チューリップ賞で固い固い握手 今週末、競馬場にハイペリオンの幽霊が出る! 「とっくの昔に死んだやつの血が一番新鮮」
いやあ、ノーザンファームの吉田勝己さんはかなわんですよ。
これぞまさに「先見の銘」でしょ?
弥生賞に我らが西山茂行さんの血の結晶、母系「セイウンスカイ×ニシノフラワー」ニシノデイジーが出てくるので血統について調べていたら……。
吉田勝己さんの壮大なミッションに出くわした。
チューリップ賞の絶対的本命、ダノンファンタジーの母系だ。
ダノンファンタジーの母父の名は、ノットフォーセール(非売品)。地球の裏側アルゼンチンの名馬だが、この馬の血統は強烈で「スワップス4×3」!「ハイペリオン5×5」!
スワップスは、カウンテスアップ、フェートノーザンを生んだ「砂の怪獣」フェートメーカーの父だった。
<それにしても不可思議なのは、フェートノーザンの無敵の爆走を最後に、ハイペリオン系の強い馬が日本競馬界から消えてなくなったことだ。まるで、巨大な馬群が一斉に崖から落ちたかのように。
現在、ハイペリオン系の名馬は世界中探しても一頭もいない。日本での最後のGⅠホースはセイウンスカイだが、父シェリフズスターは西山正幸が地球の真裏、アルゼンチンから運んできた馬だ。>(消えた「砂の怪獣」フェートメーカーを追え!『競馬の天才!』2019年1月号)
地球の裏側で奇跡が起きた。
1990年代の名馬ノットフォーセールが、「怪物牝馬」を次々に生み出していたのだ。
「社台グループがハイペリオンの息の根を止めた」
私は何十年も酒に酔っては嘆き続けていた。
パラダセール。セレクシオン大賞。
ライフフォーセール。ブエノスアイレス大賞。
ミスセレンディピティ。エストレジャス大賞。
サファリミス。ミルギニース。
なんと、吉田勝己さんは、この「アルゼンチンの至宝」「非売品の娘」4頭をまとめてかっさらってきていたのだ!
そして、ついに、「ディープインパクト×母父ノットフォーセール」ダノンファンタジーが、単勝1倍台を背負い阪神競馬場のゲートに入る。
<1956年10月。「ハイペリオン系の息の根を止めた男」社台グループ総帥、吉田善哉が初めて米国へと旅立った。
<その年のアメリカ年度代表馬はケンタッキーダービーでナシュアに勝ち、四つの世界レコードをマークしたスワップスである。
スワップスを生産した牧場へ善哉さんは行った。スワップスの母、アイアンリウォードを見つめる。>(吉川良『血と知と地 馬・吉田善哉・社台』ミデアム出版社)>
「スワップスのような馬を作ってみせる」と心に誓った吉田善哉さんは、あえてスワップスの仔を買わなかったのだろう。
62年の歳月が流れ、善哉さんの息子、勝己さんはアルゼンチンへと旅立った。
「なにがなんでもスワップスの血を手に入れてやる」
競馬の魅力は、巨大なパラドックスにある。
今週末、競馬場にハイペリオンの幽霊が出る。
「とっくの昔に死んだやつの血が一番新鮮」
阪神11レース チューリップ賞
単勝①
馬単①―⑥⑧②
ダノンファンタジー
ハイペリオン
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