クレーンを内部に設置した建屋カバーの取り付け工事は、この冬に取りかかる予定。
使用済み燃料の取り出し作業開始の予定は、2013年の12月。
燃料取り出し作業の開始は1年前倒しで、今年の12月からの予定
NHKのサイエンスZERO 「シリーズ原発事故(8) 4号機 取り出せるか 使用済み燃料」(12月30日再放送)では、4号機の使用済み燃料の今後の取り出し作業について取り上げています。
すでにブログで書いてきたことですが、使用済み燃料の取り出し計画について、これまでの経緯がコンパクトにまとめられているのでひとつの資料になると思います。
どうせ削除されるでしょうから、今のうちにキャプチャーを取っておきます。
東電は、去年の7月18~19日にかけて、未使用の燃料集合体2本を試験的に取り出しました。
このときは、世界初のオーバーヘッド・クレーンなしの取り出し作業ということもあって、1本取り出すのに1日かかっています。
現在、4号機建屋の使用済み燃料プールには、未使用と使用済み燃料併せて1533本の燃料集合体が収納されているので、単純計算すれば、燃料集合体すべてを取り出すには5年近くかかることになります。
次の大津波を引き起こす巨大余震が来るまで、取り出し作業をどう短縮できるかが日本を破滅から救うか鍵になっています。
シリーズ原発事故(8) 4号機 取り出せるか 使用済み燃料
一昨年の水素爆発直後、「東電や政府は本当のことを言っていないのではないか」とテレビで発言したことで、しばらく干されていたNHKの水野解説員ですが、この番組では久しぶりに福島第一原発事故の解説者として再登場です。(彼は正しいことをした)
4号機建屋の使用済み燃料プールとは、こんな位置づけになっています。
これは、他の1、2、3、5、6も同じです。
(クリック)
※燃料ペレットと燃料棒、燃料棒と燃料集合体の関係は、こちらの記事で詳しく説明しています。
4号機建屋の使用済み燃料プールの耐震性について原子力安全基盤機構でシミュレーションが行われました。
(動画では、いつ行われたか不明ですが、2011年5月以前に行われたことは間違いない)
このときのシミュレーションは、なんと写真判定でした。
コンピュータ・シミュレーションに使われたのは、この写真(下)。
人間の目で見て、損傷の具合をコンピュータ・プログラムに打ち込むという、非常に曖昧な方法でシミュレーションを行った。
赤い部分は壁、梁ともに損傷が酷い部分で、コンピュータ・シミュレーションでは耐震性ゼロの条件が与えられた。
建屋内部の主構造でも損傷が激しい部分がたくさん見つかった。
この赤い部分は破損が酷いので、「ないもの」として入力された。
この赤い部分は、すでに解体されて、現在は存在しない。
しかし、レーザーなどを使って正確に計ったものではなく、あくまで「写真で見た目」での判断。
建屋倒壊の引き金になる致命的な損傷は分らない。
この条件で、マグニチュード7.9の地震が起きた場合を仮定して原子力安全基盤機構でシミュレーションを行ったところ、建屋の横方向の触れ幅は、最大で10 cmとなって、「倒壊しない」という結果が出たという。
(なぜ次のアウターライズ地震のマグニチュードが7.9なのか、説明はない)
あれほど「想定外」という言葉を、この人たちは使ったのに再び逆戻り。
東電は、この合理性のない原子力安全基盤機構のシミュレーション結果を何度も引き合いに出して、「震度6強までは、倒壊の心配はない」と記者会見で言っていた。本当に恐ろしい連中だ。
耐震強度は構造計算のできる建築士でなければ評価できるはずがない。
原子力安全基盤機構は、コンピュータにインストールしてある耐震強度を割り出すプログラム・ソフトの結果に基づいて「倒壊しない」と言っていただけなのだ。
ところが去年の5月、建屋の西側(海と反対側)が水素爆発の爆風で最大で4.5cm膨らんでいたことが新たに分かったという。
耐震の専門家が警鐘を鳴らしているのは建屋のコンクリート内部の強度。
東京大学の高田毅士教授は、見た目だけでなく、シュミットハンマーを使った壁の内部の強度を正確に調べなければ本当の耐震強度など割り出せない、と言っている。
これは建築の常識だ。
