ケース面接1 東京にある電信柱の数は?
- 2013/11/12
- 21:45
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1つめのケース面接例として、定番のフェルミ推定を紹介してみたい。まず、フェルミ推定とは何か?一言でいうと、「色々な前提を置いた上で、お題の数値を推測すること」だろう。
お題となる数字とは、以下のようなものである。
・1年間の日本におけるコーヒーの売上額
・成田空港の一日の利用者数
・日本に存在するテニスコートの面積
・東京ドームに入るゴルフボールの数
・東京にある電信柱の数
勿論、こういった数字を記憶しているかどうかを聞いているわけでも、あてずっぽうに数字を言って当たるかどうかを試しているわけでもない。
コンサルタントは、しばしば世の中にはない数字を推測することを求められる。例えば、クライアントの新規事業の事業規模を想定するとき、他に類似事業をやっているプレーヤーがいなければ、どこを探してもそんな「市場規模」は存在せず、自分で推測するしかない。フェルミ推定は、まさに上記のような世の中にない数字を作り出す際に必要な考え方である。
基本的なアプローチは、お題の数値をいくつかの要素に分解していき、常識や個人的な経験をもとに各要素を推測し、お題の数値を積み上げるというものだ。こうすることで、ヤマ勘よりも高い精度でお題の数値を推定することができる。
(この記事から見始めた方は、100本ノック0本目から読むことをお勧めします。ケース面接を受ける/このノックを受けるにあたっての前提として理解しておいて頂きたいことをまとめています。)
では、具体的にやってみよう。今回のお題は、「東京にある電信柱の数」としよう。
以下、回答例を載せるので、自力でやってみたい方は紙と鉛筆を使って、5分を目安に人に説明できるレベルにまとめてもらいたい。大抵の場合、答えにたどり着く前に5分が経つものだが、実際の面接でもそれで構わない。その後の議論で残りをつめていけばよいだろう。
さて、皆さんの参考になるように、頭の中でどう考えているのか?という形で例を載せたい。どのように回答すべきか?ということに関しては、別の例で紹介したい。
まず、考えるのは、電信柱の数は、何によって決まっているのか?だ。当然、電信柱の役目は、電気を家庭や店舗やオフィスに送ることだ。実家の周りの電信柱のことを思い出してみる。。。。一本の電信柱から、建物に電線が伸びている絵が思い浮かんでくる。そうか、建物ごとに電線が一本必要で、電信柱当たりだいたい5本くらいの電線を出している。ということは、東京にある建物の総数が分かれば、電信柱の数も出せるのではないか?
この段階での電信柱の数の分解は、下記のような形だ。
電信柱の数=建物の数÷5
次に、東京に存在する建物のことを考える。住居、店舗、オフィス、学校、公的施設などが思いつく。少ないもののことを考えてもしょうがないので、「住居」と「人が働く建物」の二つに絞って考える。
電信柱の数=(住居の数+人が働く建物の数)÷5
まず、住居だが、住む場所は人単位というより、世帯単位で考えた方がよさそうだ。東京の人口は1,000万人位で、平均世帯人数は、3人位だろうか?一人暮らしも多いから、2人かもしれない。では、仮に500万世帯あるとする。
住居のタイプは、一戸建てと集合住宅だろう。自分の家の周りを想像してみる。東京で持ち家を持つのは大変だ。きっと、全世帯の5%程度ではないか。
500万×5%=25万一戸建て
集合住宅は、巨大団地もあれば3階建てのアパートもあるが、平均して5階建てで、1階あたり5世帯位のアパートを想定する。
475万÷25=19万集合住宅
次に人が働く建物の数は、どう考えるのがいいだろうか?住居とは違って、何人が働いていて、建物一つあたりの人数で割ればいいだろうか。だとすると、まず何人位が働いているのかを考える必要がありそうだ。「働いている人」とは誰で、何人位いるのか?サラリーマン、OL、パートのおばちゃん、学生アルバイト、プロ野球選手、、、職業のことを考える必要はなさそうなので、年齢で考えてみよう。
20歳以下、20歳以上60歳未満、60歳以上と分けて考えると、働く人の大半は20歳以上、60歳未満だろう。少ない人のことを考えてもしょうがないので、20歳以上60歳未満の人でどれくらいの人が働いているかを考える。
まず、20歳以上60歳未満の人の人数を考えよう。平均寿命80歳とすると、東京の人口1,000万人の半分程度か。しかし、日本全体よりも20-60歳の人は多そうだ。仮に600万人としよう。男性・女性で300万人ずつとする。男性は大半の人が働いていると考えれば、90%位の人が働いていそうだ。一方で、女性の働いている人の割合は少なそうだ。パート等も含めると、50%程度だろうか。
そうすると、働いている人の数は、300万人×90%、300万人×50%=420万人だ。建物当たり、何人位の人が働いているか。大企業、中小企業等分けて考えてもいいが、精度があがらなさそうなので、100人位が働いていると考えてみよう。そうすると、420万÷100=4.2万建物だ。
住居と比較すると、約10分の1だ。少し少ないようにも感じるが、オフィスが東京の中心にある一方で、住宅は周辺に広がっているので妥当かもしれない。
まとめると、下記のような形になった。
電信柱の数
=建物の数÷5
=(住宅の数+人が働く建物の数)÷5
=((一戸建ての数+集合住宅の数)+人が働く建物の数)÷5
=((25万+19万)+4.2万)÷5
=約10万本
いかがだったろうか。最初の5分で、この精度で最後までたどり着くことは難しいだろう。大事なのは、どうやって分解していくのがよさそうか、ということを考えながら検討を進めることだ。すなわち、最後の計算式の上から下という流れを意識しながら、詳細化を進める。時間があれば、詳細にする。なければ、そのレベル以上には細かくしない。ということだ。
さて、以下に今回の例で出てきた、考え方のTipsを記す。ノック一本ごとに、この考え方のコツを紹介できればいいなと思っている。ケース面接、というか、物事を考える時に必要なことの一つとして、
大事なことを考える=大事でないことは考えない
ということが挙げられる。
今回の例でいくと、例えば、働く人の数を考える際に
・いやいや、学生アルバイトや高卒で働く人がいるから、20歳以下の働く人のことを考えないと
・大学卒業のことを考えると、20歳じゃなくて、22歳以上にした方がいいのでは?
