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声優ラジオのウラオモテ#12 夕陽とやすみは夢を見たい?

著者:二月公

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「獲りにいくぞ、由美子の夢を」 高校を卒業し、大学への進学を決めた由美子。そんな彼女にマネージャーの加賀崎が告げたのは、彼女が声優を志すきっかけとなったアニメ『プリティア』への挑戦。卒業旅行、進学の準備……そんなイベントを挟みつつも、オーディションへ向けての準備を進めていく。だが、やすみの憧れの先輩である乙女、さらには親友・千佳もまた、同じ役を狙っていて……
いよいよ、第1巻から由美子が目標とする『プリティア』へ挑む巻。しかし、まさかの展開だった。
物語前半は、その挑戦へ向けての日常と言った趣の話。由美子、千佳に加えて、高校のクラスメイトも交えての卒業旅行。由美子と千佳との相変わらずのやり取りがあったりしながらも、水族館へ行ったり、名古屋グルメを堪能したり。そんな日常を過ごしながらも、最大目標であるオーディションへ向けて、それぞれの意識を高めていく。そして、そのオーデョション。しかし……
目標であった『プリティア』役。しかし、残念ながら、その夢は破れてしまう。でも、今回がダメでも次回は。勝者と敗者。別れる形となっても、次回を目指し新たな目標へ。そう思った矢先、彼女の元に入ったのは……
『プリティア』 毎年、4クールで放映される人気女児向けアニメシリーズ。多くの女児たちが見ていることもあり、それに憧れる声優も多く、それを勝ち取るというのは一つのステータス。そして、このシリーズに出演した声優は、別シリーズで起用される、ということはない、というのが皆の常識になっている。そんな中、由美子に来たオファーは、主人公サイドではなくて……
『プリティア』をやりたくて声優を目指した由美子。確かにオファーは来たが、しかし、それは求めたものではなかった。だが、それを断る、ということも様々な事情から不可能。そして、それは彼女が自分の夢が永遠に叶わない、ということも意味する。
客観的な感覚から見れば、主人公でなくともメイン格というのは大きなチャンス。技量が高く評価された結果でもある。でも、それが残酷すぎる形で発揮されてしまう、という怒涛の展開にまず驚かされ、その中での由美子の挫折もまた痛いほどに伝わってきた。これは、声優だけでなく、役者とか、そういう職種でもあり得ることなのだろうけど、自分に対する評価と自分のやりたいことの間のギャップに苦しむ、というのはあるんだろうな。
そんな状況ですべてに対して自暴自棄となったやすみ。そんなやすみを見かねた千佳が取ったのは……。第1巻で千佳が味わった挫折。それを引き上げてくれたのはやすみ。ならば、今度は……。この辺りの繋がりもまた、熱いものがあった。
ここまでの「役を奪い合う存在」としての声優というのとは別に、自分の目標と評価のギャップ。そんな世界のつらさ、厳しさ。そんなものを感じるエピソードだった。

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Tag:小説感想電撃文庫二月公

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