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GALAC2009年12月号 THE PERSON 富野由悠季インタビュー「ロボットなんて、好きじゃない!」

2010/04/15 22:15|富野由悠季関連TRACKBACK:0COMMENT:0
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 今日紹介したいのは、去年30周年記念イベントのガンダムビッグエキスポ終わったまもなく、『リング・オブ・ガンダム』に関するインタビューです。
 このインタビューを読むにあたって、特に注目してほしいのは、このインタビューを読む限り、富野監督は『リング・オブ・ガンダム』という作品にしか興味がなかったに見えるのですが、それはあくまで去年8月くらいの時点のことで、新刊『リーンの翼』で全体主義が語りたい話一部を消化した今、富野監督は新作企画も備えているということです。
 とにかく、インタビューを紹介した後、誤解回避という意図を含めて、少しだけ自分の意見を述べさせていただきます。

ロボットなんて、好きじゃない!

――富野監督は「機動戦士ガンダム」という、日本のアニメを転換させたと言っていい作品を作り出したわけですが。

 「僕はアニメをやろう、ロボットものを作ろうなんて毫(ごう)も思ったはない。テレビマンガなんていうどうしょうもないところにしか行けなかった絶望感の中で、目の前にあるものを自分の理想に近づけようとした。何か映画的なもの、フィクションからリアルを語っただけ。『海のトリトン』でテレビマンガにだって何か使命がある、ただ怪獣やっつける坊やの話でいいわけがない。そう思ってなあなあで済まさずにやってみた。そうしたら映画たりうる語り口を持てたんです。
 オリジナルのストーリーをやるにはロボットものしかなかった。他のものだと原作があるでしょ。ガンダムはリアルロボットものと云われるけど、それはロボットじゃない部分がリアル。たとえば『人口増でこのままでは地球が滅びるから皆殺し作戦をやった』なんてアニメだからフィクションだから言えること。これ本当のことでしょ? でも選挙の公約になんかできない。フィクションからリアルを語ることができる、そういう媒体にガンダムはなった。だから受けてが自分のリアルな部分で共感できる。それが『リアル』ロボットものということでしょう。それが、僕がやったことなんですね。
 ガンダムの場合は、きちんと世界観や背景を想定して、しっかり汎用性のあるオープンなものを提供できた。僕はその世界観のなかでカメラ前に来たキャラクターを追った感じ。世界観は相当にきちんと考えた。中途半端な作品は作家がいい加減な世界観で囲い込んでしまうし、それが日本でほとんどだけど、ガンダムはそれをやってない。だからみんながいろんなことをその世界でやれた。僕自身も『∀ガンダム』ではみんなが作ったガンダムを包括することができた」

――それがガンダム世界のおおきな魅力ですね。さまざまな歴史やドラマをファンが語れるという。

「まあただ、一〇人のうち七人はモビルスーツに惹かれるでしょ。リアルにわかってくれるのは一、二人。それが現実ですよ。そこに向かってどう物語を紡ぐかなんです。僕自身のボキャブラリーは『∀ガンダム』でもう尽きたと思っていました。でも、偶然ハンナ・アーレントという政治哲学者を紹介する本があって、題名がかっこいいので(笑)読んじゃったんですが、ドイツのユダヤ人。ナチスに迫害されてフランス、アメリカに亡命して、全体主義がなぜ生じるか考え、一九七五年に亡くなったんですが、その言葉遣い、ロジックにビックリ。そうか! そういう言い方があったか! 感覚的に思っていた事柄を言葉にされてスーッとはいってくる。これだけの見識はまさに今の政治家たちが知らなきゃいけないことでだ、この人の言葉をなんとかみんなに伝えたいと思ったんです。それがで今勉強してるんですけど、これをやりたい。『なんでガンダムでアーレントなんだ?』って今の大学で政治を学んでいる若い人がひっかかって考えてくれたら、間違いなくその人は次の日本を支えてくれる人になる、そう確信したんですよ」

――あの『リング・オブ・ガンダム』がそれですか?

「そうです。実はアーレントが亡くなってから三十年すぎた今、世界は彼女の不安通り。全体主義の中では誰にも責任のないまま戦争が起こる。9・11以降のイラク戦争がまさにそう。いまだに戦犯・責任者のいないまま戦争してる。そしてテロです。独裁者も出ないような閉塞感のなか、感情的憎悪だけがテロを生む。これは増加する。まさに今、そうなんです。
 あの月の周囲の広大な建造物リング、数百年後の廃墟です。全体主義が地球を滅ぼした。このままだと一体どうなるのか、ガンダム世界から伝えたい。アーレントおばちゃん、あんたをガンダムで有名にしてやるよ、そう思ってますね(笑)」

――人類はだめになるんでしょうか?

