少し前になりますが、政府が確定拠出年金(iDeCo)掛金の上限引き上げを検討との報道がありました(↓)。
【日経特報】iDeCo掛け金の上限引き上げ 政府検討、資産運用後押しhttps://t.co/geLH1vPXNG
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) May 22, 2024
最近立て続けに行われているNISAやiDeCoの拡充は、明らかに「今後の社会保障は先細りですよ~、だから老後資金は自分で貯めて下さいね!」的な政府のメッセージですが、それはさておき、こうやって個人の資産形成を税制面でバックアップしてくれるのは素直に有難いです(何も無いよりは遥かに‟マシ”)。
さて、今回のiDeCo上限引き上げ検討報道については、詳細な数字は出ていないものの、‟倍増”というキーワードから、毎度緻密なブログでおなじみの九条さんが早速シミュレーション記事を挙げています(↓)。
(参考リンク↓)
「iDeCo掛け金倍増へ? 自営業なら老後資産は1億超える」 ~FIRE: 投資でセミリタイアする九条日記~ より
この記事にもあるように、iDeco掛金増額時の大きな問題点の1つは、一時金受取で受給した場合に、かなりの確率で退職所得控除の金額を大きく超えてしまうことです(それでも課税所得は超過分の1/2なので、確かに優遇されていると言えなくもないですが)。
仮に「会社員・企業年金無し」という属性の掛金が倍増(23,000円→46,000円)されると、22~60歳までの掛金は2060万円(運用益無し)です。
実際にはこれに運用益が載ることが期待出来るので、今の退職所得控除額では全く足りません!
他にも、iDeCoには改善して貰いたい点がたくさんあるんですよねぇ。。。
そこで本エントリーでは、iDeCo制度を拡充するならば(掛金増額以外にも)ここも改善して欲しい!という点を以下に挙げてみます(↓)。
-----(iDeCo拡充に盛り込んでほしい改善点)----
1.掛金を倍増するなら「一時金受給時」の退職所得控除も倍増。あるいはiDeCo一時金所得を退職金所得から切り離してシンプル化。
単純に退職所得控除を倍増しても良いのですが、出来れば企業退職金との合算や、5年・20年ルール、みなし勤続年数といった複雑な計算を廃止して、シンプルな「iDeCo一時金所得控除」を創設して欲しいですね。
(参考リンク↓)
「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」 ~国税庁Q&A~ より
(過去エントリー↓)
「iDeCo出口戦略考その2:新NISA枠に余裕があれば60歳一時金受取り+年金もアリ?」
「iDeCoさえやっておけば老後2千万円問題は解決?だがしかし出口戦略が悩ましい。」
「2022年iDeCo改正について整理&対応を考える」
2.各種手数料を大幅に減額もしくは廃止
(私を含め)iDeCoを利用している人は、所得控除に大きな魅力を感じている反面、少なからず手数料の高さに辟易していると思います。
(参考リンク↓)
「手数料について」 ~楽天証券 確定拠出年金iDeCo~ より
この手数料の高さは国民年金基金連合会やJIS&T(確定拠出年金運営管理機関)など、主に天下り機関の非効率な運営が原因と思われます。
ここに何とかメスを入れて、手数料を大幅減額、あるいは廃止すれば加入者の増加に大きく寄与すると思われます。
3.各種手続きの電子化&スピードアップ
項目2とも関連するのですが、とにかく手続きがいまだに紙ベースで、しかも非常に遅い!
例えば、毎月の掛金額を変更するだけなのに紙で書類を提出しなければならず、しかも変更完了まで数ヵ月もかかります(実体験)。
これこそデジタル庁あたりに頑張って貰い、手続きは全てウェブ上で完結できるようにし(電子化)、時間も大幅に短縮して欲しいです(切実)。
これができれば利用者の満足度も(今がひどすぎるだけに)爆上がりです。
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以上、3点ほど(掛金増額の他に)iDeCo拡充に盛り込んで欲しい改善点を挙げてみました。
個人的にiDeCoは凄く利用価値のある制度だと思っていますので、ぜひウィークポイントである受給時の税制の判り難さ、そして高い手数料と使い勝手の悪さを改善し、新NISAと共に個人の資産形成の後押しする2大ツールとなって欲しいです。
(おわり)
NISAとiDeCoについては日経解説委員の田村正之氏の本を1冊読んでおけば間違い無いです(写真は楽天リンク↓)
「間違いだらけの新NISA・イデコ活用術(Amazonリンク)」
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