原子力安全基盤機構は、最初から「都合の悪いファクター」はシミュレーションには採用せず、「倒壊しない」という結果を引き出すため、コンピュータで計算ゲームをやっているだけである。
原子力ムラが原子力ムラを“評価”するのだから、こうした答えが導き出されることは誰でも想像がつく。
原子力安全基盤機構が「倒壊しない」と評価したとき、元東芝・原子炉格納容器設計者の後藤政志氏はこのように言っている。
「あくまでも、『福島で起きた地震と津波と同程度のものが起きても、おそらくは持ちこたえるだろう』というのは、机上の空論に過ぎず、現実は、福島第一原発を襲った震度と津波以上のものが起きる可能性がある」。(ドイツ公共放送・ドイツZDF フクシマのうそのインタビューで。2011年3月)
また、建屋西側の影のふくらみが判明したとき、テレビの報道番組のインタビューに答えて、同氏はこんなふうに言っている。
「(4号機の使用済み燃料プールで)放射能火災が起こったとき、その熱で、どれくらい構造物の強度が保たれるか分らない。
東電は大丈夫と言っているが、専門家が再計算しようとしても、計算の基になる情報を一切出さないので再計算ができない」。(報道ステーションの取材に応じて。2012年5月)
このようにまだ、東電は肝心な情報を出さないでいる。
その理由は…もちろん、「全電源喪失したのは津波のせいである」という嘘が、今後こそ確定的に暴かれてしまうから。
東電が、5月にシュミットハンマーを使って、使用済み燃料プールの外側の14ヶ所のコンクリート内部の強度を計ったところ、「コンクリート強度を定める建築基準法の数値を上回っていることを確認した」と言っているが、今後、東電による情報を公開していくことが何より求められている。
東電の説明では「震度6強までは耐えられる」としているが、さらにストレステストをやって公開していくことも大切。
建屋カバーの組み立ては、この冬に作業を開始する計画になっている
山本章夫名古屋大学教授:
今、注意しなければならないのは使用済み燃料プールの水温である。
今年の6月に、プールの水を循環させているポンプが焼け焦げて、冷却が3日間停止したことがあった。
4号機プールが冷温停止、別系統の冷却装置も作動せず
4号機続報
引き続き4号機情報-代替冷却ポンプ作動
循環冷却復旧。福島みずほ議員が官邸に確認
計算によれば、約11日でプールの水の温度が100℃になり、蒸発が進むことになる。
冷却システムのトラブルを避けるために、バックアップのシステムの構築が必要不可欠。
水野解説員:
この冷却ポンプのトラブルは、たびたび起きていて、新しいものに交換することをやってほしい。
とにかく、一刻も早く、取り出せる燃料から先に取り出すことが急がれている。
事故当初から、使用済み燃料の取り出し作業の計画に参加してきた竹中工務店の原子力火力本部。
当初の案では、上のCGのように、4号機建屋の残った部分を「支え」にして、全体に建屋カバーを取り付け、この中にI燃料を取り出すクレーンや、その他の装置を取り付けることを考えたが、建屋の損傷が酷いので断念。
そこでひらめいたのが、港で貨物船かコンテナを吊り上げて陸に下ろすガントリー・クレーンだった。
上は、クレーンなどの燃料を取り出すための装置を設置する建屋カバー。
損傷した4号機建屋の屋上部分の面と、取り付ける建屋カバーとの間には50cmの隙間があり、4号機建屋とは接触しない。
水素爆発によって構造にダメージをした受けた4号機建屋には、クレーンや支柱などの総重量1400トンの重みは、建屋には一切かからない構造になっている。
建屋カバーの部材は千葉県の工場で造られている。
玩具のブロックと同じ形式で組み立てる方式。
山本章夫名古屋大学教授:
建屋カバーの組み立ては、この冬(2012年暮れから)からスタートしようかという話になっている。
平成25年1月8日より、4号機使用済燃料プールにおける燃料取り出し用カバーの鉄骨部材の建方に着手
建屋カバーを取り付ければ、いよいよ燃料の取り出し作業に移ることになるが、そこには厳しい現実が待ち構えている…。
使用済み燃料の取り出し作業を担当するプラントメーカー。(茨城県日立市)
取り出し作業の開始予定は、2013年の12月。