等、考えを細かくしていくことはできる。しかし、全体への影響は大きくないだろう。そうであれば、大事でないと判断して、細かい部分に立ち入らないことが大事だ。
この書籍は、東大生がまとめたもののようだが、いかにも東大生がやりそうな、「傾向と対策」的な解説+演習書となっている。ただ、フェルミ推定に触れるという意味では、良い練習台となるだろう。この本に出ている例題30問を解けば、基本的な考え方は習得できるように思う。
一本目ということで、丁寧に紹介させてもらった、最後に追加的に考えることとして、下記を挙げておきたい。
この議論については、Facebook上で考えをまとめたいと思う。(個人的な興味で、ウェブページとFacebookの連携方法も考えたいと思っているのでお付き合い頂きたい)
今回の課題の中で、私が選んだ道筋以外の方法はあるか?あるとすれば、その方法はここで紹介した方法と比べてよりよいか悪いか?それはなぜか?
Facebookに私の考えをまとめているので、興味のある方は、10分ほど自分で考えた上で、下記のページに飛んで頂きたい。(ついでにLikeもしてもらえると、すごく嬉しい)
Facebookページの追加課題回答
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お題となる数字とは、以下のようなものである。
・1年間の日本におけるコーヒーの売上額
・成田空港の一日の利用者数
・日本に存在するテニスコートの面積
・東京ドームに入るゴルフボールの数
・東京にある電信柱の数
勿論、こういった数字を記憶しているかどうかを聞いているわけでも、あてずっぽうに数字を言って当たるかどうかを試しているわけでもない。
コンサルタントは、しばしば世の中にはない数字を推測することを求められる。例えば、クライアントの新規事業の事業規模を想定するとき、他に類似事業をやっているプレーヤーがいなければ、どこを探してもそんな「市場規模」は存在せず、自分で推測するしかない。フェルミ推定は、まさに上記のような世の中にない数字を作り出す際に必要な考え方である。
基本的なアプローチは、お題の数値をいくつかの要素に分解していき、常識や個人的な経験をもとに各要素を推測し、お題の数値を積み上げるというものだ。こうすることで、ヤマ勘よりも高い精度でお題の数値を推定することができる。
(この記事から見始めた方は、100本ノック0本目から読むことをお勧めします。ケース面接を受ける/このノックを受けるにあたっての前提として理解しておいて頂きたいことをまとめています。)
考え方の例
では、具体的にやってみよう。今回のお題は、「東京にある電信柱の数」としよう。
以下、回答例を載せるので、自力でやってみたい方は紙と鉛筆を使って、5分を目安に人に説明できるレベルにまとめてもらいたい。大抵の場合、答えにたどり着く前に5分が経つものだが、実際の面接でもそれで構わない。その後の議論で残りをつめていけばよいだろう。
さて、皆さんの参考になるように、頭の中でどう考えているのか?という形で例を載せたい。どのように回答すべきか?ということに関しては、別の例で紹介したい。
回答例
まず、考えるのは、電信柱の数は、何によって決まっているのか?だ。当然、電信柱の役目は、電気を家庭や店舗やオフィスに送ることだ。実家の周りの電信柱のことを思い出してみる。。。。一本の電信柱から、建物に電線が伸びている絵が思い浮かんでくる。そうか、建物ごとに電線が一本必要で、電信柱当たりだいたい5本くらいの電線を出している。ということは、東京にある建物の総数が分かれば、電信柱の数も出せるのではないか?
