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David the smart ass

心のダイエット!~時には辛口メッセージを~

「おおい町 翻ろう」って~新聞の漢字

2012-06-10-Sun
今日(10日)、Twitterで、野嵜さん(@nozakitakehide)がこんなことを書いている。

「障がいはほんと意味わかんない。」も「障が / いはほんと / 意味わかんない。に見える。
 → https://twitter.com/nozakitakehide/status/211684669786300417


何ごとかとTLを遡って読むと、こんなTLが続いた(念のために書くがすべて、@nozakitakehide さんのツィートである)。

「なぜ」も俺は屡々「何故」と書く。假名で書くと、「福沢諭吉 / はなぜ / 朝鮮に」と見えてしまふからだ。
 → https://twitter.com/nozakitakehide/status/211684536298385408

とか、

「障がい」は、「障が(謎の名詞+助詞) / い(助詞の次に出てくるのだから體言か用言だらうが謎)」と分かれるやうに見えるし、「子ども」は「子ど(謎の名詞)+も(助詞)」のやうに感じられる。
 → https://twitter.com/nozakitakehide/status/211683805944229888

とか、

「ぼう大」のやうに書かれると、かなで書かれてゐるから「ぼう」が直前の助詞(かなで書かれてゐる)と一體のやうに見えてしまひ、「○○ / がぼう / 大な」と、妙な風に認識されてしまふ。これでは意味がさつぱりわからない。
 → https://twitter.com/nozakitakehide/status/211681683181797376

とかである。

要するに、漢字とかなの交ぜ書きは紛らわしいという主張だ。

和語ならかな書きするとしても、漢語をかなで書くのは違和感が強い。一つの漢語をかなと漢字を交ぜて書く「交ぜ書き」は、漢語の語としての一體性を破壞するから、讀む際に誤讀し易くなる。
 → https://twitter.com/nozakitakehide/status/211682547850158080

わからなくもない。

「障碍」「膨大」という漢語を「障がい」「ぼう大」と漢字とかなを組み合わせて書く、所謂「交ぜ書き」が、ただみっともないという見てくれのレベルだけでなく、実用面でも不都合があるという主張である。

「なぜ」も「何故」の方がわかりやすいというのは、個人差がありはしないかと思う。それは、単にわたしは、「なぜ」というひらがな書きの「なぜ」を見慣れているということによるのだ。おそらく、野嵜さんは「何故」の方を「なぜ」よりも見慣れたり、書き慣れたりしているのであろう。

また、すべての文節の始めは漢字の方がわかりやすいというのは、少しばかり無理筋だとは思うけれど、漢文というか、漢文の書き下し文はこういう考え方をとっているのも、また、確かである。

「文節」の頭は漢字で始まるべきだと思ふ。その方が語の區切りがはつきりわかつて、意味が判りやすい。
 → https://twitter.com/nozakitakehide/status/211681907182800896


そもそも、こういう、みっともない上に、意味的にも混乱が生じるような「交ぜ書き」をせねばならない背景の一つには、漢字の使用制限がある。当用漢字から常用漢字につながる流れが、こうした妙竹林な「交ぜ書き」を生んでいるのだ。

で、こんなTLを見たあとで、食事に出かけたラーメン屋で、手にした朝刊がこんな見出しだった。「なんじゃこりゃ」とぶったまげて、思わず写メを撮った。どうしてもブログに記事を書かねばと思ったのだ。

それがこれ。


本日(6月10日付け)の、中日新聞の第1面である。

さて、太字の見出し、読める?



おおい町 翻ろう

見出しにはそう書かれている。野嵜さんではないが、「おおい町」という町名が、「おーい」と読める。「○○ろう」というのが、呼び掛けの言葉に読めてしまう。

つまり、わたしにはごくごく自然に「おおい、町(よ)、翻(ひるがえ)ろう!」と読めてしまうのだ。何を、どう、翻るのか? 原発反対から、原発推進へと翻ろう!と呼びかけているのかと思われるのだ。自然にだ。

これは誤読であるとおっしゃる方もいらっしゃるかもしれない。正しくは、「おおい町、翻弄(ほんろう)」と読んで、環境ビジネスからの原発の推進、東京電力福島原発の事故からの脱原発、原発反対運動、電力不足からの再稼動、やっぱり脱原発なんで期間限定の稼動などなど、世論や政治、利権などの思惑が絡んで、まさに小さな地元の町が翻弄されているのだ。記事は「翻弄」と書くところ、「弄」の字が常用漢字にないので、「翻ろう」と「交ぜ書き」をしているんだと。

冗談じゃない! 翻弄の「弄」は、こないだ晴れて常用漢字にご出世あそばされていたのだぞよ~。(→ 新常用漢字追加字

なんせ、当時はこんなブログ記事もあったくらいなのだ。

■翻ろう

「ほんろう」じゃないよ

今まで「弄」は常用外漢字だったから、今まで「翻ろう」と表記されてたけど、

常用漢字に「弄」が加わるから、これからは「翻弄」と表記されるんだぜ!

だから「翻ろう」は今までは「ほんろう」と読んでたけど、これからは「ひるがえろう」と読もうぜ。送り仮名も合ってるし、ちゃんと変換できるし。

 → le_ramierの日記(兎)



新聞記事は、常用漢字表に準拠して書かれているはずであるのだから、こいつは「おおい町、翻(ひるがえ)ろう!」って見出しと考えるほうが真っ当な理解になるのだ。

あ~、こんな漢字に誰がした、責任者出てこい! と、怒りたい気分である。




<追記>
こんなtweetがあった。


ああそうか、と思って調べたら、Wikipediaに「新聞常用漢字表」というのがあった。これをマスターしないと、「翻ろう」が「ほんろう」か「ひるがえろう」かが、判然としないということらしい!

なんだか、二重にややこしいわ……。

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