担当者の打ち合わせが活発に行われている。
使用済み燃料の取り出しの手順--
使うのは、「燃料取り扱い機クレーン」と、「天井クレーン」の2種類のクレーン。
燃料取り扱い機クレーンが担当するのは、プールから使用済み燃料を取り出して、キャスクという容器に入れるまでの工程。
人間の微妙な操作が要求される神経戦。
次に、大型の天井クレーンの工程は、重さ約100トンのキャスクを吊り上げ、地上に下ろすまで。後はトレーラーなどで保管場所に移動する。
しかし、この作業には大きな困難が立ちはだかっている。
それは、プールの中に散らばっているガレキ。
コンクリート片や金属の板など大きさはさまざま。
このため、オペレーターが目視によって確認しながら作業を進めることになる。
本来の燃料取り出し作業は全自動である。
燃料の詳細な位置は、すべてあらかじめコンピュータのインプットされている。
水中で燃料を寸分たがわず確実につかむ。
失敗が許されないこの作業を今回は人の力で行わなければならない。
4号機プールを真上から見た図。
どこにどんなガレキがあるか把握できる。
山本章夫名古屋大学教授:
小さいガレキについては、掃除機のようなもので吸い取るとか、大きいものについては専用の工具を使ってガレキをしっかり固定した後、クレーンで吊り上げるという方法。
現時点で分かっている範囲では、燃料の大きな破損はなさそうだというふうに見られている。
時に気をつけなければならないのは、大きいガレキをクレーンで吊り上げる途中で落したりして、使用済み燃料を疵付けたり
しないように慎重に作業を行う必要があるということ。
安全に使用済み燃料を保管するための注目すべき技術がある。
福島第一原発全体が電源喪失して、なお津波に襲われても何ら問題がなかった使用済み燃料があった。
それが乾式キャスクという燃料を閉じ込めておく特殊な容器。
震災のとき、大量のガレキと海水が乾式キャスクを飲み込んでも問題は生じなかった。
では、この乾式キャスクとは、どんなものなのか。
乾式というように、中の燃料を水で冷やすのではなく、そのままの状態で完全に密閉するということ。
金属と樹脂を組み合わせた特殊な厚さ45cmの素材が、放射線を防ぐ。
使用済み燃料からの放射線量を、1万分の1以下に減らすことができる。
その秘密は、伝熱フィンと呼ばれる銅でできた板にある。
伝熱フィンは、キャスクの周囲に沿って埋め込まれている。
使用済み燃料の熱はキャスクの内側から外側に伝わる。
冷却水を使わなくても、大量の熱を伝熱フィンから外に逃がすことができる。
ところが、この乾式キャスクは国内では2ヶ所の原発でしか使われていない。
乾式キャスクの貯蔵風景。
水野解説員:
乾燥式キャスクは、あまり熱い状態の使用済み燃料は入れることはできない。
4号機の使用済み燃料プールに収納されている熱い使用済み燃料は、いったんプールから出した後、共用プールに移す。
共用プールには、すでに冷えた使用済み燃料プールがあるので、それを乾式キャスクに入れて、共用プールの空いたスペースに、4号機のプールから取り出したばかりの使用済み燃料を入れて冷やすという手順になっている。
なぜ乾式キャスクが、今まで使われなかったのか--
山本章夫名古屋大学教授:
日本の核燃料サイクルでは、使用済み燃料プールから取り出した使用済み燃料は、再処理工場(使用済み燃料から、ウラン・プルトニウムを取り出すプラント)に送るという前提になっていた。
だから乾式キャスクを使おうという話にならなかった。
アメリカでは乾式キャスクは、かなり使われている。
水野解説員:
ところが、再処理技術は、日本ではうまくいかなかった。
そのため、使用済み燃料がプール内で溜まり続ける一方となって、その核燃料サイクルの矛盾が、今回、リスクとなって表れた。
福島原発以外の使用済み燃料プールにも、使用済み燃料が溜まり続けているので、どう処理していくのか真剣に考えていくべき時期に来ている。
山本章夫名古屋大学教授:
今回の使用済み燃料プールの例で言えば、使用済み燃料プールは、他の1、2、3号機すべてにある。
比較的、放射線量の低い4号機で、使用済み燃料の取り出し技術をしっかり開発することは、技術を成熟させていくためのステップになる。
(ここまで)
