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    先日書いた
     図書館となら、できること番外編/マイナー言語のBookishな学び方 読書猿Classic: between / beyond readers 図書館となら、できること番外編/マイナー言語のBookishな学び方 読書猿Classic: between / beyond readers このエントリーをはてなブックマークに追加
    で、ポストする際になって省略した、少年が語学学習に使ってるノートのことを人に話していたら、「むしろそれを書け」と言われたので、簡単に記す。


     出典は

    ・鈴木 暁(1999)「中級フランス語の効果的学習教授法 - 理想的なノートの作り方」『Les Lettres francaises』
    19, 67-75.

    である。下に示す図もこの論文から借用してある。


     鈴木氏はフランス文学の研究者だが、この方式はフランス語以外に、もちろん語学学習にも、他にも精読(intensive reading)が必要なあらゆる分野で使える。
     「図書館となら、できること」に登場する少年は、数学の問題演習にもこの方式のノートを使っている(訳文のパートに解答を書く)。

     原テキストとその解釈に必要なすべての項目(とくに自分で調べたことと自分の思考過程が重要である)を、見開き2ページにまとめるのがキモである。


     
    6partnote.jpg


    (1)にはテキストのコピーを貼る

     テキストを書き写すのは、後述するように、テキストを理解した後に、最後の段階で行う。
     その理由は、理由は,短期記憶における一度に把握できる無意味材料(意味が不明な文字列)の量は、意味材料(意味のある文字列)の量よりも小さいだけでなく、学習後の保持量も小さいからである。つまり理解したことのほうが頭に入りやすく,その後の定着率も高い。
     また、理解していない文字列の書き写しは誤りが生じやすく、また自己修正(セルフ・チェック)も働きにくい。労多くてミス多くて、総じてその努力は報われない。
     


    (2)には単語や語句、構文について調べたことを書く

     辞書や文法書で調べたことはここに書く。
     従来、語学の予習で行なってきた作業はここに配される。
     単語の訳語をつなぎあわせたものが訳文であるかのような錯覚を引き起こす、テキストの単語の脇にフリガナのように意味を書くことは推奨されない。



    (3)には理解に役立つ背景知識/言語外事実などを書く

     (2)が辞典などの受け持ちとすれば、このパートは百科事典から参考文献などで調べたことを書く。
     訳書では、訳者注として取り上げられる内容といえば、理解しやすいかも知れない。
      たとえば、テキストに登場する人物、地名その他の固有名詞は、百科事典などで調べ上げて、ここに書いておく。
     不明語句の訳語が分かるだけでは、まだまだ理解に不足する知識があることを明確にするためにも、この欄は(2)から独立して記す。



    (4)には疑問点と思考過程を書く

     このパートがこの方法の最重要箇所である。
     分からない箇所に「?」マークをつけるだけの予習から、
    ・自分はどこが分からないのか?
    を掘り下げ、
    ・どのように内容を推測できるか?
    ・どの部分の内容解釈が定まらないのか?
    ・どのような解釈上の矛盾に行き当たっているのか?
    ・どこまで訳せている(自分では理解している)と思えるのか?
    ・分からないところはどこで、何が明らかになればブレイクスルーに至ると予想するのか?
    などを整理し自分の言葉でまとめ、書き出した上で、解答・解説にあたり、自分の予想と疑問との間を何往復もすることで、外国語文の読解が思考訓練の域に達する。
     わからない箇所にただ「?」マークを書いておく予習を繰り返す者と、大きな差が開くことは間違いない。



    (5)には訳文を書く

     (4)疑問点と思考過程のパートが充実していくと、このパートの重要度は下がっていくが、後に修正の素材とするためにも、訳文を書くパートは設けてある。
     思考過程の検証の意味でも、訳文の修正は、思考訓練の後半を担う重要なプロセスである。
     


    (6)には最後にテキストを書き写す

     (1)~(5)が終わり、テキストを理解した上で、それを写筆することは有益である。
     




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