新機動戦記ガンダムW Frozen Teardrop キャラクター図鑑・ア行
- ジャンル:[アニメ・コミック]
- テーマ:[新機動戦記ガンダムW]
文字通り、キャラクター図鑑・ア行です。ネタバレ、憶測などを含みますので、それを容認できる方のみ、先へお進み下さいませ。
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最終更新日:2017年06月18日
新機動戦記ガンダムW Frozen Teardrop キャラクター図鑑
太字がタイトル、()内は私の憶測である。
青字が最新更新部分である。
-ア行-
-ア-
アイン・ユイ
AC150-AC175(享年25)
伝説的コロニーの指導者ヒイロ・ユイの甥にして、アンジェリーナ・クシュリナーダの夫であり、そしてトレーズ・クシュリナーダの実父。
AC150年に、L1コロニーでは名の知れたヴァイオリン奏者だったヒカル・ユイと無名の作曲家の間に産まれる。しかし、彼が2歳になる頃には両親は離婚しており、母親であるヒカルに引き取られた。
AC152年秋のエメラルド・シティの副市長選挙期間中に叔父にあたる指導者ヒイロ・ユイを、母と共に訪れている。しかし、そこで母親は連合軍の狙撃手によって殺害されてしまう。
その後の経緯は不明だが、二十歳になる頃には指導者ヒイロ・ユイから二十歳の若さでありながら大きく信頼され、コロニー側と地球側の橋渡し役を任されていた。コロニー側と地球側の会談セレモニーとパーティの席でアンジェリーナと出会い、互いに一目惚れで恋に落ちる。片やヒイロ・ユイの側近、片やクシュリナーダ家の令嬢であった為、障害も多かったが、AC170年12月末(クリスマスと言う説もある)、マックスウェル教会にて結婚式を挙げて結ばれると、“宇宙で最もお似合いのカップル”と言われるようになった。
しかし、AC171年夏、アンジェリーナが身籠っている事実を知ると、当時は迷信でしかなかった「宇宙での出産は母子共に危険」と言う迷信を信じたクシュリナーダ家によって強引にアンジェリーナを地球に戻されると、それ以後二人は二度と再会することはなかった。
AC175年4月7日、指導者ヒイロ・ユイが暗殺されると、ヒイロがいた会場も爆破されてしまい、その場に居合わせていたアイン・ユイも命を落としたと公式発表がなされる。これを契機にアンジェリーナは心と体のバランスを崩すこととなり、そのことがすでに生まれていた彼らの子・トレーズに大きな影響を及ぼすことになる。
だが実際には仲間たちによって救出されメディカルセンターにて一命をとりとめていた。しかし、爆発によって顔面の左半分には酷い火傷の痕が残り、右眼と左足を失って義足で生活している。意図的に再生医療や技術的に進歩した義足を用いることを拒んでおり、これを彼は「覚悟の表れ」とゼクスに説明した。
アオイ・クラーク
不明-AC186年秋(享年:不明)
OZのシークレット・エージェント。表面上は、OZのモビルスーツ設計製造担当技師長だったセイス・クラークの妻である。旧姓不明。
OZの前身と言われる連合軍特殊工作班に属していたアディン・ロウと交際し一子を授かっていることから、彼女も特殊工作班に居たのではないかと思われる。指導者ヒイロ・ユイ暗殺事件が原因でアディンと別れるも、彼の反対を押し切って子を出産。その後も引退することなく、エージェントとして活動し続け、別れたアディンとも十年後には酒を酌み交わしていたことや、出産の際に反対するアディンに対して「あなたの子だから産みたい」と考えており、関係は悪くない。
AC186年時にはヴァンから依頼され、地下組織に潜りガンダニュウム合金製モビルスーツ『ガンダム』の設計図の入手を命じられていた。その一方で、マリウス・プラントの様子も探っていたようで、実子を連れて親子として潜りこんでいた。