そのとき、NHKのこの番組に出演した人たちはこの世にいない
東京電力のホームページにある「原子炉建屋で燃料取り出し用カバー設置の本工事に4月17日より着手しました」と書かれてあるのは、4号機建屋の5階以上の損壊の激しい部分(原子力安全基盤機構のシミュレーションで判明した赤い部分)の撤去作業の開始のこと。
まだ、建屋に設置する燃料取り出し用カバーの組み立て工事は終っていない模様。
燃料取り出し用カバーの概要 pdfファイル
爆発した建屋からの世界初の使用済み燃料の取り出し作業は、世界の注目の的になるでしょう。
使用済み燃料プールの中には、大きな鉄骨やコンクリートの破片が落ちています。これから、何度も難関にぶつかり、その都度、新しいアイデアを出しながらストップ・アンド・ゴーで進めていくことになるのです。
この番組が伝えていることは、多くの視聴者に希望を持たせますが、まだ計画に過ぎません。
すべての燃料棒の取り出しが終ったとき、初めて私たちに「束の間の安堵」が訪れるのです。
しかし、4号機の使用済み燃料の取り出しが成功したとしても、もっとも線量が高くて厄介な2号機の燃料取出しがいつになるのか皆目検討がつきません。
必要以上に悲観的な考え方は禁物ですが、廃炉まで最短で40年。別の専門家はそれ以上かかると見積もっています。
その間に、この地震列島で巨大地震が起きないことが、果たして有り得るのでしょうか。
それは有り得ない。
おそらく、私は福島第一原発の廃炉を見ないで、この世を去るでしょう。
この番組に出演している人々の中で、廃炉を見ることができる可能性があるのは、タレントとアナウンサーの女性陣2名だけであるということは確実に言えることです。
なんとも鬱陶しい人生です。
それなのに、今度の政権政党は、これから新しい原発を9基も造ろうとしているのです。
彼らは、どう見ても狂っている。
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NHKのサイエンスZERO 「シリーズ原発事故(8) 4号機 取り出せるか 使用済み燃料」(12月30日再放送)では、4号機の使用済み燃料の今後の取り出し作業について取り上げています。
すでにブログで書いてきたことですが、使用済み燃料の取り出し計画について、これまでの経緯がコンパクトにまとめられているのでひとつの資料になると思います。
どうせ削除されるでしょうから、今のうちにキャプチャーを取っておきます。
東電は、去年の7月18~19日にかけて、未使用の燃料集合体2本を試験的に取り出しました。
このときは、世界初のオーバーヘッド・クレーンなしの取り出し作業ということもあって、1本取り出すのに1日かかっています。
現在、4号機建屋の使用済み燃料プールには、未使用と使用済み燃料併せて1533本の燃料集合体が収納されているので、単純計算すれば、燃料集合体すべてを取り出すには5年近くかかることになります。
次の大津波を引き起こす巨大余震が来るまで、取り出し作業をどう短縮できるかが日本を破滅から救うか鍵になっています。
シリーズ原発事故(8) 4号機 取り出せるか 使用済み燃料
一昨年の水素爆発直後、「東電や政府は本当のことを言っていないのではないか」とテレビで発言したことで、しばらく干されていたNHKの水野解説員ですが、この番組では久しぶりに福島第一原発事故の解説者として再登場です。(彼は正しいことをした)
4号機建屋の使用済み燃料プールとは、こんな位置づけになっています。
これは、他の1、2、3、5、6も同じです。
(クリック)
※燃料ペレットと燃料棒、燃料棒と燃料集合体の関係は、こちらの記事で詳しく説明しています。
4号機建屋の使用済み燃料プールの耐震性について原子力安全基盤機構でシミュレーションが行われました。
(動画では、いつ行われたか不明ですが、2011年5月以前に行われたことは間違いない)
このときのシミュレーションは、なんと写真判定でした。
コンピュータ・シミュレーションに使われたのは、この写真(下)。
人間の目で見て、損傷の具合をコンピュータ・プログラムに打ち込むという、非常に曖昧な方法でシミュレーションを行った。
