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5月26日 福島第一原発入構取材の一部始終
5月26日、「第3回目・福島第一原発敷地内入構取材」が実施されました。
目的は、一斉にテレビ、中央紙にまで取り上げられるようになった4号機の使用済み燃料プール倒壊についての懸念を払拭するためです。
細野環境大臣自らが4号機建屋に上がって、安全性をアピールすることが目的です。
日本の大マスコミ、インターネットメディア、海外のメディア、そしてフリージャーナリストが、この入構取材に応募しました。
ただし、フリージャーナリストの枠はたったの二人だったため、14名の応募があったものの、抽選で決められました。
14名のうち7名は、抽選の前の事前審査で「要件を満たしていない」という理由でふるい落され、結局、残りの7名で2名の枠を奪い合うというかたち。
事前審査で「要件を満たしていない」とされたのは、「福島第一原発の記事を署名で書いていない」という理由からです。
福島第一原発のことについて、一度も記事を書いていないジャーナリストが、建屋を見て書いた場合、誤伝が発生する恐れが記事は、やはりクォリティの低いものしか書けないでしょう。
もっとも、テレビ、新聞の大マスコミのほうも、4号機建屋内の撮影を制限され、許可されたのは、ムービーが4台、スチールが4台のみ。
さらに、細野大臣一行に随行できるのは、テレビ局、大新聞のスチール2名、ムービー2名に絞られました。
フリージャーナリストの2名も撮影禁止で、東電の社員が撮影した写真を、後に提供を受ける、という形になりました。
ムービーでは、IWJとニコニコ動画が合同で撮影を許可されましたが、4号機建屋に入ることは許可されませんでした。
この模様は、現在、IWJ↓(クリック)で配信されています。
IWJの取材クルーがムービーを持って撮影しています。
動画は長いので3本に分割されています。
続きは、この最初の動画ページの下に、サムネールがあるので、その画像をクリックしてください。
無料配信期間が過ぎると、視聴するには会員登録(有料)が必要になります。
こちらです→http://iwj.co.jp/
キャプチャーを取らせてもらったので、お礼に宣伝しておきます。
4号機建屋に入って、間近で使用済み燃料プールを見ることができるのは、細野大臣と内閣官房、資源エネルギー庁、そして“選ばれた”大マスコミのカメラクルー4名のみで、大勢の記者団とは別行動。
その動画は、テレビで放送されました。
4号機、破壊された原子炉建屋の内部
福島第一原発4号機の建屋内部、初公開
上のyoutubeが視聴できなくなった場合は、下へ。
Daily Motion 福島第一原発4号機の建屋内部、初公開
大勢の記者団の入構取材のコースは、以下の通り。
①Jビレッジ(防護についての記者へのブリーフィング)
↓
②バスで20km先の福島第一原発・免震重要棟へ移動。
↓
③免震重要棟着後、事前の軽食、東電社員へのぶら下がり取材、防護服への着替え
↓
④原発構内をバスで移動、1~4号機の見渡せる高台へ
↓
⑤バスで構内案内
↓
⑥Jビレッジへ帰着
↓
⑦Jビレッジ内で細野大臣、東電役員への取材
最初から最後までIWJで、今のところ全編、無料配信されています。
以下は、そのポイント、ポイントのキャプチャーです。
5月26日 朝9時頃、Jビレッジで福島第一原発再と都内に入るための記者たちへのブリーフィングが行われました。
放射能防護用に、二種類のセットがすべての取材陣に配られました。
●これらが福島第一に着いてから着用するもの
・全面マスク
・タイベック・スーツ(全身防護服)
・綿の帽子
・綿の手袋とゴムの手袋が二組
・靴カバー
●Jビレッジから福島第一原発の免震重要棟までのバスの中で着用するアイテムのセット
・紙のマスクと綿の手袋、、ビニール手袋、靴カバー(これらはビニールの袋に入っている)
東電職員から、丁寧な説明受けたあと、・9時55分頃、バスに乗ってJビレッジを出発。20km先の福島第一原発の免震重要棟に向かう。
Jビレッジの外に出ると、1マイクロシーベルト/時。
バスの座席は、ムービー、スチール、記者と、あらかじめ配置が決められている。
出発直前に、愛想のいいセキュリティが入って、入構証の確認がされる。
出発時は、紙マスクの軽装。
Jビレッジから福島第一まで20km。出発。
走り始めてすぐの道の駅で、警察の検問があります。
他の県から警察官が応援にかけつけています。
ここから先は、一般の車は入ることが制限されています。
ここで1.7マイクロシーベルト。
警察の検問を通過して、走り始めて2分で1.4マイクロ。
5分後、楢葉町役場を過ぎたところで1.5マイクロ。
福島第二原発の横を通る。福島第二の排気塔。
福島第二原発には、東電の安定化センターという組織が間借りをしていて、毎日、福島第一にやってきて作業をしている。
大熊町に入った所。福島第一原発から直線距離で5kmのところ。
この辺りは、郊外店舗が集中している場所。
道の両側に立ち並ぶ大型商業施設は、地震によって窓ガラスや支柱にヒビが入ったりして損壊が激しい。
管理人はいるらしいが、ほぼ無人状態。
福島第一の正門に行く進入路手前。直線距離で3km。死の街と形容する以外に言葉が見つからない。
ここは5.5マイクロシーベルト。
福島第一原発正門の直前。
ここで10マイクロシーベルト。そして、すぐに11マイクロに上がる。
正門を通過して原発構内に入ったところ。
ここで10マイクロシーベルト。
車の除染場↑付近で8マイクロ。
原発から出てくる車は、ここでいったんサーベイを受けた後、必要があれば除染を受ける。
やっと、免震重要棟が見えてきた。
バスは、免震重要棟玄関前に着けた。
免震重要棟に到着したとき、バスの中で16マイクロシーベルト。
バスを降りて外に出た瞬間に30マイクロシーベルト。
外は40マイクロシーベルト。
免震重要棟に入る。
免震重要棟の入り口(建物の内部)付近は、2マイクロ。
2階以上は0.5~1マイクロと、線量が下がる。
免震重要棟は、除染が進んで、管理区域から非管理区域になったとのこと。
ここで11時過ぎまで軽い食事(無料)、トイレなどの休憩。
免震重要棟の職員が、記者たちの間に入って、雑談形式の取材に応じています。
免震重要棟では、平日500人~700人の職員が働いています。
この日は休日ということもあるのか、100人から150人に減らされています。
福島第一原発プランド全体では3000人(平日)。
女性の従業員は被曝の危険性が高いので一人もいない。
この日は土曜日なので、プラント全体で1160人。
内訳は、東電社員160人。協力企業で1000人。
(土日の作業員の数は、だいたい1000人程度)。
この場でフリージャーナリストが、面倒見のいい東電職員に取材したところ、
4号機の使用済み燃料プールに収容できる法的な最大収容量は1590体。
現在は、発表しているとおり、1535体入っている。。
1535体の内訳は、
使用済み燃料の集合体は、783体。
未使用の燃料集合体は204体。
一時取り置き(定期点検のときにシュラウド交換するので、一時、途中まで使っていた燃料を取りだしたもの)の燃料集合体が548体。
通常は、定期点検のたぴに、全量の3分の1の燃料集合体を交換する。
燃料集合体、1体には48本の燃料棒が入っているので、正しくは1535体の燃料集合体。
燃料棒という言い方は間違い。
(今まで、燃料棒と燃料集合体と、まちまちに使っていましたが、これからは燃料集合体に統一します)
今現在、4号機の使用済み燃料プールの総重量は、1535体の燃料集合体と、プールの水、燃料容器(ラック)の重さを合計して、総重量1670トンだということです。
中型船舶一隻分の重さが、壊れかけた建屋の上に載っている形になっています。
建屋やプールの構造的な強度については、外部の専門会社が行い、その結果を東電が受けて評価する。
それを保安院に報告。
保安院内で、さらに「健全性評価委員会」を設置している。
この健全性評価委員会には外部の委員が入っていると保安院は言っているが、中立性のある委員かどうかは分らない。
建屋の傾きというのは、爆発で壁が剥離して、建屋の内側に入り込んでいるので、外から見ると膨らんだり、へこんだりしているので、傾いているように見える、と、この東電職員が説明。
それは、7mm、15mm、33mmというわずかなものだと説明する愛想のいい職員。
こうした免震重要棟で働いている東電職員は、現場で被曝上限値を超えてしまっている人が多いとのこと。
1年以上は原子炉の現場には出ることができないので、配置換えで免震重要棟担当になっている人が多いらしい。、
危急時対策本部に移動。
間もなくやってくる大臣一行がここで訓示をたれる。
細野環境大臣:
世界の英知を集めて作業を進めていく。
作業の透明性を保つ。
世界が見ている。
今後何十年にもわたって、廃炉の作業がある。
とにかく、作業員の方々は体調に気をつけて欲しい。
しかし、確実に、慌てることなく、一歩一歩安全に進めて欲しいと訓示。
続いて、柳澤経済産業副大臣の訓示。
復興庁として、国土交通省、農水省などが縦割りを超えて一本化した、と話している。
園田政務次官。
緊急時対策本部から別室に移って、いよいよ福島第一原発の建屋に近づくために、放射線防護の用意を始める。
「大臣に同行するマスコミの方、スチールとムービーの方含めて4名の方だけ前の方へきてください。
装備が違ってきますので。
着替えについては、我々のサポートが付きます」
と、取材陣に呼びかける職員。
福島第一原発入構取材ノーカット映像ーその2
タイベック(防護服)着用の仕方を説明する東電職員。
この職員も、おそらく被曝上限値を超えているのでしょう。
東電が用意したタイベックの背中には、どの社か分かるようにマジックで書いたり、シールを貼る。
靴カバーを着け、線量計をタイベックの中に着ける。
記者たちが着用するのは、7月から使用される新型のタイベックスで、メッシュタイプの通気性のいいもの。
「これで大丈夫か、と心配になる」記者。
新型のほうが、生地が厚く目が粗い。
通気性は、大分改善されたが、それでも暑い。
全面マスクの着用の仕方を指導する職員。
息を吸い込んだり、吐いたりして、漏れがないように調整する。そして、マスクが密着するようにシールでふさぐ。
この神経を使う手順を、完璧にやらないと、内部被曝してしまうから手を抜くことはできない。
何度やっても、漏れがある場合は、マスクの形状が顔の形に合わないので、マスクを交換したりする。
いったん着用すると、立っているだけで息苦しくて暑い。
この着替えをした室内は0.57マイクロシーベルト。
防護服を着て、いよいよ原子炉建屋に向かうバスの乗り場へ。
免震重要棟の中でも、線量がとても高い場所がある。
ここは、外に近いので、14.8マイクロシーベルトある。
免震重要棟から出てバス2台に分乗する取材陣。
重装備の取材陣を乗せたバスは、まず、4号機原子炉建屋の横に向かう。
カバーで覆われた1号機建屋と海が見えてきた。
バスは、4号機建屋のすぐに近くで停車。
外に出て4号機建屋を近くで見る。
4号機建屋から、取材陣が立っている場所までの距離は70m。
線量が高いので、わずかな時間しかいることができない。
凄まじい爆発の痕を目のあたりにする取材陣たち。
「余計なものに触らないでくださ~い」と、案内の職員が何度も繰り返す。
しかし、「危険ですよ」と言えない東電社員の辛さが、ここにある。
本当に、これが3号機から地下の配管を伝って4号機建屋に入り込んだ水素ガスによって破壊されたものだろうか?