AC186年秋、バルジ完成パーティの際にはすでに設計図入手は完了していたものの、息子の健気な気持ちに揺さぶられてそのデータを依頼主であるヴァンには渡せなかった。しかし、パーティに紛れ込んで息子を使ってヴァンに設計図を渡させると、そのまま引退し鬱状態のセイスと共に親子三人で暮らしたいと願っており、少なくともこの頃になると表面上の婚姻関係だけではなくセイスのことも本気で愛していたようである。
バルジで行われた完成パーティに参加するも、そこを襲撃したアルテミス・セディッチらの奇襲を受けた際に息子を捜している途中で、生身のまま真空の宇宙空間へ放り出され死亡したと思われる。
その彼女の息子が後にヒイロ・ユイを名乗り、彼女が設計図を探っていたガンダムのパイロットになるわけだから、皮肉である。
アストリア
不明-AC187年夏(享年:不明)
AC187年夏にヴァン・クシュリナーダを爆殺するに至ったテロ事件に巻き込まれて死亡した人物。詳細は不明だが、ディズヌフの愛した人であり、彼女の死がディズヌフの復讐心を高めることとなった。またディズヌフ曰く、この時にディズヌフとヒイロは逢ったことがあるらしい。
アディン・ロウ
不明-AC188年秋(享年不明)
元々はOZの前身である連合軍特殊工作班に属する狙撃手(スナイパー)。その後、ヒイロ・ユイ暗殺事件後にフリーへと転身し、L-3コロニーを拠点とする大財団のバートン財団の雇われエージェントとなる。
連合宇宙軍セプテム少佐によって依頼され、指導者ヒイロ・ユイを暗殺した張本人であるが、本人は十年後再会したアオイに「オレは大馬鹿野郎だ。歴史を狂わせた張本人」と口にしており、指導者ヒイロ・ユイ暗殺をしてしまったことを酷く後悔している。
かつて、OZのシークレット・エージェントであるアオイという女性と交際しており、その間に一子を授かる。産むことに彼は反対したものの、別れたアオイはその子を出産する。アオイとは、ヒイロ・ユイ暗殺が原因で別れたことが、アオイの口から語られている。
AC186年秋にはたった一人で、バートン財団からL-1コロニー群の中にあった連合宇宙軍治安維持局捕虜収容所に収監されたアルテミス・セディッチ救出を依頼され、カーンズの協力を得、無事に成功している。
バルジへのアルテミスらの奇襲作戦にも内々に参加しバルジ内部での撹乱を担当していたが予想以上の成功を収めた奇襲によってその必要性がなくなると、「感情のままに行動する」を開始。かつての恋人アオイと血の繋がった息子を救出するために奔走するも、とうとうアオイだけは助けられなかった。
ただ息子だけは救出に成功すると、実子であることを息子に告げぬまま、「親子を演じろ」と契約をし、代わりにアディンが有していた工作員としての知識や技術、生きるための術、さらに「感情のままに行動する」と言う後の彼の行動原理を教え込んだ。
AC187年4月7日にはとある任務のためヒイロをキャサリンのいるメディカルセンターに預けると、ジェイたちの指示によって《プロトゼロ》に乗ってドライツバーグを装備したツインバスターライフルによる長距離狙撃でバルジ砲のエネルギーチャージを停止させた後、落下するコロニーの一部を消滅させた。
その後同月18日はヒイロとDNA検査を極秘裏されて血縁関係を人質に取られ、「女と子供は殺さない」というポリシーを曲げてヴァン・クシュリナーダ暗殺をデキム・バートンから請け負った。
ヒイロが8歳の時、デキムによって銃殺される。
余談だが、その少年は言うまでもなく、後にドクターJに拾われ、ヒイロ・ユイのコードネームを持つガンダムパイロットであり、それはつまり彼の息子ということである。
アディン・ロウ・ジュニア[1]
不明(マリーメイアとほぼ同時期)-存命
