ケース面接2 航空会社の新規事業を提案せよ
- 2013/11/24
- 21:32
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ビジネス系のお題で、新しい事業に進出するとしたら、どんな事業が考えられるか?というお題は、よくある問いの一つだ。
新しい事業を考えるには、どうしたらいいのだろうか?よくある答えは、「シナジーが存在する事業」。しかし、「シナジーがある事業」を考えるには、どうしたらいいのだろうか?それには、その会社がユニークに持っている資産について考える必要がある。その資産を使うことで、他のプレーヤーよりもうまく事業が運営できるなら、その事業を新しく始める価値があるはずだ。
では具体的にやってみよう。今回のお題は「ある航空会社の新規事業の候補選定」としよう。現在、航空会社は航空事業(旅客輸送、貨物輸送)および付随事業(機内食の製造、空港でのハンドリング)のみをしていると仮定しよう。
以下、回答例を載せるので、自力でやってみたい方は紙と鉛筆を使って、5分を目安に人に説明できるレベルにまとめてもらいたい。大抵の場合、答えにたどり着く前に5分が経つものだが、実際の面接でもそれで構わない。その後の議論で残りをつめていけばよいだろう。
さて、今回は前半に頭の中で考えていること、後半に実際に説明する方法を示したいと思う。
(この記事から見始めた方は、100本ノックの0本目から読むことをお勧めします。ケース面接を受ける/このノックを受けるにあたっての前提として理解しておいて頂きたいことをまとめています。)
新規事業って、どんなプレームワーク使って考えればいいんだろう。4C?競合、自社、市場、消費者。。。違う気がする。だめだ。具体的に考えてみよう。
航空会社の新規事業。航空会社ってどんなことやってるかな。そういやホテルとかあった気がする。飛行機、旅行、旅行代理店業!あとは何だろう。空港までバスでいくから、シャトルバス事業!
こんな感じかなー。何かでもこれ思いついた順に上げてるだけだな。なんでホテル事業は良さそうな気がするんだ?。。そうか、飛行機予約した人に、そのままホテルまで一度に予約してもらうようにすれば、うまく稼働率上げられるからだ。旅行代理店も、バスも同じ考え方だな。そうすると、飛行機を使う人が飛行機に乗る前後でやることに関して、新しいビジネスを始めるとよさそうってことか。
貨物の方は、どうだろう。貨物も同じように飛行機で運ぶとこだけじゃなくて、その前後も考えればいいのか。トラック運送を始めるのもよさそうだし、海運業もいいのかも。そもそも企業の輸送に関わるなら、商社みたいなこともできるんじゃないだろうか。たぶん貨物輸送は法人ビジネスだろうから、あんまり色々想像しにくいなぁ。。
そろそろ時間かな。
まず、新規事業を考えるにあたって、今、行っている航空事業の顧客のことを考えました。顧客が飛行機を使う前後に行うことでビジネスを行えば、今の顧客を新しい事業でも取り込むことができ、他のプレーヤーよりもうまくその事業を行うことができると思うからです。
まず、旅客輸送の方では、顧客は飛行機を使う旅行に出かけるため、旅行の予約を行うと思います。したがって、そこで旅行代理店業が候補にあがると思います。その次に、実際に空港にいくにあたって、何がしかの交通手段を使うはずです。例としてシャトルバス事業を考えました。飛行機に乗って、旅行先でホテルに泊まるはずなので、ホテル事業を行うことも有力な候補と考えます。
次に貨物事業の方では、飛行機での輸送の前後でトラック輸送や海運輸送を行うのがいいかと思います。また、そもそも企業の物資輸送のニーズを捉える意味で、商社業を始めるのもいいかと思います。
ここから先は、上記のポイントに対する突っ込みや、その他の視点に関する議論が続いていくだろう。
今回の例での大事なポイントは、「具体と抽象を行き来する」ということである。今回の例で、4Cという枠組みを使って考えようとしたがだめだった。そこで、旅客について具体的に考えてみることにした。いくつかアイデアが出てきた。そのアイデアから、顧客の旅行プロセスに沿って、ビジネスを始めればいいという、抽象的な枠組みを思いついた。そこで、その枠組みを使って、貨物についても考えてみた。いくつかアイデアが出てきた。
このような形で、具体→抽象→具体と考えを進化させていくことで、検討の幅が広がっていく。今回の例では、顧客を新しいビジネスに流し込むというのをさらに抽象化して、既存のアセットを他のビジネスに活かすことが大事という概念に至れば、航空会社が更にどんなアセットを持っているのかを考えるべき、という発展があるはずである。
考えの進化が、具体・抽象の行き来なのに対し、説明は抽象→具体で行っている。人に説明する際は、思考の経過は必要なく、その結果を伝えるとすると、上位概念から説明した方がわかりやすい。
コンサルタントは、よく「フレームワーク」を使って、物事を説明する。このプレームワークは良く知られているものもあるが、実際に現場で使われるのは、そのプロジェクトで使われるだけのものも多い。クライアントが納得しすっきりできる枠組みを発明し、それを使って、プロジェクトを進めていく必要があるからだ。良く知られた枠組みは、必ずしもその特定のクライアントの特定のプロジェクトに当てはまるとは限らない。この「枠組みを作り出す力」もコンサルタントに必要な能力の一つだろう。