全体の破壊の規模そのものは、チェルノブイリ以上でしょう。
このちょっとした高層ビルほどの高さの赤いクレーンの先につけた装置で、建屋の壁を切ってはがしたり、潰したり、崩落の危険性がある部分のコンクリート、鉄骨を撤去しているとのこと。
このクレーンで重機なども建屋の上に運んだりするのでしょう。
大きな地震が起きたとき、クレーンの作業員の恐怖はいかばかりか。
よく今まで倒れなかったものです。
使用済み燃料プールの水面は、この「心をひとつに」の横断幕のあるところにある。
取材陣たちに、一生懸命、説明をする東電の職員。
東電職員:
「原子炉建屋の構造について、少しお話させていただきたいと思います。
原子炉建屋と言いますのは、使用済み燃料プールと、格納容器、あるいは原子炉圧力容器を支える部分が1m、あるいは1m以上、いちばん厚いところでは、1.8mという厚い壁で構成されていまして、西側の壁が水素爆発によって、著しく破損しましたが、使用済み燃料プールや、原子炉格納容器、圧力容器を支えている厚い壁は、まったく傷んでおりません。
今、内側の壁が大きく破損していますが、ちょうど4階辺りで水素爆発が起こって、4階、5階部分のほとんどが吹き飛びました」
と、建屋の健全性をアピールしています。
15分ほどで、この場を離れて、再び取材陣は車上の人となる。
バスの中では、職員から(不謹慎な表現ですが)観光案内のように敷地内にある施設の説明が行われる。
これから、バスは1~4号機すべてを見渡せる高台に向かう。
高台に到着。
ここは4号機から300m離れた場所。
線量は40マイクロシーベルト。
4号機をズームで。
高台の駐車場の法面から線量計を4号機の方向に向けると、線量は一気に倍の80マイクロに跳ね上がる。
細野大臣の一行が遠目にも確認できます。
随行しているのは、内閣官房と資源エネルギー庁の官僚、そして“選ばれた”テレビ、新聞のムービーとスチールのカメラマンたち。
細野大臣の一行が続々と使用済み燃料プールに上がってきた。
彼らの立っている場所の線量は100~300マイクロシーベルト。
青い重機が、5階のオペレーション・フロアに載っている。
その風景は、こんな感じなのでしょう。↓
この青い重機は、現在では「屋上」になっているオペレーション・フロアの上に載せられて、瓦礫の撤去など、細かい作業を行っている模様。(写真は朝日新聞から拝借)
再びバスに乗って、この高台を出発。
バスが、発電施設や注水施設の脇を通るたびに、東電職員から説明を受ける。
福島第一原発敷地内のはずれ。ここは、バスの中でも65マイクロ。
バスは、途中で車の除染場に立ち寄り、放射能のサーベイを受ける。
バスのエンジンを切って、放射線量の測定が終わるまで待つ。
係員が5~6人がかりで入念にチェック。その間、20分くらい。
バスの中は、大勢の人が乗っているにも関わらず沈黙が続く。
ときどき鳴る線量計のアラーム音が沈黙を破る。
これが夏だったら、と想像するだけで気が遠くなる。
今回は、記者団を乗せて4号機のすぐ近くを走ったので、線量を入念にチェックする。
普段は、Jビレッジと免震重要棟の間を走っているので、これほど入念に線量を計ることはないとのこと。
すべてのチェックを終えて、バスはJビレッジに戻る。
帰りは、取材陣も緊張から解放されて疲れが出てきたのか、みんな沈黙。
バスはJビレッジに戻ってきました。
すかさず、代表のメディアのムービーと、細野大臣と東電幹部の、ぶら下がり記者会見のために、立ち位置の打ち合わせをする東電職員。
↑「すみません、代表のTBSです。
最初、大臣から感想を聞いて、後はフリーでお願いします」。
この会見はTBSが仕切っているようです。
細野大臣、東電常務・小森明生氏が記者たちの質問に答えました。
細野大臣:
「お疲れ様でした。
今日の視察の目的は、4号機のプールについて、さまざまな懸念を表明する方がいらっしゃいますので、健全性について、あらためて、私の方で直接確認をしたいということで、やってまいりました。
線量も少しずつ下がってきましたので、メディアのみなさんにも、できれば入っていただきたいということで、限定をした人数にはなりましたが、公開することもできました。
(注意!)水平性の確認であるとか、さらにはプールの底部の補強の状況についても確認することができましたので、その意味では、いい視察ができたと思っております。
また、燃料の取り出しについては、まず最初に4号機という大きな作業ということになりますが、その準備も進んでいることを確認することができました。
依然として厳しい環境にあることは、あらためて行ってみて感じましたが、その中で、本当に作業員のみなさんが大変な努力をして、ここまでの作業を確実に積み上げてきていただいたということを、その努力に対して、あらためて敬意を表したいと思っております。
補強の下の部分(使用済み燃料プールの底部分)の作業などは、去年の4月から6月頃までやっていまして、私も日々、その作業を東京電力の方に確認をしていたんですが、あれほど過酷な環境の中で作業をやっているというのは、中に入って初めて分かりました。
そのときは認識をしておりませんでした。
あらためて、本当にここまで来るには作業員のみなさんの大変な努力があったわけですので、そのことを、できればメディアのみなさんにも再認識していただいて、彼らの頑張りを報じていただけると非常にありがたいなと思います。
4号機のプールについて、さまざまな懸念がある中で、陸側の、約3cmほどのふくらみがある、ということが昨日、明らかになりまして、そのことで、ご懸念を持っておられる方もいらっしゃると思います。
私どもの分析では、震度6強の地震が来ても、4号機については大丈夫であると、健全性は維持されると分析をしておりますが、その3cmに膨らみというのは、プールから離れた場所ではありますけれども、楽観的に見るのではなくて、厳しく認識をして、再度、安全性について確認することは東京電力のほうにやってもらいたいと思っております。
すでに保安院のほうからも、そういう指示が出ております。
そういったさまざまな問題があるのも事実でございまして、ひとつひとつ事実を確認して、透明性の高い形で、みなさんにお知らせをしていきたいと思っています。
その一方で、今日、作業員のみなさんとも少し話をしたんですが、やはりですね、みなさん、本当に頑張ってやっておりまして、その中でここまで進んできているんですね。
ですから、3月、4月、水漏れのことでみなさんにご心配をおかけしましたけれども、あれも作業としては、ほぼ解決をするところでまで作業が進んできたという、そういう認識を私は持ちました。
ぜひ、みなさんには、彼らが成果を出したところも報じていただきたい。
問題のあるところは、我々が、それこそ作業員のみなさんとしっかりして、解決に向けて努力をしていきたいと思うのですが、やはり作業をやっている人達も人間ですから、そういった方々が、しっかりと肉体的にも精神的にも健康で、これからやってもらうためには、国民のサポートというのが不可欠です。
また、世界のサポートというのも不可欠なんです。
そのことを知っていただくためには、メディアのみなさんが、これから非常に重要な役割を果たします。
今日、あらためて皆さんに申し上げたいことは、さまざまな課題があることはもちろん事実ですから、今日、公開したことを報じていただくのはみなさんの当然の役割だと思います。
その一方で、彼らの頑張りを、できれば報じていただいて、その中で廃炉に向かって歩んでいることを、ぜひ国民のみなさんに知っていただきたいと思います。
私からは以上です。
(注意!)「水平性の確認」という文言ですが、水平方向の傾きがないことを確認したと言っているだけです。垂直方向の傾きには触れていません。
動画を視聴できる人は、このときの細野大臣の顔を観察してください。分かるはずです。
記者の質問:
えーと、川内村の人は、今帰還が始まっていて、帰還できない人の中には、やはり本当に安定しているの、という懸念を持っている人が多いかと思うんですけれど、そういった中で4号機がこういった事態になったとき、こういう避難の指示を出すとか、あるいは、こういった準備をしてほしいとか、想定していますでしょうか。
細野:
いろんな状況に応じて、さまざまなことを考えなければならないのは行政の大きな責任だと思います。
ただ、4号機のプールに関して、新たな懸念が生じているというようには思っておりません。
昨年の年末に冷温停止状態を確認したときに、さまざまな事案を想定して、それでも避難をしていただく必要がない、ということについては、慎重な確認をしたうえで判断をしておりますので、そういう状況ではないと認識しております。
記者の質問:
4号機プールの健全性は確認できたということなんですけれど、逆に視察なさって、何か課題のようなものはお感じになりましたでしょうか。
あるいは、すべてスケジュールどおり順調に行っているということを、あらためて確認したということなんでしょうか。
細野:
最大の課題は、長い目で見たときに、やはり、人をしっかり、やる気もあって、能力も高い人材を確保することだと思います。
去年の発災以降、事故に取り組んでいるみなさんが多いですから、今は非常に高い意識で結果を出していただいているというふうに思います。
これを30年、40年と続けていかなければなりませんので、その間、どう人材を確保して、技術をしっかりと伝承した上で、新たなものを導入していくのかというのは、まだまだ課題は残っていると思います。
そこは事業者に任せるのではなくて、国としても、しっかり関与する余地があると思いました。
記者の質問:
今日、お話された作業員の方というのは、どれぐらいの年代の方なんですか?
