TPPによって日本の雇用は失われ、国内市場さえも縮小する-労組幹部は早く気づくべき
記事が長くなってしまったので結論だけを読みたい方は、スクロールダウンしていって
「安倍内閣は、TPP参加を前提として、日本型経営のアメリカナイゼーションを急いでいる」
の見出しへ飛んでください。
「安倍内閣は、TPP参加を前提として、日本型経営のアメリカナイゼーションを急いでいる」
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去年の夏頃、大メディアがTPP賛成への世論を必死になって作ろうとしていました。
ちょうど、キッシンジャーが官邸の野田佳彦を訪ね、日本のTPP参加を強力にプッシュしていた頃です。
そのとき、新聞・テレビの大メディアが取った手法は、TPPに賛成している中小企業の経営者や、大企業の労働組合の幹部の映像を流すことでした。
彼らは、そのとき、TPPが単なる聖域なき関税撤廃を前提とした多国間自由貿易協定だと思い込んでいたのです。
まず、TPPの意味を、きちんと解釈することが必要です。
TPPは、Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreementの頭文字をとったものです。
どこにも「自由貿易」などという意味の単語はありません。
それに、単なる経済協定ではなく、Strategic Economic Partnershipとあるよう、「戦略性を持った」と頭に書かれてあります。
「誰にとっての戦略性?」と考えてみる必要があるのです。
アメリカではないですよ、間違えないように。
ここに書かれている「Strategic」とは、「大文字のアメリカ=アメリカ株式会社」の自由市場無政府主義者の世界戦略において「戦略的な」という意味です。
他の「自由貿易協定」と言われている条約、たとえば、
北米自由貿易協定(NAFTA)
米韓自由貿易協定(FTA)
は、それぞれ、「North American Free Trade Agreemen」、「U.S.-Korea Free Trade Agreement」で、「Free 」という文字がちゃんと入っています。
ただし、この両方ともに、ISD条項がもれなく付いているので、pre-TPPと言うほうがピッタリ来るでしょう。
事実、米韓FTAは、TPPの「お試し盤」のようなものですが、それでも韓国は、すでに悲惨なことになっています。
また、NAFTAによってメキシコの食糧は危うくなっています。
豊かなメキシコの農業は確実に破壊されつつあるのです。
すでに米韓FTAのほうは、早々とTPPへの組み換えが始まっています。
TPPとは、このように資本のグローバル化を一層進める上での戦略性を持ったものであって、自由貿易を促進するものでは、まったくないのです。
メーカーの労組幹部がテレビのニュース番組の記者のインタビューに答えて話していたのは、
「関税が撤廃されれば、輸出額が増える。雇用も安定するだろうから、日本はTPPに参加するべきだ」と。
あまりにも都合が良すぎる解釈です。
このようにして、労働者は「自分から進んで餌食になっていく」のです。
無知とは罪であり、とても悲しい人生をその人に強いることになるでしょう。
業種によって異なりますが、まずは端的に言って、輸出額を増やすためには、為替を円安に誘導することです。
そして、海外に出て行った輸出型企業を国内に戻すことです。
これによって、国内の雇用が確保され、国内の市場が形成されるのです。
これは、今このとき、私たちが経験していることです。
関税は従来のままなのに、株価が上がり、貿易収支改善の兆しが見えているのは、為替の円安効果によるもので、関税など、まったく関係ないのです。
自民党と、彼らと結託したマスコミは、TPPの正体がばれないように、「関税議論」に矮小化させているのです。
残業代を合法的にゼロにする「ホワイトカラーエグゼンプション」が“ゾンビ法案”として復活
安倍晋三の内閣は、CSISなどのワシントンの保守系シンクタンクが描いた青写真を、忠実に実行するために創られた内閣です。
