著者:松嶋智左
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BOOK☆WALKER
日見署での事件を受け、県内の過疎地・佐紋署へと異動することとなった田添杏美。過去、十数年間、凶悪犯罪が起きていない佐紋署管内であったが、副署長就任早々、山間部で殺人事件が発生する。おりしも、隣の管内の事件による緊急配備の最中のことであった。さらに、ほぼ同時刻に管内の漁港で署員が意識不明で発見されるという事件まで起きて……
シリーズ第2作。
個人的には前作よりも楽しめたな、というのがまず第一。
今回の舞台となるのは、県内の端・佐紋。農業、漁業と言った第一次産業が主な産業で、佐紋署の職員は総勢60名ほどという小さな警察署。殺人のような凶悪犯罪は十年以上も起きておらず、交通違反やら災害対策やらの対応が主な業務。そこに降ってわいたような凶悪事件……
何というか、まず言えるのは、田舎ってクソだな、というところだろうか。
先に書いたように、署員が60人ほどという状況もあって、防犯活動などは町の有力者などの協力が不可欠。その中には、駐車違反のもみ消しとか、そういった不正もまた存在している。しかし、それがなければ、街の活動はままならない。さらに、人々の関係性というのも濃密で、地域の名士とか、そういったアレコレも存在している。そんな中で凶悪事件が。被害者は、4年前、地域の老人などから金をだまし取ったとして服役していたJAの元組合長。被害額は6000万円ほどだったが、実は、もっと多かったのではないか、という疑問もある人物。
いや……なんというか、自分もド田舎出身なので、この辺りの人間関係とか、そういうのが凄くリアル。人間関係が極めて濃密であるがゆえに、「この人だから」と無意識に金を預けるとか、変なプライド故に犯罪被害が言い出せない、とか、そういう人間関係が構築されている、っていうには読みながら「うん、うん」と思ってしまった。そんな濃密な人間関係が存在しており、さらに副署長(というか、本作では所長代理)である杏美を巡る県警内での人間関係を巡っての思惑の対立が露になってくる。そのギスギスした関係性が面白かった。
その上で、前作では捜査方針を巡って対立していた杏美と、(前作では署の捜査課長で、本作では県警捜査一課の)花野がタッグを組んでの捜査も熱い展開に。前作での対立はあったにせよ、互いの力量を認め合う、というのはシリーズモノの強みだよな、と感じる。
濃密な人間関係があるからこそ絡み合う物語。その中で、葛藤を抱えつつも、しかし、警察官としての矜持もしっかりと盛った面々の群像劇。その熱量が何よりもの面白さに繋がっていたと思う。
No.7226
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シリーズ第2作。
個人的には前作よりも楽しめたな、というのがまず第一。
今回の舞台となるのは、県内の端・佐紋。農業、漁業と言った第一次産業が主な産業で、佐紋署の職員は総勢60名ほどという小さな警察署。殺人のような凶悪犯罪は十年以上も起きておらず、交通違反やら災害対策やらの対応が主な業務。そこに降ってわいたような凶悪事件……
何というか、まず言えるのは、田舎ってクソだな、というところだろうか。
先に書いたように、署員が60人ほどという状況もあって、防犯活動などは町の有力者などの協力が不可欠。その中には、駐車違反のもみ消しとか、そういった不正もまた存在している。しかし、それがなければ、街の活動はままならない。さらに、人々の関係性というのも濃密で、地域の名士とか、そういったアレコレも存在している。そんな中で凶悪事件が。被害者は、4年前、地域の老人などから金をだまし取ったとして服役していたJAの元組合長。被害額は6000万円ほどだったが、実は、もっと多かったのではないか、という疑問もある人物。
いや……なんというか、自分もド田舎出身なので、この辺りの人間関係とか、そういうのが凄くリアル。人間関係が極めて濃密であるがゆえに、「この人だから」と無意識に金を預けるとか、変なプライド故に犯罪被害が言い出せない、とか、そういう人間関係が構築されている、っていうには読みながら「うん、うん」と思ってしまった。そんな濃密な人間関係が存在しており、さらに副署長(というか、本作では所長代理)である杏美を巡る県警内での人間関係を巡っての思惑の対立が露になってくる。そのギスギスした関係性が面白かった。
その上で、前作では捜査方針を巡って対立していた杏美と、(前作では署の捜査課長で、本作では県警捜査一課の)花野がタッグを組んでの捜査も熱い展開に。前作での対立はあったにせよ、互いの力量を認め合う、というのはシリーズモノの強みだよな、と感じる。
濃密な人間関係があるからこそ絡み合う物語。その中で、葛藤を抱えつつも、しかし、警察官としての矜持もしっかりと盛った面々の群像劇。その熱量が何よりもの面白さに繋がっていたと思う。
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