細野:
今日、話をしました作業員の方は、年輩の方から中堅の方まで、40台の方、50台の方、その辺りの方が多かったです。
東京電力の方もおられましたし、関係会社、建設会社の方もおられましたので、できるだけ幅広くという思いがありましたので、それをかなえていただいたという形でした。
30分ちょっとでしたけれども、率直な話を聴くことができましたので、設定をしていただいて非常に良かったなと思っております。
※以下、記者の質問は、あまり意味がないので割愛。
次は、東電の常務、小森明生氏のぶら下がり記者会見。
小森:
福島第一の4号機につきましては、みなさんのご関心、ご懸念も高いと我々も認識しております。
4号機は、定期検査中、3月11日に被災、あるいは(3月11日以降に)爆発をしておりますけれども、3号機の水素が4号機側に流れて、4号機自身は定期検査でしたので、炉心の溶融ということはございませんでしたけど、なぜ爆発をしたかということは、我々は3号機側からの水素による爆発があったのではないかと。
まあ、その根拠の一つとしては、使用済み燃料プール、あるいは原子炉の上にありますフロアより下の部分が、原子炉の壁が破損していることも含めまして、水素ガスが空調のダクトの中で流れてきているというのも、ひとつの傍証でございますが、逆に、そういったところで、他の建物の爆発の破損とは、ちょっと状況が違うと、というところでご懸念もあるのかなとも思います。
※東電は、4号機建屋の爆発については、100%3号機から流れ込んできた水素ガスによるものであると確信を持つに至っていないようです。
現状は、大臣からもお話がありましたとおり、プールを守りつつ、使用済み燃料がプール内に全数ありますので、それを早く取り出すための作業を進めてきた、というところであります。
最初の段階では、あそこのフロアまで上るということも、なかなか大変でございましたけれども、作業ができる状況までしてきておりますし、現状は上にありました燃料交換機とか、あるいは天井クレーンなども撤去しまして、ある面では、そういったもののリスクを減らすようにしつつ、今、いちばん上のフロアについての瓦礫撤去を進めて、カバーをつけて、重機のあるカバーになりますので(燃料集合体を取り出す新しいクレーンなどが最初から装着されているカバー)、今、基礎工事も着工してという状況ですので、確かに簡単にはいかないので時間はかかりますけれども、燃料プールからの燃料取り出しに向けて、日々、作業を進めているというところでございます。
また、それに関連して、ご懸念がございましたので、かなり詳細に調べられるようになったのも、垂れ下がった瓦礫というものも撤去してですね、調べられるようになりましたので、先週にかけて、強度だとか、あるいは外壁の傾きだとか、そういったもの調べて、昨日、報告させていただきました。
※例の「水が水平である性質を利用して」の水平検査では、あまりにも幼稚なので、保安院がレーザーでも何でも使って、もっと細かく検査するように言ったから。
いずれにしましても、経過的な観察が必要ですので、四半期ごとにしっかり見て、また評価が必要であれば評価をして、皆様方にご説明をしていくということで、健全性を確認しつつ、燃料取り出しの作業を行っていくと、そういうことでいっておりますので、本日、その一端がご覧いただけたのではないかなと思います。
記者の質問:
構造的な健全性とともに、作業をしている最中に余震が襲ったら、どうするのかとか、津波の警報が出たらどうするのかとか、そういった手続きについて、あまり見えてきていない。
今日も、私たち、建屋のすぐそばまで行って、バスから降りたわけですけれども、そのときに余震が起きたら、どうするのかということをお訊ねしたいんですけれども。
小森:
地震だけでなく、いろいろなリスクがありますけれども、作業安全というのが第一と考えております。
それで落下防止という意味でも、その、国交省の作業における親綱を張って、そこに安全タグをかけるとかですね、そういうのが一つと、地震になった場合の、どの場所にいるかによっても状況が違うと思いますが、基本的には建物の陰といいますか、中に入っていただく場合でも、なるべく下のほうの比較的安定したところに行くとかですね、まあ、そういうことで、まあ手順とか、そういったことで、今、細かくはあたためておりませんが、朝、ミーティングをやるときにですね、そういったことも各企業さんの中でも確認をしてもらって。
それから、津波の警報が出た場合はですね、退避の指示を、あるいは命令をするということで、免震棟から連絡をする、という意味合いで、日々の作業の中でも連絡者を決めて、津波だけではありませんけれども、現場から引き揚げろ、といったときには、連絡がつけられる状況をつくっている、ということ。
それから、現場のほうで何かあった場合の情報については、免震棟に必ず連絡をするという、そこを基本動作にしているということで、また、周りにいる状況の分らない人に対しても、退避命令を出すとかですね、そういったことをするということで、まあ、どちらかというと、今でも、ある意味防災体制になっていますので、そういう中で、今までもやってきておりますが。
必ずしも地震ということだけではなくて、緊急体制である意味では作業管理をしていると、そういう状況でございます。
記者の質問:
強度は十分だということなんですが、それでも4号機が崩落・崩壊した場合の危険性を言われる場合があるんですけれども、そういう可能性というのは、まったく想定していないんでしょうか。
もし、そうなった場合にはどうするかということは、東電側でも一応は想定しているんでしょうか。
小森:
この間の本震というのは、相当強い地震でありましたし、(注意!)設計をある面では上回っていたという評価を現状、起きてもですね、強度的には大丈夫だろうと、強度の確認も今回しましたし、そういう意味合いでは、今の状態が不安定な状態だとは思っていない、ということです。
(注意!)「設計をある面では上回っていた」と小森常務は言っています。
つまり、津波の前の地震の影響で建屋内の原子炉がおかしくなった、と暗に言っていることになるのでしょう。
ただ、いろんなケースがありえて、たとえば水が出るということもあるでしょうし、そういった場合での水のメイクアップの手順であるとか、それから崩落という意味合いでは、使用済み燃料プール周りの鉄筋の入った厚さ2mにもなるようなものが、いきなりすべてが崩落する、というようなものではないと思っておりますが。
まあ、部分的な損壊といった、そういったことについては、その状況に応じて対応していくと。
むしろ、水の漏えいであるとか、そういったところが最初に予兆として出てくるんではないのかなと思っておりますけれども。
そこについてのメイクアップというのは一番重要なことだということで、今のプールのメイクアップについては、最初(2011年)の4月、5月ぐらいまでやってましたか、まあ、キリンだとか名前をつけてましたけど、コンクリートの50mくらいの高さのものについても、今もって訓練をしているところで、そこから水を入れられるという状況を作っているということでございます。
記者の質問:
今回の対策で、震度6強までは耐えられる、ということであったり、あるいは仮設の防潮堤も15mぐらいまで(津波)は大丈夫ということで、(3.11の)大震災のときの基準をそこに置いているのかな、と思うのですが、今回の事故は、いわば想定外のところで起こったということで、現状の対策が、これで十分だというふうに感じてらっしゃいますか?
小森:
おっしゃるとおり、まず、すぐにできることはしっかりやる、ということ。
で、そのべースとして、どこまで考えるかというのも、まずありまして、津波については、今回の400km以上の本震の外側で、いわゆるアウターライズ地震と言うようなものが起きるかもしれない、というのは昨年の春の段階でも話がありまして、それに対応するために仮設の防潮堤を造っておりますが、今後の津波についての議論というのは福島第一においても反映していくということは言ってあります。
それから、地震についても、この間の震度6強が来たときにどうなのか、ということについての解析はしました。
その解析の結果でも、まあ、技術的な話になりますけれども、許容の応力ということに関しても、ギリギリというところではございませんので、ある程度の余裕はあるだろうと思います。
ただ、地震についても、いろいろな知見も含めた見直しというのが行われると思いますので、そういったものに対しても補強が必要ということであれば、対応していきたいと思います。
その他のリスクについても、決して今の状態で、それでお終いだ、ということではまったくなくて、いろんな検討を継続して進めていく中で、なるべく早く効果的な手段については取り入れますし、時間のかかることについては、段取りをどうするか、ということが必要だと思いますので、まあ、いずれにしても、昨年の3月11日、それ以外のいろいろな知見も含めて我々としては、新しいものに対する備え、それからリスクを減らす努力については継続してやっていくことが必要だというふうに考えています。
記者の質問:
使用済み燃料プールは、1から3号機にもあると思うんですけれども、1から3号機の耐震性についてはどうなんですか。
小森:
同じように、震度6強に対してどうなのか、ということについては、4号機以外についても、昨年の段階で強度評価をして、仮に部材が壊れていることに関しては、その部材の強度を考えないで(後で部材を交換して補強するので)、というようなことで評価をして、震度6強の3.11の本震相当という意味では問題ない、という評価をして、これは東電だけの評価ではなくて保安院にお出しして、それなりの評価はいただいているという状況でございます。
記者の質問:
この健全性の評価ですけれども、東電が発注した管理会社が行って、それを保安院がチェックする、という形なんですが、透明性を図るという観点から、また、東電の解析を裏付けるという点で、4号機に限らないんですけれども、第三者機関のチェックを受け入れる予定というのはございますでしょうか。
小森:
これは構造解析だけではなくて、いろんな分析だとか、放射能の関係だとか、まず事業者として、あるいは当事者として一次的に評価をしたり、計算をしたり、出していくというのは当然ですので、そこの部分についての信用なり、みなさんのご懸念ということでありましたら、検討課題だと思いますが、まずは、当事者が技術的にしっかり評価をして、それをお示しして、必要に応じて規制当局が、それを確認するというのは、まずは第一の軸だと思いますので、それに加えてと言うことでありましたら、必要性と内容に応じて、ということになるとは思いますが、何か、今、それを具体的に決めたというようなことはございませんけれども。
そういう状況、要望があるということは、我々もしっかり受け止めてまいりたいと思います。
記者の質問:
1号機、3号機で、今回の4号機のような詳細な確認というのをされるご予定というのはございますか。
小森:
まずは、1号機、3号機につきましては、建屋内の線量が非常に高いので、今の外観で見れる範囲についての条件で解析をしているという状況でございます。
今後、ロボットを含めて、建屋内に入っていって確認できたということについては、その条件で何か過不足があれば、評価をしますし、基本的にはきめ細かく評価をしていくということでありますけれども、4号機のように簡単に人がアクセスできないということがありますので、ちょっと時間については、かかるかもしれません。
記者の質問:
4号機が今回、詳細な評価をやった結果を受けて、保安院から、改めて耐震の評価をもう一度するようにと指示が出ていると思いますけれども、そう考えると、1号機、3号機も、もし詳細なチェックができるのであれば、また違った見方も出てくるのではないかということも考えられると思うのですが、そのへんはいかがでしょうか。
小森:
きめ細かく見る、ということはいずれにしても重要で、構造だけではなくて、作業の安全という観点からも見ていくということは引き続きやっていきます。
