宝塚「ルパン -ARSENE LUPIN-」感想
2013年7月12日~8月12日、宝塚大劇場。
月組公演 ミュージカル『ルパン-ARSENE LUPIN-』 グランドレビュー『Fantastic Energy!』| 宝塚歌劇公式HP
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/correlation/j334.html
原作は「ルパン最後の恋(22)」。アルセーヌ・ルパンは、正体を隠して令嬢カーラ・ド・レルヌの後見人“四銃士”の一人アルベール・ド・サヴリーとして生きている。
黒マント!! 裏地の赤が映えてかっこいい。舞台写真見た段階で、少女漫画みたい!と思ってたのだけど、動く姿はまたよかった。軍服もかっこいい。カーラのドレス、素敵だった。
2階席だったので、舞台の奥まではっきり見えて、群舞の全体が楽しめたし、せり上がってくる大道具や、ぐるぐるまわる盆などの仕掛けなども面白かった。
ガニマール&フラヴィのコメディリリーフ、ガニマールはひときわ漫画チックだったけど、フラヴィにがっちり押さえこまれてた(笑) 姐さん、かっこいい。ドゥーブル・チュルク、風呂入れ!(笑) オックスフォード公……カーラが結婚から逃げるわけだ(笑)
ジョゼファンとマリ・テレーズの実子疑惑がなかったのは残念。マリ・テレーズの声帯模写、むっちゃうめえ(笑) ※ココリコ=フランス語の「コケコッコー」
で、肝心の内容は、よくわからなかった(^^;;
照明控えめで、みんな落ち着いた色調の服で、誰が誰(役)?状態。四銃士とかオックスフォード公の側近とか。オペラグラスを借りたはいいものの、使い方を忘れてしまって、ピント合わせに手間取ったのも痛かった。
モーリス・ルブランも役として登場し、ほぼ出ずっぱりなのだけど、ほかの人といる時空間がちがうらしい。アルベールとカーラが二人くっついて盆を回ってる反対側でルブランも回ってる。これは何? 私、いったい何見てるの??状態だった(笑) ルブランが、ルパンの本名がラウールってとこに驚いてて、えっ!?(゚∇゚ ;)ってなったし。作者じゃなくて、作中の「わたし」=モーリス・ルブランで、まだルパンに教えてもらってないってことなんだね。現在進行形のルパンの芝居の合間に、事件が終わってすべてを把握しているルパンとルブランの会話シーンが挟まるのだけど、後追いの視点が挿入されるの苦手だし、ルパンがなかなか話そうとしないので、事件がどこまで進行しているのか分からなくなってしまった。
肝心のルパンの想いというか苦悩も伝わりづらく…。この点ジョニー・デップが演じるデリンジャーの映画を見たときと同じ感覚だった。端正な顔が見られるのもいいけれども、崩れてもいいというか、好きなんだったらあがいてほしいというか。もっと軽妙さも欲しかったな。「うんっ」は可愛かった。
原作のラスボスとの互いに認めてるんだか認めてないんだかっていう対話が好きだったけれど、集中が途切れてしまった。筋を追いかけられていないのに、そこだけ聞いてもな、と思ってしまったし。原作とは人物の立ち位置が変わらないので、筋を追えてなくてもよかったんだけどね。最後の告白のあと、アルベールがきょろきょろしたの、いらない気がする(^^;;
いろいろ書いてしまったけど、作品としてはまとまっているし、原作からの引用セリフも多いので、「ル・サンク」を読んで予習してからリベンジしたいです(台本が載ってる)。
「ル・サンク」には写真も載ってるから演者さんも予習できるだろうって? 無理(^^;; お着替えいっぱいするし、四銃士初登場は舞踏会で正装だからみんな黒なんだもん! (おもえば「カリオストロ伯爵夫人」は着た切り雀でラウールは目立つ白という初心者に優しい親切設計であった(^^;;)