「僕も随分一生懸命考えた。アーレントも解決策を悩み抜いた。でも彼女は絶望のまま亡くなったにんです。彼女に、フィクションで考えるなら、こういう理想的姿もあるかもよ、と言いたいなと思う。リングはまだストーリーも考えていませんが、コンセプトと心張り棒はしっかりできてる。リングの二本立てと、もう一つ、リングは五百年も先の話だから、そこへ向かうまで。全体主義のニオイがする世界の話を企画として持っています。もう語ることはないかと思ったんですが、アーレントと出合って、命ある限りやることが見つかった」

――それは映画でしょうか、それともテレビで?

「テレビって一話二十分として十三回でも七時間以上。大作映画なんですよ。ただ毎週消費するようなつくりじゃだめ。そんなもったいないこと誰がするか。編集して何本かの映画になるように作るものですね。
 どちらにせよ目指すのはたとえばブロードウェイの芝居。一本をロングランにするでしょ。そういうエンタテイメントショーを作りたい。みんなで何度でも見るもの。一度見ただけでわかるようなのはつくらないぞと。そのストーリーを通じて、日本がまたみんなが一生懸命考えて判断できる社会になってくれれば。そう思っています」



ガンダムの場合は、きちんと世界観や背景を想定して、しっかり汎用性のあるオープンなものを提供できた。

 これがまさに富野由悠季という作家がガンダムコンテンツに提供したもっとも大きいものです。広がりが含まれている世界。ガンダムシリーズは数多く作られていますが、一番揺るがしがたい世界はやはり富野が何作もかけて作った宇宙世紀ですし、ほかのガンダム作品は人気作も少なくないが、世界観はどうしてもそのシリーズしか通用しないことを考えれば、やはり一番「他人に共有できるガンダム世界観=コンテンツ=商売のネタ」を作れるのは、富野監督本人です。


この人の言葉をなんとかみんなに伝えたいと思ったんです。

 富野監督がこの2年の間アーレントに傾心しているのは周知の事実ですが、意気込みの一方、「それじゃ説教的になりすぎない?」と疑問を持つ人もいるかもしれません。しかし、今までの富野監督の作品にかける方法論から見れば、テーマやコンセプトを持つことは悪いことではなくて、むしろ今までどの富野作品でも見られるものです。言い換えると、しっかりしてる脚本さえあれば、別にテーマ先行という憂いにはなりません。それに上も言ったとおり、このたび発売された『リーンの翼』のなか、富野監督はすでにこのコンセプトを一部に試したんですから、そうなればもっと扱えるはずです。ですから、全体主義というご大層なコンセプトを掲げているからといって、固い作品になることを心配する必要がないと思います。


リングはまだストーリーも考えていませんが、コンセプトと心張り棒はしっかりできてる。リングの二本立てと、もう一つ、リングは五百年も先の話だから、そこへ向かうまで。全体主義のニオイがする世界の話を企画として持っています。

 この話は2009年8月時点の話なので、今の『リング・オブ・ガンダム』の企画はどうなってるのか分かりません。しかし、今の富野監督が持っている企画とは別の話という可能性もあります。
 「リングの二本立てと、もう一つ」という話はおそらく構想だけに過ぎませんので、いささか意味よくわかりませんけれど、たぶん『リング・オブ・ガンダム』の世界観で二つの作品を作る、もしくは一本『リング・オブ・ガンダム』、もう一本『リング~』に向かうまでのストーリー、つまり『プレ・リング』みたいな話だったかもしれません。


テレビって一話二十分として十三回でも七時間以上。大作映画なんですよ。ただ毎週消費するようなつくりじゃだめ。そんなもったいないこと誰がするか。編集して何本かの映画になるように作るものですね。

 これは一見テレビお断りという話に見えますが、実際はそうではありません。テレビアニメは毎週に流すようなものでしたら、テレビ放送にしか適えない質で作らずに、編集映画(まあ、富野監督というかサンライズお得意なツギハギ映画ね)としても流せるものにしたい、という意思表示に過ぎません。


どちらにせよ目指すのはたとえばブロードウェイの芝居。一本をロングランにするでしょ。そういうエンタテイメントショーを作りたい。みんなで何度でも見るもの。一度見ただけでわかるようなのはつくらないぞと。

 これはつまり富野監督の理想の一つである「何度でも見れる作品」というものですね。逆に、富野監督は「一回見るだけわかる作品」という理想もあるようですが(原恵一氏との対談などで)、個人にとっては、やはり「一回見るだけわかる、さらに何度でも見れる作品」というものを富野監督につくってもらいたいですね。

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