構造強度については、かなり躯体といいますか、構造部材について、余裕を持った解析であれば、ちょっと何かがあったからといって、大きく結果が変わることはないのではないかと思いますが、いずれにしても、中の状況をしっかり見ていくというのは、今後の廃炉に向けての重要なことですので、構造的に懸念があるような話については、ただちにその場で解析・再評価をするということは、我々としても引き続き心がけてまいりたいと思いますが、今の1号機、3号機に関して、今までの1年間の内部での調査で、何か急に懸念があるような状態では、今の時点ではないと思っています。
記者の質問:
作業員の確保について、課題があるということですが。
小森:
作業員の方については、まず、当座はこの1年間ぐらいの、我々の東電の社員も含めて、いちばん頭の痛かったところは、当初の事故対応、そういったことで被曝線量の高い人は結構出ました。
それは、事実であります。
それも公表してございますけれども。
東電でも150人くらいの人が、100ミリシーベルトを超える、ということで、配置換えをしつつ、技術伝承をするということで、今日も、お入りいただいたと思いますが、福島第一の免震棟を非管理区域にしたというのも、従事者でない人でも入ってこれるということで、若手を育成をしたり、こうだよ、っていうことを教えられるような、特にベテランの人が線量が高かったので、そういうことを基盤の整備のひとつとして、やらしていただきましたし。
で、当面は、東電の原子力、あるいは東電全体の人のローテーションの中で、東電の社員については、ある程度、目処をつけつつ、技術的には伝承していけるだろう、ということは考えてございますが、作業の方につきましては、作業の専門性などによって、たとえば、海側の遮水壁をやられている方とか、タンクを造られている方だとか、あるいは、原子炉の中にロボットを入れて、手動していただく方というのは、それぞれ、人の数と専門性が違っておりまして、きめ細かく、たとえば電気関係の仕事の方なのか、費用等もちゃんと見て、仕事を発注していきたいと思っております。
中長期の会議でも、人の手当てというのをミッションにしています。
ただ、非常に長い廃炉作業の中で、(注意!)二代にも、三代にもわたって技術者を、ということになりますと、これは息の長い話ですし、簡単な話ではございませんが、これは一企業でできるかできるかってこともございますけれども、いろんな研究だとか、専門機関との連携も含めて、人を育てていく、というか、人を確保する前に育てていく、という発想が必要だろうと思いますが、ここは、まあ、いっぺんに効果はありませんが、東電としても、非常に重要な課題だと認識して、今後も人の、人材、あるいは技術の伝承、そういったことを進めてまいりたいと思います。
※(注意!)二代にも、三代にもわたって技術者を…
二代にも三代にもわたって原発関係の仕事に常時できる人、というのは、原発立地の住民しかいません。
東電は、やはり地元の人たちが原発作業員として働いてくれることを期待しているのでしょう。
記者の質問:
「収束宣言」以降、作業員の方の賃金、待遇が下がっているという話を耳にするのですが、そういったことを含めてですね、作業員の雇用環境をもうちょっと、東電として整理して見直すようなお考えとかはありますでしょうか。
小森:
雇用環境には二つありまして、作業環境というのが、ある面では仕事の、なんていいますか、契約相手との関係になりますけれども、そういう金額なり、コストなり、というものをひとつの指標として決めることになります。
それと、待遇という話は、その企業さんが職員を雇う場合の話になりますので、もちろん、慣例はありますけれども、現場の環境につきましては、それなりに瓦礫を取り、除染をし、状況が良くなってきたところについては、あるいは、装備についても、軽微なもので済むというようなことになってくれば、我々としての作業のやり易さ、やり難さを考えた契約にしていくということは、一般的に必要な話です。
ただ、全般的に福島第一で作業をすること自体が、かなり厳しい状況であるということについては変わりがございませんので、そこは、企業さんとも常にお話をしていて、いろんな交通の、通勤の問題だとか、そういったことも含めて改善をしていくということについは、今後も変わりませんし、今までも、やってきていると思います。
賃金関係については、発注者側のほうで、ひとつずつ、どうってことは、請負契約上、できないところもございますので、ただし、ご不満だとか、いろんなご意見が出てくるということに関しては、我々としても、しっかり真摯に受け止めて、企業さんも含めて全体として、職場関係、対応関係が良くなることについては、徹底的に求めてまいりたいと思います。
(ここで終り)
ここから管理人:
4号機プールの構造的脆弱性を懸念するマスコミの誤解を解く?これは子供騙しの茶番です
今回のマスコミ公開の目的は、細野自身が言っているように、「4号機の構造物の脆弱性について、事実を知ってもらって、必要以上に恐がらないで欲しい」ということをマスコミを通じて訴えることでした。
しかし、結果は、どうも失敗のようです。
これでは東電記者クラブになってしまっています。
おそらく、細野が期待していたように、記者たちは4号機の健全性については、さして重要なテーマとして取り上げないでしょう。
この入構取材を実施したからといって、参加した取材陣の誰一人として、なんら4号機プールの健全性を目で確認することはできなかったからです。
また、素人の細野が目視したところで、構造物の健全性など確認できるはずもないのです。
構造の専門家の会見をセットで行わないのですから、この記者への公開は、茶番と言わざるを得ないのです。
分かったことは、細野が東電が言う「構造解析の結果を信じた」という事実だけです。
それが証拠に、なぜJビレッジには、いつも東電の記者会見に使用される東京の部屋より広い部屋があるのに、Jビレッジのホールで、立ったままのぶら下がり会見で済ませてしまったのか、ということです。
広い会場があるのですから、そちらで、東電が構造解析を委託した外部の専門機関なり、専門会社のスタッフを呼んで、資料を配るなり、プロジェクターを使うなりして説明しなかったのか、ということです。
これは、計画的に練られた入構取材の公開ですが、やはり、マスコミを丸め込むことが目的である、と言わざるをえないのです。
ますます、4号機の脆弱性の問題は、深い霧の彼方にいってしまいました。
記者の質問で、「川内村の帰還について、4号機にもし不測の事態が起こったら、どう避難指示を出すのか」というのがありました。
そうではなく、「4号機が水平方向には傾いていない」ということと住民の帰還を促すこととも、どういう関係があるのか、ということが焦点にならなければならないのです。
細野は、「震度6強の地震が起きても建屋は持ちこたえることを確信した」と言明しているのですが、では、「なぜ、確信できたのか」という点に切り込んで質問しなければならなかったのです。
東北大学の教授をはじめ、何人かの専門家が一様に指摘している、「福島第一原発のほぼ直下に断層の存在が確認されており、その断層に沿って地下水が上昇している」のであれば、「震度6強の地震に耐える」というメッセージは意味がないのです。
仮に震度5強でも、反復して同程度の地震が複数回起きることによって、地盤の変質が起きて、やはり構造物が破壊される可能性あるはずです。
また、「3.11のときと同規模の地震が起きても」と東電と政府は繰り返し言ってきましたが、同程度の地震など二度と起きるはずがないのです。
震度も問題ですが、なんといっても、地震の加速度(ガル)が問題なのであって、それでどの程度長い時間、その揺れが続くか、ということによって破壊の大きさや損傷の程度が変わってきます。
原発直下の断層に沿って水が上がってきているのであれば、震度5強でも直下型であれば、ダメージがあるでしょう。
また、3.11の本震後、建屋の強度は均質ではないのですから、震度6強までいかなくても、揺れの方向によっては構造物の弱ったところにダメージが集中して倒壊する可能性も十分あるのです。
それでも、東電は、「水が水平であることを利用して、プールが傾いているどうか検査したところ、傾きは認められない」と結論付けたのです。
しかし、写真を見れば、誰が見ても縦方向には大きな傾きがあることが確認できるのです。
それを東電は、「陸側に3cm、建屋の内側に壁が入り込んでいる」と発表しています。
これでさえ、細野が「マスコミ公開する」と突然発表したので、保安院が東電に「水が水平どうのこうのでお茶を濁すのではなく、もう少し科学的な検査をしなさい」と促して、慌ててレーザーを使って計測した結果なのです。
「水を使って計測する」という原始的な方法を使って計測すること自体、ますます不信感を煽る結果になることぐらい、想像がつかないのだろうか、ということです。
つまり、東電の「構造物は健全性を保っている」というのは、あくまで「3.11の地震と同じような地震が起きても」という前提なのです。
3.11のときと同じデータを使ってサーベイしても、あまり意味がない。
建屋全体が、どんな揺れのときに共振作用を誘発し、それが3.11の地震によって、すでに弱っていて重量が集中している箇所-使用済み燃料プールの中には、燃料と水、それにラックも含めて1670トンという中型の船舶と同じくらいの重量物が載っている-にどのような作用を及ばすのか、というシミュレーションができていなければ、綿密に耐震補強の対策も立てられないでしょう。
また、弱った地盤をボーリングして、4号機建屋の地下で何が起こっているのか、これも把握することが必要です。
こうした、ごく初歩的な手続き経ずして「健全性は保たれている」と世界に発信するということが、どんなに破廉恥なことが、彼らには想像がつかないのでしょうか。
この入構取材によって、ますます世界の東電、政府に対する不信感は増すことでしょう。
これは、単なる「福島第一原発・観光ツアー」です。
少なくとも、今でも毎時1億ベクレル前後の放射性物質が出続けているのに、そして、震度4クラスの地震が福島第一原発沖、内陸で起きているのに、住民に「帰還しても問題ない」というような大臣が何を言っても巧言令色唇寒し、としか受け取られないはずです。
残念ながら、毎時100~300マイクロシーベルトの高い線量の4号機プールの縁に立った細野の真心の示し方は、国民の心をかすめさえしないでしょう。
細野、そして東電の小森が一番の心配事である、と言っている作業員の確保、それは住民たち以外にないのです。
やはり、この事故収束には、中立公正で、電力会社と利害関係のない世界トップクラスの評価チームが必要です。
この男たちには、能力的にも、誠実さという点でも、信を置くことはできないのです。
彼らの不幸、国民の不幸は、こうした無自覚な人々によって事故が起こされ、事故が収束されようとしていることです。
自民党は今でも原発推進
文字ではわからないのですが、動画を見ていると分かること。
それは、ここに出てきた東電の職員は、普通の良き父親であり、組織人である、ということです。
免震重要棟で働く、被曝上限を超えてしまった東電の職員たちの記者へのサービスは、とても良心的です。
おそらく、なにがしかの肩書きを持っている人々でしょう。
しかし、彼らは純粋培養された人々です。外の世界を知りません。
東電という奇異な組織風土で育まれた人々は、自分たちが何を犯してしまったのか、今でも認識が甘いようです。
保安院の西山審議官が言っていたように、「放射性物質は海で薄まってしまうので問題ない」とばかり、個々の責任も東電グループ、数万人分の1しかないと思っているようです。
しかし、東電も、勝俣会長、清水社長が退陣して、多少は風通しがよくなったのではないでしょうか。
東電という企業は、勝俣ら、ほん一握りの経営幹部と自民党が、がっちりスクラムを組んで勢力を伸ばし、いつの間にか国民を支配する一歩手前まで来ていました。
いままでのように東電の横暴に気づかされることなく、密かにスマートメーターを導入されてしまったら、電力利用者は完全に東電の奴隷となったことでしょう。
この原子力ムラの奥には、未だに自民党の勢力がいます。