レイア・バートンのクローンとしてマリーメイアが誕生させられた時と同時期に生み出されたアディン・ロウ・ジュニア(後のヒイロ・ユイ)のクローン。後のヒイロと同じように「アルファ」「ブラック・アルファ」、最終的には「ヒイロ」など多様なコードネームや呼び方を与えられるが、本項では本編ヒイロを尊重する形を取ることで逆に「アディン・ロウ・ジュニア」として語ることとする。
AC190年頃、どのような経緯かは不明だがドクターJによって拾われ「アルファ」のコードネームが与えられ、「ベータ」と呼ばれたオリジナルのアディン・ロウ・ジュニア(ヒイロ)との訓練や模擬戦漬けの毎日を送らされていた。
ドクターJによって意図的にアルファには完成した《プロトゼロ》が、ベータにはフレームむき出しの未完成の《ウイング》が与えられていたため、《プロトゼロ》のゼロシステムによって未来を視てしまっていたようだ。特にベータがオリジナルの自分であることを知ったようで、「死ぬのはおまえ(ベータ)ではなく俺だ」とも口にしていた。
AC190年3月、第二次月面戦争開戦直前、ドクターJが反乱軍側を支援するため二人の訓練工程を早めた隙を突いて、ベータ(ヒイロ)からの助言を受けて《プロトゼロ》に乗ったままの模擬戦開始直前にそのまま変形して月面の秘密基地から逃亡。そのまま月南極地点のエイトケン盆地をドライツバーク・ドッペルトで破壊し、第二次月面戦争を回避しようとしたが結果的に戦争は開戦となってしまう。
その後、月軌道上でカトルらがいた民需用資源衛星の作業員たちに《プロトゼロ》ごと回収されると、「ブラック・アルファ」を名乗り、《プロトゼロ》をカトルに託すと、自らは無人のシャトル船を奪って逃亡。その後、AC暦において彼は歴史の表舞台に出ることはない。
ただAC191年までに他のレジスタンス組織に在籍、その後脱退。その際にリリーナと邂逅しており、リリーナが「星の王子様」と称したヒイロ似の少年はヒイロ本人ではなくこのアルファたったことが分かっている。
アディン・ロウ・ジュニア[2]
AC180年-存命
後のヒイロ・ユイ。一時、アディン・ロウと行動を共にしていた時にそう名乗っていた時期もある。
詳細はこちらを参照⇒ヒイロ・ユイ
アルテミス・セディッチ
反連合軍の残党で、三十代の美人女性指揮官。
父親はかつて《シャーウッドの森》に参加していたセディッチ軍曹。母親は不明。その名は渾名だと言われ、その美貌の割に近寄りがたい雰囲気を持ち、頭脳明晰で見事な統率力と軍略家としても神がかり的な直感を併せ持つ有能な指揮官である。
マリウス・プラントでの労働者蜂起に端を発する第一次月面戦争でも自らキマイラに搭乗し、第一線で指揮官として見事に連合側の策略や行動を見抜いて開戦当初は戦果を残した。
しかしながら、トレーズを過度に意識し過ぎ、トレーズ率いるスペシャルズによる反乱鎮圧作戦において敗北。その手腕を認め、降伏勧告を受け入れた。
AC186年秋、バートン財団の依頼を受けたアディンによって連合軍の収監施設から救出されると同時にOZの誇るグライフ25機の強奪に成功。完成したばかりのバルジへ奇襲を仕掛けるが、またしてもトレーズの存在に大きく揺さぶられ敗走。以後もレジスタンスとして活動を続け指揮官として戦場に立ち続けるものの、彼女の指揮能力は大きく疑問視されることとなる。
後のAC195年、ホワイトファング蜂起の時に前線指揮官を務めたセディッチ大佐は彼女の息子である。
アンジェリーナ・クシュリナーダ
AC152-AC187年夏(享年35歳)
当時のロームフェラ財団代表サンカント・クシュリナーダ公爵の一人娘にして、アイン・ユイの妻であり、そしてトレーズ・クシュリナーダの実母。
サンカントから溺愛されたアンジェリーナは十八歳の時、コロニー側と地球側の橋渡し役を指導者ヒイロ・ユイから任されていたアイン・ユイとコロニー側と地球側の会談セレモニーとパーティの席で出会い、互いに一目惚れで恋に落ちる。片やヒイロ・ユイの側近、片やクシュリナーダ家の令嬢であった為、障害も多かったが、AC170年12月末(クリスマスと言う説もある)、マックスウェル教会にて結婚式を挙げて結ばれると、“宇宙で最もお似合いのカップル”と言われるようになった。