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新しい事業を考えるには、どうしたらいいのだろうか?よくある答えは、「シナジーが存在する事業」。しかし、「シナジーがある事業」を考えるには、どうしたらいいのだろうか?それには、その会社がユニークに持っている資産について考える必要がある。その資産を使うことで、他のプレーヤーよりもうまく事業が運営できるなら、その事業を新しく始める価値があるはずだ。
では具体的にやってみよう。今回のお題は「ある航空会社の新規事業の候補選定」としよう。現在、航空会社は航空事業(旅客輸送、貨物輸送)および付随事業(機内食の製造、空港でのハンドリング)のみをしていると仮定しよう。
以下、回答例を載せるので、自力でやってみたい方は紙と鉛筆を使って、5分を目安に人に説明できるレベルにまとめてもらいたい。大抵の場合、答えにたどり着く前に5分が経つものだが、実際の面接でもそれで構わない。その後の議論で残りをつめていけばよいだろう。
さて、今回は前半に頭の中で考えていること、後半に実際に説明する方法を示したいと思う。
(この記事から見始めた方は、100本ノックの0本目から読むことをお勧めします。ケース面接を受ける/このノックを受けるにあたっての前提として理解しておいて頂きたいことをまとめています。)
回答例:頭の中
新規事業って、どんなプレームワーク使って考えればいいんだろう。4C?競合、自社、市場、消費者。。。違う気がする。だめだ。具体的に考えてみよう。
航空会社の新規事業。航空会社ってどんなことやってるかな。そういやホテルとかあった気がする。飛行機、旅行、旅行代理店業!あとは何だろう。空港までバスでいくから、シャトルバス事業!
こんな感じかなー。何かでもこれ思いついた順に上げてるだけだな。なんでホテル事業は良さそうな気がするんだ?。。そうか、飛行機予約した人に、そのままホテルまで一度に予約してもらうようにすれば、うまく稼働率上げられるからだ。旅行代理店も、バスも同じ考え方だな。そうすると、飛行機を使う人が飛行機に乗る前後でやることに関して、新しいビジネスを始めるとよさそうってことか。
貨物の方は、どうだろう。貨物も同じように飛行機で運ぶとこだけじゃなくて、その前後も考えればいいのか。トラック運送を始めるのもよさそうだし、海運業もいいのかも。そもそも企業の輸送に関わるなら、商社みたいなこともできるんじゃないだろうか。たぶん貨物輸送は法人ビジネスだろうから、あんまり色々想像しにくいなぁ。。
そろそろ時間かな。
回答例:説明
まず、新規事業を考えるにあたって、今、行っている航空事業の顧客のことを考えました。顧客が飛行機を使う前後に行うことでビジネスを行えば、今の顧客を新しい事業でも取り込むことができ、他のプレーヤーよりもうまくその事業を行うことができると思うからです。
まず、旅客輸送の方では、顧客は飛行機を使う旅行に出かけるため、旅行の予約を行うと思います。したがって、そこで旅行代理店業が候補にあがると思います。その次に、実際に空港にいくにあたって、何がしかの交通手段を使うはずです。例としてシャトルバス事業を考えました。飛行機に乗って、旅行先でホテルに泊まるはずなので、ホテル事業を行うことも有力な候補と考えます。
次に貨物事業の方では、飛行機での輸送の前後でトラック輸送や海運輸送を行うのがいいかと思います。また、そもそも企業の物資輸送のニーズを捉える意味で、商社業を始めるのもいいかと思います。
ここから先は、上記のポイントに対する突っ込みや、その他の視点に関する議論が続いていくだろう。
考え方のツボ
今回の例での大事なポイントは、「具体と抽象を行き来する」ということである。今回の例で、4Cという枠組みを使って考えようとしたがだめだった。そこで、旅客について具体的に考えてみることにした。いくつかアイデアが出てきた。そのアイデアから、顧客の旅行プロセスに沿って、ビジネスを始めればいいという、抽象的な枠組みを思いついた。そこで、その枠組みを使って、貨物についても考えてみた。いくつかアイデアが出てきた。
このような形で、具体→抽象→具体と考えを進化させていくことで、検討の幅が広がっていく。今回の例では、顧客を新しいビジネスに流し込むというのをさらに抽象化して、既存のアセットを他のビジネスに活かすことが大事という概念に至れば、航空会社が更にどんなアセットを持っているのかを考えるべき、という発展があるはずである。
考えの進化が、具体・抽象の行き来なのに対し、説明は抽象→具体で行っている。人に説明する際は、思考の経過は必要なく、その結果を伝えるとすると、上位概念から説明した方がわかりやすい。
コンサルタントは、よく「フレームワーク」を使って、物事を説明する。このプレームワークは良く知られているものもあるが、実際に現場で使われるのは、そのプロジェクトで使われるだけのものも多い。クライアントが納得しすっきりできる枠組みを発明し、それを使って、プロジェクトを進めていく必要があるからだ。良く知られた枠組みは、必ずしもその特定のクライアントの特定のプロジェクトに当てはまるとは限らない。この「枠組みを作り出す力」もコンサルタントに必要な能力の一つだろう。
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