選挙対策のために、一度は「脱原発を中長期的な方向性として選択肢に含めて」いた自民党でしたが、ここにきて党内の反発にあって、これをこっそり削除していました。
つまり、自民党は次の選挙で政権奪還を目論んで、「脱原発」という見せ金を国民の前に差し出しただけなのです。
この国の政治家はペテン師、詐欺師、詭弁師ばかりです。
誰一人として、福島の子供を避難させろと、なりふりかまわず言う「ヤツ」がいない。
特に、小沢一郎シスターズは、まるで新興宗教に狂った女性信者のようです。
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5月26日、「第3回目・福島第一原発敷地内入構取材」が実施されました。
目的は、一斉にテレビ、中央紙にまで取り上げられるようになった4号機の使用済み燃料プール倒壊についての懸念を払拭するためです。
細野環境大臣自らが4号機建屋に上がって、安全性をアピールすることが目的です。
日本の大マスコミ、インターネットメディア、海外のメディア、そしてフリージャーナリストが、この入構取材に応募しました。
ただし、フリージャーナリストの枠はたったの二人だったため、14名の応募があったものの、抽選で決められました。
14名のうち7名は、抽選の前の事前審査で「要件を満たしていない」という理由でふるい落され、結局、残りの7名で2名の枠を奪い合うというかたち。
事前審査で「要件を満たしていない」とされたのは、「福島第一原発の記事を署名で書いていない」という理由からです。
福島第一原発のことについて、一度も記事を書いていないジャーナリストが、建屋を見て書いた場合、誤伝が発生する恐れが記事は、やはりクォリティの低いものしか書けないでしょう。
もっとも、テレビ、新聞の大マスコミのほうも、4号機建屋内の撮影を制限され、許可されたのは、ムービーが4台、スチールが4台のみ。
さらに、細野大臣一行に随行できるのは、テレビ局、大新聞のスチール2名、ムービー2名に絞られました。
フリージャーナリストの2名も撮影禁止で、東電の社員が撮影した写真を、後に提供を受ける、という形になりました。
ムービーでは、IWJとニコニコ動画が合同で撮影を許可されましたが、4号機建屋に入ることは許可されませんでした。
この模様は、現在、IWJ↓(クリック)で配信されています。
IWJの取材クルーがムービーを持って撮影しています。
動画は長いので3本に分割されています。
続きは、この最初の動画ページの下に、サムネールがあるので、その画像をクリックしてください。
無料配信期間が過ぎると、視聴するには会員登録(有料)が必要になります。
こちらです→http://iwj.co.jp/
キャプチャーを取らせてもらったので、お礼に宣伝しておきます。
4号機建屋に入って、間近で使用済み燃料プールを見ることができるのは、細野大臣と内閣官房、資源エネルギー庁、そして“選ばれた”大マスコミのカメラクルー4名のみで、大勢の記者団とは別行動。
その動画は、テレビで放送されました。
4号機、破壊された原子炉建屋の内部
福島第一原発4号機の建屋内部、初公開
上のyoutubeが視聴できなくなった場合は、下へ。
Daily Motion 福島第一原発4号機の建屋内部、初公開
大勢の記者団の入構取材のコースは、以下の通り。
①Jビレッジ(防護についての記者へのブリーフィング)
↓
②バスで20km先の福島第一原発・免震重要棟へ移動。
↓
③免震重要棟着後、事前の軽食、東電社員へのぶら下がり取材、防護服への着替え
↓
④原発構内をバスで移動、1~4号機の見渡せる高台へ
↓
⑤バスで構内案内
↓
⑥Jビレッジへ帰着
↓
⑦Jビレッジ内で細野大臣、東電役員への取材
最初から最後までIWJで、今のところ全編、無料配信されています。
以下は、そのポイント、ポイントのキャプチャーです。
福島第一原発入構取材ノーカット映像ーその1
5月26日 朝9時頃、Jビレッジで福島第一原発再と都内に入るための記者たちへのブリーフィングが行われました。
放射能防護用に、二種類のセットがすべての取材陣に配られました。
●これらが福島第一に着いてから着用するもの
・全面マスク
・タイベック・スーツ(全身防護服)
・綿の帽子
・綿の手袋とゴムの手袋が二組
・靴カバー
●Jビレッジから福島第一原発の免震重要棟までのバスの中で着用するアイテムのセット
・紙のマスクと綿の手袋、、ビニール手袋、靴カバー(これらはビニールの袋に入っている)
東電職員から、丁寧な説明受けたあと、・9時55分頃、バスに乗ってJビレッジを出発。20km先の福島第一原発の免震重要棟に向かう。
Jビレッジの外に出ると、1マイクロシーベルト/時。
バスの座席は、ムービー、スチール、記者と、あらかじめ配置が決められている。
出発直前に、愛想のいいセキュリティが入って、入構証の確認がされる。
出発時は、紙マスクの軽装。
Jビレッジから福島第一まで20km。出発。
走り始めてすぐの道の駅で、警察の検問があります。
他の県から警察官が応援にかけつけています。
ここから先は、一般の車は入ることが制限されています。
ここで1.7マイクロシーベルト。
警察の検問を通過して、走り始めて2分で1.4マイクロ。
5分後、楢葉町役場を過ぎたところで1.5マイクロ。
福島第二原発の横を通る。福島第二の排気塔。
福島第二原発には、東電の安定化センターという組織が間借りをしていて、毎日、福島第一にやってきて作業をしている。
大熊町に入った所。福島第一原発から直線距離で5kmのところ。
この辺りは、郊外店舗が集中している場所。
道の両側に立ち並ぶ大型商業施設は、地震によって窓ガラスや支柱にヒビが入ったりして損壊が激しい。
管理人はいるらしいが、ほぼ無人状態。
福島第一の正門に行く進入路手前。直線距離で3km。死の街と形容する以外に言葉が見つからない。
ここは5.5マイクロシーベルト。
福島第一原発正門の直前。
ここで10マイクロシーベルト。そして、すぐに11マイクロに上がる。
正門を通過して原発構内に入ったところ。
ここで10マイクロシーベルト。
車の除染場↑付近で8マイクロ。
原発から出てくる車は、ここでいったんサーベイを受けた後、必要があれば除染を受ける。
やっと、免震重要棟が見えてきた。
バスは、免震重要棟玄関前に着けた。
免震重要棟に到着したとき、バスの中で16マイクロシーベルト。
バスを降りて外に出た瞬間に30マイクロシーベルト。
外は40マイクロシーベルト。
免震重要棟に入る。
免震重要棟の入り口(建物の内部)付近は、2マイクロ。
2階以上は0.5~1マイクロと、線量が下がる。
免震重要棟は、除染が進んで、管理区域から非管理区域になったとのこと。
ここで11時過ぎまで軽い食事(無料)、トイレなどの休憩。
免震重要棟の職員が、記者たちの間に入って、雑談形式の取材に応じています。
免震重要棟では、平日500人~700人の職員が働いています。
この日は休日ということもあるのか、100人から150人に減らされています。
福島第一原発プランド全体では3000人(平日)。
女性の従業員は被曝の危険性が高いので一人もいない。
この日は土曜日なので、プラント全体で1160人。
内訳は、東電社員160人。協力企業で1000人。
(土日の作業員の数は、だいたい1000人程度)。
この場でフリージャーナリストが、面倒見のいい東電職員に取材したところ、
4号機の使用済み燃料プールに収容できる法的な最大収容量は1590体。
現在は、発表しているとおり、1535体入っている。。
1535体の内訳は、
使用済み燃料の集合体は、783体。
未使用の燃料集合体は204体。
一時取り置き(定期点検のときにシュラウド交換するので、一時、途中まで使っていた燃料を取りだしたもの)の燃料集合体が548体。
通常は、定期点検のたぴに、全量の3分の1の燃料集合体を交換する。
燃料集合体、1体には48本の燃料棒が入っているので、正しくは1535体の燃料集合体。
燃料棒という言い方は間違い。
(今まで、燃料棒と燃料集合体と、まちまちに使っていましたが、これからは燃料集合体に統一します)
今現在、4号機の使用済み燃料プールの総重量は、1535体の燃料集合体と、プールの水、燃料容器(ラック)の重さを合計して、総重量1670トンだということです。
中型船舶一隻分の重さが、壊れかけた建屋の上に載っている形になっています。
建屋やプールの構造的な強度については、外部の専門会社が行い、その結果を東電が受けて評価する。
それを保安院に報告。
保安院内で、さらに「健全性評価委員会」を設置している。
この健全性評価委員会には外部の委員が入っていると保安院は言っているが、中立性のある委員かどうかは分らない。
建屋の傾きというのは、爆発で壁が剥離して、建屋の内側に入り込んでいるので、外から見ると膨らんだり、へこんだりしているので、傾いているように見える、と、この東電職員が説明。
それは、7mm、15mm、33mmというわずかなものだと説明する愛想のいい職員。
こうした免震重要棟で働いている東電職員は、現場で被曝上限値を超えてしまっている人が多いとのこと。
1年以上は原子炉の現場には出ることができないので、配置換えで免震重要棟担当になっている人が多いらしい。、
危急時対策本部に移動。
間もなくやってくる大臣一行がここで訓示をたれる。
細野環境大臣:
世界の英知を集めて作業を進めていく。
作業の透明性を保つ。
世界が見ている。
今後何十年にもわたって、廃炉の作業がある。
とにかく、作業員の方々は体調に気をつけて欲しい。
しかし、確実に、慌てることなく、一歩一歩安全に進めて欲しいと訓示。
続いて、柳澤経済産業副大臣の訓示。
復興庁として、国土交通省、農水省などが縦割りを超えて一本化した、と話している。
園田政務次官。
緊急時対策本部から別室に移って、いよいよ福島第一原発の建屋に近づくために、放射線防護の用意を始める。
「大臣に同行するマスコミの方、スチールとムービーの方含めて4名の方だけ前の方へきてください。
装備が違ってきますので。
着替えについては、我々のサポートが付きます」
と、取材陣に呼びかける職員。
福島第一原発入構取材ノーカット映像ーその2
タイベック(防護服)着用の仕方を説明する東電職員。
この職員も、おそらく被曝上限値を超えているのでしょう。
東電が用意したタイベックの背中には、どの社か分かるようにマジックで書いたり、シールを貼る。
靴カバーを着け、線量計をタイベックの中に着ける。
記者たちが着用するのは、7月から使用される新型のタイベックスで、メッシュタイプの通気性のいいもの。
「これで大丈夫か、と心配になる」記者。
新型のほうが、生地が厚く目が粗い。
通気性は、大分改善されたが、それでも暑い。
全面マスクの着用の仕方を指導する職員。
息を吸い込んだり、吐いたりして、漏れがないように調整する。そして、マスクが密着するようにシールでふさぐ。
この神経を使う手順を、完璧にやらないと、内部被曝してしまうから手を抜くことはできない。
何度やっても、漏れがある場合は、マスクの形状が顔の形に合わないので、マスクを交換したりする。
いったん着用すると、立っているだけで息苦しくて暑い。
この着替えをした室内は0.57マイクロシーベルト。
防護服を着て、いよいよ原子炉建屋に向かうバスの乗り場へ。
免震重要棟の中でも、線量がとても高い場所がある。
ここは、外に近いので、14.8マイクロシーベルトある。
免震重要棟から出てバス2台に分乗する取材陣。
重装備の取材陣を乗せたバスは、まず、4号機原子炉建屋の横に向かう。
カバーで覆われた1号機建屋と海が見えてきた。
バスは、4号機建屋のすぐに近くで停車。
外に出て4号機建屋を近くで見る。
4号機建屋から、取材陣が立っている場所までの距離は70m。
線量が高いので、わずかな時間しかいることができない。
凄まじい爆発の痕を目のあたりにする取材陣たち。
「余計なものに触らないでくださ~い」と、案内の職員が何度も繰り返す。
しかし、「危険ですよ」と言えない東電社員の辛さが、ここにある。
本当に、これが3号機から地下の配管を伝って4号機建屋に入り込んだ水素ガスによって破壊されたものだろうか?
