2017-09-13(Wed)

反戦と民主主義

日本の「リベラル」と言われている人たちは、反戦=民主主義みたいに無邪気に信じているけど、民主主義の戦争もあれば、独裁の平和もあるなんてことは、誰でも知っていることだ。

民主主義のための戦争は、それこそアメリカのお家芸。
ソ連が崩壊してしまい、軍拡の口実がなくなってしまった軍産共同体やネオコンは、「独裁政権の指導者はぶち殺すのが正義だ」「戦争で民主主義をもたらすのだ」と唱えて、パパブッシュ、クリントン、子ブッシュ、オバマ、と民主共和にかかわらず、民主主義のための戦争を続けてきた。
紛れもなく選挙で選ばれた大統領と、選挙で選ばれた上下院議員が世界最大の戦争遂行者なのは、疑いようのない事実だ。

一方で、何かと持ち上げられることが多いブータンは、つい最近まで絶対王制だった。2008年にやっと憲法ができたそうだが、
また、最近リベラル(?)っぽい人の中に多いのが、天皇の平和主義をたたえる風潮だ。これもまた、民主主義とはほど遠い。
アメリカに襲われて戦争のるつぼと化してしまったイラクやシリアのようなかつての独裁国家だって、少なくとも民主主義になる前のほうがまだしも平和だった。

民主主義というのは、あくまでも「民」が「主」であるというだけのことであって、正義はまったく保証されていない。
ただ、何らかの妥協のルールを決めておかないと、国内が乱れる、内乱や内戦を防止するための歴史的な知恵だ。
だから、国内問題にはまだしもマシな判断ができたとしても、国外に向かっては正義とはまったくリンクしていないのである。
民主主義の中に、排外主義や侵略主義をとどめる仕掛けは、まったくない。

それに対して、現在の地位に満足している独裁者は、他国との戦争は直接的なディメリットがある。
うまくいっていない独裁者は簡単に侵略に走るけれど、うまくいってる独裁者には侵略を押しとどめる動機がある。
先祖の責任はきれいに忘れてもらってイイヒトになり、国民の税金で贅沢三昧、そんな象徴天皇の地位に満足している今の天皇が、平和主義になるのは当然なのである。

「民主主義は間違う」ということを覚悟しておかないと、独裁者が間違うと「民主主義を返せ」と叫んでおきながら、民主主義が間違うと「有権者がバカだ」とか言い出すことになる。

そうしたご都合主義の象徴が、憲法だ。
議論すら否定する「護憲運動」は、少なくとも民主主義ではない。
ことの是非はここでは言わない。しかし、少なくとも憲法をどうするべきかの議論自体を「悪」と決めつける態度は、非常に鮮明な平和主義ではあるけれども、どうひいき目に見ても民主主義ではない。

事情は痛いほどわかる。
自民党が多数を占め続ける戦後政治のなかで、議論をすればすぐに戦争放棄の9条がなくなり、人権を保障した諸章が書き換えられる、と考えて、議論自体を封殺してきたことは、責められないと思う。
しかし反面で、そのために日本には民主主義は根付かなかった。50%が選挙にすら行かない国になってしまった。
政治は一部の右派と一部の左派のものになり、ほとんどの国民にとってはお任せ定食を選ぶだけのものになってしまった。

そしてもうひとつ、反戦を優先する余りに、左派が避けて通ってきた問題が、独立だ。
左派は、対米従属を批判するけれども、決して「日本の独立を」とは言わない。

おかしな話しだ。従属が悪いのなら、独立すべきだろう。
しかし、左派の頭の中には 「独立=独自核武装」という公式がトラウマとなって焼き付いている。
たしかに、戦後に「独立」を唱えてきたのは、改憲-独自核武装-安保破棄 という極右だけだった。だから、運動歴の長い人ほど「独立」ということに強烈な拒絶反応がある。

