伝説の勇者の伝説 第20話
『絶望に埋め尽くされない心』
≪あらすじ≫
俺は生きていても良いのかな―――
―――バカが、お前が死んだら…寂しいだろうが
≪感想≫
例え世界を敵に回しても―――
まさにフェリス無双。これほどまでにフェリスの魅力が描かれた回がかつてあっただろうか? いや、同様にスイたちとの戦いで結晶化された魔眼の共鳴によって暴走させられた時にあったんだけどさw
フェリスの強さは、その超人的な身体能力に起因する戦闘力だけではない。むしろ、そんなフェリスですら中盤からは忘却欠片を装備したガスタークのエージェントには互角か、劣勢を強いられている。魔法が使えず、忘却欠片もなく、魔眼と言った特殊能力も持たない。ある意味、あり得ないくらい人間の枠から逸脱していくキャラクターが日に日に増えて行く中で、『訓練で培われた超人的な身体能力と剣術』のみのフェリスだが、その心は誰よりも強く尊い。
ライナのように自分を卑下することもなく、シオンのように自我を押し殺すこともなく、ルークのように命令だからと割り切ることもなく、リルのように他者を化け物と蔑むこともない。
あるのはただ一つ。恐ろしく綺麗で淀みの無いライナへの強固なほどの信頼と愛情。以前の記事にも書いたが、この世界を敵に回してでもライナを選べる強さが、ライナにとっても視聴者にとっても大き過ぎる程の救い。
誰か一人とその他大勢。
その選択肢はやっぱり悩むことが多い。この作品ではシオンがそうだし、直近の他作品なら『神のみぞ知るセカイ 7話』で桂馬とかのんが、たった一人のアイドルではなくみんなの為に輝くスターを選んだのもそうだ。どうしたって、常識として考えればたった一人を選んで、その数百・数千倍の人たちやその想いを犠牲にするということは正しい選択とは思われないし、選ぶ側も思えないだろう。
ライナはそれが解るから、自分を卑下し、自分の“生”を放棄してしまいかねないくらいに自暴自棄になっていた。本当は誰よりも自分を選んで欲しいと思いながらも、それが世界の為にならないと賢い彼は理解してしまうから、ライナも自分の“生”や“想い”を選ばない。
でも、フェリスはそういうものを全部吹っ飛ばして、常識とか理屈とか全部無視して、自分の想いに素直になってどれだけライナが世界にとって害を成そうが、厄災になろうとライナを選ぶ。世界とライナを天秤に掛けられても、今のフェリスならきっと迷うことなくライナを選べる。簡単なことかもしれないけれど、それは世界を敵に回すことと同義であり、とても難しいし勇気要る選択だ。
キファ、ミルクと言ったヒロイン候補たちが居ながら、それでも普段は傍若無人に振る舞うフェリスがメインヒロインである理由をこうして私たちは時折彼女が見せてくれる愛情で気付かされる。
どうしてフェリスを強くヒロインとして意識するのか? それは、ヒロイン像は作品によって当然異なるのだけど、この作品におけるヒロイン像が、主人公たるライナと読者や視聴者にとってのたった一つの“救い”だからではないだろうか? あれだけ武力を振るって傍若無人な彼女だけど、その存在と想いは聖女や聖母の如き救いがある。その“救い”にライナも私たちも心打たれ、胸をトキめかせ、彼女をヒロインとして認めるのだろう。
シオンに落ちる影
その一方で、こちらにはまるで救いが無いようにシオンは日増しに影を濃くしていく気がする。シオンにとってライナ・リュートは殺害しておいた方が良かった、と言うのはどういう意味なのか。ルーク・スタッカートが報告してきたように対ガスターク戦線を張るなら、公にせずともライナを介して極秘裏に共同戦線を張って置いた方が、明らかに忘却欠片(勇者の遺物)を多数抱えるガスタークと言う相手に、国としては良いはずだ。
機械的なシオンの口調。それでも、彼の口からは「ライナは殺さない」と言う言葉が漏れる。でも、ルシルはその選択を「最も辛い選択」と切り捨てる。