しかし、AC171年夏、伯父の関係となった指導者ヒイロ・ユイと会談を持っているなど関係は良好に見えたが、アンジェリーナが身籠っている事実を知ると、当時は迷信でしかなかった「宇宙での出産は母子共に危険」と言う迷信を信じたクシュリナーダ家によって強引にアンジェリーナを地球に戻されると、それ以後二人は二度と再会することはなかった。
連れ戻される際、宇宙空港まで追ってきたアインが銃撃されて倒れたスペースポートに『13』の文字が記されていたことから、後にAC171年秋に生まれた子は、『13』を意味するトレーズと名付けられた。
その後、トレーズが物心着く前にアンジェリーナは、ロームフェラ財団の有力者デルマイユ・カタロニアの息子フンデルト・カタロニアと再婚させられた(フンデルトのクシュリナーダ家への婿入り)。しかし、フンデルトとアンジェリーナの間には二十歳以上の歳の差があり、政略結婚であることは明白で少なくともアンジェリーナの中には愛がなかったが、それでもAC173年春フンデルトとの間にヴァン・クシュリナーダと言う息子を授かる。
AC175年4月7日、指導者ヒイロ・ユイが暗殺されると、ヒイロがいた会場も爆破されてしまい、その場に居合わせていたアイン・ユイも命を落とす。これを契機にアンジェリーナは心と体のバランスを崩すことになる。
AC176年秋には生きる気力を失い、感情の機微が消え、黒い喪服を脱ぎ棄てて全裸で歩くなど脈絡のない言動が目立つようになり、美しくエレガントであった母が狂気に蝕まれる様は、当時のトレーズに壮絶な影響を与えたものと想像される。
その後、アンジェリーナは精神安定と心の治療の為、サンクキングダムの王立病院へ入院、サンクキングダムが地球兼統一連合軍の攻撃を受ける際には、フンデルトが連合内部の情報をいち早くキャッチし、攻撃前に紛争の続く欧州からL-1コロニー群の病院専用施設に移動させられている。
AC186年夏、第一次月面戦争が終結する前後に、L-2コロニー群で流行った新種ウィルス対策などで宇宙に上がっていたヴァンが、その後帰還したトレーズを伴って彼女を訪問している。そこで、彼女の身体を拭いていた男性介護士に対して暴力を振るったことが、その後に大きな代償として降りかかる。
再会した際、当時三十四歳で美しさも保たれていたが、声は枯れ、悲しいほどに弱り切っていたとされ、さらに自分がいる場所をコロニーではなくサンクキングダム王国と誤認するなどの精神疾患的な症状も見せている。
ヴァン一人にはまるで興味を示さず、トレーズ本人やトレーズのことに関してだけは、かつての凛々しい透き通った声音を見せており、愛したアインとの間の子であるトレーズと、愛のないフンデルトとの間の子であるヴァンと、差別して扱っていることが見受けられる。
AC187年夏、最期まで病状が回復することはなく、ヴァン暗殺の爆弾テロに巻き込まれ死亡する。
-イ-
イズミ・ターノフ
AC172-不明
初代レイク・ビクトリア基地の士官候補生。第一次月面戦争で見せた一こまでは、どうやら常に千曲を予測した展望を持っている聡明な青年であったようである。当時初代教官だったトレーズと共にモガディシオ攻略戦に参加した精鋭(当時14歳)。ノインと同じ白いトラゴスに搭乗、間接支援を担当。
第一次月面戦争にも参加。グライフに搭乗し、部下四人を任されるまでに成長しており、その部下たちには出撃前にトレーズの立案した作戦の素晴らしさを説いていた。作戦時にはモガディシオ攻略同様、ノインと同じポジションを任されていた模様。
イリア・ウィナー
不明-存命(MC-0022?)