これもまた、民主主義をスポイルしてきた大きな要因だ。
日本は米国の核の傘をかぶって従属国として生きていくべきなのか、米軍には出ていってもらって独立すべきなのか。こんな大事なことを議論しない民主主義って何だ?
日本全体がこのように議論すら避けて通っているから、その矛盾を沖縄はかぶり続けているということを、「独立」嫌いの左派は自覚すべきだ。

吉田茂が、軍国主義の復活も共産主義革命も否定して、その現実的な脅威から逃れるために積極的に対米従属を選択したことは、必ずしも私は非難できないと思っている。
あの時点でのリベラリスト吉田茂の判断は、屈辱的であったかもしれないが、たしかに日本に平和と経済繁栄をもたらした。まさにその時代に育ってきた私としては、孫崎享氏のように吉田茂を諸悪の根源のように指弾する気にはならない。

しかし、吉田の選択した積極的対米従属が不文律となって日本を支配し、その是非についての議論すら封じることになってしまったことは、やはり日本の腐敗の根源だと言わざるを得ない。
その罪は、吉田路線を引き継いだ自民党主流派だけにあるのではなく、護憲のためには安保を黙認してきた左派にもある。

このように議論を封じられた戦後の日本で、民主主義を優先して考えた人たちは、議論を封じる左派に疑念を抱いた。
「自分たちのことは自分たちで決めるべきだろ」と思った人が惹かれていったのは、自主憲法制定を唱える極右しかなかったということを、左派は自戒の念を込めて認識してほしい。

ここ数年で小沢グループが自由党となって徐々に輪が拡がるにつれ、そうした人たちが、本当に求めていたのはこれだよ と集まりはじめている。
だから、私の知っている範囲でも、過去の発言を見るとまるで極右という人が何人もいる。
彼らは、そういうグループにしか居場所がない中で、同調する意見を持っていたわけだが、それは本質ではなかったということのようだ。

もちろん、それでも口から発してしまったことは、とくにそれが政治家であれば、責任は免れないのだから、ブログや動画を削除したりほおかむりしたりせずに総括すべきだと思う。
しかし、戦後政治の中で、「独立」と「民主主義」を唱えていたのが、なんとビックリ極右しかなかったという現実を無視することはできない。とくにその状況を作ってしまった、民主主義を唱えながら民主主義を封殺してきた左派の皆さんは、自らを総括することなく、他人を指弾することはできないはずだ。

私も自分を切開するためにこれを書いている。
ここで「左派」と書いていることは、数年前までの私にすべて当てはまるわけで、その反省から、私は「日本独立! 絶対反戦!」を自分の信条にすることにした。

永世中立国のスイスは、武器輸出とアングラマネーで成り立っている。何事もキレイゴトだけでは済まないことはわかっている。
が、対米従属がもはや平和を保証しなくなった今、日本人は次のステップに進まなくてはならないことは明白だ。
対米従属の戦争、という安倍晋三が提示している未来が最低最悪だとしたら、次悪、次善、最善はなんなのか。現実的に考えなくてはならない。

もちろん、今このときに憲法を一言一句たりとも変えることには私も反対だが、すべてに目をつぶって「護憲」だけを叫び、議論を封じる時代は終わりにしよう。
自分たちの未来を、自分たちで議論しよう。

■ お知らせ 1 ■

森ゆうこ 自由党参議院議員 講演会

日と場所: 10月1日(日)国民会館(地下鉄・京阪 天満橋駅)

時間: 14:00(開場予定)~15:30

参加料:無料 定員80人(先着申込順)

申し込みフォーム: https://ssl.form-mailer.jp/fms/0de8908b411455

共催: 自由党大阪府連 ・ 生活フォーラム関西

■ おしらせ 2 ■

社民党の服部良一さんが、大阪9区(茨木、箕面、池田、豊能郡)で出馬表明をされました。

ニュー服部として始動することを、心から願っています。




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社民党は北朝鮮の拉致問題は存在しないと言ったり、一般国民から見れば売国的な行動が目立つので無理でしょう。
それに革新政党は共産党だけで十分だと多くの国民が感じているからこそ、党消滅の危機に瀕しているのだと思いますよ。
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