そのワシントンは、すでに「大文字のアメリカ=アメリカ株式会社」の傀儡となっており、米政府と多国籍企業(その陰のオーナーは、主にヨーロッパの国際銀行家)がタッグを組んだ「コーポラティズム」によって動いています。
つまり、安倍晋三の内閣が日本でやろうとしているのは、自由市場無政府主義そのもので、国民の労働の対価を合法的に減らしたり、搾取することによって、企業の利益を最大化しようとする仕組みを作ることです。
簡単に言えば、本来、あなたに与えられている正当な権利を、いろいろな理屈をつけて奪ってしまおうというものです。
その具体的な例が、従業員を簡単に解雇できるようにしたり、雇用する側は従業員に残業代を支払わなくていいですよ、というホワイトカラー・エグゼンプション(残業代ゼロ制度)を通してしまおうと、安倍晋三を座長とする「規制改革会議」でものすごいスピードで話し合っているということです。
会議の委員たちは、すべて企業側の人間で占められており、労働者側の意見が反映される余地はありません。
原発問題では、少なくとも原発推進側のメンバーの中に、反対派の学者などの有識者が入っていましたが、「規制改革会議」では、すべて「日本国民総奴隷化推進」側の人間だけで議論を進めているのです。
過労死や、うつ病を招きかねないホワイトカラー・エグゼンプション(残業代ゼロ制度)。
心筋梗塞で突然死しても、放射能の内部被曝のせいではないし、過労のせいでもない、ということになってしまうのです。
ホワイトカラー・エグゼンプション(残業代ゼロ制度)が、どのように進められようとしているのか、連合通信に書かれています。
以下、そのサイト様からコピー・転載します。感謝です。
安倍政権の肝入りで発足した「規制改革会議」は2月15日、解雇規制の緩和やホワイトカラー・エグゼンプション(残業代ゼロ制度)につながる検討項目を打ち出しました。
品格のない経団連が毎年政府に提出している「規制改革要望」とうり二つの内容です。
それではその記事を紹介します。
◎ 解雇規制緩和に道開く / 規制改革会議が検討 / ゾンビ政策のオンパレード
衣の下から鎧(よろい)が見えた――。
安倍政権の肝入りで発足した※「規制改革会議」(議長・岡素之住友商事相談役)は2月15日、解雇規制の緩和やホワイ トカラー・エグゼンプション(残業代ゼロ制度)につながる検討項目を打ち出しました。
※「規制改革会議 平成25年」の「平成25年2月15日」のPDFファイルを見てみて
経団連が毎年政府に提出している「規制改革要望」と重なる点が多いばかりか、それ以上に労働者保護を弱めかねない内容です。
「混合診療」など国民皆保険制度を掘り崩す制度改悪も俎上に乗せました。
どれも、※小泉・安倍第一次政権時に世論の猛反対を受けて、お蔵入りせざるをえなかった「ゾンビ政策」のオンパレード。
安倍首相が過去の失政を何も反省していないことの表れです。
※小泉・安倍第一次政権時に世論の猛反対を受けて、お蔵入り→小泉改革で、悲惨な目に合わされたのに、さらにそれをバージョンアップした「一連の安倍改革」。全部、「昔の名前で出ています」法案の復活。
◎ 経団連要望とそっくり
規制改革会議は首相の諮問機関。
健康・医療、エネルギー・環境、雇用など4分野について規制を見直す検討項目を示しました。
アベノミクス「3本の矢」の一つ、成長戦略に盛り込むといいます。
雇用分野では13項目を提示しました。
このうち、事務や研究開発系の労働時間規制の見直し、解雇無効の際の救済の多様化、医療分野などでの派遣規制の緩和――など8項目が、経団連のこれまでの規制改革要望と重なります(表)。
事務や研究開発のホワイトカラー労働者については8時間労働制の適用や、残業代支払い義務をなくす法案が06年に検討され、対応をめぐり世論が沸騰。
当時 の安倍首相は翌年、法案化を断念し、その年の秋に政権も投げ出しました。
裁判所が解雇無効と断じても、原職復帰させない「解雇の金銭解決制度」も同年、労 働契約法に盛り込むことが狙われましたが、労組の反対が強く、お蔵入りとなったものです。
労働時間規制を柔軟にする「裁量労働制」の緩和や派遣労働の規制緩和も経団連と同様の文言で盛り込まれています。
◎ 賃下げが容易に?