全体の破壊の規模そのものは、チェルノブイリ以上でしょう。
このちょっとした高層ビルほどの高さの赤いクレーンの先につけた装置で、建屋の壁を切ってはがしたり、潰したり、崩落の危険性がある部分のコンクリート、鉄骨を撤去しているとのこと。
このクレーンで重機なども建屋の上に運んだりするのでしょう。
大きな地震が起きたとき、クレーンの作業員の恐怖はいかばかりか。
よく今まで倒れなかったものです。
使用済み燃料プールの水面は、この「心をひとつに」の横断幕のあるところにある。
取材陣たちに、一生懸命、説明をする東電の職員。
東電職員:
「原子炉建屋の構造について、少しお話させていただきたいと思います。
原子炉建屋と言いますのは、使用済み燃料プールと、格納容器、あるいは原子炉圧力容器を支える部分が1m、あるいは1m以上、いちばん厚いところでは、1.8mという厚い壁で構成されていまして、西側の壁が水素爆発によって、著しく破損しましたが、使用済み燃料プールや、原子炉格納容器、圧力容器を支えている厚い壁は、まったく傷んでおりません。
今、内側の壁が大きく破損していますが、ちょうど4階辺りで水素爆発が起こって、4階、5階部分のほとんどが吹き飛びました」
と、建屋の健全性をアピールしています。
15分ほどで、この場を離れて、再び取材陣は車上の人となる。
バスの中では、職員から(不謹慎な表現ですが)観光案内のように敷地内にある施設の説明が行われる。
これから、バスは1~4号機すべてを見渡せる高台に向かう。
高台に到着。
ここは4号機から300m離れた場所。
線量は40マイクロシーベルト。
4号機をズームで。
高台の駐車場の法面から線量計を4号機の方向に向けると、線量は一気に倍の80マイクロに跳ね上がる。
細野大臣の一行が遠目にも確認できます。
随行しているのは、内閣官房と資源エネルギー庁の官僚、そして“選ばれた”テレビ、新聞のムービーとスチールのカメラマンたち。
細野大臣の一行が続々と使用済み燃料プールに上がってきた。
彼らの立っている場所の線量は100~300マイクロシーベルト。
青い重機が、5階のオペレーション・フロアに載っている。
その風景は、こんな感じなのでしょう。↓
この青い重機は、現在では「屋上」になっているオペレーション・フロアの上に載せられて、瓦礫の撤去など、細かい作業を行っている模様。(写真は朝日新聞から拝借)
再びバスに乗って、この高台を出発。
バスが、発電施設や注水施設の脇を通るたびに、東電職員から説明を受ける。
福島第一原発敷地内のはずれ。ここは、バスの中でも65マイクロ。
福島第一原発入構取材ノーカット映像ーその3
これで構内立ち入り取材は終了。バスは、途中で車の除染場に立ち寄り、放射能のサーベイを受ける。
バスのエンジンを切って、放射線量の測定が終わるまで待つ。
係員が5~6人がかりで入念にチェック。その間、20分くらい。
バスの中は、大勢の人が乗っているにも関わらず沈黙が続く。
ときどき鳴る線量計のアラーム音が沈黙を破る。
これが夏だったら、と想像するだけで気が遠くなる。
今回は、記者団を乗せて4号機のすぐ近くを走ったので、線量を入念にチェックする。
普段は、Jビレッジと免震重要棟の間を走っているので、これほど入念に線量を計ることはないとのこと。
すべてのチェックを終えて、バスはJビレッジに戻る。
帰りは、取材陣も緊張から解放されて疲れが出てきたのか、みんな沈黙。
バスはJビレッジに戻ってきました。
すかさず、代表のメディアのムービーと、細野大臣と東電幹部の、ぶら下がり記者会見のために、立ち位置の打ち合わせをする東電職員。
↑「すみません、代表のTBSです。
最初、大臣から感想を聞いて、後はフリーでお願いします」。
この会見はTBSが仕切っているようです。
細野大臣、東電常務・小森明生氏が記者たちの質問に答えました。
細野大臣:
「お疲れ様でした。
今日の視察の目的は、4号機のプールについて、さまざまな懸念を表明する方がいらっしゃいますので、健全性について、あらためて、私の方で直接確認をしたいということで、やってまいりました。
線量も少しずつ下がってきましたので、メディアのみなさんにも、できれば入っていただきたいということで、限定をした人数にはなりましたが、公開することもできました。
(注意!)水平性の確認であるとか、さらにはプールの底部の補強の状況についても確認することができましたので、その意味では、いい視察ができたと思っております。
また、燃料の取り出しについては、まず最初に4号機という大きな作業ということになりますが、その準備も進んでいることを確認することができました。
依然として厳しい環境にあることは、あらためて行ってみて感じましたが、その中で、本当に作業員のみなさんが大変な努力をして、ここまでの作業を確実に積み上げてきていただいたということを、その努力に対して、あらためて敬意を表したいと思っております。
補強の下の部分(使用済み燃料プールの底部分)の作業などは、去年の4月から6月頃までやっていまして、私も日々、その作業を東京電力の方に確認をしていたんですが、あれほど過酷な環境の中で作業をやっているというのは、中に入って初めて分かりました。
そのときは認識をしておりませんでした。
あらためて、本当にここまで来るには作業員のみなさんの大変な努力があったわけですので、そのことを、できればメディアのみなさんにも再認識していただいて、彼らの頑張りを報じていただけると非常にありがたいなと思います。
4号機のプールについて、さまざまな懸念がある中で、陸側の、約3cmほどのふくらみがある、ということが昨日、明らかになりまして、そのことで、ご懸念を持っておられる方もいらっしゃると思います。
私どもの分析では、震度6強の地震が来ても、4号機については大丈夫であると、健全性は維持されると分析をしておりますが、その3cmに膨らみというのは、プールから離れた場所ではありますけれども、楽観的に見るのではなくて、厳しく認識をして、再度、安全性について確認することは東京電力のほうにやってもらいたいと思っております。
すでに保安院のほうからも、そういう指示が出ております。
そういったさまざまな問題があるのも事実でございまして、ひとつひとつ事実を確認して、透明性の高い形で、みなさんにお知らせをしていきたいと思っています。
その一方で、今日、作業員のみなさんとも少し話をしたんですが、やはりですね、みなさん、本当に頑張ってやっておりまして、その中でここまで進んできているんですね。
ですから、3月、4月、水漏れのことでみなさんにご心配をおかけしましたけれども、あれも作業としては、ほぼ解決をするところでまで作業が進んできたという、そういう認識を私は持ちました。
ぜひ、みなさんには、彼らが成果を出したところも報じていただきたい。
問題のあるところは、我々が、それこそ作業員のみなさんとしっかりして、解決に向けて努力をしていきたいと思うのですが、やはり作業をやっている人達も人間ですから、そういった方々が、しっかりと肉体的にも精神的にも健康で、これからやってもらうためには、国民のサポートというのが不可欠です。
また、世界のサポートというのも不可欠なんです。
そのことを知っていただくためには、メディアのみなさんが、これから非常に重要な役割を果たします。
今日、あらためて皆さんに申し上げたいことは、さまざまな課題があることはもちろん事実ですから、今日、公開したことを報じていただくのはみなさんの当然の役割だと思います。
その一方で、彼らの頑張りを、できれば報じていただいて、その中で廃炉に向かって歩んでいることを、ぜひ国民のみなさんに知っていただきたいと思います。
私からは以上です。
(注意!)「水平性の確認」という文言ですが、水平方向の傾きがないことを確認したと言っているだけです。垂直方向の傾きには触れていません。
動画を視聴できる人は、このときの細野大臣の顔を観察してください。分かるはずです。
記者の質問:
えーと、川内村の人は、今帰還が始まっていて、帰還できない人の中には、やはり本当に安定しているの、という懸念を持っている人が多いかと思うんですけれど、そういった中で4号機がこういった事態になったとき、こういう避難の指示を出すとか、あるいは、こういった準備をしてほしいとか、想定していますでしょうか。
細野:
いろんな状況に応じて、さまざまなことを考えなければならないのは行政の大きな責任だと思います。
ただ、4号機のプールに関して、新たな懸念が生じているというようには思っておりません。
昨年の年末に冷温停止状態を確認したときに、さまざまな事案を想定して、それでも避難をしていただく必要がない、ということについては、慎重な確認をしたうえで判断をしておりますので、そういう状況ではないと認識しております。
記者の質問:
4号機プールの健全性は確認できたということなんですけれど、逆に視察なさって、何か課題のようなものはお感じになりましたでしょうか。
あるいは、すべてスケジュールどおり順調に行っているということを、あらためて確認したということなんでしょうか。
細野:
最大の課題は、長い目で見たときに、やはり、人をしっかり、やる気もあって、能力も高い人材を確保することだと思います。
去年の発災以降、事故に取り組んでいるみなさんが多いですから、今は非常に高い意識で結果を出していただいているというふうに思います。
これを30年、40年と続けていかなければなりませんので、その間、どう人材を確保して、技術をしっかりと伝承した上で、新たなものを導入していくのかというのは、まだまだ課題は残っていると思います。
そこは事業者に任せるのではなくて、国としても、しっかり関与する余地があると思いました。
記者の質問:
今日、お話された作業員の方というのは、どれぐらいの年代の方なんですか?
