は雌しべ1個からなる[9]果実液果種子を1個含む[9]

ほとんどが雄木であり、雌木はまれである[9]。有性生殖はほとんど行わず、栄養繁殖を行う[9]。株は15–30年生きる[9]

分布・生態

南太平洋のサンタクルーズ諸島バヌアツが原産地とされ、フィジーウォリス・フツナカロリン諸島トンガサモアニウエクック諸島ソシエテ諸島マルキーズ諸島ハワイなどにも分布している[1]

気温20–35℃、降水量 1,000–3,000 mm の環境に生育し、水はけのよい土壌、若木は日陰、成木は日当りのよい環境を好む[9]

栽培においては、アブラムシによって媒介されるキュウリモザイクウイルスによる立枯病、Glomerella (子嚢菌) による炭疽病ゾウムシの1種 (Elytroteinous subtruncatus) による食害などが問題となる[9]

人間との関わり

利用

カヴァが分布するオセアニア東部では、樹皮を剥いだ根茎を細かく砕いたものに水を加えて漉したものを飲用とする[10][11][12][13][14][3](下図3)。見た目は泥水のようであり、飲むと舌に軽い麻痺をもたらす[15]。カヴァには穏やかな鎮静作用・抗不安作用があり、また酩酊感をもたらすとされ、この地域では嗜好飲料として飲まれている[12][13][3][16]

3a. カヴァの根 (フィジー)
3b. カヴァの根の粉末
3c. カヴァを含む飲料 (バヌアツ)

カヴァはオセアニアの社会において、宗教的あるいは社会的な儀礼 (結婚式、収穫祭など) に用いられてきた[12][13][3] (下図4a, b)。このような場では、カヴァは大きなボウルでつくられ、ヤシの実を半分にした器で飲まれる[5][12][14] (下図4a–c)。地域によって、作り方や飲み方、飲む順番などに厳しい作法がある[5][6]。一方で近年では日常的に飲まれることもあり、ハワイバヌアツなどにはカヴァを振る舞うバー (カヴァ・バー、アヴァ・バー、シャカオ・バー) が営業されている[12][13][14][3] (下図4d)。

4a. カヴァ・パーティー (トンガ、1900年頃)
4b. カヴァを用いた儀式 (フィジー)
4c. カヴァ・ボウル (サモア)
4d. カヴァ・バー (バヌアツ)

カヴァは鎮静作用があるとされ、歯痛、腹痛、腰痛、関節痛、呼吸器疾患などに対する民間薬としても用いられることがある[9][3]

上記のようにカヴァは嗜好飲料や民間薬として利用されており、そのための栽培が行われている。またカヴァには多数の品種があり、酩酊の度合いが異なるともされる[12]

成分

カヴァラクトン (カバラクトン、kavalactone) と総称されるラクトンを含み、主なものとしてメチスチシン (methysticin; 下図5a)、ジヒドロメチスチシン (dihydromethysticin; 下図5b)、カバイン (kavain; 下図5c)、ジヒドロカバイン (dihydrokavain; 下図5d)、ヤンゴニン (yangonin; 下図5e)、ジメトキシヤンゴニン (dimethoxyyangonin) などがある[10][11]。その他にフラボカビン (flavokavin) や、アルカロイドであるピペルメチスチン (pipermethystine; 下図5e) など) を含む[10][11]。これら成分と有効性・毒性との関係は、よくわかっていない[10]

5a. メチスチシン
5b. ジヒドロメチスチシン
5c. カバイン
5d. ジヒドロカバイン
5e. ヤンゴニン
5f. ピペルメチスチン

健康被害と規制

20世紀末頃からカヴァの抽出成分が抗不安薬として欧米で利用されるようになったが、これと関連した死亡例を含む肝疾患が多く報告されるようになった[11][14][16]。ただしこのような肝疾患の正確な原因は不明である[16]。大量摂取や茎葉の混入、他のハーブとの併用が原因との意見もある[11][14]