赤い部分は壁、梁ともに損傷が酷い部分で、コンピュータ・シミュレーションでは耐震性ゼロの条件が与えられた。
建屋内部の主構造でも損傷が激しい部分がたくさん見つかった。
この赤い部分は破損が酷いので、「ないもの」として入力された。
この赤い部分は、すでに解体されて、現在は存在しない。
しかし、レーザーなどを使って正確に計ったものではなく、あくまで「写真で見た目」での判断。
建屋倒壊の引き金になる致命的な損傷は分らない。
この条件で、マグニチュード7.9の地震が起きた場合を仮定して原子力安全基盤機構でシミュレーションを行ったところ、建屋の横方向の触れ幅は、最大で10 cmとなって、「倒壊しない」という結果が出たという。
(なぜ次のアウターライズ地震のマグニチュードが7.9なのか、説明はない)
あれほど「想定外」という言葉を、この人たちは使ったのに再び逆戻り。
東電は、この合理性のない原子力安全基盤機構のシミュレーション結果を何度も引き合いに出して、「震度6強までは、倒壊の心配はない」と記者会見で言っていた。本当に恐ろしい連中だ。
耐震強度は構造計算のできる建築士でなければ評価できるはずがない。
原子力安全基盤機構は、コンピュータにインストールしてある耐震強度を割り出すプログラム・ソフトの結果に基づいて「倒壊しない」と言っていただけなのだ。
ところが去年の5月、建屋の西側(海と反対側)が水素爆発の爆風で最大で4.5cm膨らんでいたことが新たに分かったという。
耐震の専門家が警鐘を鳴らしているのは建屋のコンクリート内部の強度。
東京大学の高田毅士教授は、見た目だけでなく、シュミットハンマーを使った壁の内部の強度を正確に調べなければ本当の耐震強度など割り出せない、と言っている。
これは建築の常識だ。
原子力安全基盤機構は、最初から「都合の悪いファクター」はシミュレーションには採用せず、「倒壊しない」という結果を引き出すため、コンピュータで計算ゲームをやっているだけである。
原子力ムラが原子力ムラを“評価”するのだから、こうした答えが導き出されることは誰でも想像がつく。
原子力安全基盤機構が「倒壊しない」と評価したとき、元東芝・原子炉格納容器設計者の後藤政志氏はこのように言っている。
「あくまでも、『福島で起きた地震と津波と同程度のものが起きても、おそらくは持ちこたえるだろう』というのは、机上の空論に過ぎず、現実は、福島第一原発を襲った震度と津波以上のものが起きる可能性がある」。(ドイツ公共放送・ドイツZDF フクシマのうそのインタビューで。2011年3月)
また、建屋西側の影のふくらみが判明したとき、テレビの報道番組のインタビューに答えて、同氏はこんなふうに言っている。
「(4号機の使用済み燃料プールで)放射能火災が起こったとき、その熱で、どれくらい構造物の強度が保たれるか分らない。
東電は大丈夫と言っているが、専門家が再計算しようとしても、計算の基になる情報を一切出さないので再計算ができない」。(報道ステーションの取材に応じて。2012年5月)
このようにまだ、東電は肝心な情報を出さないでいる。
その理由は…もちろん、「全電源喪失したのは津波のせいである」という嘘が、今後こそ確定的に暴かれてしまうから。
東電が、5月にシュミットハンマーを使って、使用済み燃料プールの外側の14ヶ所のコンクリート内部の強度を計ったところ、「コンクリート強度を定める建築基準法の数値を上回っていることを確認した」と言っているが、今後、東電による情報を公開していくことが何より求められている。
東電の説明では「震度6強までは耐えられる」としているが、さらにストレステストをやって公開していくことも大切。
建屋カバーの組み立ては、この冬に作業を開始する計画になっている
山本章夫名古屋大学教授:
今、注意しなければならないのは使用済み燃料プールの水温である。
今年の6月に、プールの水を循環させているポンプが焼け焦げて、冷却が3日間停止したことがあった。
4号機プールが冷温停止、別系統の冷却装置も作動せず
4号機続報
引き続き4号機情報-代替冷却ポンプ作動
循環冷却復旧。福島みずほ議員が官邸に確認
計算によれば、約11日でプールの水の温度が100℃になり、蒸発が進むことになる。
冷却システムのトラブルを避けるために、バックアップのシステムの構築が必要不可欠。