細野:
今日、話をしました作業員の方は、年輩の方から中堅の方まで、40台の方、50台の方、その辺りの方が多かったです。
東京電力の方もおられましたし、関係会社、建設会社の方もおられましたので、できるだけ幅広くという思いがありましたので、それをかなえていただいたという形でした。
30分ちょっとでしたけれども、率直な話を聴くことができましたので、設定をしていただいて非常に良かったなと思っております。
※以下、記者の質問は、あまり意味がないので割愛。
次は、東電の常務、小森明生氏のぶら下がり記者会見。
小森:
福島第一の4号機につきましては、みなさんのご関心、ご懸念も高いと我々も認識しております。
4号機は、定期検査中、3月11日に被災、あるいは(3月11日以降に)爆発をしておりますけれども、3号機の水素が4号機側に流れて、4号機自身は定期検査でしたので、炉心の溶融ということはございませんでしたけど、なぜ爆発をしたかということは、我々は3号機側からの水素による爆発があったのではないかと。
まあ、その根拠の一つとしては、使用済み燃料プール、あるいは原子炉の上にありますフロアより下の部分が、原子炉の壁が破損していることも含めまして、水素ガスが空調のダクトの中で流れてきているというのも、ひとつの傍証でございますが、逆に、そういったところで、他の建物の爆発の破損とは、ちょっと状況が違うと、というところでご懸念もあるのかなとも思います。
※東電は、4号機建屋の爆発については、100%3号機から流れ込んできた水素ガスによるものであると確信を持つに至っていないようです。
現状は、大臣からもお話がありましたとおり、プールを守りつつ、使用済み燃料がプール内に全数ありますので、それを早く取り出すための作業を進めてきた、というところであります。
最初の段階では、あそこのフロアまで上るということも、なかなか大変でございましたけれども、作業ができる状況までしてきておりますし、現状は上にありました燃料交換機とか、あるいは天井クレーンなども撤去しまして、ある面では、そういったもののリスクを減らすようにしつつ、今、いちばん上のフロアについての瓦礫撤去を進めて、カバーをつけて、重機のあるカバーになりますので(燃料集合体を取り出す新しいクレーンなどが最初から装着されているカバー)、今、基礎工事も着工してという状況ですので、確かに簡単にはいかないので時間はかかりますけれども、燃料プールからの燃料取り出しに向けて、日々、作業を進めているというところでございます。
また、それに関連して、ご懸念がございましたので、かなり詳細に調べられるようになったのも、垂れ下がった瓦礫というものも撤去してですね、調べられるようになりましたので、先週にかけて、強度だとか、あるいは外壁の傾きだとか、そういったもの調べて、昨日、報告させていただきました。
※例の「水が水平である性質を利用して」の水平検査では、あまりにも幼稚なので、保安院がレーザーでも何でも使って、もっと細かく検査するように言ったから。
いずれにしましても、経過的な観察が必要ですので、四半期ごとにしっかり見て、また評価が必要であれば評価をして、皆様方にご説明をしていくということで、健全性を確認しつつ、燃料取り出しの作業を行っていくと、そういうことでいっておりますので、本日、その一端がご覧いただけたのではないかなと思います。
記者の質問:
構造的な健全性とともに、作業をしている最中に余震が襲ったら、どうするのかとか、津波の警報が出たらどうするのかとか、そういった手続きについて、あまり見えてきていない。
今日も、私たち、建屋のすぐそばまで行って、バスから降りたわけですけれども、そのときに余震が起きたら、どうするのかということをお訊ねしたいんですけれども。
小森:
地震だけでなく、いろいろなリスクがありますけれども、作業安全というのが第一と考えております。
それで落下防止という意味でも、その、国交省の作業における親綱を張って、そこに安全タグをかけるとかですね、そういうのが一つと、地震になった場合の、どの場所にいるかによっても状況が違うと思いますが、基本的には建物の陰といいますか、中に入っていただく場合でも、なるべく下のほうの比較的安定したところに行くとかですね、まあ、そういうことで、まあ手順とか、そういったことで、今、細かくはあたためておりませんが、朝、ミーティングをやるときにですね、そういったことも各企業さんの中でも確認をしてもらって。
それから、津波の警報が出た場合はですね、退避の指示を、あるいは命令をするということで、免震棟から連絡をする、という意味合いで、日々の作業の中でも連絡者を決めて、津波だけではありませんけれども、現場から引き揚げろ、といったときには、連絡がつけられる状況をつくっている、ということ。
それから、現場のほうで何かあった場合の情報については、免震棟に必ず連絡をするという、そこを基本動作にしているということで、また、周りにいる状況の分らない人に対しても、退避命令を出すとかですね、そういったことをするということで、まあ、どちらかというと、今でも、ある意味防災体制になっていますので、そういう中で、今までもやってきておりますが。
必ずしも地震ということだけではなくて、緊急体制である意味では作業管理をしていると、そういう状況でございます。
記者の質問:
強度は十分だということなんですが、それでも4号機が崩落・崩壊した場合の危険性を言われる場合があるんですけれども、そういう可能性というのは、まったく想定していないんでしょうか。
もし、そうなった場合にはどうするかということは、東電側でも一応は想定しているんでしょうか。
小森:
この間の本震というのは、相当強い地震でありましたし、(注意!)設計をある面では上回っていたという評価を現状、起きてもですね、強度的には大丈夫だろうと、強度の確認も今回しましたし、そういう意味合いでは、今の状態が不安定な状態だとは思っていない、ということです。
(注意!)「設計をある面では上回っていた」と小森常務は言っています。
つまり、津波の前の地震の影響で建屋内の原子炉がおかしくなった、と暗に言っていることになるのでしょう。
ただ、いろんなケースがありえて、たとえば水が出るということもあるでしょうし、そういった場合での水のメイクアップの手順であるとか、それから崩落という意味合いでは、使用済み燃料プール周りの鉄筋の入った厚さ2mにもなるようなものが、いきなりすべてが崩落する、というようなものではないと思っておりますが。
まあ、部分的な損壊といった、そういったことについては、その状況に応じて対応していくと。
むしろ、水の漏えいであるとか、そういったところが最初に予兆として出てくるんではないのかなと思っておりますけれども。
そこについてのメイクアップというのは一番重要なことだということで、今のプールのメイクアップについては、最初(2011年)の4月、5月ぐらいまでやってましたか、まあ、キリンだとか名前をつけてましたけど、コンクリートの50mくらいの高さのものについても、今もって訓練をしているところで、そこから水を入れられるという状況を作っているということでございます。
記者の質問:
今回の対策で、震度6強までは耐えられる、ということであったり、あるいは仮設の防潮堤も15mぐらいまで(津波)は大丈夫ということで、(3.11の)大震災のときの基準をそこに置いているのかな、と思うのですが、今回の事故は、いわば想定外のところで起こったということで、現状の対策が、これで十分だというふうに感じてらっしゃいますか?
小森:
おっしゃるとおり、まず、すぐにできることはしっかりやる、ということ。
で、そのべースとして、どこまで考えるかというのも、まずありまして、津波については、今回の400km以上の本震の外側で、いわゆるアウターライズ地震と言うようなものが起きるかもしれない、というのは昨年の春の段階でも話がありまして、それに対応するために仮設の防潮堤を造っておりますが、今後の津波についての議論というのは福島第一においても反映していくということは言ってあります。
それから、地震についても、この間の震度6強が来たときにどうなのか、ということについての解析はしました。
その解析の結果でも、まあ、技術的な話になりますけれども、許容の応力ということに関しても、ギリギリというところではございませんので、ある程度の余裕はあるだろうと思います。
ただ、地震についても、いろいろな知見も含めた見直しというのが行われると思いますので、そういったものに対しても補強が必要ということであれば、対応していきたいと思います。
その他のリスクについても、決して今の状態で、それでお終いだ、ということではまったくなくて、いろんな検討を継続して進めていく中で、なるべく早く効果的な手段については取り入れますし、時間のかかることについては、段取りをどうするか、ということが必要だと思いますので、まあ、いずれにしても、昨年の3月11日、それ以外のいろいろな知見も含めて我々としては、新しいものに対する備え、それからリスクを減らす努力については継続してやっていくことが必要だというふうに考えています。
記者の質問:
使用済み燃料プールは、1から3号機にもあると思うんですけれども、1から3号機の耐震性についてはどうなんですか。
小森:
同じように、震度6強に対してどうなのか、ということについては、4号機以外についても、昨年の段階で強度評価をして、仮に部材が壊れていることに関しては、その部材の強度を考えないで(後で部材を交換して補強するので)、というようなことで評価をして、震度6強の3.11の本震相当という意味では問題ない、という評価をして、これは東電だけの評価ではなくて保安院にお出しして、それなりの評価はいただいているという状況でございます。
記者の質問:
この健全性の評価ですけれども、東電が発注した管理会社が行って、それを保安院がチェックする、という形なんですが、透明性を図るという観点から、また、東電の解析を裏付けるという点で、4号機に限らないんですけれども、第三者機関のチェックを受け入れる予定というのはございますでしょうか。
小森:
これは構造解析だけではなくて、いろんな分析だとか、放射能の関係だとか、まず事業者として、あるいは当事者として一次的に評価をしたり、計算をしたり、出していくというのは当然ですので、そこの部分についての信用なり、みなさんのご懸念ということでありましたら、検討課題だと思いますが、まずは、当事者が技術的にしっかり評価をして、それをお示しして、必要に応じて規制当局が、それを確認するというのは、まずは第一の軸だと思いますので、それに加えてと言うことでありましたら、必要性と内容に応じて、ということになるとは思いますが、何か、今、それを具体的に決めたというようなことはございませんけれども。
そういう状況、要望があるということは、我々もしっかり受け止めてまいりたいと思います。
記者の質問:
1号機、3号機で、今回の4号機のような詳細な確認というのをされるご予定というのはございますか。
小森:
まずは、1号機、3号機につきましては、建屋内の線量が非常に高いので、今の外観で見れる範囲についての条件で解析をしているという状況でございます。
今後、ロボットを含めて、建屋内に入っていって確認できたということについては、その条件で何か過不足があれば、評価をしますし、基本的にはきめ細かく評価をしていくということでありますけれども、4号機のように簡単に人がアクセスできないということがありますので、ちょっと時間については、かかるかもしれません。
記者の質問:
4号機が今回、詳細な評価をやった結果を受けて、保安院から、改めて耐震の評価をもう一度するようにと指示が出ていると思いますけれども、そう考えると、1号機、3号機も、もし詳細なチェックができるのであれば、また違った見方も出てくるのではないかということも考えられると思うのですが、そのへんはいかがでしょうか。
小森:
きめ細かく見る、ということはいずれにしても重要で、構造だけではなくて、作業の安全という観点からも見ていくということは引き続きやっていきます。
構造強度については、かなり躯体といいますか、構造部材について、余裕を持った解析であれば、ちょっと何かがあったからといって、大きく結果が変わることはないのではないかと思いますが、いずれにしても、中の状況をしっかり見ていくというのは、今後の廃炉に向けての重要なことですので、構造的に懸念があるような話については、ただちにその場で解析・再評価をするということは、我々としても引き続き心がけてまいりたいと思いますが、今の1号機、3号機に関して、今までの1年間の内部での調査で、何か急に懸念があるような状態では、今の時点ではないと思っています。
