中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2013年03月07日
北海 Beihai 200911 / Dayou_X
■日本の子どもがやってきたんだけど、その言葉にいたたまれなくなった。
猫撲、2013年3月6日
◆日本の子どもがやってきた
ちょっと我慢して読んでね。書きたいのはね、よくネットにあるような日中の子どもの自立能力、学習能力の違いとかじゃないからさ。
日本人男性と結婚したいとこが帰省してきた。旦那の親戚だっていう子どもを連れてね。なんでも中国に興味があるんだって。3人はいとこのお姉さんの家に住むことになった。っていうのも日本の子どもとだいたい同い年ぐらいの子どもがいるからちょうどいいだろうって話になったの。
日本人の子どもの名前は俊夫。小学1年生になったばかり。メガネをかけた姿はドラえもんののび太そっくりだ。中国語はほんのちょっとだけしゃべれるんだけど、初めてきた見知らぬ国、言葉の通じない人を前にちょっと緊張していた。でもぼくらをみるとにこっと笑ってくれる。それから礼儀正しくちゃんとお辞儀して、ぎこちない中国語で挨拶してくれる。良い子だなって、本当にかわいがったよ。
◆鵬鵬の敵意
でもね、上のいとこの子ども、小学3年生の鵬鵬は敵意むき出しだった。俊夫と会うやいなや、拳をふりあげて「打倒小日本」って叫んだんだ。言葉の意味がわからない俊夫はどうしたらいいか分からない様子。もちろん鵬鵬も脅かすだけで殴ることはなかったんだけど、びっくりした俊夫は顔色を変えていた。
上のいとこはあわてて鵬鵬をひっぱってきて、お客さんだから失礼なまねはしないで!って怒っていた。そうしたら鵬鵬が泣き出してしまった。日本人は中国の敵だ、おまえたちは愛国者じゃないって先生に言われたんだって。
それでぼくも説明した。先生が話したのは歴史の話でね、今は日本と中国の関係は改善したんだ。我が家に来た日本の子どもは善良な友人なんだよって。
そうしたら鵬鵬はもっと怒り出した。じゃあなんでちょっと前までパパもママも毎日家で日本が中国の土地を奪っただ、日本製品ボイコットだなんて話していたの?それに学校の先生は最近、生徒に教育アニメを見せたんだよ。日本帝国主義を打倒しろっていう内容なんだよ。
結局、鵬鵬はその日はずっと敵意に満ちた目で俊夫を見ていた。
◆日本の教育
俊夫は本当に善良でききわけのいい子どもだった。上のいとこが言うには、自分のものはちゃんときれいに片付けるし、顔を洗うのも歯を磨くのも言われなくても自分でやるんだって。それどころか自分の下着や靴下は自分で洗う。ご飯の時も食べてもいいよと言われるまでじっと待っている。
中国の親ってやつは自分の子と他所様の子どもを比べるのが大好きだ。上のいとこは鵬鵬も俊夫みたく物わかりが良ければ……って嘆いていた。彼女はいつも息子の後をついて回ってはゴミを拾い、戦場のようになった部屋を片付け、代わりにいろいろやってあげている。食事の時もいちばんいい部分は鵬鵬のもの。ぼくたち親戚だって鵬鵬を溺愛して、あれやこれやプレゼントしてあげている。
俊夫の聞き分けの良さ、礼儀、大人を敬うことを知っている姿を見ると、上のいとこは鵬鵬にあの子はああなのにと怒り出すのだった。確かに日本の家庭や学校の教育は中国とは全然違う。それが社会の雰囲気によるものかどうかはわからないけどさ。
こんなことが続いたから、鵬鵬は本当に怒り出してしまった。俊夫がやってきた翌日のこと、彼は自分のラジコンカーを鵬鵬に使わせてあげた。こうやって分け与えるのも彼らが受けた教育なのかもね。ところがその翌日になると、リモコンカーはばらばらになって鵬鵬の部屋に落ちていた。上のいとこが問い詰めると、鵬鵬は憎々しげに「日本製品ボイコットだよ」って答えた。それで俊夫はオモチャを貸さなくなったし、鵬鵬とも距離を置くようになった。
◆ぼくたちを凍り付かせた事件
