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2011年1月 6日

「PC の時代」 の終わり

ごくごく普通のホームユーザーの多くは、PC を起動させてもブラウザとメーラーと、ゲームと、季節物(「筆まめ」とか)ぐらいしか使ってない。あとは、デジカメをよく使う人がせいぜい簡単な画像管理ソフトを使うぐらいか。多くの場合、Word や Excel は会社でしか使わないソフトになっている。

会社の仕事を持ち帰る人は別として、ホームユースではもはや MS Office がプリインストールされているなんていうのは、あまり意味がない。そもそもビジネスユースにしても、Word や Excel の機能をまともに使いこなしてる人なんかごくわずかなのだ。

ホームユースとしては、PC の時代は既に終わってる。iPhone や iPad の母艦としての機能と、年に一度ぐらいはあるかもしれないちょっと複雑な作業をこなすためという程度のニーズなら、一家に一台、XP のお古があれば十分だと思う。

定年過ぎのおっさんや家庭の主婦が、「今どきパソコンぐらいできなきゃね」なんて言って、パソコン・スクールかなんかに通い、起動の仕方やアプリの立ち上げ方、ファイル管理やコピペの仕方なんかを、鉛筆で必死にメモとりながら覚えるなんていうのは、不憫でしょうがない。

パソコン・スクールのカリキュラムには、大抵 Word と Excel を使いこなすためのレッスンがあるらしいが、実はそんなのは必要ないのだ。ホームユースの PC に MS Office がプリインストールされているのは、私物の PC で会社の仕事をしていた時代の名残である。今どきは、そんなことはコンプライアンス的にもあまりオススメでない。

ビジネスユースを考えなくてもいいごく普通のホームユーザーは、購入した PC に MS Office がインストールしてあるのは、別に必要だからというわけではないと気付かなければならない。必要だから入っているのではなく、入っているから使わなければならないような気にさせられるだけの代物なのだ。

そんなものがなまじ入っているから、それを使わないと PC ユーザーとはいえないなんて勘違いをさせられ、使わなくてもいいソフトを使わされて余計な金を払うだけ、マイクロソフトの思うつぼなのである。

家に 1台(あるいはそれ以上)PC があるのだが、なかなか使いこなせないと嘆く人には、私は迷うことなく iPad をオススメしている。Wifi 設定さえ誰かにやってもらえば、あとはテキトーにいじっているうちにインターネットやメールぐらいはできるようになる。インターネットとメールができてしまえば、ホームユーザーとしてほぼ合格だ。

この程度のニーズのホームユーザーに Windows 7 搭載の PC を薦めるなんて、軽自動車があれば十分という主婦にポルシェを薦めるようなものである。もてあまして当たり前なのだ。

ちかごろようやく、軽自動車で十分のユーザーがポルシェを乗りこなすなんていう無茶を強いられることがなくなった。喜ばしいことである。そして、IPhone アプリの示した最大の功績は、十分に使い物になるソフトが、115円とか350円とか、500円とかで買えると知らしめたことだ。

中小企業が汎用機を導入するのが馬鹿馬鹿しい所行であるように、ホームユーザーは PC に振り回されなくてもいいという時代に、やっとなったのだ。

 

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コメント

ビル・ゲイツが悪者なのです(笑)
アップルが作り出した手作りガレージPC文化を、ビル・ゲイツが巨大産業に仕立て上げた
MS-DOSを知るものとしては、どうしても、そう思ってしまいます
当時、すでに、MSが目論んだものは、巨大なメモリーを必要とする初代エクセルあたりから、透けて見えていて、事実、その通りになりました
本当は巨大なOFFICEなんて要らなかった
一般人には、コンパクトな総合ソフトで十分だったんです
私はそういうソフトを使っていましたから、それがわかっていたんですが
今までは、MSによる大衆に対するPCレイプの歴史ですね


投稿: alex99 | 2011年1月 7日 07:46

alex さん:

