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【映画】『隠された時間』(2016年)何とも切ない内容の作品だろう!スリンの純粋で一途な献身!心が浄化していくよう! | ネタバレあらすじと感想

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◆映画『隠された時間』の作品情報

【英題】Vanishing Time: A Boy Who Returned

【監督・脚本】オム・テファ

【配給】ハーク

【出演】カン・ドンウォン、シン・ウンス、イ・ヒョジェ、キム・ヒウォン他

【公開】2016年

【上映時間】130分

【製作国】韓国

【ジャンル】ファンタジー、ヒューマンドラマ、SF、サスペンス

【視聴ツール】Prime Video、吹替

◆キャスト
ソンミン:少年期 イ・ヒョンジェ、青年期 カン・ドンウォン
スリン:シン・ウンス
スリンの義父:キム・ヒウォン
アン刑事:クォン・ヘヒョ
ミン・ギョンヒ:ムン・ソリ
テシク:オム・テグ

◆ネタバレあらすじ
映画「隠された時間」(2016年)は、監督ウム・テファンが手がけた韓国のファンタジードラマです。物語は、少年がある不思議な出来事を体験し、時が止まった世界に取り残されるという内容です。映画の主人公はスヒョンという少年で、彼は母親を亡くし、継父と暮らすことになります。彼の唯一の親友は、隣に住む女の子、スリンです。
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物語の始まりは、スヒョンとスリンが一緒に洞窟を探検しに行くところから始まります。
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彼らは森で他の少年たちと一緒に冒険し、洞窟の中で不思議な石を見つけます。しかし、スヒョンを含む少年たちが洞窟の中で消えてしまうという事件が起こります。スリンは彼らを探し続けますが、彼らの行方はわからず、スヒョンたちは行方不明として扱われます。
数日後、奇妙なことが起こります。大人になったスヒョンが突然スリンの前に現れるのです。少年のまま姿を消したはずのスヒョンが、時を超えて大人になった姿で戻ってきたのです。スヒョンは、洞窟で「時間が止まる」という特異な現象を経験し、自分だけが成長したと説明します。彼は、他の少年たちがいまだに時の止まった世界に閉じ込められていることをスリンに語り、助けを求めます。
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スヒョンの話を信じる者は少なく、彼は孤立していきます。スリンだけが彼の話を信じ、スヒョンを守ろうとします。しかし、周囲の大人たちはスヒョンを危険視し、彼を捕らえようとします。スヒョンとスリンは逃亡しながらも、失われた時間を取り戻し、閉じ込められた少年たちを救おうと奮闘します。
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映画は、時間の流れや成長、友情といったテーマを繊細に描いています。スヒョンが体験した「止まった時間」の世界は、美しい映像で表現されており、観客に強い印象を与えます。また、スヒョンとスリンの絆が物語の軸となり、二人の間に育まれる深い友情と愛情が感動的に描かれています。
ラストに近づくにつれ、スヒョンは時間の止まった世界に戻り、他の少年たちを助けようとしますが、自分の存在が二度と元の世界に戻れないかもしれないという大きな犠牲を払うことになります。一方で、スリンはスヒョンの決意を受け入れ、彼の選択を見守ります。
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映画「隠された時間」は、ファンタジーの要素を含みつつも、成長と喪失、そして希望をテーマにした感動的なストーリーが展開されます。

◆考察と感想
映画「隠された時間」は、ファンタジーと現実が交錯する美しい物語であり、その中に深いテーマが織り込まれています。映画を観た後、最も強く心に残るのは「時間」という概念が持つ多層的な意味です。この作品では、時間の流れが個々の成長や変化、失われたものの価値を浮き彫りにし、人間関係や人生の一瞬一瞬を大切にすることを考えさせられます。
まず、スヒョンが体験する「止まった時間の世界」は、単なるファンタジーの舞台ではなく、彼の内面的な葛藤や喪失感を象徴しています。母親を失い、継父と暮らすという環境の変化、そして幼少期の友人たちとの別れが、スヒョンにとっては時間が止まったような感覚をもたらしているのです。彼が大人になって戻ってきたとき、物理的には成長しているものの、精神的には少年のままであるという描写が印象的です。これは、現実においても人が経験する「心の成長」と「肉体の成長」が必ずしも一致しないというテーマとつながります。
また、スヒョンとスリンの関係も、この映画の核心を成しています。スリンは、スヒョンが時間の止まった世界で過ごした経験を信じる唯一の存在であり、彼女の信念と愛情がスヒョンを支えます。彼女の存在は、スヒョンにとって「時間」を超えた絆の象徴であり、失われた時間を取り戻すための動機でもあります。この二人の関係は、少年期の純粋な友情と、成長する過程での深い感情が交錯する、複雑で美しいものです。
物語の展開において、スヒョンが選ぶ道は非常に切なくも力強いものです。彼は、自分が「止まった時間」の世界に戻ることで、他の少年たちを救おうとしますが、これは自分の人生を犠牲にする選択でもあります。この選択は、自己犠牲と友人のための献身を描く一方で、成長とは何か、そして人間が経験する「別れ」と「喪失」の重さを問いかけています。
映画全体を通して、監督ウム・テファンの繊細な演出が光ります。特に、時間が止まる瞬間や幻想的な場面の映像美は、物語に深みを与えています。止まった時間の世界は、現実の延長線上にある幻想のようであり、視覚的に美しくもどこか不安定な雰囲気を漂わせています。この映像表現が、映画全体のテーマである「時間の儚さ」と「成長の痛み」を強調しており、観る者に深い印象を残します。
映画の最後に、スヒョンが選んだ運命は観客にさまざまな感情を抱かせます。彼の決断は非常に悲劇的でありながらも、彼自身の成長を象徴しています。スヒョンは、自分の犠牲が他の少年たちを救うための唯一の方法であると理解し、その決意に基づいて行動します。この自己犠牲のテーマは、物語の終盤に向けて観客に強い感動を与えますが、一方で「本当にこれが最善の選択だったのか」という問いも残ります。映画の余韻が長く続くのは、まさにこの「正解のない選択」というテーマに起因するものです。
全体として、「隠された時間」は、時間と成長、友情と愛情、そして喪失と再生を描いた心に残る作品です。スヒョンとスリンの関係を通して、人が生きていく中で避けられない「別れ」や「犠牲」の意味を深く考えさせられる映画であり、単なるファンタジー作品を超えた、普遍的なテーマを内包しています。時間の流れと人間の成長について、観客に新たな視点を提供してくれる映画です。



評価点   84点
お薦め度  82点


2016年  130分  韓国製作

 
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