ケース面接6 原発再稼動に賛成ですか?
- 2014/06/21
- 22:04
Sponsored Links
今回のお題は、「あなたは、原発再稼動に賛成か?」にしよう。時折、こういった、一見ビジネスと関係なさそうな、どう答えたものか困ってしまうお題に出くわすこともあるだろう。候補者側が傾向と対策を練ってくるので、面接官の側も色々と工夫して、対策のしにくい問いを投げかけるのだ。
まず、このような問いを受けると動揺しそうなものだが、恐れることはない。コンサルタントが知りたいことは、同じだ。構造的に物事を捉え、創造的なアプローチができるかどうか?である。但し、こういったオープンな質問は、ある程度、前提を決めてから議論しないと、とっかかりがないと思うので、それをある程度最初に宣言するか、質問するかした方がいいかもしれない。
また、当然ながら、個人の信条について聞いているものでもない。従って、このようなお題に対して、真に信じる意見を述べるというよりも、あなたの考えをサポートしやすい方を選んだ方がいいだろう。(なので、面接官も信条に関わるようなお題は取り上げないのが普通だ。政治、宗教等のセンシティブな問題は扱わないのが普通である。原発は微妙なラインかもしれないが、あえて取り上げてみる。)
候補者(以下コ):
まず、この質問に一般市民である、私の視点で考えてみたいと思います。結論としては反対です。私が電力政策を考える際に、気にするのは税金が有効に使われているか?と、電気がきちんと使えるか?の2点です。
税金が有効に使われているか、という視点では、電気がどれだけのコストで作られているか?が大事だと思っています。詳細なデータは、わからないですが、私がこれまで見聞きした報道等の情報をあわせると、原発事故のことも考慮に入れると、必ずしも原発は最も安い電源ではない。かつ、事故が起きた際のコストは、膨れ上がるリスクがある。その点を考慮すると原発は最善の選択ではないです。
電気がきちんと使えるか?についてですが、事故後の夏こそ制限が必要でしたが、現状は問題なく使えていることを考えれば、原発を選ばないことで問題が起きるとは思えません。
面接官(以下メ):
なるほど。ちなみに、コストと電力の安定供給を指摘されましたが、二酸化炭素の排出量等は気にしなくてもいいのでしょうか?
コ:
一般市民としては、少なくとも私は、二酸化炭素の排出を基準に原発の賛成、反対を決めないです。なぜなら、私としては二酸化炭素の排出が増える減るというのは大きな関心事ではないからです。こういうと地球環境に興味がないと思われるかもしれないですが、率直な意見としては興味がないですね。
メ:
わかりました。では仮に、あなたが福島県の県知事だとしましょう。賛成ですか?反対ですか?
コ:
それは、反対でしょう。
メ:
なぜですか?
コ:
先ほど述べた、一般市民が気にする点は、勿論、県知事としても注意すべき点ですし、加えて福島県は事故の影響を最も受けています。県民感情を考慮すれば、尚更、反対すると思います。
メ:
県知事の懸念することは、一般市民が電源政策に期待することと、県民感情ということですね。他に、県知事として気にしておくべきことはないでしょうか?
コ:
そうですね。。。県知事は、県の運営に責任を持っています。その視点で考えておくことがあるか、、、、
メ:
質問を変えましょう。なぜ、福島県は、もしくは県知事は、原発を県内に設置してもよいと許可したのでしょうか?
コ:
それは、事故のリスクが正確に把握されていなかったから、問題ないと思ったのだと思います。
メ:
それだけでしょうか?「安全性に問題ないなら、日本のためにぜひ、我が県に原発を建てて下さい」と県知事は考えた?
コ:
いえ、勿論、そこには経済的な利益が、、あ、そういうことですね。県知事は、県の経済的な発展や県民に働く機会を与える必要がある。その意味では、単純に反対とは言い切れない。
メ:
そうです。それでは、次に総理大臣の立場に立ってみましょうか。
このあたりで止めておこう。
今回のポイントは、「視点を上げる、変える、人に乗り移って考える」という部分である。
原発の是非、というのは非常に複雑な問題である。このような問題を考える時に、誰の立場で考えるのか?というのは非常に重要だ。なぜなら、その人の立場によって、賛成、反対の立場やその立場を取る理由が違うからだ。これは、ビジネスの現場でも非常に重要な考え方である。取引先との利害関係も勿論そうだし、社内で何か物事を決める際にも、関係者は皆、それぞれ別の立場があるからだ。
コンサルタントは、特に、この人はどう考えるのか?ということに注意を払う必要がある。なぜなら、基本的にコンサルタントは変化を起こすために、クライアントを説得・納得させる必要があるからだ。クライアントも、平社員、課長、部長、役員、社長と立場が違うと考え方が違う。特に駆け出しのコンサルタントは、平社員や課長のこと「だけ」を考えがちだが、それでは、全社最適な判断はできない。常に、社長の立場を忘れないようにしつつ、どうやったら目の前の課長を説得できるかを考える必要がある。
Sponsored Links
たくさんのシェアありがとうございます!
↓Facebookでは、更新情報などをお知らせしてます。是非いいねお願いします!
