私は昔から「一人で時間を過ごせないやつは、ろくなもんじゃない」と思っている。Gigazine の "1人で過ごす時間を「孤独」ではなく「自分時間」と呼ぶとポジティブな気分になれるという研究結果" という記事を読んでも、「それ、当たり前じゃん」と思うばかりだ。

そりゃ仲間と一緒に賑やかに過ごす時間も楽しいが、だからといって「自分一人でいる時間」が確保されなかったら、大変なストレスになってしまう。そんなわけで、この記事の冒頭の一文を読んで驚いてしまった。
1人で過ごす時間は孤独でさみしいものだと考えている人もいるかもしれませんが、近年は「自分時間」という言葉で 1人の時間を肯定的に捉える動きもあります。
うぅん、それって「近年」に始まったことじゃないだろう。昔からの常識だと思うがなあ。そうでなかったら、ゲーテもカントも生まれない。
そう思いつつ元記事の 【From “isolation” to “me-time”: linguistic shifts enhance solitary experiences】(「孤独」から "me-time" へ: 言葉を変えると一人がカッコよくなる)に当たったみると、こんなふうな書き出しだった。
Spending time alone is a virtually inevitable part of daily life that can promote or undermine well-being.
(一人で時を過ごすのは日常生活で不可避なことで、健康や幸福感を促進したり弱体化したりします)
「一人の時間」にはいい面も悪い面もあると説き起こされ、とくに近年に始まったこととは書かれていないので、これならまあ納得できる。相変わらず、Gigazine の翻訳にはひっかかるところが多い(参照)。
要するにこの記事で紹介されているのは、「一人の時間」をどう呼ぶかということに関する研究の結果だ。
1つ目の実験ではアメリカに住む500人の成人に対し、無作為に「Me-Time(自分時間)」「Time Alone(1人の時間)」「Solitude(孤独)」「Being Alone(1人でいる)」「Isolation(孤立)」の 5つどれかを割り当てて、それぞれの言葉についてさまざまな質問をしました。
結果は次のようなことだった。
「自分時間」は一貫して最もポジティブで望ましいものだと評価され、被験者はそれが幸福にとって有益であり、積極的に経験したいものだと認識していました。
実質的には同じような状態でも、それを肯定的な言葉で表現するとハッピーでいられるというわけだ。まさに「物は言いよう」で、その意味で「Me-Time(自分時間)」とはなかなかうまい言い方である。"My time" だと、「持ち時間」的なニュアンスのせいでストレスにつながるからね。
というわけで、「一人で時間を過ごせない」というタイプの人間は、「一人の時間」じゃなく "Me-Time" や「自分時間」と言い換えてみると、感覚が変わってしまうかも知れない。
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