水野解説員:
この冷却ポンプのトラブルは、たびたび起きていて、新しいものに交換することをやってほしい。
とにかく、一刻も早く、取り出せる燃料から先に取り出すことが急がれている。
事故当初から、使用済み燃料の取り出し作業の計画に参加してきた竹中工務店の原子力火力本部。
当初の案では、上のCGのように、4号機建屋の残った部分を「支え」にして、全体に建屋カバーを取り付け、この中にI燃料を取り出すクレーンや、その他の装置を取り付けることを考えたが、建屋の損傷が酷いので断念。
そこでひらめいたのが、港で貨物船かコンテナを吊り上げて陸に下ろすガントリー・クレーンだった。
上は、クレーンなどの燃料を取り出すための装置を設置する建屋カバー。
損傷した4号機建屋の屋上部分の面と、取り付ける建屋カバーとの間には50cmの隙間があり、4号機建屋とは接触しない。
水素爆発によって構造にダメージをした受けた4号機建屋には、クレーンや支柱などの総重量1400トンの重みは、建屋には一切かからない構造になっている。
建屋カバーの部材は千葉県の工場で造られている。
玩具のブロックと同じ形式で組み立てる方式。
山本章夫名古屋大学教授:
建屋カバーの組み立ては、この冬(2012年暮れから)からスタートしようかという話になっている。
平成25年1月8日より、4号機使用済燃料プールにおける燃料取り出し用カバーの鉄骨部材の建方に着手
建屋カバーを取り付ければ、いよいよ燃料の取り出し作業に移ることになるが、そこには厳しい現実が待ち構えている…。
使用済み燃料の取り出し作業を担当するプラントメーカー。(茨城県日立市)
取り出し作業の開始予定は、2013年の12月。
担当者の打ち合わせが活発に行われている。
使用済み燃料の取り出しの手順--
使うのは、「燃料取り扱い機クレーン」と、「天井クレーン」の2種類のクレーン。
燃料取り扱い機クレーンが担当するのは、プールから使用済み燃料を取り出して、キャスクという容器に入れるまでの工程。
人間の微妙な操作が要求される神経戦。
次に、大型の天井クレーンの工程は、重さ約100トンのキャスクを吊り上げ、地上に下ろすまで。後はトレーラーなどで保管場所に移動する。
しかし、この作業には大きな困難が立ちはだかっている。
それは、プールの中に散らばっているガレキ。
コンクリート片や金属の板など大きさはさまざま。
このため、オペレーターが目視によって確認しながら作業を進めることになる。
本来の燃料取り出し作業は全自動である。
燃料の詳細な位置は、すべてあらかじめコンピュータのインプットされている。
水中で燃料を寸分たがわず確実につかむ。
失敗が許されないこの作業を今回は人の力で行わなければならない。
4号機プールを真上から見た図。
どこにどんなガレキがあるか把握できる。
山本章夫名古屋大学教授:
小さいガレキについては、掃除機のようなもので吸い取るとか、大きいものについては専用の工具を使ってガレキをしっかり固定した後、クレーンで吊り上げるという方法。
現時点で分かっている範囲では、燃料の大きな破損はなさそうだというふうに見られている。
時に気をつけなければならないのは、大きいガレキをクレーンで吊り上げる途中で落したりして、使用済み燃料を疵付けたり
しないように慎重に作業を行う必要があるということ。
安全に使用済み燃料を保管するための注目すべき技術がある。
福島第一原発全体が電源喪失して、なお津波に襲われても何ら問題がなかった使用済み燃料があった。
それが乾式キャスクという燃料を閉じ込めておく特殊な容器。
震災のとき、大量のガレキと海水が乾式キャスクを飲み込んでも問題は生じなかった。
では、この乾式キャスクとは、どんなものなのか。
乾式というように、中の燃料を水で冷やすのではなく、そのままの状態で完全に密閉するということ。
金属と樹脂を組み合わせた特殊な厚さ45cmの素材が、放射線を防ぐ。
使用済み燃料からの放射線量を、1万分の1以下に減らすことができる。
その秘密は、伝熱フィンと呼ばれる銅でできた板にある。
伝熱フィンは、キャスクの周囲に沿って埋め込まれている。
使用済み燃料の熱はキャスクの内側から外側に伝わる。
