氷菓 第9話「古丘廃村殺人事件」 感想!
これは面白くなってきた!
推理合戦
オブザーバー的な役割ならどうだろう、と言ったのは入須先輩でしたが、若干オブザーバーとは違ってきましたね。オブザーバー(観察者)ってのは、会議において発言権はあるが決定権はない人のこと。顧問って言ったらかっこいいか。折木たちはものの見事に却下していきました。まぁ、彼ら3人の推理が的を射ていないというだけで、最終的に決定を下す議長は入須先輩なのでしょうけど。
というわけで、推理合戦というほどでもなかったけど、そんな感じに。
いやぁ面白かった! ここは原作でもとてもワクワクしたところだったけど、アニメだとさらに面白かったです。映像の魔力ってすごいわぁ。
小説ってのは言わずもがな文系の仕事ですが、ある一面においては数学なんですよね。物語に矛盾が生まれてはいけないから、整合性が求められる。
ミステリーはその中でも、より数学が求められるジャンルだと思っています。トリックに穴があるようでは、物語を楽しむ以前の問題になってしまいますから。
僕は大学で英語を学んでいるように文系人間ですが、高校時代はわりとオールラウンダーで、得意教科と言えば英語と数学でした。そこに倫理と地学が入ります。文系なのやら理系なのやら。
とまぁ数学も得意だったわけですが、数学って気持ちいいんですよね。解けた時の快感は言わずもがな、解ける前の「絶対に解いてやるぞー」という過程も、式が一つずつ進んでいくごとに気持ちがいい。
ミステリーには、似たような快感があるのだと思っています。
手掛かり(数式)から、答え(解)を導き出す。今回はこれを丁寧にやってくれたので、非常に気持ちがよかったです。
加えてミステリーってのは、答えを探すだけじゃなく、答えを否定するのも楽しいんですよね。さまざまな可能性から、あり得ないものを削っていくのが推理。物語上ではこの「削る」過程も大事で、ミステリーと言えば『名探偵コナン』くらいしか読んだことのない僕は、コナンはモノローグにもならない段階で可能性をどんどんデリートしてしまうので、この楽しみを知りませんでした。
いやぁ、折木が3人の案を次々と否定していくのが面白くてならない!
中城案は、建物の周りをうろつくリスキーさから却下。
羽場案は、窓の建て付けが悪いことから却下。
沢木口案は、本郷さんが血糊の準備を指示していなかったことから却下。
沢木口案なんかは、「本郷さんの真意だったか」という点に関しては矛盾が出るけど、血糊さえ用意すれば可能っちゃ可能である。とんでもない内容ですけどね。
ちなみに、折木が「どうだ羽場案は?」って言った時にハマーンって聞こえたのは僕だけじゃないはず。
まぁ、推理内容の否定がすごく面白かった反面、2年F組の映画制作は再びどん詰まりになってしまったということで、あまり喜ばしいことではないのですけどね。
一番この事態を憂えそうな千反田がアレなので、帰り道の折木がとても印象的でした。一枚噛んでしまったので、完成が絶望的となると、やはり寂しいものがあるのでしょうか。
入須先輩とバッタリ鉢合わせて、終了。なにか新しい展開を予感させます。
……バッタリのはずなんだけど、なぜか待ち伏せていたように見えますねw
ウィスキーボンボン
無学を晒してしまうかもしれない恐怖を抑えて書くと、原作を読んだ時に思ったことがあります、ウィスキーボンボンは飲酒に含まれるのかどうか。
含まれるような気がしているんだけど、折木たちは普通に食べてましたね。そういえば僕も食べたことがある。法的にはどうなんだろう。『マイマイ新子と千年の魔法』で、新子たちがこいつを食べて盛大に酔っ払うシーンがあって、「これはいいのだろうか?」と思ったものです。
不安なのでググった。やっぱり飲酒に入るようで、運転したらしっかり逮捕されるようです。みなさん食べる時は注意しましょう。未成年のみなさんは1個か2個程度にしておきましょう。
というわけで不思議なお味に興味津々なお嬢様は大量に食べてしまい酔っ払い。
なんだろう。京アニ作品で酔っ払いと言えば、『CLANNAD』の渚を思い出します。一発で顔が赤くなる下戸の上にとんでもない絡み酒という、非常に可愛らしい一面が見られました。
千反田はなんだろう。これも絡み酒?w テンションがやたら上向きになるようです。なんだろうすげぇ可愛かった!
特に折木が江波先輩から脚本を受け取ったところ。いいないいなー。実際に絡まれると面倒くさいでしょうが(折木さんお疲れ様です)、はたから見る分には可愛らしくてたまらないですね。
山田尚子・植野千世子
可愛らしいと言えば、今回の絵コンテ・演出は山田尚子、作画監督は植野千世子でした。
山田尚子は有名ですね。『けいおん!』シリーズを大ヒットに導き、一気に名が知れました。京アニの他の監督より名が知れているのではなかろうか。木上益治の名前が売れないのは……変名使うからですね。
今回はお話に集中して視聴したので、映像面に関してはあまり注目していませんでした。それでも端々から感じる映像の上手さはすごいものがあった。これ前回の北之原孝將よりすごいんじゃないの。内海紘子といい、(今はいないけど)高雄統子といい、京アニの女性演出家はすげぇな。
カメラアングルなどはとりあえず置いといて、山田演出はとにかく空気感が圧倒的ですねぇ。
『CLANNAD AFTER STORY』の第16話「白い闇」に始まり、『けいおん!!』の第1話など、画面全体から滲み出る光の演出が素晴らしすぎる。
普通空気感の演出って、例えば時間経過により夕陽が差し込む、というような演出がほとんどだと思うのですよ。『氷菓』第5話の三好一郎回なんかまさにそうでした。司書室でのクライマックスシーンでどんどん夜の帳が下りてくる空気感の演出がすごかった。
でも山田尚子の空気感は、時間経過に頼らないんですよね。同じ昼なのに、例えば千反田が眠ってしまったあと、光と影のコントラストをくっきりさせて哀愁を演出していました。結局、3人とも正解には辿り着けなかった、という。
あと彼女はやはり足が好きですねw
ときどき足が出てきました。ラストカットの折木と入須先輩の足はなかなか印象的。
アニプレッションの記事を書く前に、今度はさらに映像に注目しながら見直してみたいと思います。
それよりも僕が語りたいのは植野千世子の方です。
公式サイトを見て今回のメインスタッフは一応知っていましたが、視聴中、あまりに面白くてすっかり頭から抜け落ちていたのです。
しかし、一回目の中城先輩が退室したあと。千反田が「今の中城さんの案は、本郷さんの本意だったと思いますか?」と折木に問うたカット。このカットの千反田にもろ植野千世子の特徴が表れていて、僕は今回の作監が植野千世子であったことを思い出したのです。
やはり植野作画はいい! キャラ作画の顔のパーツのバランスが一つ抜きん出ています。バランスがいいものだから、普段よりも可愛く見えるし、角度がつくと折木なんかがすげぇかっこいい。そういや山田尚子の演出も、やたら角度をつけていたように見えます。この二人、意外にベストツーカーなのでは……。演出・作監で同時に入ったのは、確か今回が初めてですけど。
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アニプレッション「こんなにも面白い『氷菓』の世界 第9話」は、6月19日の夜から深夜にかけて投稿予定です。
(6月20日3時5分)投稿しました。合わせてどうぞ。
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つぶやき
『氷菓』BDを諦めました。こいつをマラソンするとなるとお金がガチでギリギリすぎる。無念……
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