七連発のブローニング銃 - 特捜班ヴィクトール(19)
ルパンシリーズでは、拳銃が使われるときピストルやリボルバー、あるいはブローニングとしか書かれていないのだけれど、型番が分かりそうな銃が一つある。
モーレオンは書類をめくってみ、記録や帳簿にひととおり目を通した。ブロウニングを見つけてそれを調べ、デシメートル尺をとりだして、口径をはかった。
「ブロウニングの七連発だね」といった。「七・六五ミリのようだ」
「七・六五ミリ、そうです」とゼロームはいった。
「すると、二発射って、一発でレスコー老人を殺し、いま一発でエドゥアン主任刑事を傷つけたやつと同じ口径のブロウニングだ」
(創元推理文庫「特捜班ヴィクトール」P83/特捜班ヴィクトール(19))
7連発で口径7.65ミリメートル(32口径)といえば、ブローニングのM1910かM1900ではないだろうか。ブローニングのM1910はとても普及した拳銃なので、おそらく、型が一致するだけでは犯行に使われた拳銃かどうか特定することができない。「特捜班ヴィクトール」でも他に動機があってのことだ。
Browning M1910 - Wikipedia(フランス語)
http://fr.wikipedia.org/wiki/Browning_M1910
Browning M1900 - Wikipedia(フランス語)
http://fr.wikipedia.org/wiki/Browning_M1900
次の作品も七連発のブローニング銃が登場する。
「(略)まず、床の、その水たまりのなかで、わたしは、犯行に用いられたピストルを見つけました。七連発のブローニング銃です。(略)」
(偕成社アルセーヌ=ルパン全集「バール・イ・ヴァ荘」P58-59/バール・イ・ヴァ荘(17))
次の箇所はブローニング銃かどうか分からないが、ルパンシリーズで登場する拳銃は基本的に七連発だと考えてよさそうだ。
そして三十メートル先のその靴跡のそばから一丁の拳銃が拾われたが、一人の農夫が前々日ジェローム・ヴィニャルがあの旅籠屋で見せていたものと似ていると証言した。
班長が弾倉を調べた、七発のうち、三発が発射されていた。
(新潮文庫「八点鐘」P304/雪の上の足跡(12-7))
七発の弾のうち、二発はすでにわしの上等な白衣に穴をあけたから、残りは五発だ。(偕成社アルセーヌ=ルパン全集「三十棺桶島」P394/三十棺桶島(10))
アルセーヌ・ルパンが普段どういう拳銃を持っているかは不明だ。拳銃についてはまったく分からないのだけれど、ブローニングは護身用?って感じがする。ルパンは「813」で大型のリボルバーを持っているので、堅気じゃない連中を相手にするときは威力の強い銃を使うはず。
ブローニングといえば、この場面が印象的。
「(略)私は、まっすぐに、あの悪党の手許に駆けつけます」
「どんな奇跡によって?」
「それは、まだ、私の秘密です、総理。私は、ただ、あなたが、私の計画の実行にじゃまになりそうな、あらゆる小さな傷害や、あらゆる小さな指令を取り除く全権を総監にお与えくださるようにお願いします」
「わかった。そのほかに、なにか欲しいものは……?」
「このフランスの地図を」
「持って行け」
「それに、ブロウニングを二挺」
(創元推理文庫「虎の牙」P485/虎の牙(11))
□2011/01/13
高橋昇「世界のピストル図鑑」(光人社、2010年)によると、ブローニングM1910のスペックは次の通り。
口径7.65mm、9mm、全長152mm、銃身長87mm、重量570g、装弾数7発(7.65mm)、6発(9mm)
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