2017-07-03(Mon)

それでも安倍晋三は辞めない

東京都議選での自民党の大敗は、もはやここに書くまでもない。
ここでは、国政への影響に絞って考えてみたい。
国政への影響を見るには、得票数で見ておく必要がある。

20170703-1.jpg

見ての通り、自民党はたしかに激減しているが、議席数ほどには票は減らしていない。
また、トミファは躍進はしているが追加公認含めて55であり、改選前の自民におよばない。そもそも、単独過半数とるだけの候補を出していない。

つまり、自民は複数区に2人出して共倒れしたことが、極端な議席減の主要因である。
はじめから2~3番手狙いであれば、得票数に応じた議席数はとれていたはずだ。
その戦略で手堅く勝ち上がったのが、公明と共産である。

つまり、自民党は第一党から陥落したという意味では大敗北だが、国政への影響という意味では見た目ほどの打撃を受けていないということだ。



6年前の橋下フィーバーを経験している我々大阪人は、まるで同じ構図の今回の小池フィーバーを冷ややかに見ていた。
今後、何らかの形で小池百合子とトミファが国政にかんでくることは間違いない。

大阪維新とは何だったのかと言えば、民主党の裏切りに絶望した民主支持者を総ざらえするための仕掛け だった。
民主党を二度と復活させないために、息の根を止めるというのが、大阪維新に与えられた役割だった。
大阪維新のターゲットはあくまでも「民主票を奪う」ことなのである。

小池トミファはどうか。
そもそも野党がほとんど存在していないという状況の違いはあるが、トミファの使命は、流出した自民票をすくい上げて流出を防ぐ ということだ。
2009年の政権交代は、自民票がどっと民主に流れた。そのような事態を起こさないように、安倍政権にうんざりしている自民票を逃がさないための仕掛けなのである。

ただし、トミファの使命に関わらず、今回自民から票が逃げたのは間違いない。
前回2013年の自民党の得票が1、633、304票なので、23%ほど減らしている。
原因は多数あるとしても、投票率が7%上がっている中でこれだけ票を減らしたのだから、安倍政権に対する批判は自民党支持層の中にもかなりある ということだ。

※追記
ここまで書いてきたことと矛盾する部分もあるが、こんな事実もある。
公明党が候補を立てていない選挙区が19ある。ここの創価学会票は前回は自民党にいっていたわけで、単純計算すると60万票くらいか。とすると、何のことはない、自民が減らした票はほとんど創価学会票だと言うことになる。
自民候補の苦戦は全選挙区にわたっているので、ここまで単純な計算にはならないが、自民党支持層の中の安倍政権への批判票と、創価学会票が離れたことの合算とみるべきだろう。
下に書いた、世論調査についても、同様の傾向があるのだろう。



議席数ほどではないけれども、やはり1/4程度は支持を減らしている。これは世論調査の内閣支持率ともほぼ合致する。


では、この状況に対して、自民党はどの程度ショックを受けているのか。

都連会長の下村博文は、涙目で「会長辞めます」と言っていた。
かなりのショックを受けているように見えるが、本音は「加計のヤミ献金がバレた。ヤバい。どうしよう」で頭がいっぱいなのかもしれない。都議選の敗北のショックを言い訳にして、表舞台から消えたいのだろう。ひょっとすると入院するかもしれない。

肝心の安倍晋三はどうか。
映像で見る限り、まったく平常である。
2日の投票が締め切られる前に麻生たちと高級フランス料理を楽しんで出てきたときも、マスコミにむかってご機嫌に手を振っていた。
今朝のぶら下がりでも、とても沈痛な面持ちとはほど遠い、フツウの対応をしている。

「23」という数字だけをみると、これで安倍が責任をとって辞めるんじゃないかとか、安倍おろしが吹き荒れるのではないかと希望的観測をもつ人が多いかもしれないが、そこまで甘くはない。
安倍政権の打撃は、25%マイナス程度であり、前にも書いた通り安倍晋三は、改憲とオリンピックをやるまで辞めない。



ただし、今回の都議選でわかったことは、国民は 「マシな自民党」を求めているらしい ということだ。
ここでいう「自民党」の意味は、政策を実行するリアリティがある政党 ということだ。

一定数の野党らしい野党を求める票は確実にあるけれども、それはかならず一定数に過ぎない。
自民党と同じくらい政策実行できそうで、しかも自民党よりちょっとマシ というのが政党の「求められる像」なのである。

トミファに対して「自民党小池派」だという批判があったが、おそらく、「自民党小池派」であったことがトミファの勝因だ。

だから野党なんて要らない という意味ではない。
しかし、「政権をとるためにはどうしたらいいのか」、「自民党を引きずり下ろすためにはどうすれいいのか」 と真剣に考えるのであれば、目の前の現実を無視するわけにはいかない。

そんな意味で、こうした学習をしておく必要があると思う。

安倍自民党政権に打ち克つための、
『私たちの経済政策』勉強会

■日時 : 7月23日(日)13:30~16:30
■場所 : 大阪市立福島区民センター 301会議室
 大阪市福島区吉野3-17-23 TEL:06-6468-1771
 地下鉄/千日前線「野田阪神駅」下車 ・阪神電車/「野田駅」下車
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■講師 : 松尾匡 立命館大学経済学部教授
*現在、京都にて山本太郎氏×ひとびとの経済政策研究会で、
  「全てのひとびとのための経済学講座」(全4回)を開講中。
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「こうやって みんなで稼いでご飯を食べよう」ということが明言できなければ、政権をとる なんて言う資格はないはずだ。
松尾氏の提案がすべて正しいとは思わないけれども、安倍政権批判ばかりではなく、「あるべき姿」をリアルに描くために、我々も頭を使わなくてはならない。