カトルの母違いの姉の一人であり、カトリーヌにとっては育ての親のような存在。職業、医師。
火星の地方都市のさらに奥まった僻地にあるパラテラフォーミングのライブドームで『ウィナー・ホスビタル』という小さな病院を経営。小鳥の巣箱のような木造の建物だが、最新の医療器具が揃っており、病院経営も順調であった。
リリーナの義母であるマリーネ、生体スペアの存在であるステラが入院しており、そのことから水面下でカトルを始め要人たちから高い信頼を寄せられていたとも考えられる。
カトリーヌにも常に温かく接し、彼女に「あなたはこの世にたった一人しかいない存在」と言い聞かせていた。
そうした一方で、実はマグアナック隊の隊長を務めていたラシードに強く惹かれており、彼がたずねて来る時だけは化粧をしていたことから、彼女がラシードに恋心を抱いていたことは間違いないが、ラシードが身分違いの恋を自覚していたためか、報われない恋でもあった。
-ウ-
ヴァン・クシュリナーダ
AC173-AC187(享年14歳)
クシュリナーダ家のアンジェリーナとカタロニア家のフンデルトの間に生まれた子供。トレーズの異父弟。
女の子のような顔立ちで猛々しい眉を持ったトレーズと比較するまでもなく天使を連想させる可憐さと美しさを男児ながら手にしていた子供であった。
ロームフェラ財団は、サンカントの再来として歓迎。トレーズも異父弟の弟の誕生を無邪気に喜んだとされる。後年トレーズは、クシュリナーダとカタロニアの血筋を継ぐヴァンこそが財団代表、もしくは王侯貴族としての地位を継ぐべきだと考えており、ヴァンの誕生こそがトレーズを軍人になる決意をさせる要因だったと言われる。
AC175年4月7日のスカンディナヴィア半島への旅行は、母アンジェリーナ兄トレーズと共に動向しており、そのあまりの美しさを放つ流氷の海を兄トレーズと魅入っていた。
この年以降、母が狂気に蝕まれる様をトレーズと一緒に見ていたヴァンだが、兄に従い母に必要以上に甘えるようなことはしなかったとされる。
少年期はトレーズ同様に成績優秀でクラスのリーダーシップを取るカリスマ性を備えていたが、トレーズとは異なり生まれつき身体が弱かったと言われる。
それでも少年期、休日になると兄トレーズと共にサンクキングダムの王立病院まで必ず母を見舞っていた。
その際、アンジェリーナがトレーズに宇宙と地球の支配者になるよう告げたが、それをトレーズが本気にしなかったこととは対照的に、ヴァンはそれを鵜呑みにしトレーズこそが宇宙と地球を平和にする使命を持つ者と信じていた。
後年もその思考は変わらず、トレーズを敬愛し、将来はロームフェラ財団の総帥に兄がなり、その兄を補佐することが自分の使命だと信じて疑わなかったという。
十三歳の頃にはすでにロームフェラ財団次期代表として周囲から一目置かれており、モガディシオ攻略戦において兄トレーズが率いる部隊およびモビルスーツ隊の運用を進言。結果として、完璧過ぎる結果を収めたことで、軍内部での発言力も高めた。
しかし、第一次月面戦争の際のマリウス・プラントのやり取りでは後手に回ってしまう。ミリオン・リンデルハートの暴走でマリウス・プラントが消滅したことで、戦略的に大敗北。
それでも、その手腕は鈍ることなく、同時期にL-2コロニーで流行していた「コロニー風邪」と呼ばれる新種の死亡率40%を超える危険なウィルスの対策を講じ資金提供をしてワクチンを製造・流布させたり、マリウス・プラントを再建する際にはL-1コロニー・L-2コロニーに専用の住居を設けそこから労働者を隔日交代制で通わせるなどの策を展開している。
AC186年秋のバルジ完成の際にはキーリカ元帥のスピーチを構築するなど政治的手腕も見せつけ、入手したウイングゼロのデータから(その機体を量産させるだけの資金も工業力も、なにしろろくに動かせるパイロットすらコロニー側にはいないことを理解しながらも)コロニーが独自の驚異的ハイスペックMSの量産に取り組もうとしていると吹き込み、ロームフェラ財団にとって利益となる軍備拡張路線を確定させた。
後のヒイロ・ユイとなる少年とこの時邂逅しており、少年から言われた「逃げてちゃだめだ」と言う一言がヴァンを大きく突き動かすことになる。さらに、バルジ奇襲作戦を何とか防いだものの、それが偶然の積み重ねであることを悟っており、以後トレーズの呼び方が「兄さん」から「兄上」となるなど冷徹になりコロニーに対して、コロニー間の連絡完全封鎖、検閲強化など弾圧を強めて行く。
