出産で7割仕事を辞めるとか、M字カーブの後ろのほうは以前の様な待遇は望めないとか、
そもそも子持ちで再就職なんてできるわけないとか、まぁ、色々な話は聞きますね。
統計的な話って、でも、自分自身が判断・行動する時にそんなに重要ではないのでは?
と私は考えています。
もちろん参考にはなるとは思いますが、100人中の70人がどうしようが、
自分はたった1人なのですから。
でも、統計的な話でわーっと不安になってしまう人は、
"大多数"以外の選択や結果の具体例を全然知らないのかな?
とふと思ったので、私の知っている具体例をちょっと書いてみることにしました。
誰かの足しになるかもしれないし、ならないかもしれませんが。
専業主婦を経てその後復帰してバリバリ働いている方、何人か知っていますが、
学歴も資格もない、語学ができるでもない、典型的な田舎のお母さんだった人の話。
彼女は地方の高校を出て、地元の信用金庫に一般職として就職しました。
そこで8年勤めて、26の時、結婚して関東に出てきました。
その時仕事はすっぱり辞めました。それが当然の選択だったのです。
特に未練があったというような話も聞いていません。
結婚後は、次々子供に恵まれました。
子供が小さいうちは家にいるのがこれまた当然の選択です。
彼女は専業主婦として、家事育児に追われる日々を過ごしました。
さて、子供がどんどん育ってきて、食費も教育費も、まぁ、とにかくお金がかかります。
末っ子が2年保育の幼稚園に入るのを目安に、働き始めることにしました。
この時点で、専業主婦暦は15年。年は40を越えていました。
はじめは、ある程度知的な仕事がしたいと考えました。
復帰に備えてせっせと勉強して、簿記2級までを急いで取得しました。
しかし、子供が幼稚園に行っている時間のみ、という条件では、
なかなか望むような仕事は見つかりません。
長い時間こられるなら…というオファーはあったようですが、
それは彼女が自ら断ったようです。
しかし、家計の為には働かなくてはなりません。
まずはパートに出ることにしました。
パートは何箇所か転々としました。
事務職もやりましたし、肉体労働もやりました。
こういう働き方が5年くらいは続いたでしょうか。
それでもやっぱり彼女は正社員になりたかった。
そこで、見つけた職に応募しました。
保険の外交員です。
募集の条件は厳しくなく、40代半ばでなんの経歴も資格もない女性でも応募できましたが、
1年、いえ、半年も経たずに辞めてしまう人も多い仕事です。
仕事の性質上、ノルマに達しない場合、
速やかに解雇されてしまいます。
最初の数年は本当に苦労したようです。
身内や知り合いにもだいぶ保険に入ってもらったようですし、
それでも給料はけっして良いとは言えない状況でした。
でも、こつこつ、こつこつ続けていきました。
そうこうしているうちに、お客さんも増え、顧客の信用も得て、
彼女は地域の主任にまでなりました。
年間契約も全国上位に入るようになり、
会社の表彰を受けるようなこともありました。
彼女は今は50代後半ですが、
同年代のサラリーマンの平均年収を、遥かに越える額を稼いでいます。
15年間、彼女は完全に家庭の中にいました。
仕事を探し始めたときには、確かに思うようにはいきませんでした。
それこそ、誰にでもできるパートしか見つかりませんでした。
でも彼女は、今では正社員としてフルタイムで仕事をして、
ひと家族養えるぐらいの収入を得ています。
今は良いかもしれないけど、こんな30代、40代は過ごせない、
と思われる方もいるかもしれません。
とりあえずちゃんとした仕事に就いている夫がいたから不安定な時期でも過ごせたのだろう、
と仰る方もいるかもしれません。
でも、彼女だって15年前には未来のことはわからなかったし、
それでも着実に一歩一歩進んできたのですよね。
途中でお気づきの方もいらっしゃるかも知れませんが、私の母です。
上で書いた末っ子は、4番目で、現在大学生。
母が働いたから、彼女は希望の進路に進めたといっても過言ではないでしょう。
兄と私にとっては、母は専業主婦のイメージでした。
弟と妹にとっては、働くお母さんのようです。
母とは喧嘩もたくさんしましたし、今でも意見が合わないことのほうが
ずーっと多かったりもしますが。
率直に、すごいなぁ、と思いますね。
感謝してます。