是非ともご参加を。




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No title

投票率なんて関係ない。
全てはプログラムで仕組まれた不正選挙ですよ。

十何年分の得票率の数値を重ねると全てほぼ同じ形に収束する。
エクセルの関数で決めてるんじゃないでしょうか。

https://www.youtube.com/watch?v=2V0XC1r7CkE

No title

>今回の都議選でわかったことは、国民は 「マシな自民党」を求めているらしい ということだ

反自公派の中では珍しく冷静な総括ですね。ただ、有権者の多くは「マシな自民党」を求めているというよりは、単純に、反自公系の政治勢力には魅力を感じない、或は信用できないので、「マシな自民党」に見える【個人的には都民ファーストは準自民ではあっても、「マシな自民党」だとは思いませんが】都民ファーストに票を投じたのだと思いますよ。日本は戦後長い間自民党が政権を担ってきたので、日本において自民党(的なもの)はブランド力が非常に高いんですよ。

今回の東京都議選挙で反自公勢力が獲得した議席数は、共産党が19議席【議席数は改選前よりも増えていますが、得票率は前回の選挙とほぼ同じです】、民進党が5議席【得票率は前回の15.24%から6.90%に大幅に減っています】で、合計24議席しか獲得できませんでした。対して自公勢力は、自民党が23議席、準自民(自民党小池派)の都民ファーストが55議席、公明党23議席で、合計101議席の圧勝です。つまり、今回の東京都議選挙は反自公勢力のシャレにならないくらいの大惨敗というのが現実です。

なぜ、反自公勢力は多くの有権者から支持されないのか、分かりやすく説明します。クラス【=日本】で全く人気の無いB君【=反自公派】が、クラスの人気者のA君【=安倍政権】の悪口を言っていれば、B君はクラスの人気者になれるのか?【=選挙闘争に勝利できるのか?】ということです。

B君がA君の悪口を言うことにより、A君の人気は落ちるかもしれませんが、その事によってB君の人気が高くなるわけではないでしょう。B君がクラスの人気者になる【=選挙闘争に勝利する】には、A君がどうたらといったことではなく、B君自身が魅力的になる必要があるでしょう。民主制の社会における選挙闘争も基本的に前述と同じ構造です。

欧米の選挙で躍進した、スペインのポデモスにせよ、米国のサンダースにせよ、イギリスのコービン労働党にせよ、敵対する政治勢力とは関係なしに魅力がありますからね。もちろんその魅力は全ての有権者層にとっての魅力ではなく、主に低所得層や下層中産階級、左翼用語で言えば労働者階級にとっての魅力ですが。当りまえのことですが、全ての有権者層にとって魅力的なヴィジョンや政策を提示することは100%不可能です。有権者によって、経済的利害も社会的立場も価値観も異なりますからね。

対して、日本の反自公派は、ゴリゴリの護憲派or平和主義者やゴリゴリの脱原発派や左翼やリベラル「以外」の有権者にとっては殆ど何の魅力もないですからね。もしも、反自公派が本気で自公政権を倒したいのならば、安倍政権がどうたらといったことではなく、反自公派自身がもっと政治的に魅力的にならなければなりません。

欧米の選挙闘争をウォッチして思うのは、日本の反自公派が最もダメなところは、敵対する政治勢力の悪口(ネガティブ・キャンペーン)ばかりで、自分達自身が政治的に魅力的になって支持層を増やそうという発想が殆どないところです。支持層が増えないと、民主制の社会では選挙闘争には勝てません。そして、敵対する政治勢力を叩いているだけでは支持層は増えません。女性に全くモテないB君が、女性にモテモテのA君の悪口を言っていれば、B君が女性にモテモテになるわけではないでしょう。それと同じことです。

また、ついでに言っておくと、選挙闘争における敗者の「国民はバカ」といった主張は、モテない男性が「自分がモテないのは女がバカだからだ」と言っているのと同じことです。

No title

東京都議会選では、公明党が自民を見限った事実が大きいでしょう。 つまり、小判ザメ型の政党でも、相手を見限ることがある訳です。

浮動票が流れた先が民進党では無いのも注目です。 同党の真性を国民は見ているのです。

都民ファーストに票は流れましたが、この票は、小池氏と同党の動向次第で離れることがあるのは間違いがありません。 大阪維新の教訓に倣い、小池氏は、都政に専念する、と勝利声明の中で名言されていたのが注目です。 国政に小池旋風が吹くかどうかは、違った観点から見る必要があると自覚されている訳で賢明です。

因みに、お馬鹿な維新は、東京にも大阪の勘違いが通用すると思ったのでしょうか。 芸能人の橋下の人気でもっているだけの「政党」等が長く通用する道理はありません。 

問題は、国政において都民ファースト並みの国民の要望に応える政党・政派が出来るのか否か、でしょう。

軸としては民進党が国民から駄目出しされたのですから、何処が代わるかが問題です。 無ければ、軸を作らねば。 最悪、自民党内野党が代われば良いのです。 

アベノミクスとやらも、事実上の日銀に依る国債買取の正体が分かり、官製相場もそろそろ賞味期限が来る頃ですので、実体経済の下振れ前に何とかしないと、長い不景気に突入します。 既に、消費は下限にあり、物価も上がりません。 景気は各種指標のでっち上げで悪化している現状を誤魔化しているだけです。
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