だが、年端もいかない少年が絶大な権力をもつことは安易に敵を作りやすい状況であり、本人も母への想い・兄への尊敬と嫉妬・父への嫌悪・財団や連合への憎しみ・コロニーへの蔑みなどが複雑に絡み合って子供染みた行動をする場面もあった。特に、母アンジェリーナを介護していた男性介護士に対する言いがかりと暴行、金銭で人事へ干渉してしまい、その後大きな代償を支払うこととなった。
AC187年夏、母アンジェリーナの病室を一人で訪れた際、かつて暴行を働いた若い男性看護師の逆恨みにあい、爆弾テロによってアンジェリーナごと爆殺される。
しかしながらそれ以前にフンデルト・クシュリナーダの言葉によってL1コロニー群に残されていたDNAデータやそこから製造された《スペア》によってMC暦の火星に出現した。ゼクス・マーキス上級特佐も彼の遺志に従っており、実質的にラナグリン共和国を裏で操っていると思われる。彼の乗機は、ガンダムの試作0号機である《ウイングガンダムゼロ》を漆黒に塗装した《黒い翼(ブラックウイング)》であった。
《黒い翼(ブラックウイング)》はかつて《リーブラ》でドロシーがMDを操ったのと同じような遠隔操作をしながらも、デュオに「自分より操縦技術が上」と思わせるほどのテクニックを見せた。また彼は常に通信することによって相手の心理的優位に立つ戦い方をしており、『ZEROシステム』とシンクロナイズすることによってさらに優位に立っている。。
ウェリッジ侯爵
不明(享年不明)
AC130年当時から欧州貴族で構成されたロームフェラ財団の一員で、AC145年戦争へ本格的に参加してしまったサンクキングダムを嘆き、古より続くピースクラフト王家の血を絶やしてはいけないと考え、古くからの友人であったサンカント・クシュリナーダの手を借りてサブリナをL-1C11234コロニーへ向かうよう説得した。この頃からサンクキングダムやピースクラフト王家を支援する立場だったようである。
AC145年12月、地球に降下してきたカテリナに緊急通信を入れて一時身柄を預かったほか、その後同様に降下していたヒイロ・ユイとサブリナも彼の世話になっていた。
のちにTV本編で登場し、リリーナを支えたウェリッジ侯爵の祖父に当たる。
-エ-
エリック・シャーゴールド
AC115-AC148.3.30(享年33歳)。晩年はエリック・ピースクラフトとなる。
サンカント・クシュリナーダの親友。AC146年、31歳の時にすでにロームフェラ財団の重要な地位におり、のちに長年財団代表を務めるサンカントとも独身同士、妙に気があっていたと言われる。
もともとは貴族出身ではなかったが、莫大な遺産を相続してから財団の重要な地位についた。彼の邸宅は山紫水明(さんしめいすい/自然の景色が清らかで美しい様)の場所にあり、格調高い白亜の柱、緩い段差の階段の先に玄関があり、サブリナをして「サンクキングダム・キャッスルより重厚な造り」と言わしめるほど絢爛豪華な大邸宅だったことからも、シャーゴールド家の持つ遺産総額をうかがわせる。
彼の父親の代からウェリッジ侯爵とは付き合いがあり、その人脈がAC146年2月の海戦に大きな影響を及ぼすことになる。
AC146年4月、サンカントと共にカテリナ・サブリナの再会の時にはサブリナの補佐役として付き添っていた。4月20日の、サンクキングダムと連合軍の停戦会議にも参加。膨大な賠償金を要求されたサブリナに「賠償金を呑むように」と進言。その後、独自にピースクラフト王家の総資産五倍以上とも言われた莫大なサンクキングダムの賠償金を全額個人資産だけで返済した。
AC146年5月、そのことについてサブリナから問い詰められるも何とか言い宥める。その様子を見ていたサンカントからは、彼のサブリナへの恋心を見透かされていたが、彼は十五歳も年上の自分ではサブリナには相応しくないと考えていた。
AC146年5月26日、サンクキングダム・キャッスルに呼び出され、両親の老衰に伴い王位継承の覚悟を決めたサブリナに求婚され、それに応じる(ただし、プロポーズは彼の方からし直した)。
AC146年6月にはサブリナと結婚。現在のサンクキングダムおよびピースクラフト家の財政状況を考え、その挙式は非常に質素に執り行われた。またサンクキングダム王家であるピースクラフトへ婿養子として入ったためにシャーゴールド家の財産の一切をサンクキングダムの借金返済にはあてられなかった(シャーゴールド家の決まりで、シャーゴールド家の財産が仕えるのはシャーゴールド家の人間に限られるため、婿養子となりエリック・ピースクラフトとなった彼には財産を使う権利を喪失したのである)。