ライナにとって、生き続けることは死よりも辛い選択と言うことか。そんなことはライナが複写眼保持者であることからずっと描かれてきたことだ。でも、ルシルがそうした部分を口にしたとは思えない。ルシルの言葉には、「友達だから早く殺した方が良い」と言う言葉からしても、ライナが死よりも辛い地獄のような苦痛を永遠と味わうような感覚すら受ける。
リルの「全ての式(?)を解くモノ」と「完成していない勇者」と言う単語と組み合わせると、シオンは『ライナを死よりも辛い出来事を以って生贄とし、勇者を完成させようとしている』ように見える。ライナは忘却欠片を『勇者の遺物』と呼称したわけで、そこと繋げると各地に散らばった忘却欠片は勇者の所有物であり、所有物ですらあれほど膨大な力を有する忘却欠片の使い手であろう『勇者』そのものを完成させ復活させたならば、その恩恵はもしかしたら忘却欠片以上の効力は間違いない。
魔眼はもちろん忘却欠片にも詳しいガスタークなら、すでに完成形の『勇者』がいるのかもしれない……とも思うが、それならばどうしてわざわざ王であるレファルは自分の肉体を犠牲にして剣を振るうのか? と言う疑問もある。それを考えるとガスタークには勇者を完成させる要素が無いのかもしれない。
ガスタークに無くてローランドにあるもの。それはライナ・リュートと言う特殊な複写眼を持つ者とシオン・アスタールと言う王……なのだが、シオン自身に特殊性は感じられない(それでも最後にルシルがシオンを「私の勇者」と口にしたのは引っかかるが)。特殊性を感じるのだとしたら、シオンが向き合ったとされるエリス家の奥にある“何か”だろうか。
そう考えると、色々合点も行く。
『勇者』を完成させる為に必要なのは魔眼とエリス家に眠る“何か”。ローランドと言う国は、『勇者』が眠る特異な地であり、よってローランドにおいて魔眼や忘却欠片の情報が異質なほど少ない―――少ないどころか、皆無に近いのは、魔眼や忘却欠片の存在や情報が『勇者』を眠りから起こしてしまう可能性を秘めるからではないだろうか。そして、そんなローランドと対抗する為にガスタークは、勇者に対抗出来るようにその異物である忘却欠片の数を集め、魔眼保持者を結晶化させることで『勇者』が完成する為に必要な要因を自国で保持、あるいは排除しようとしている、と。
ぶっちゃけこれが当たっているとは思わない(苦笑 そもそも「勇者が眠る特異な地」とか書いたけど、それって裏を返せば勇者を封印しているに他ならない。悪魔を封印しているならまだしも、勇者を封印ってどういうことだ、って話だし、そもそもエリス家の奥に眠る“何か”が勇者に関係するものだったら、ルシルが序盤でシオンに対面させる前に説明したように、どうしてそれに相対した歴代の国王たちは発狂し豹変したのか。勇者と言う言葉とは裏腹に、ライナの複写眼で感じた強烈なまでの『無』の感覚と逢わせて、とても悪魔的な感じさえする。
ただ、今回でライナが決意を固め、フェリスの想いも強く明らかになって、いよいよ次はシオンの番。そうなると、こうした部分も深く絡んでくるのだろう。原作がまだ完結していないので、完全解明は難しいだろうが、少しでも何かが解れば良いな、と思う。
第21話『ローランドの闇』
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NoTitle
原作既読者としては関心しきりです
「勇者」に歪な何かを感じましたか・・・うん、鋭い。
この小説の作者、「悪魔」とか「勇者」とか「女神」とか、いかにもファンタジーっぽいキーワードを断片的に出していながら、実はむしろ全部ミスリードを狙ってるんじゃないか?と思えるときがあるのですが・・・ミスリードに引っかからない(少なくとも疑いを持つ)人もいる、と。
ま、今回のアニメでは全部複線止まりになってしまうのがわかっているのが残念ですけどね!
第2期・・・序章は終わりを告げ、真の物語が姿を現す・・・「大伝説の勇者の伝説」こうご期待(勝手に)
でもその前に大伝勇伝に登場する短編「とりあえず伝勇伝」出身のキャラのために1.5期(?)かOVAをやってもらわなくては(何
・・・ライナの兄弟弟子とかね、出るんですよ。重要位置で。ほら、先週ちらっとだけ映ってた蒼い髪の女の子とか・・・