河北潟干拓地の母恋街道千本桜/母の願いを叶えた桜並木、能登半島地震の爪痕が残る

2024年の春は、主に地元北陸のまだ観たことのない桜スポットを中心にお伝えしてきましたが今回の記事で紹介する場所が、一応この春の桜スポット巡りの最後の地であり、また今年の桜記事の最終回になります。
最後の地に選んだのは金沢市北部および津幡町・内灘町にまたがる河北潟干拓地に延々と続く桜並木。長さ4.5kmにも及ぶ立派な桜並木ですが、この並木が作られるきっかけとなったある女性にまつわる話に心を打たれ、是非実際に見てみたいと思っていたのが実現した次第です。

その並木は母恋街道千本桜。
その名の通り、千本を超える桜がまっすぐ続く光景がインパクトありで、毎年多くの花見客が訪れる金沢を代表する花見スポットとなっています。

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ところが・・・
上の写真は普通の桜並木のように見えますが、よくよく考えるとこれほど立派な桜並木なのに車が一台も写っていないのはすごく不自然だと思いませんか?

実はこの「母恋街道」は例年ならひっきりなしに車の往来があるのですが、今年の元日に襲った能登半島地震の影響を大きく受けてしまい、地震から4か月以上経った今でも車が走れない箇所が存在してるんです。
震源から100km以上離れたこの桜並木にも地震による大きな爪痕が残っています。

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ってなワケで、2024年の桜記事最終回(第13弾)は、母恋街道桜並木をお伝えいたします。


2024年04月14日 石川県金沢市 河北潟干拓地


今年の元日を襲った能登半島地震で金沢市は震度5強の揺れを観測しましたが、金沢市の周辺で特に大きな被害に見舞われたのは隣町の内灘町でした。
内灘町の一部のエリアでは液状化現象により地面が大きく盛り上がったり陥没したりしてガタガタになってしまったところがあり、ニュースでもよく採り上げられていたので県外の方でも知っている人は多いと思います。また、その被災地のすぐそばに広大な干拓地で知られる河北潟という湖がありますが、今回の地震では河北潟干拓地も液状化の被害が出ていて、多くの道で今も通行が規制されています。

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(液状化で歪んだ干拓地と道路)