記者の質問:
作業員の確保について、課題があるということですが。
小森:
作業員の方については、まず、当座はこの1年間ぐらいの、我々の東電の社員も含めて、いちばん頭の痛かったところは、当初の事故対応、そういったことで被曝線量の高い人は結構出ました。
それは、事実であります。
それも公表してございますけれども。
東電でも150人くらいの人が、100ミリシーベルトを超える、ということで、配置換えをしつつ、技術伝承をするということで、今日も、お入りいただいたと思いますが、福島第一の免震棟を非管理区域にしたというのも、従事者でない人でも入ってこれるということで、若手を育成をしたり、こうだよ、っていうことを教えられるような、特にベテランの人が線量が高かったので、そういうことを基盤の整備のひとつとして、やらしていただきましたし。
で、当面は、東電の原子力、あるいは東電全体の人のローテーションの中で、東電の社員については、ある程度、目処をつけつつ、技術的には伝承していけるだろう、ということは考えてございますが、作業の方につきましては、作業の専門性などによって、たとえば、海側の遮水壁をやられている方とか、タンクを造られている方だとか、あるいは、原子炉の中にロボットを入れて、手動していただく方というのは、それぞれ、人の数と専門性が違っておりまして、きめ細かく、たとえば電気関係の仕事の方なのか、費用等もちゃんと見て、仕事を発注していきたいと思っております。
中長期の会議でも、人の手当てというのをミッションにしています。
ただ、非常に長い廃炉作業の中で、(注意!)二代にも、三代にもわたって技術者を、ということになりますと、これは息の長い話ですし、簡単な話ではございませんが、これは一企業でできるかできるかってこともございますけれども、いろんな研究だとか、専門機関との連携も含めて、人を育てていく、というか、人を確保する前に育てていく、という発想が必要だろうと思いますが、ここは、まあ、いっぺんに効果はありませんが、東電としても、非常に重要な課題だと認識して、今後も人の、人材、あるいは技術の伝承、そういったことを進めてまいりたいと思います。
※(注意!)二代にも、三代にもわたって技術者を…
二代にも三代にもわたって原発関係の仕事に常時できる人、というのは、原発立地の住民しかいません。
東電は、やはり地元の人たちが原発作業員として働いてくれることを期待しているのでしょう。
記者の質問:
「収束宣言」以降、作業員の方の賃金、待遇が下がっているという話を耳にするのですが、そういったことを含めてですね、作業員の雇用環境をもうちょっと、東電として整理して見直すようなお考えとかはありますでしょうか。
小森:
雇用環境には二つありまして、作業環境というのが、ある面では仕事の、なんていいますか、契約相手との関係になりますけれども、そういう金額なり、コストなり、というものをひとつの指標として決めることになります。
それと、待遇という話は、その企業さんが職員を雇う場合の話になりますので、もちろん、慣例はありますけれども、現場の環境につきましては、それなりに瓦礫を取り、除染をし、状況が良くなってきたところについては、あるいは、装備についても、軽微なもので済むというようなことになってくれば、我々としての作業のやり易さ、やり難さを考えた契約にしていくということは、一般的に必要な話です。
ただ、全般的に福島第一で作業をすること自体が、かなり厳しい状況であるということについては変わりがございませんので、そこは、企業さんとも常にお話をしていて、いろんな交通の、通勤の問題だとか、そういったことも含めて改善をしていくということについは、今後も変わりませんし、今までも、やってきていると思います。
賃金関係については、発注者側のほうで、ひとつずつ、どうってことは、請負契約上、できないところもございますので、ただし、ご不満だとか、いろんなご意見が出てくるということに関しては、我々としても、しっかり真摯に受け止めて、企業さんも含めて全体として、職場関係、対応関係が良くなることについては、徹底的に求めてまいりたいと思います。
(ここで終り)
ここから管理人:
4号機プールの構造的脆弱性を懸念するマスコミの誤解を解く?これは子供騙しの茶番です
今回のマスコミ公開の目的は、細野自身が言っているように、「4号機の構造物の脆弱性について、事実を知ってもらって、必要以上に恐がらないで欲しい」ということをマスコミを通じて訴えることでした。
しかし、結果は、どうも失敗のようです。
これでは東電記者クラブになってしまっています。
おそらく、細野が期待していたように、記者たちは4号機の健全性については、さして重要なテーマとして取り上げないでしょう。
この入構取材を実施したからといって、参加した取材陣の誰一人として、なんら4号機プールの健全性を目で確認することはできなかったからです。
また、素人の細野が目視したところで、構造物の健全性など確認できるはずもないのです。
構造の専門家の会見をセットで行わないのですから、この記者への公開は、茶番と言わざるを得ないのです。
分かったことは、細野が東電が言う「構造解析の結果を信じた」という事実だけです。
それが証拠に、なぜJビレッジには、いつも東電の記者会見に使用される東京の部屋より広い部屋があるのに、Jビレッジのホールで、立ったままのぶら下がり会見で済ませてしまったのか、ということです。
広い会場があるのですから、そちらで、東電が構造解析を委託した外部の専門機関なり、専門会社のスタッフを呼んで、資料を配るなり、プロジェクターを使うなりして説明しなかったのか、ということです。
これは、計画的に練られた入構取材の公開ですが、やはり、マスコミを丸め込むことが目的である、と言わざるをえないのです。
ますます、4号機の脆弱性の問題は、深い霧の彼方にいってしまいました。
記者の質問で、「川内村の帰還について、4号機にもし不測の事態が起こったら、どう避難指示を出すのか」というのがありました。
そうではなく、「4号機が水平方向には傾いていない」ということと住民の帰還を促すこととも、どういう関係があるのか、ということが焦点にならなければならないのです。
細野は、「震度6強の地震が起きても建屋は持ちこたえることを確信した」と言明しているのですが、では、「なぜ、確信できたのか」という点に切り込んで質問しなければならなかったのです。
東北大学の教授をはじめ、何人かの専門家が一様に指摘している、「福島第一原発のほぼ直下に断層の存在が確認されており、その断層に沿って地下水が上昇している」のであれば、「震度6強の地震に耐える」というメッセージは意味がないのです。
仮に震度5強でも、反復して同程度の地震が複数回起きることによって、地盤の変質が起きて、やはり構造物が破壊される可能性あるはずです。
また、「3.11のときと同規模の地震が起きても」と東電と政府は繰り返し言ってきましたが、同程度の地震など二度と起きるはずがないのです。
震度も問題ですが、なんといっても、地震の加速度(ガル)が問題なのであって、それでどの程度長い時間、その揺れが続くか、ということによって破壊の大きさや損傷の程度が変わってきます。
原発直下の断層に沿って水が上がってきているのであれば、震度5強でも直下型であれば、ダメージがあるでしょう。
また、3.11の本震後、建屋の強度は均質ではないのですから、震度6強までいかなくても、揺れの方向によっては構造物の弱ったところにダメージが集中して倒壊する可能性も十分あるのです。
それでも、東電は、「水が水平であることを利用して、プールが傾いているどうか検査したところ、傾きは認められない」と結論付けたのです。
しかし、写真を見れば、誰が見ても縦方向には大きな傾きがあることが確認できるのです。
それを東電は、「陸側に3cm、建屋の内側に壁が入り込んでいる」と発表しています。
これでさえ、細野が「マスコミ公開する」と突然発表したので、保安院が東電に「水が水平どうのこうのでお茶を濁すのではなく、もう少し科学的な検査をしなさい」と促して、慌ててレーザーを使って計測した結果なのです。
「水を使って計測する」という原始的な方法を使って計測すること自体、ますます不信感を煽る結果になることぐらい、想像がつかないのだろうか、ということです。
つまり、東電の「構造物は健全性を保っている」というのは、あくまで「3.11の地震と同じような地震が起きても」という前提なのです。
3.11のときと同じデータを使ってサーベイしても、あまり意味がない。
建屋全体が、どんな揺れのときに共振作用を誘発し、それが3.11の地震によって、すでに弱っていて重量が集中している箇所-使用済み燃料プールの中には、燃料と水、それにラックも含めて1670トンという中型の船舶と同じくらいの重量物が載っている-にどのような作用を及ばすのか、というシミュレーションができていなければ、綿密に耐震補強の対策も立てられないでしょう。
また、弱った地盤をボーリングして、4号機建屋の地下で何が起こっているのか、これも把握することが必要です。
こうした、ごく初歩的な手続き経ずして「健全性は保たれている」と世界に発信するということが、どんなに破廉恥なことが、彼らには想像がつかないのでしょうか。
この入構取材によって、ますます世界の東電、政府に対する不信感は増すことでしょう。
これは、単なる「福島第一原発・観光ツアー」です。
少なくとも、今でも毎時1億ベクレル前後の放射性物質が出続けているのに、そして、震度4クラスの地震が福島第一原発沖、内陸で起きているのに、住民に「帰還しても問題ない」というような大臣が何を言っても巧言令色唇寒し、としか受け取られないはずです。
残念ながら、毎時100~300マイクロシーベルトの高い線量の4号機プールの縁に立った細野の真心の示し方は、国民の心をかすめさえしないでしょう。
細野、そして東電の小森が一番の心配事である、と言っている作業員の確保、それは住民たち以外にないのです。
やはり、この事故収束には、中立公正で、電力会社と利害関係のない世界トップクラスの評価チームが必要です。
この男たちには、能力的にも、誠実さという点でも、信を置くことはできないのです。
彼らの不幸、国民の不幸は、こうした無自覚な人々によって事故が起こされ、事故が収束されようとしていることです。
自民党は今でも原発推進
文字ではわからないのですが、動画を見ていると分かること。
それは、ここに出てきた東電の職員は、普通の良き父親であり、組織人である、ということです。
免震重要棟で働く、被曝上限を超えてしまった東電の職員たちの記者へのサービスは、とても良心的です。
おそらく、なにがしかの肩書きを持っている人々でしょう。
しかし、彼らは純粋培養された人々です。外の世界を知りません。
東電という奇異な組織風土で育まれた人々は、自分たちが何を犯してしまったのか、今でも認識が甘いようです。
保安院の西山審議官が言っていたように、「放射性物質は海で薄まってしまうので問題ない」とばかり、個々の責任も東電グループ、数万人分の1しかないと思っているようです。
しかし、東電も、勝俣会長、清水社長が退陣して、多少は風通しがよくなったのではないでしょうか。
東電という企業は、勝俣ら、ほん一握りの経営幹部と自民党が、がっちりスクラムを組んで勢力を伸ばし、いつの間にか国民を支配する一歩手前まで来ていました。
いままでのように東電の横暴に気づかされることなく、密かにスマートメーターを導入されてしまったら、電力利用者は完全に東電の奴隷となったことでしょう。
この原子力ムラの奥には、未だに自民党の勢力がいます。
選挙対策のために、一度は「脱原発を中長期的な方向性として選択肢に含めて」いた自民党でしたが、ここにきて党内の反発にあって、これをこっそり削除していました。
つまり、自民党は次の選挙で政権奪還を目論んで、「脱原発」という見せ金を国民の前に差し出しただけなのです。
この国の政治家はペテン師、詐欺師、詭弁師ばかりです。
誰一人として、福島の子供を避難させろと、なりふりかまわず言う「ヤツ」がいない。
特に、小沢一郎シスターズは、まるで新興宗教に狂った女性信者のようです。
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