経団連の要望にないものも。一つが「労働条件の変更規制の合理化」です。
現行では合理的な理由もないのに、賃金を半分にするなどの大幅削減は認められません。
こうした過去の裁判例の考え方が労働契約法の条文となっています。
これに対し、規制改革会議は「労使の合意があれば、変更後の就業規則の合理性を推定すべき」としており、警戒が必要です。
勤務地や職種を限定して採用した社員の雇用ルールの策定、現在は学校を通している高校卒業予定者への求人募集を直接行えるようにすることなども盛り込んでいます。
◎ 医療をもうけの道具に
保険外診療と保険診療を併用する「混合診療」にも道を開こうとしています。
「混合診療」とは、例えばがん治療で、未認可の抗がん剤を自費にして、他の治療は保険診療にするということ。現状では認められていません。
というのも、現行の医療制度は、国が治療法や薬について効果や安全性を保証し、必要な医療サービスを全国同じ医療費で提供するという原則で運営しているからです。
「混合診療」を認めてしまえば、国の責任は後退してしまいます。
規制改革会議は「先進的な医療技術の恩恵を受けられる」と規制見直しの目的を挙げていますが、逆に、保険で最先端医療を利用できる範囲が狭められ、お金のない庶民は必要な医療を受けられないという事態が生じかねません。
この規制緩和も小泉政権当時の経団連の要望にありました。
いわば医療を儲けの道具にする政策。
国民皆保険制度を守る観点から懸念する声が大きく、具体化が断念されたものです。
以上、「連合通信・隔日版」
◎ 〈用語解説〉解雇規制
労働契約法では、正当な理由のない解雇を認めていません。
雇用側の都合で解雇するには、
(1)必要性があること
(2)解雇を避ける努力
(3)人選が合理的か(4)十分な労使協議
――の要件を満たさなければなりません。
「連合通信・隔日版」130219より引用
品格のない経団連が毎年政府に提出している「規制改革要望」とうり二つの内容です。
それではその記事を紹介します。
◎ 解雇規制緩和に道開く / 規制改革会議が検討 / ゾンビ政策のオンパレード
衣の下から鎧(よろい)が見えた――。
安倍政権の肝入りで発足した※「規制改革会議」(議長・岡素之住友商事相談役)は2月15日、解雇規制の緩和やホワイ トカラー・エグゼンプション(残業代ゼロ制度)につながる検討項目を打ち出しました。
※「規制改革会議 平成25年」の「平成25年2月15日」のPDFファイルを見てみて
経団連が毎年政府に提出している「規制改革要望」と重なる点が多いばかりか、それ以上に労働者保護を弱めかねない内容です。
「混合診療」など国民皆保険制度を掘り崩す制度改悪も俎上に乗せました。
どれも、※小泉・安倍第一次政権時に世論の猛反対を受けて、お蔵入りせざるをえなかった「ゾンビ政策」のオンパレード。
安倍首相が過去の失政を何も反省していないことの表れです。
※小泉・安倍第一次政権時に世論の猛反対を受けて、お蔵入り→小泉改革で、悲惨な目に合わされたのに、さらにそれをバージョンアップした「一連の安倍改革」。全部、「昔の名前で出ています」法案の復活。
◎ 経団連要望とそっくり
規制改革会議は首相の諮問機関。
健康・医療、エネルギー・環境、雇用など4分野について規制を見直す検討項目を示しました。
アベノミクス「3本の矢」の一つ、成長戦略に盛り込むといいます。
雇用分野では13項目を提示しました。
このうち、事務や研究開発系の労働時間規制の見直し、解雇無効の際の救済の多様化、医療分野などでの派遣規制の緩和――など8項目が、経団連のこれまでの規制改革要望と重なります(表)。
事務や研究開発のホワイトカラー労働者については8時間労働制の適用や、残業代支払い義務をなくす法案が06年に検討され、対応をめぐり世論が沸騰。
当時 の安倍首相は翌年、法案化を断念し、その年の秋に政権も投げ出しました。
裁判所が解雇無効と断じても、原職復帰させない「解雇の金銭解決制度」も同年、労 働契約法に盛り込むことが狙われましたが、労組の反対が強く、お蔵入りとなったものです。
労働時間規制を柔軟にする「裁量労働制」の緩和や派遣労働の規制緩和も経団連と同様の文言で盛り込まれています。
◎ 賃下げが容易に?