この段階での電信柱の数の分解は、下記のような形だ。
電信柱の数=建物の数÷5
次に、東京に存在する建物のことを考える。住居、店舗、オフィス、学校、公的施設などが思いつく。少ないもののことを考えてもしょうがないので、「住居」と「人が働く建物」の二つに絞って考える。
電信柱の数=(住居の数+人が働く建物の数)÷5
まず、住居だが、住む場所は人単位というより、世帯単位で考えた方がよさそうだ。東京の人口は1,000万人位で、平均世帯人数は、3人位だろうか?一人暮らしも多いから、2人かもしれない。では、仮に500万世帯あるとする。
住居のタイプは、一戸建てと集合住宅だろう。自分の家の周りを想像してみる。東京で持ち家を持つのは大変だ。きっと、全世帯の5%程度ではないか。
500万×5%=25万一戸建て
集合住宅は、巨大団地もあれば3階建てのアパートもあるが、平均して5階建てで、1階あたり5世帯位のアパートを想定する。
475万÷25=19万集合住宅
次に人が働く建物の数は、どう考えるのがいいだろうか?住居とは違って、何人が働いていて、建物一つあたりの人数で割ればいいだろうか。だとすると、まず何人位が働いているのかを考える必要がありそうだ。「働いている人」とは誰で、何人位いるのか?サラリーマン、OL、パートのおばちゃん、学生アルバイト、プロ野球選手、、、職業のことを考える必要はなさそうなので、年齢で考えてみよう。
20歳以下、20歳以上60歳未満、60歳以上と分けて考えると、働く人の大半は20歳以上、60歳未満だろう。少ない人のことを考えてもしょうがないので、20歳以上60歳未満の人でどれくらいの人が働いているかを考える。
まず、20歳以上60歳未満の人の人数を考えよう。平均寿命80歳とすると、東京の人口1,000万人の半分程度か。しかし、日本全体よりも20-60歳の人は多そうだ。仮に600万人としよう。男性・女性で300万人ずつとする。男性は大半の人が働いていると考えれば、90%位の人が働いていそうだ。一方で、女性の働いている人の割合は少なそうだ。パート等も含めると、50%程度だろうか。
そうすると、働いている人の数は、300万人×90%、300万人×50%=420万人だ。建物当たり、何人位の人が働いているか。大企業、中小企業等分けて考えてもいいが、精度があがらなさそうなので、100人位が働いていると考えてみよう。そうすると、420万÷100=4.2万建物だ。
住居と比較すると、約10分の1だ。少し少ないようにも感じるが、オフィスが東京の中心にある一方で、住宅は周辺に広がっているので妥当かもしれない。
まとめると、下記のような形になった。
電信柱の数
=建物の数÷5
=(住宅の数+人が働く建物の数)÷5
=((一戸建ての数+集合住宅の数)+人が働く建物の数)÷5
=((25万+19万)+4.2万)÷5
=約10万本
いかがだったろうか。最初の5分で、この精度で最後までたどり着くことは難しいだろう。大事なのは、どうやって分解していくのがよさそうか、ということを考えながら検討を進めることだ。すなわち、最後の計算式の上から下という流れを意識しながら、詳細化を進める。時間があれば、詳細にする。なければ、そのレベル以上には細かくしない。ということだ。
考え方のツボ
さて、以下に今回の例で出てきた、考え方のTipsを記す。ノック一本ごとに、この考え方のコツを紹介できればいいなと思っている。ケース面接、というか、物事を考える時に必要なことの一つとして、
大事なことを考える=大事でないことは考えない
ということが挙げられる。
今回の例でいくと、例えば、働く人の数を考える際に
・いやいや、学生アルバイトや高卒で働く人がいるから、20歳以下の働く人のことを考えないと
・大学卒業のことを考えると、20歳じゃなくて、22歳以上にした方がいいのでは?
等、考えを細かくしていくことはできる。しかし、全体への影響は大きくないだろう。そうであれば、大事でないと判断して、細かい部分に立ち入らないことが大事だ。
さらにフェルミ推定の演習をしたい方は
この書籍は、東大生がまとめたもののようだが、いかにも東大生がやりそうな、「傾向と対策」的な解説+演習書となっている。ただ、フェルミ推定に触れるという意味では、良い練習台となるだろう。この本に出ている例題30問を解けば、基本的な考え方は習得できるように思う。
東大ケーススタディ研究会 東洋経済新報社 2009-09-18
追加課題
一本目ということで、丁寧に紹介させてもらった、最後に追加的に考えることとして、下記を挙げておきたい。
この議論については、Facebook上で考えをまとめたいと思う。(個人的な興味で、ウェブページとFacebookの連携方法も考えたいと思っているのでお付き合い頂きたい)
今回の課題の中で、私が選んだ道筋以外の方法はあるか?あるとすれば、その方法はここで紹介した方法と比べてよりよいか悪いか?それはなぜか?
Facebookに私の考えをまとめているので、興味のある方は、10分ほど自分で考えた上で、下記のページに飛んで頂きたい。(ついでにLikeもしてもらえると、すごく嬉しい)
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