内因性うつ病患者、妊婦、授乳婦は使用禁忌とされる[11][16]。日本では、カヴァ(カバ)は全草が医薬品として使用される成分本質に該当するため全草を食品に使用することはできず、またカヴァを含む製品は無承認無許可医薬品として監視取締の対象となっている[11]。欧米では販売が禁止されている国や、使用が制限されている国、危険性が勧告されている国がある[11]

脚注

注釈

  1. ^ ただしカワカワ (kawakawa) は、ふつうニュージーランドに固有のコショウ属の別種、Piper excelsum を意味する。

出典

  1. ^ a b c d e f g Piper methysticum”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2021年9月11日閲覧。
  2. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠. “植物和名ー学名インデックス YList”. 2021年9月12日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g 森出じゅん (2020年7月24日). “アヴァの伝統”. ハワイ州観光局. 2021年9月12日閲覧。
  4. ^ "カバカバ". 食の医学館. コトバンクより2021年9月12日閲覧
  5. ^ a b c d "カバ(コショウ科)". 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンクより2021年9月12日閲覧
  6. ^ a b c d "カバ". 世界大百科事典 第2版. コトバンクより2021年9月12日閲覧
  7. ^ 金田英子 (2014). “フィジー共和国とトンガ王国のカバ文化”. スポーツ健康科学紀要 11: 93-96. NAID 120005445020. 
  8. ^ a b c d GBIF Secretariat (2021年). “Piper methysticum”. GBIF Backbone Taxonomy. 2021年9月12日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n o Orwa et al. (2009). “Piper methysticum”. Agroforestry Database 4.0. http://apps.worldagroforestry.org/treedb/AFTPDFS/Piper_methysticum.PDF 
  10. ^ a b c d Abbott, P. (2016). Kava: A review of the safety of traditional and recreational beverage consumption. Food and Agriculture Organization of the United Nations and World Health Organization. pp. 1–34. ISBN 978-92-5-109291-0. http://www.fao.org/3/i5770e/i5770e.pdf 
  11. ^ a b c d e f g h カバ”. 「健康食品」の安全性・有効性情報. 医薬基盤・健康・栄養研究所. 2021年9月14日閲覧。
  12. ^ a b c d e f 白川千尋 (1998). “カヴァ・バーとワーターヴァヌアツ共和国トンゴア島民のカヴァ飲み慣行とローカリティ認識の構図”. 民族學研究 63 (1): 96-106. doi:10.14890/minkennewseries.63.1_96. 
  13. ^ a b c d 丹羽典生 (2018年12月1日). “カヴァの最新動向――その広がりと商品化から健康論争まで”. 国立民族学博物館. 2021年9月12日閲覧。
  14. ^ a b c d e 蛭川立 (2005年10月17日). “南島の茶道 -カヴァの伝統と現在-”. 明治大学. 2021年9月12日閲覧。
  15. ^ フィジーの村”. 南太平洋島嶼プロジェクト. 2021年9月17日閲覧。
  16. ^ a b c d カバ Kava”. 厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』. 2021年9月13日閲覧。

関連項目

外部リンク


カヴァ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/03 06:59 UTC 版)

エグザムライ」の記事における「カヴァ」の解説

人語を話す隊長クラス魔神機自称キング・オブ・カヴァ。横濱の街でヒロ倒された。

※この「カヴァ」の解説は、「エグザムライ」の解説の一部です。
「カヴァ」を含む「エグザムライ」の記事については、「エグザムライ」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「カヴァ」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

カヴァ

出典:『Wiktionary』 (2021/06/19 01:16 UTC 版)

名詞

カヴァ

  1. コショウ目コショウ科コショウ属属す低木一種学名:Piper methysticum
  2. 1.の根を粉末にして作る向精神薬

翻訳


「カヴァ」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

','','','','','','','','','','','','','','','','','',''];function getDictCodeItems(a){return dictCodeList[a]};

すべての辞書の索引

「カヴァ」の関連用語








カヴァのお隣キーワード
検索ランキング
';function getSideRankTable(){return sideRankTable};

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



カヴァのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのカヴァ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのエグザムライ (改訂履歴)、ギリシャワイン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryのカヴァ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS