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2011.09.18
もう書き出しは迷わない/アタマにやさしい文章構成のルール
既知から未知へ
新しいことが何も含まれていない文章は、読む意味も書く意味もない。
まったく新しいことだらけだと、何が書いてるのか分からない。
言語表現は、送り手(話し手、書き手)と受け手(聞き手、読み手)の間で共有される「既知の情報」を表す部分と、話すことで話し手から聞き手に渡される「未知の情報」の部分とからできている。
順番は、読者が〈知っていること〉から〈知らないこと〉へ進むのが正しい。
この方がヒトの情報処理にかなって理解しやすい。
この原則は、ひとつの文中、文と文の関係から、文章全体の構成まで、いずれのレベルについても言える。
一文の中の既知と未知
○ The new project is exciting.
(例の、あの)新しい企画だけど刺激的だね。
? A new project is exciting.
ある新しい企画は刺激的である。
上の文の「The new project (新しい企画)」は、この文より前に登場し説明されているものだと推測できる。
つまり読者にとっても(この文の時点では)既知の事項である。
話し手と聞き手の間で共有されているので、「the」という定冠詞がついている。
既知の事項を受けて、未知の情報「exciting」が付け加わっているので座りがよい。
これに対して下の文の主語である「A new project(ある新しい企画)」は、未知の事項である。
不定冠詞「a」がついているのがそのサインである。
つまり聞き手にとっては(この文の時点では)未知の事項である。これから説明されなくてはならない。
この文は、文法的には大丈夫でも、ちょっと舌足らずでアタマも足りてない感じがする。
できればこう言い直したいところだ。
○ We have an exciting new project.
刺激的な新企画があるんだ。
この文では、「We」が既知の事項、「have a exciting new project.」が未知の事項である。
「We」で「もちろん、おれたちの話だぞ」と既知事項のフィールドを張って、そこに未知の事項「刺激的な新企画がある」が出てくる。
文章構成における既知と未知
一つの文が〈既知〉→〈未知〉という順に構成されるとすると、複数の文からなる一つのまとまりある文章は、どのように構成されるべきだろうか?
より前の文が述べた事項は既知の事項として扱ってもいいから、ひとつの文で少しずつ新しい情報を付け加えながら、文章は進んでいくことになる。
さて、杓子定規に考えると困るのは、一番最初の文は何を既知として扱っていいか、である。
一番最初の文は、定義により、それ以前の文を持たない。書かれたもの、説明したものはまだないから、結論としては、文章に含まれないが既知である事項を前提にするしかない。
ここで、その文章は誰が読むことを期待(予定)して書かれるか、という問題に行き当たる。
それによって、何をどこまで既知事項として扱えるかが決まるからだ。
誰を読者として想定するかが決まれば、読者が知っている(はず)ことを想定できる。
そして、文章は、読者が知っている(はず)ことから書き始めるのが原則ということになる。
よって書き出しの第一パラグラフは、次のような構成になる。覚えやすいように頭文字を取り出してある。
C:Common Knowledge
読み手も知っていること
B:But →Question?
「しかし」で導きの疑問に切り替え
A:Answer
導きの疑問への解答=この文章で伝えたいこと
まずは、読み手も知っている(はず)ことを簡潔に書く。
これは読者を選別する役割を担う。
つまり、ここに書かれたことが周知であるような人々に対してこの文章は書かれている、という事前アナウンスがその役目である。
しかし、読み手も知っている(はず)ことばかりでは、冒頭に述べたように、読む価値がない。
文章は、読み手が知らない事項へ進まなくてはならない。
その切り替え点で、逆接の接続詞が入る。
butをandやorなどと同様に扱ってはならない。
逆接(でも、だって)の後にこそ、本音が漏れる、もとい文章の趣旨が登場するのである。
逆接の接続詞で折り返した後、この文章が答えようとする問いと、それに対する簡潔な答えを付け加えれば、第1パラグラフは出来上がる。
その後は、簡潔すぎる/言いっぱなしの答えに対して、根拠付け(何故そう言えるのか?への答え)と詳細説明(どういう事か?への答え)を展開して、筋の通った文章ができる。
新しいことが何も含まれていない文章は、読む意味も書く意味もない。
まったく新しいことだらけだと、何が書いてるのか分からない。
言語表現は、送り手(話し手、書き手)と受け手(聞き手、読み手)の間で共有される「既知の情報」を表す部分と、話すことで話し手から聞き手に渡される「未知の情報」の部分とからできている。
順番は、読者が〈知っていること〉から〈知らないこと〉へ進むのが正しい。
この方がヒトの情報処理にかなって理解しやすい。
この原則は、ひとつの文中、文と文の関係から、文章全体の構成まで、いずれのレベルについても言える。
一文の中の既知と未知
○ The new project is exciting.
(例の、あの)新しい企画だけど刺激的だね。
? A new project is exciting.
ある新しい企画は刺激的である。
上の文の「The new project (新しい企画)」は、この文より前に登場し説明されているものだと推測できる。
つまり読者にとっても(この文の時点では)既知の事項である。
話し手と聞き手の間で共有されているので、「the」という定冠詞がついている。
既知の事項を受けて、未知の情報「exciting」が付け加わっているので座りがよい。
これに対して下の文の主語である「A new project(ある新しい企画)」は、未知の事項である。
不定冠詞「a」がついているのがそのサインである。
つまり聞き手にとっては(この文の時点では)未知の事項である。これから説明されなくてはならない。
この文は、文法的には大丈夫でも、ちょっと舌足らずでアタマも足りてない感じがする。
できればこう言い直したいところだ。
○ We have an exciting new project.
刺激的な新企画があるんだ。
この文では、「We」が既知の事項、「have a exciting new project.」が未知の事項である。
「We」で「もちろん、おれたちの話だぞ」と既知事項のフィールドを張って、そこに未知の事項「刺激的な新企画がある」が出てくる。
文章構成における既知と未知
一つの文が〈既知〉→〈未知〉という順に構成されるとすると、複数の文からなる一つのまとまりある文章は、どのように構成されるべきだろうか?
より前の文が述べた事項は既知の事項として扱ってもいいから、ひとつの文で少しずつ新しい情報を付け加えながら、文章は進んでいくことになる。
さて、杓子定規に考えると困るのは、一番最初の文は何を既知として扱っていいか、である。
一番最初の文は、定義により、それ以前の文を持たない。書かれたもの、説明したものはまだないから、結論としては、文章に含まれないが既知である事項を前提にするしかない。
ここで、その文章は誰が読むことを期待(予定)して書かれるか、という問題に行き当たる。
それによって、何をどこまで既知事項として扱えるかが決まるからだ。
誰を読者として想定するかが決まれば、読者が知っている(はず)ことを想定できる。
そして、文章は、読者が知っている(はず)ことから書き始めるのが原則ということになる。
よって書き出しの第一パラグラフは、次のような構成になる。覚えやすいように頭文字を取り出してある。
C:Common Knowledge
読み手も知っていること
B:But →Question?
「しかし」で導きの疑問に切り替え
A:Answer
導きの疑問への解答=この文章で伝えたいこと
まずは、読み手も知っている(はず)ことを簡潔に書く。
これは読者を選別する役割を担う。
つまり、ここに書かれたことが周知であるような人々に対してこの文章は書かれている、という事前アナウンスがその役目である。
しかし、読み手も知っている(はず)ことばかりでは、冒頭に述べたように、読む価値がない。
文章は、読み手が知らない事項へ進まなくてはならない。
その切り替え点で、逆接の接続詞が入る。
butをandやorなどと同様に扱ってはならない。
逆接(でも、だって)の後にこそ、本音が漏れる、もとい文章の趣旨が登場するのである。
逆接の接続詞で折り返した後、この文章が答えようとする問いと、それに対する簡潔な答えを付け加えれば、第1パラグラフは出来上がる。
その後は、簡潔すぎる/言いっぱなしの答えに対して、根拠付け(何故そう言えるのか?への答え)と詳細説明(どういう事か?への答え)を展開して、筋の通った文章ができる。
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