基本は同じ
まず、このような問いを受けると動揺しそうなものだが、恐れることはない。コンサルタントが知りたいことは、同じだ。構造的に物事を捉え、創造的なアプローチができるかどうか?である。但し、こういったオープンな質問は、ある程度、前提を決めてから議論しないと、とっかかりがないと思うので、それをある程度最初に宣言するか、質問するかした方がいいかもしれない。
また、当然ながら、個人の信条について聞いているものでもない。従って、このようなお題に対して、真に信じる意見を述べるというよりも、あなたの考えをサポートしやすい方を選んだ方がいいだろう。(なので、面接官も信条に関わるようなお題は取り上げないのが普通だ。政治、宗教等のセンシティブな問題は扱わないのが普通である。原発は微妙なラインかもしれないが、あえて取り上げてみる。)
候補者と面接官のやり取り
候補者(以下コ):
まず、この質問に一般市民である、私の視点で考えてみたいと思います。結論としては反対です。私が電力政策を考える際に、気にするのは税金が有効に使われているか?と、電気がきちんと使えるか?の2点です。
税金が有効に使われているか、という視点では、電気がどれだけのコストで作られているか?が大事だと思っています。詳細なデータは、わからないですが、私がこれまで見聞きした報道等の情報をあわせると、原発事故のことも考慮に入れると、必ずしも原発は最も安い電源ではない。かつ、事故が起きた際のコストは、膨れ上がるリスクがある。その点を考慮すると原発は最善の選択ではないです。
電気がきちんと使えるか?についてですが、事故後の夏こそ制限が必要でしたが、現状は問題なく使えていることを考えれば、原発を選ばないことで問題が起きるとは思えません。
面接官(以下メ):
なるほど。ちなみに、コストと電力の安定供給を指摘されましたが、二酸化炭素の排出量等は気にしなくてもいいのでしょうか?
コ:
一般市民としては、少なくとも私は、二酸化炭素の排出を基準に原発の賛成、反対を決めないです。なぜなら、私としては二酸化炭素の排出が増える減るというのは大きな関心事ではないからです。こういうと地球環境に興味がないと思われるかもしれないですが、率直な意見としては興味がないですね。
メ:
わかりました。では仮に、あなたが福島県の県知事だとしましょう。賛成ですか?反対ですか?
コ:
それは、反対でしょう。
メ:
なぜですか?
コ:
先ほど述べた、一般市民が気にする点は、勿論、県知事としても注意すべき点ですし、加えて福島県は事故の影響を最も受けています。県民感情を考慮すれば、尚更、反対すると思います。
メ:
県知事の懸念することは、一般市民が電源政策に期待することと、県民感情ということですね。他に、県知事として気にしておくべきことはないでしょうか?
コ:
そうですね。。。県知事は、県の運営に責任を持っています。その視点で考えておくことがあるか、、、、
メ:
質問を変えましょう。なぜ、福島県は、もしくは県知事は、原発を県内に設置してもよいと許可したのでしょうか?
コ:
それは、事故のリスクが正確に把握されていなかったから、問題ないと思ったのだと思います。
メ:
それだけでしょうか?「安全性に問題ないなら、日本のためにぜひ、我が県に原発を建てて下さい」と県知事は考えた?
コ:
いえ、勿論、そこには経済的な利益が、、あ、そういうことですね。県知事は、県の経済的な発展や県民に働く機会を与える必要がある。その意味では、単純に反対とは言い切れない。
メ:
そうです。それでは、次に総理大臣の立場に立ってみましょうか。
このあたりで止めておこう。
考え方のツボ: 視点を上げる、変える、人に乗り移って考える
今回のポイントは、「視点を上げる、変える、人に乗り移って考える」という部分である。
原発の是非、というのは非常に複雑な問題である。このような問題を考える時に、誰の立場で考えるのか?というのは非常に重要だ。なぜなら、その人の立場によって、賛成、反対の立場やその立場を取る理由が違うからだ。これは、ビジネスの現場でも非常に重要な考え方である。取引先との利害関係も勿論そうだし、社内で何か物事を決める際にも、関係者は皆、それぞれ別の立場があるからだ。
コンサルタントは、特に、この人はどう考えるのか?ということに注意を払う必要がある。なぜなら、基本的にコンサルタントは変化を起こすために、クライアントを説得・納得させる必要があるからだ。クライアントも、平社員、課長、部長、役員、社長と立場が違うと考え方が違う。特に駆け出しのコンサルタントは、平社員や課長のこと「だけ」を考えがちだが、それでは、全社最適な判断はできない。常に、社長の立場を忘れないようにしつつ、どうやったら目の前の課長を説得できるかを考える必要がある。
- 関連記事
- ケース面接5 カフェの売上を2倍にするには?
- ケース面接4 成果主義を取り入れる際に考えるべき視点は?
- ケースに臨む際の考え方の整理
- ケース面接2 航空会社の新規事業を提案せよ
- ケース面接3 M&Aのターゲットをどう決めればいいか?
たくさんのシェアありがとうございます!
↓Facebookでは、更新情報などをお知らせしてます。是非いいねお願いします!