しかし、ロームフェラ財団でも高く評価されていた経済的手腕によってピースクラフト家の財政をたちまち改善させ、サブリナの誠意ある外交も相まってわずか一年でサンクキングダムを独立国として立て直す。
AC147年11月27日には娘であるカテリーナが産まれる。
AC148年3月には親友であるサンカントの結婚式および披露宴にも出席し、同席していた欧州の貴族たちとも良好な関係を築いていたが、同年3月30日に搭乗していたリムジンの爆破テロに巻き込まれ死亡。サブリナを庇って即死だった。
エルヴ・オネゲル
AC173-AC186(公式記録上)
ダイゴ・オネゲルの息子。初代レイク・ビクトリア基地の士官候補生。当時初代教官だったトレーズと共にモガディシオ攻略戦に参加した精鋭(当時13歳)。白いリーオーに搭乗、敵本部主力への攻撃を担当した。ゼクスらと共にトレーズ最古参の教え子である。
トレーズ同様、ゼクスの正体を知りながらも同じトレーズの教え子であることと、戦友であることから父親には伝えなかったようである。
第一次月面戦争にも参加。グライフに搭乗しトレーズ直属隊であった為、部下は三人だったが、その部下たちに、死に物狂いでトレーズを守ることだけを考えるようにと命じていた。作戦時には文字通り、トレーズの乗るグライフの盾となるポジションを任されていた。
AC186年秋、アルテミス救出作戦と時を同じくして完成間近であった宇宙要塞バルジへのグライフ輸送任務中に脱出したアルテミスらの計略によって、輸送していたグライフごと行方不明となる。連合の公式記録ではこの時に共に任務にあたっていたゼクスと共に死亡扱いにされている。
実際にはその時にゼクスと共に捕虜になるが、その年の冬の完成したバルジ襲撃の際には彼と共に特別観戦武官としてブリッジで敗戦の模様を目にしていた。またこの頃には捕虜としてコロニーの現状を目の当たりにすることで連合軍の在り方や統治方法に疑問を持つようになっていった。
その後、《シュヴァルツ・グライフ》の整備などを任されたのち、ガンダニュウム合金製の新型モビルスーツのテストパイロットという名の被験体(テスター)として、主に《プロメテウス(原型機)》に搭乗する。テストパイロットとしては極めて優秀でモビルスーツに乗った途端、オーダーメイドの服の着心地を評するような感覚で期待各部の不備を指摘出来たと言われている。
その後も実際には生存しており、AC197年にもミリアルドとの親交は続いていて彼から火星に隠した《ガンダムエピオン》の管理を任せれるほど信頼を置かれていた。軍属に属していたようで、「少佐」とミリアルドからは呼ばれていたが、それが具体的にどこの軍属だったのかは不明。
その後、殺害された時期は紆余曲折しており、現在はAC196年~AC197年の間に殺されたと言う説と、MC0017 FIRST SUMMERにノイエンハイム社に依頼されたラフロイグによって殺されたとされる説がある(ガンダムエース記載版のみなので、製本版では修正されているかも?)。直近ではAC196~AC197年ごろにディズヌフ(の手の者)によって殺されていることが明言されている。
どちらにせよエルヴが殺害された目的は彼が管理していた《エピオン》を強奪するためである(MC0017死亡説では、その時、ラフロイグはエルヴから何かを持ち去ってノイエンハイム社に売ったらしく、『キュレネの風』はそれ(おそらく《エピオン》)を追っているとされている(その途中で『キュレネの風=ゼクス』によってラフロイグは殺害されている))。
-オ-
オーロラ姫
キャシィの言葉から察すれば、人工冬眠用冷凍カプセルに眠る人物=ヒイロ・ユイを指す。老師・張曰く「高尚な精神を宿していた」とのこと。
チャイコフスキーが作曲した最も有名なクラシック・バレエ『オペレーション・ミュートス』のネーミングから来ている。プロローグの楽曲は四部構成であり、解凍=目覚めは四つのデータファイルが必要となる。
その正体は、コールドスリープで封印されていたかつてのガンダムパイロットであるヒイロ・ユイである。
詳細はこちら⇒ヒイロ・ユイ専用ページ
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