今回、アルセーヌ・ルパンの最初の冒険である「カリオストロ伯爵夫人」(スタジオライフ)と、最後の冒険である「ルパン」(原作は「ルパン、最後の恋」)との連続観劇となった。雰囲気の違う芝居だけど、共通点も。
セリフの量ハンパない。
女性からキッスされてる!(/▽\) 色男はいやーね。
とか。
さて「ルパン」はレビュー「Fantastic Energy!」の二本立て。レビュー楽しかった! 娘役トップさんのダンス恰好よかった。幕間には限定特別メニュー「ルパンの宝石ジュレ」を食す(笑) オレンジベースでさわやかな味だった。
パンフレットには英語での内容案内が1ページある。
もともと、アンドレ・ド・サヴリーがアルベール・ド・サヴリーになっていたり、変更されているのだけれど、綴りが違う名前がある。「Ernemount」だとエルヌムンになるなあ…。ヘアフォールはわざと変えてあるんだろうと思う。
「phantom thief」は「怪盗」を英訳したもの。アルセーヌ・ルパンの冠は「Gentleman-cambrioleur(紳士強盗)」なので英語だと「gentleman-burglar」あるいは「gentleman-thief」が妥当なんだけどな。
→「ル・サンク」vol.149 「ルパン -ARSENE LUPIN-」発売
→宝塚「ルパン -ARSENE LUPIN-」DVD発売予定
→宝塚「ルパン -ARSENE LUPIN-」の主題歌販売開始
→宝塚「ルパン -ARSENE LUPIN-」開幕
→宝塚で「ルパン -ARSENE LUPIN-」上演予定
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東京宝塚劇場の公演を観覧して参りました。
Ko-Akiraさんも東京でリベンジされると云う事なので、詳しくは書きませんが、あれでは「ルパン、最後の恋」を読んでいないと鳥渡判り難いだろうなと思いました。台詞の「アデューなのか、それとも」「オ・ルヴォワール」なんて遣り取りは仏蘭西語を或程度遣ってゐるか徹夜城さんの処の掲示板の熱心の読者(志らとりは後者)でないと何なのでしょうね。大体エメットなんていきなり名前が出てきて誰なの状態ではないのかな。ドゥーブル・チュルクなんて綽名で馬鹿力があるという処なのだが、それが解りにくく単なる粗暴な悪になってしまっていました。
ショウーの方は、歌詞が聞き取りにくく(年の所為でしょう--大汗--)、気が付いたらロケット、そしてエトワールが大階段を下りてきてパレードでした。今回は銀橋下りがなく精々の処銀橋に腰を掛けて一階前列のお客に向って歌う程度だったのでB席だった記者にとっては幸いでした。
投稿: 志らとり | 2013/09/27 02:31
リベンジしてきました。といっても2階席だったので、表情や演技はDVDに任せて全体の動きや舞台装置を楽しみました。話もなんとかついていけましたが、冒頭の歌を聞き逃すとアウトだと思いました(1回目では頭に入らず)。
エメットやドゥーブル・チュルクは気になりませんでした。むしろドゥーブル・チュルクの役の方は、宝塚のテレビ番組での普段の姿を見ましたので、すごいっ、と感心しました。
問題はアルセーヌ・ルパンとモーリス・ルブランだと思います。本作におけるルパンの人物像が伝わりづらいし、過去を回想しながらルブランに対してルパンが説明している、という設定も分かりにくかったです。パンフレットや予備知識など持たずに見た方は、ルブランという役名やどういう役なのか分かったのでしょうか。
アデュー/オ・ルヴォワールのくだりは知らないと何が何だかですよね。
(同じ別れの挨拶でも、前者は永遠の別れのとき、後者はまた会うことがある別れのときに使う)
ショーのほうは歌詞など気にせずに、流れで楽しんでしまいました。あっという間でした。
投稿: K-A(管理人) | 2013/10/01 01:31