>本当は巨大なOFFICEなんて要らなかった
>一般人には、コンパクトな総合ソフトで十分だったんです

まさにその通り。

互換の問題で、MS Office がデフォルトになってしまいましたが、互換さえ取れれば、コンパクトな統合ソフトで十分ですね。

投稿: tak | 2011年1月 7日 16:42

ごもっともだと思いました。
iPadと、古めのXP機で十分ですよね。
そういう事を声を大にして言ってくれる人が必要でしょうね。いまだに日本メーカ製のノートPCを20万近く出して買わされている人がいると思うと、不思議でした。(さかけー)

投稿: さかけー | 2011年1月 8日 20:06

さかけー さん:

>iPadと、古めのXP機で十分ですよね。

今やそういう時代になったと思いますよ。

PC を買い換えるなら、MS Office プリインストールなしの 4万円ぐらいの安物を買って、iTunes と、念のためオフィス互換のフリーソフトを入れておけば、とりあえず十分でしょうね。

普段は iPad のみでいけるでしょう。

投稿: tak | 2011年1月 8日 20:33

Officeは確かに必要なくなりつつありますね。

でも、古いXP機で十分かと言えば、そうでもないと思います。iTunesはいらない機能がごてごてと付いてきて動作が重くなり、古いPCではスムーズに動きません。

また、ネットのコンテンツもリッチになってきたので、PC上で利用しようとすれば一定のパワーが必要です。たとえば、YouTubeのHD動画とか。

だからと言って、高いPCに買い換える必要はないですけどね。4万円のPCでも十分だと思います。

投稿: yasu | 2011年1月 9日 08:48

その昔、これからは "No PC, No MS, No Wire" という記事を見たことがあります。そうなればいいなと、思っていました。
気がつけば、その通りですね。
パソコン(PC)、もマイクロソフト(MS)も、そして有線(wire)も不要になったんですから。
これで、ようやく「MS帝国」から解放され、自由にネット社会を動き回れますね。

投稿: gaogang | 2011年1月 9日 09:13

yasu さん:

>でも、古いXP機で十分かと言えば、そうでもないと思います。iTunesはいらない機能がごてごてと付いてきて動作が重くなり、古いPCではスムーズに動きません。

古い XP マシンのユーザーは、iTunes のバージョンアップをしないで自衛するのがいいかも ^^;)

>また、ネットのコンテンツもリッチになってきたので、PC上で利用しようとすれば一定のパワーが必要です。たとえば、YouTubeのHD動画とか。

そういうのは、iPad で見る方が速いでしょうかね。

投稿: tak | 2011年1月10日 00:05

gaogang さん:

MS Office が全然要らなくなったとは思いませんが、ごくフツーのホームユーザーなら、高い金を出してインストールする必要はないですね。

どうしてもオフィスソフトが必要なら、MS Office 互換のフリーソフトもあるし。

一時、汎用機を PC で置き換える動きが注目されて、「ダウンサイジング」と言われてましたが、今は、PC をより小さなマシンで置き換えるという意味で、第二次ダウンサイジングの時期なのかもしれませんね。

ただ、ダインサイジングの時代と言われてからも、身分不相応な汎用機を導入して、今でもリース代に苦しんでいる中小企業があるぐらいですから、必要もないのに MS Office プリインストールの PC を買うホームユーザーも、まだまだ皆無とまではいかないでしょうね

投稿: tak | 2011年1月10日 00:13

大学時代、電子工学科の連中の相手をさせられました。
とにかく、彼らのあまりの嘘の連発と強引さにうんざりしました。おかげで、電機関係の連中の発言は当時から胡散くさく感じる癖がつきました。
本来なら、UNIXとX-Windowが世界の主流になるべきだったのです。Bill Gatesは「これからの時代はX-Windowだ」と公言して、MS-DOS時代のソフトのconverterとX-Windows上のemulatorさえ作っておればよかったのです。要するに世界中の人々は騙されてきたのです。
パソコンなんて嫁と妹のためにしか買ったことがありません。自分で買ったのは、外付HDDだけです。

投稿: IT-sagi | 2013年3月12日 21:56

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