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2014年12月23日 (火)

世紀の愚策 世界一うまくいっている日本の教育を壊す大学入試改革に反対する

中央教育審議会が、大学入試『改革』を答申した。
知識偏重を改め、思考や判断など知識の活用力を問うことによって、高校・大学の教育を改めるという。

 

大学入試改革は、これまでも重ねられてきたが、今回の改革案はこれまでの枠を大きく超える前例のないものに見える。

 

法律の世界では、たとえば法改正がなされる場合には、「立法事実」が問われる。
法改正にあたって、踏まえられるべき旧法で生じた問題といったようなことだ。

 

だから、大学入試改革をするとすれば、これまでの教育の到達成果がまず踏まえられなければならないだろう。

 

 

日本では、子供の学力テストの成果ばかりが、紹介される傾向があるが、OECDは2011年に加盟国及びパートナー国(ロシア、キプロス)について、成人(16歳から65歳)の学力調査を実施している。
その結果を「社会実情データ図録」のサイトからお借りしよう(3936a)。

3936a

 

上のグラフが読解力いわば国語、下のグラフが数的思考力いわば数学の成績である。

 

中央値順(50%タイル。たとえば99人中、50番目成績)に各国の成績が並べてある。
国語も数学も日本の成人の成績はOECD中、1位である。

 

下の線グラフは、成績のばらつき度合い、つまり学力格差の度合いを示しており、数値が少ないほどばらつき、つまり学力格差が少ないことを示している。
一見して、日本の学力格差は最小の部類に属する。
国語については、もっとも格差が小さく、数学についても、ロシア(中央値で13位)、チェコ(中央値で9位)についで格差が小さい。

 

今、なすべきことは、何かにとりつかれたような性急な「改革」などではなく、「世界一頭がいい日本人」というべき、絶対値においても平等性についても優れた成果を上げてきた条件は何であったかを探求することであり、それを踏まえたうえで、改革の必要性をまず検証することである。

 

最良の状態にある日本の教育を一時的な気の迷いで壊してはならない。
おそらくその背景には、成長戦略が潜んでいるのであろうが、成長のために日本の良さを壊すばかりでは、後に残るのは荒廃した国土と人心だけであることに思い至るべきである。
日本人はいい加減に「改革病」を改めるべきだ。

 

参考までに、こうした愚かな政策を具申した、中央教育審議会メンバーを紹介しておく。

追記 こっそり標題変更(12月26日)

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第7期中央教育審議会委員

 

平成25年2月15日発令

 

会長 安西祐一郎 独立行政法人日本学術振興会理事長
副会長 小川 正人 放送大学教養学部教授、東京大学名誉教授
副会長 北山 禎介 三井住友銀行取締役会長
相原 康伸 日本労働組合総連合会副会長、全日本自動車産業労働組合総連合会会長
明石 要一 千葉敬愛短期大学学長、千葉市教育委員会委員、千葉大学名誉教授
五十嵐俊子 日野市立平山小学校長
生重 幸恵 特定非営利活動法人スクール・アドバイス・ネットワーク理事長、一般社団法人キャリア教育コーディネーターネットワーク協議会代表理事
浦野 光人 株式会社ニチレイ相談役、公益社団法人経済同友会幹事、公益財団法人産業教育振興中央会顧問、一般社団法人アグリフューチャージャパン理事長、一般社団法人日本経営協会会長
衞藤  隆 社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所所長、東京大学名誉教授
大島 まり 東京大学大学院情報学環教授、東京大学生産技術研究所教授
尾上 浩一 公益社団法人日本PTA全国協議会会長
小原 芳明 玉川大学長
帯野久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役、一般社団法人関西経済同友会常任幹事、大阪市教育委員会委員
河田 悌一 日本私立学校振興・共済事業団理事長
菊川 律子 放送大学特任教授(福岡学習センター所長)
北城恪太郎 日本アイ・ビー・エム株式会社相談役、公益社団法人経済同友会終身幹事、学校法人国際基督教大学理事長
櫻井よしこ ジャーナリスト、公益財団法人国家基本問題研究所理事長
篠原 文也 政治解説者、ジャーナリスト
白石 勝也 愛媛県松前町長
高橋 香代 くらしき作陽大学子ども教育学部長、岡山県教育委員会委員
田邉 陽子 日本大学法学部准教授
長尾ひろみ 公益財団法人広島県男女共同参画財団理事長
橋本  昌 茨城県知事
橋本  都 八戸工業大学副学長、前青森県教育委員会教育長
濱田 純一 東京大学総長
早川三根夫 岐阜市教育委員会教育長
平尾 誠二 神戸製鋼ラグビー部ゼネラルマネージャー、特定非営利活動法人スポーツ・コミュ二ティ・アンド・インテリジェンス機構理事長
無藤  隆 白梅学園大学子ども学部教授兼子ども学研究科長
森  民夫 長岡市長
吉田  晋 学校法人富士見丘学園理事長、富士見丘中学高等学校校長、日本私立中学高等学校連合会長

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