経団連の要望にないものも。一つが「労働条件の変更規制の合理化」です。
現行では合理的な理由もないのに、賃金を半分にするなどの大幅削減は認められません。
こうした過去の裁判例の考え方が労働契約法の条文となっています。
これに対し、規制改革会議は「労使の合意があれば、変更後の就業規則の合理性を推定すべき」としており、警戒が必要です。
勤務地や職種を限定して採用した社員の雇用ルールの策定、現在は学校を通している高校卒業予定者への求人募集を直接行えるようにすることなども盛り込んでいます。
◎ 医療をもうけの道具に
保険外診療と保険診療を併用する「混合診療」にも道を開こうとしています。
「混合診療」とは、例えばがん治療で、未認可の抗がん剤を自費にして、他の治療は保険診療にするということ。現状では認められていません。
というのも、現行の医療制度は、国が治療法や薬について効果や安全性を保証し、必要な医療サービスを全国同じ医療費で提供するという原則で運営しているからです。
「混合診療」を認めてしまえば、国の責任は後退してしまいます。
規制改革会議は「先進的な医療技術の恩恵を受けられる」と規制見直しの目的を挙げていますが、逆に、保険で最先端医療を利用できる範囲が狭められ、お金のない庶民は必要な医療を受けられないという事態が生じかねません。
この規制緩和も小泉政権当時の経団連の要望にありました。
いわば医療を儲けの道具にする政策。
国民皆保険制度を守る観点から懸念する声が大きく、具体化が断念されたものです。
以上、「連合通信・隔日版」
◎ 〈用語解説〉解雇規制
労働契約法では、正当な理由のない解雇を認めていません。
雇用側の都合で解雇するには、
(1)必要性があること
(2)解雇を避ける努力
(3)人選が合理的か(4)十分な労使協議
――の要件を満たさなければなりません。
「連合通信・隔日版」130219より引用
サラリーマンで自民党を支援している人は気を付けた方がよい。政府の規制改革会議ではサラリーマンの残業代を合法的にゼロにする「ホワイトカラーエグゼンプション」を検討。前回の安倍政権で検討され、不評だった施策。支持率が高いので、便乗してやってしまえというわけ。自民は何も変わっていない。
— 平野 浩さん (@h_hirano) 2013年3月22日
【改革利権?1】人材派遣会社会長を務める竹中平蔵氏が委員である産業競争力会議が、成長産業への人材移動が円滑に進むように企業に転職助成金を出す方針。正社員の解雇規制の緩和です。小泉時代に宮内オリックス会長がやった規制改革会議にそっくり。goo.gl/dAfNc
— 金子勝さん (@masaru_kaneko) 2013年3月16日
【改革利権?2】産業競争力会議で、三木谷楽天会長が医薬品のネット販売解禁運動。参考人扱いでなく、利害当事者が自己利益を国家戦略として語るのが当たり前?原子力ムラと同じ。TPPで成分の違う米国製医薬品が入ってきたらどうする?滅茶苦茶。goo.gl/CCV3t
— 金子勝さん (@masaru_kaneko) 2013年3月16日
(管理人)
安倍内閣は、TPP参加を前提として、日本型経営のアメリカナイゼーションを急いでいる
繰り返し書きますが、今、「改革」と称して安倍内閣の下で進められていることは、「大文字のアメリカ」が「大文字のニッポン」に要求していることを、国民が気がついて騒ぎ出す前に、一気呵成にやってしまおう、ということです。
ホワイトカラー・エグゼンプション(残業代ゼロ制度)は、第一次安倍内閣のときに、労働者側の猛反対にあって、頓挫しました。
ホワイトカラー・エグゼンプションを是とする御用学者たちは、「日本の雇用体系と賃金体系との間にミスマッチがある」という主張をしています。
たとえば、企画業などの場合は、会社でいくら残業をしてもいいアイデアが浮かぶというものではありません。
散歩をしていたり、車の運転をしているときに、ポッと斬新なアイデアが浮かんできて、大ヒット商品が生まれることがあります。
トレーディングなどの一匹狼的な成功報酬型の業務に従事している社員は、成果を出すことだけを求められます。
社内のムードムーカーとして、なくてはならない存在であっても、まったく評価されません。
しかし、こうした人々は、「人知れず努力し勉強する」ことで、成功を掴むことができるかも知れません。会社勤めでも、ハイリスク、ハイリターンを求めるアドベンチャー精神に溢れた人も多いからです。
ホワイトカラー・エグゼンプション(残業代ゼロ制度)が、もろに影響するのは、いわゆるルーティーン型の業務に従事している社員たちです。
彼らには、時間とコスト、その結果として生産効率というモノサシがそのまま適用されるようになります。そこには人間味はありません。
まるで、チャップリンのモダンタイムスのような世界です。
企業側としては、産業競争力を高めるためには、限られた原資をリスクを克服するために使いたいと思うでしょう。
残業代は払わないが、ヒット商品を生み出せば、それに見合ったボーナスを支給しますよ、という具合に。
これは企業側にとっては、ハイリスクのビジネスに挑戦する場合、リスクを減らし、それを克服することになると同時に、社内のインセンティブを高めることになるはずです。
経営側としては、このように考えるのですが、果たして、こうした考え方が日本人の感性に合うのかどうか。
TPPに参加すれば、いずれ公用語は確実に英語になるでしょうから、英語でものを考える日本人が多くなってくれば、こうしたリスクに対する考え方も変わってくるかもしれません。
本質的なことは、日本の心や文化を破壊し売り渡しながら、その見返りとして、持続的な経済成長を続けていくことができるのかどうか、ということです。
アベノミクスの虚構がはがれる前に、次々と法案を通してしまいたい
なぜ、安倍晋三は、こんなに急いでいるのか。
「浦島太郎の経済学」と揶揄されているアベノミクスの嘘が、もうじき明らかになってしまうからです。
今後、10年の間で建設国債200兆円分を発行し、公共事業に投資しようというのが大きな柱になっています。
当初、「日銀による直接引き受け」とも取れるあいまいな答弁を行っていた安倍ですが、予想以上の反響の大きさに、「あくまで市場から日銀が買い取る」という発言に後退させてクールダウンさせました。
しかし、この赤字国債の引き受け手が、本当に出てくるのか見通しがついていないのです。
もし、銀行などの金融機関が国債を引き受けることを拒否した場合は、アベノミクスは一瞬にして崩れます。
おそらく、国内の金融機関や機関投資家だけでは、200兆円分の国債を引き受けられないでしょう。
そうならないように、日銀総裁に元財務官僚の黒田東彦氏を起用し、万が一の場合には、禁じ手の「国債の日銀による直接引き受け」も辞さずの構えを取っているのですが、これもあまり時間がないのです。
問題は、海の向こうのウォール街から、「いつまで待たせるんだ、日本株の株高は俺たちが演出しているんだぞ、早く成果を出せ」と無言のプレッシャーをかけられているからです。
また、去年12月の衆院選に、東京高裁に続いて札幌高裁も違憲判決を下しました。
そして、福岡高裁、名古屋高裁と続いて高松高裁も違憲判決を出しました。
ただし、今まで判決を出したすべての高裁が「違憲状態」としつつも、「選挙無効」は退けました。
最高裁も「違憲判決」を下すことは確実ですが、さらに「選挙無効」の判断が下される可能性もゼロではありません。
とにもかくにも急いで既成事実をたくさんつくってしまおう、というのが安倍政権の無法者ぶりを助長しているのです。
結局、TPP参加の条件を整えるために、すべてが、つんのめるように前倒しで進められているということです。
そこには、国民の意見が入り込む余地はありません。
すでに独裁政権の色合いが日に日に色濃く出てきているというのが今の安倍政権なのです。
そうした風向きを察知してか、TPPに慎重な自民党議員でつくる議員連盟「TPP参加の即時撤回を求める会」(森山裕会長)は、22日の会合で、名称を「TPP交渉における国益を守り抜く会」に変更し、「条件闘争」に重点を移した模様。
名前だけ変えて、自分たちの主張に整合性を与えようというのは、除染がなかなか進まず、「1ミリシーベルトを目指すのは難しいから、緩和して欲しい」と言い出した子殺し知事の佐藤雄平と同じです。
当初、TPPに反対していたはずの自民党議員は、それなら「サラリーマン殺し議員」とでも言おうか。まったく姑息な連中です。
第一次安倍内閣が発足した2007年5月、このサラリーマン殺しのホワイトカラー・エグゼンプション(残業代ゼロ制度)を進めようとしていた連中はなんと言っていたか。
第一次安倍政権が言っていたこと---
労働者を簡単に解雇できるようにして何が悪い?
解雇規制を緩和したうえ、労働者派遣を完全自由化したら「どん底への競争」になるとの主張に対しては、
「それで何が悪いのか。路頭に迷うのと、せめて派遣 で働けるのと、どっちがいいのですか」、
「市場の失敗がない以上は労働行政の役割はほとんどいらない」。
これが当時の安倍政権の下で認められた労働規制改革 の方向性だった。
労働者を簡単に解雇できるようにして何が悪い?
解雇規制を緩和したうえ、労働者派遣を完全自由化したら「どん底への競争」になるとの主張に対しては、
「それで何が悪いのか。路頭に迷うのと、せめて派遣 で働けるのと、どっちがいいのですか」、
「市場の失敗がない以上は労働行政の役割はほとんどいらない」。
これが当時の安倍政権の下で認められた労働規制改革 の方向性だった。
雇用する側が、簡単に解雇できるようにし、労働移動が活発に行われるようにする--。
産業構造のパラダムシフトを促すことは重要です。
しかし、それを企業を本当に支えている労働者の犠牲の上に進めようという考え方は間違っています。
これは壮大な詐欺行為です。
労働者の派遣が完全自由化されれば、これを推し進めようとしている竹中平蔵が取締役会長を努める人材派遣会社「パソナグループ」の売り上げは飛躍的に伸びるでしょうけれど、パソナが上げる利益は、結局は巡り巡ってあなたに本来、支払われるはずの残業代であることを理解するのは、いつのことでしょう。
自民党政権下では、小泉純一郎→安倍晋三→福田康夫→麻生太郎と、めまぐるしく日本の首相が変わってきました。
一貫していたのは、対米従属・売国政策でした。
ただ、福田康夫だけは、対中国政策に傾倒していきました。
そして、米国債を買え、とワシントンのゴロツキに恫喝され、それをかわすために首相の座を降りたのです。
福田が中国に接近しすぎたこと、そして、彼がワシントンにとっての「使えるバカ」でなかったことが、彼を首相の座から引き摺り下ろしたのです。
さてさて、残りの3人のうちで、もっとも「使えるバカ」である安倍晋三は、果たして、どこまで私たちを奴隷にしてくれるのでしょうか。
彼らがやってきたここといえば、ワシントンが押し付けてくる年次改革要望書を忠実になぞることでした。
自民党の議員が口々に言う、「自民党には人材が豊富」というのは、年次改革要望書を、何も考えず、そのまま実行する能力のことを言っているのです。
もともと政策立案能力など自民党の議員にはないのです。
彼らはトリックを使ってきたのです。
小泉純一郎から始まった過酷な売国政策は、日本のTPP参加への下準備に過ぎなかったというわけです。
日本を是が非でもTPPに参加させようという動きは、小泉政権のときに、すでに始まっていたのです。
TPPとは、年次改革要望書を集大成して、より戦略性を持たせものに過ぎないのです。
そういう意味で、福田康夫を除く小泉以下の首相は「TPP的人々」と形容することができます。
要するに、このままボーッと安倍政権の狂奔を見てみぬフリをしていると、気がついたときには、残業手当がカットされ、情け容赦なく解雇される恐怖を味わいながら会社勤めしているなんてことになるかもしれない、ということです。
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