でもその翌日になって、鵬鵬の態度もようやく変わってきて、俊夫と仲良くするようになった。あれだよ、やっぱり子どもの本性っていうのは善良でさ、友達を作りたがるものなんだよ。2人はお互いに名前を教え合った。鵬鵬は日本語の発音に興味を持ったし、「鵬鵬」「朋友」とか中国語の単語を教えてあげていた。それから自分のオモチャの車を俊夫に貸してあげた。
俊夫は本当に楽しそうだったし、大人たちもほっとしたよ。
でもね、俊夫が帰る前日の夜に起きた出来事がぼくたち全員を驚かせたし、心底恥じ入らせたんだ。
その日の夜、ぼくとぼくの両親、上のいとことその旦那、おじさんとその奥さんはみんなでリビングに集まってテレビを見ていた。日本からきたいとことその旦那は買い物に出かけていた。
すると、鵬鵬が俊夫を連れてやってきて、得意げに「俊夫が最後に話があるよ」って言ったんだ。そうしたら顔を赤らめた俊夫がもじもじしながら、恥ずかしそうに笑って不器用な中国語で話し出した。
「私は死んで当然の小日本です。中国人に対して申し訳ない。」
その場にいた全員が固まったよ。まっさきに反応したのは上のいとこだった。すぐに笑みをうかべて俊夫を抱きかかえて頭をなでた。その旦那は鵬鵬をトイレに連れ込んだ後、外まで聞こえるような大きな音がでる勢いでビンタした。その勢いはぼくまでどきっとしたほどだ。
真相はこうだ。あの言葉はきっと鵬鵬が教えたのだろう。俊夫はありがとうとか楽しかったとか、そういう言葉だと思ったんだろうね。
◆ぼくたち中国の愛国教育はこれでいいのかな
俊夫が日本に帰った後、上のいとこたちは自分たちの教育について随分反省していた。それからこんな小さな子どもまで、もはや変態的といっていいレベルで日本を憎んでいることに悲しみと不安を覚えていた。日本からきたいとこが言うには、少なくとも彼女が知っているかぎりでは日本の子どもたちは中国にそんな悪い印象を持っていないんだって。まさか今の中国の子どもがこれほど根深い憎しみを持っているなんて想像もしなかったと言っていた。
あるいはぼくたちの愛国教育はもっと客観的にするべきかもしれない。ぼくたちの反日感情はもっと冷静になるべきかもしれない。
子どもは物事を分かっていない。その心は純真無垢のはずだ。でも同胞が日本の自動車販売店を燃やして、日本車を壊して、ジャスコを打ち壊している時、学校の教育で日本を憎む感情を植え付けられた時、子どもの愛国観はすでにゆがみ始めている。
国恥を忘れるべきじゃない。小さい頃からこうやって教育するべきなんだ。そう言う人もいるかもしれない。
でも、なんでだろうね、一人の善良な日本の子どもが顔を真っ赤にしてぼくたちに親愛の情を伝えた時、中国人の子どもの憎しみはどうしてこれほどまでにぼくたち大人をいたたまれなくしたんだろうか。
■2013年3月8日追記
コメント欄やはてブでいろいろご意見、ご質問をいただいているのでちょっと回答を。
(1)この記事はコピペ?:上記にリンクした猫撲は初出ではなく、確認できる最古の書き込みは2012年11月。昨年の反日デモの後のもの。はてブでは11月12日付青青島社区をご紹介して頂いています。その後、いろんなネット掲示板、ブログに転載されたという次第。
(2)フィクションなの?:ネットの書き込みなので真偽を確かめることは難しいですが、ありそうな話だと思っています。例えばブログ・中国ガオガオブーの記事「日本鬼子」「憎悪の記憶」をご覧ください。
(3)中国人の反応は?:直接参照した猫撲ではスレ主批判のレスばかりですが、他の場所では「ひどいな」「悲しい」といった書き込み一色になっている場所や、賛否両論で議論になっているところもあります。
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最近では、日本でもネットに書かれていることを
鵜呑みにした高校生などによるツイッターなどでの
目に余る書き込みがあるときもありますが、
向こうはそれよりさらに深刻ですね。
これは掲示板に書かれていたとのことですが、
それを読んだ、中国人の方々の
反応が知りたいです。
しかし、私は中国の言葉はわからないので、
ソースを見ても、わかりませんでした。
もしよろしければ、教えてもらえると助かります。