冷却水を使わなくても、大量の熱を伝熱フィンから外に逃がすことができる。
ところが、この乾式キャスクは国内では2ヶ所の原発でしか使われていない。
乾式キャスクの貯蔵風景。
水野解説員:
乾燥式キャスクは、あまり熱い状態の使用済み燃料は入れることはできない。
4号機の使用済み燃料プールに収納されている熱い使用済み燃料は、いったんプールから出した後、共用プールに移す。
共用プールには、すでに冷えた使用済み燃料プールがあるので、それを乾式キャスクに入れて、共用プールの空いたスペースに、4号機のプールから取り出したばかりの使用済み燃料を入れて冷やすという手順になっている。
なぜ乾式キャスクが、今まで使われなかったのか--
山本章夫名古屋大学教授:
日本の核燃料サイクルでは、使用済み燃料プールから取り出した使用済み燃料は、再処理工場(使用済み燃料から、ウラン・プルトニウムを取り出すプラント)に送るという前提になっていた。
だから乾式キャスクを使おうという話にならなかった。
アメリカでは乾式キャスクは、かなり使われている。
水野解説員:
ところが、再処理技術は、日本ではうまくいかなかった。
そのため、使用済み燃料がプール内で溜まり続ける一方となって、その核燃料サイクルの矛盾が、今回、リスクとなって表れた。
福島原発以外の使用済み燃料プールにも、使用済み燃料が溜まり続けているので、どう処理していくのか真剣に考えていくべき時期に来ている。
山本章夫名古屋大学教授:
今回の使用済み燃料プールの例で言えば、使用済み燃料プールは、他の1、2、3号機すべてにある。
比較的、放射線量の低い4号機で、使用済み燃料の取り出し技術をしっかり開発することは、技術を成熟させていくためのステップになる。
(ここまで)
そのとき、NHKのこの番組に出演した人たちはこの世にいない
東京電力のホームページにある「原子炉建屋で燃料取り出し用カバー設置の本工事に4月17日より着手しました」と書かれてあるのは、4号機建屋の5階以上の損壊の激しい部分(原子力安全基盤機構のシミュレーションで判明した赤い部分)の撤去作業の開始のこと。
まだ、建屋に設置する燃料取り出し用カバーの組み立て工事は終っていない模様。
燃料取り出し用カバーの概要 pdfファイル
爆発した建屋からの世界初の使用済み燃料の取り出し作業は、世界の注目の的になるでしょう。
使用済み燃料プールの中には、大きな鉄骨やコンクリートの破片が落ちています。これから、何度も難関にぶつかり、その都度、新しいアイデアを出しながらストップ・アンド・ゴーで進めていくことになるのです。
この番組が伝えていることは、多くの視聴者に希望を持たせますが、まだ計画に過ぎません。
すべての燃料棒の取り出しが終ったとき、初めて私たちに「束の間の安堵」が訪れるのです。
しかし、4号機の使用済み燃料の取り出しが成功したとしても、もっとも線量が高くて厄介な2号機の燃料取出しがいつになるのか皆目検討がつきません。
必要以上に悲観的な考え方は禁物ですが、廃炉まで最短で40年。別の専門家はそれ以上かかると見積もっています。
その間に、この地震列島で巨大地震が起きないことが、果たして有り得るのでしょうか。
それは有り得ない。
おそらく、私は福島第一原発の廃炉を見ないで、この世を去るでしょう。
この番組に出演している人々の中で、廃炉を見ることができる可能性があるのは、タレントとアナウンサーの女性陣2名だけであるということは確実に言えることです。
なんとも鬱陶しい人生です。
それなのに、今度の政権政党は、これから新しい原発を9基も造ろうとしているのです。
彼らは、どう見ても狂っている。
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グレートリセット本番!生き残る日本人は10人に1人
今世紀最大の逆イールド発生!大倒産時代をどう生き残る
3年後に迫る人類史上最大のターニングポイント③
3年後に迫る人類史上最大のターニングポイント②
3年後に迫る人類史上最大のターニングポイント①
この冬から始まる世界同時崩壊のイベント
計画的食料危機で世界政府があなたをシープルにする方法
食料配給制度が復活し、UBIによって人口削減へと進む④