河北潟の干拓地にはまっすぐな道路が幾本も造られていますが、特に湖の北岸(干拓地の南端)を東西に走る道は「母恋街道」と呼ばれていて、内灘町・金沢市・津幡町の1市2町に跨り、4.5kmに渡っておよそ1500本の桜並木が続いていることで有名です。この桜並木は「母恋街道千本桜」と呼ばれていて、特にここ10年くらいで知名度がグンと上がってきた、新しい桜スポットである印象があります。
母恋街道の由来はこちらのWebページに詳しく紹介されているので是非読んでみてください。大病を患ってこの近くの病院に入院して他界された母への想いから、津幡町に住む娘さんが金沢市などの自治体に呼び掛けて数多くの桜が植えられたそうです。
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下の写真は河北潟とその干拓地とを隔てる堤防の上に立って、母恋街道の千本桜並木を眺めたものです。
桜の木がまるでどこまでも続く壁みたいに立ちはだかっていて、なかなか壮観です。
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そんな母恋街道ですが、普段であればビュンビュン車が走り抜け、とくに桜の時期ともなると渋滞が発生するほど人気の高いところです。でも今年の春は様子が異なりました。
能登半島地震の影響で河北潟のほとんどの道路で車が通れない状況。母恋街道にアクセスする道路もしかりで、特に金沢市街方面から河北潟干拓地への入口となる才田大橋では橋と干拓地との間に大きな段差ができて道路が切断された状態になってしまい、通行ができません。そのほか干拓地に入る道の多くが規制されているため、車通りがとても少ない状況でした。
下の写真は、右が河北潟の湖、左が干拓地の母恋街道千本桜、青い橋は地震から4か月以上経った今も通行止が続いている才田大橋です。
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母恋街道も大きなダメージを受けていました。
干拓地の地盤の変化により道路に大きな段差ができてしまっていて、何とか車が通れるように土嚢袋と仮舗装で応急処置が施されています。本来ならこの道路はまっすぐ続く快走路で結構飛ばす車も多いんですが、今はご覧の様子で運転には気をつけないといけません。
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確かこの辺は綺麗な直線道路だったはずなんだけど・・・、歪んだり斜めになっていたり。
ところどころ応急的に補修したと思われる黒い舗装が、傷口に当てたガーゼのようでちょっと痛々しいです。
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下の写真のように、舗装ではなく鉄板でとりあえず仮補修してある部分もあります。当面工事用車両だけでも通れるようにってことでしょうか。
この写真を撮影した立ち位置から写真の奥(内灘町方面)に向かっては、母恋街道じたいも通行不能でした。なので、車はほとんどいなくてまるでゴーストタウンのようにガランとしています。普段の観桜期昼間の母恋街道ではありえない静かな様子に、強い違和感を覚えました。
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気持ちがいいくらいまっすぐ引かれていたはずのセンターラインが、上下左右に波打ってる。それでも車が通れるだけまだマシな感じでした。
河北潟干拓地は今も大変な状況が続いていますが、でも千本桜並木じたいには目立った被害は見られず、今年の春も例年と同様に見事に咲いてくれていたみたいです。
この日は今シーズの金沢のソメイヨシノが見頃だった最後の日で、すでに散り際でしたが有終の美を飾っているかのように美しい桜並木を眺めることができました。これが今年の桜の見納めになります。
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チューリップと桜並木と母恋街道の共演。
そうそう、本来であればこのように春らしい明るい雰囲気の写真が撮れる場所なんです。
ただし例年だとズラっと車列ができてしまってこういうスッキリした写真はなかなか撮れないかもしれませんけどね(^^;。
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さて、最後に場所を内灘町の内灘砂丘の高台に移しました。
ここからは河北潟の湖の部分が一望できるほか、条件がよければ北アルプス立山連峰の峰々が見渡せる展望スポットです。
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ここに来た理由は一つ。母恋街道を見下ろすためです。
河北潟の湖の北岸に目をやると、その岸に沿って薄紅色のベルトがどこまでもどこまでも続いているのが分かりました。
いやぁ、これはなかなかすごいですよ。圧巻の光景です!
桜並木は数多くあれど、このように4km超級の桜並木のほぼ全体を、ドローンなどの飛び道具を使わずに高い視点から見下ろせるのって、全国的に見てもなかなかないんじゃないでしょうかね~。
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ってなワケで、河北潟干拓地の母恋街道千本桜並木でした。
例年よりも静かすぎる桜並木には違和感を覚えずにはいられませんでした。いつもならもっともっと賑やかで、「車が多すぎて撮れないぢゃん」なんてグチもこぼれていたかもしれません。そういうグチを言えるということは、皆さんが何の問題もなく桜を楽しめていることに他ならないワケで、今年のように誰も来れない状況よりかはそっちのほうが遥かに良いと思えました。
復旧までまだ時間がかかるかもしれませんね。できることなら来年の桜の時期までにはなんとか頑張って復旧させて、再び多くの人の目を楽しませてほしいものです。
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当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。四季折々の日本の風景を追い求めて、写真に切り取り公開し、皆様の旅の参考にしていただくのが当ブログの趣旨です。特に春の桜の景色はとても好きで、毎年春を迎えるとソワソワしてしまうんですよね(^^;。当ブログにもこれまでに数多くの桜の記事を掲載してきましたが、それらをザっと見渡すことって、ブログの特性上なかなか難しいんですよね。そこで、思い切って桜の目次ページを...



<母恋街道千本桜並木>
【駐車場】あり(無料)
【入場料とか】無料
【所要時間】20分

【地図】


【リンク】
母恋街道千本桜(内灘町観光協会公式サイト)
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まっさ
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>yamakaze1183さん

東日本大震災の時の千葉県の液状化は、報道でもよくやっていたので覚えています。
あれから13年経ちましたが、今は復旧しているでしょうか。
今回の能登半島地震では、この母恋街道のすぐ近くの内灘町というところで、甚大な被害がありました。
あまりにも土地が歪み過ぎて、その土地での復旧はかなり難しいかもしれないとも言われていますが、早く平穏な暮らしが戻ることを祈るばかりです。

2024/05/18 (Sat) 07:11
yamakaze1183

チューリップが映えてますね。街中で道路の液状化が起こると水回りが心配ですね。東北沖地震の後東京ディズニーがある近くの千葉県稲毛市に住んでいる元同僚は下水管が浮き上がってしまいトイレが流せないと言ってました。あまりにも広大過ぎる被害で下水管の復旧には時間がかかっているようです。もうあの時から何年が経つのでしょうか。

2024/05/17 (Fri) 18:10