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『風立ちぬ』の喫煙シーン、およびタバコ演出に頼らない富野由悠季の考え方

2013/08/14 23:26|富野由悠季関連TRACKBACK:1COMMENT:24
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 最近、こんなニュースがありました。

日本禁煙学会 「風立ちぬ」喫煙場面に苦言「子どもに影響与える」 (スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース

NPO法人「日本禁煙学会」が公開中の映画「風立ちぬ」(監督宮崎駿)の中のタバコの描写について苦言を呈している。

 いわく、一般向けのアニメーション映画でありながら、喫煙シーンがたくさんあって、子供に悪い影響を及ぼしかねない、という話です。



 なるほど、学会の理由は一見ごもっともですよね。映画の表現性を言及しつつも、その必要性に問題提起するのはちゃんと見ている証拠でもあるし、何せ天下のジブリなんだから、影響力が半端ないってのも頷けます。

 さらに、「食べ物が美味い描写」という定評があるジブリだけあって、劇中に出てくるタバコも実に美味そうに見えます。これは紛れも無く事実だと思います。

 とはいえ、、この「苦言」にいまいちピンと来ない人もやはりいるでしょう。作家がどの意図でそのようなシーンを作ったにせよ、それは単に作品のためのものですし、単に「そこだけを変えろ!」という指摘は、正直外野の虫が良すぎる喧騒でしかない一面があります。

 しかし、作品自体から離れるところから見ると、この苦言はやはり一理あると思います。子供は影響されやすいものですし、レーティングGであるからには、表現の仕方もそれに見合うものが要求されます。これは作家を邪魔するものでもなんでも無く、当たり前のことです。

 そういう意味では、今回の一件に関して、日本の映画倫理委員会には責任があると言わざるを得ません。ジブリ作品だから全部レーティングGという判断は、正直今の日本の姑息主義を反映するものがあると感じます。仮にPGならば、誰も文句を言わないのでしょう。



 一方、『風立ちぬ』とは別にしても、タバコを吸う演出は、映画・アニメ・マンガに存在して久しいとは言えます。古くから『ルパン三世』の次元大介がありますし、近年の一番代表的なアニメ作品でいえば、なんといってもこれでしょう。

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 演出の是非および効果は別にして、タバコという小道具を使って「大人キャラ」を演出するのは、やはりいささか安易なやり方とは言わざるを得ません。

 これに関しては、ちょうど同じくアニメーション演出家の大御所である富野由悠季監督は、タバコの演出に関して言及したことがありますので、その著書である『映像の原則』から少しだけ引用して紹介します。

第7章 ビギナーの実務

演技はポーズやマンガ・パターンではない。

 女の子を演出すると、すぐに八の字眉の表情をつくる。
 (中略)
 もっと典型的な芝居のパターンは、困ったときや照れたときに頭を掻くというポーズです。そして、さらに典型的なことは、タバコを吸わせるというポーズです。
 これらは、どこでも見られる”芝居の類型”なのですから、まずこんなことはさせないという覚悟をもって、自分なりの独創的な演技を考えてほしいです。というのは、このようなことをうかつにしている演出家や演技者は無能であると白状しているようなものだからです

 逆にいえば、演技のできない訳者には、タバコでも持たせればいい、という考え方も現場にはあって、そのようにしている場合もあります。
 ですから、よく見かけることはやっていい、のではなく、やってはいけないことと思って良いでしょう
 (中略)
 ポーズというのは、ある動きのなかの特徴的な一瞬のものであり、あるひとつの演技を考えていって、その演技のなかのチャーミング・ポイントともいえる一瞬に創出(発見)できるものだ、と認識してほしいのです。
 そのうえで、その一瞬をなんとかフィックス(固定し拡大)する方法がないものかと考えるのです。
 しかし、実写であれば役者そのものの魅力、その人の魅力でもある特別な一瞬のものが魅力あるということであり、それは作画されるキャラクターでも同じで、さらに、それが物語の展開の嚙み合って魅力が増幅されたりするのですから、ひとつのポーズそのものに魅力がある、と考えるのがそもそもまちがいなのです

 かなり富野流の説明ですけど、基本的に富野監督は「タバコを持たせる演技はやってはいけない」というスタンスなのです。確かに、富野作品では喫煙シーンがほとんどありません。しかし、その発言はなにもタバコ自体が悪いといっているのではなく、むしろ「作り手側」に基づく話だと理解してほしいです。

 なぜならば、「タバコを吸わせる演技」自体は、すでに手垢まみれのものだからなのです。それを当たり前のようにやるのは、ただの模倣でしかないからです。目新しくないなのです。



 一概とはいえませんけれど、アニメにおける「タバコを吸う芝居」は、大体「深く考えている」か「自分の世界に浸っている」を演出し、それによって「かっこいい」「知らない過去を秘めている」などを表現するものです。しかし、これはもともと「映画からの借り物でしかない」と気づいていない人も多いでしょう。

 それの典型的な芝居として、「二人が会話しているシーンで、主人公が相手の問いに対し何も言わずに、ただタバコを取り出して吸う」というものがあります。これを演出すると、なるほど確かに格好良さそうに見えます。

 しかし、これはもともと映画において「相手に直接リアクションを返さずに、別のアクションをすることで演技をする」というもので、いわば「間」の演技というものだった。ある種、文学的な手法と言えるでしょう。富野作品でいえば、「サボテンが花をつけている…」と同じようなタイプな演出です。

 これを無定見に、ただ「格好良さ」を表現したいオシャレでオマセな演出をするのは、非常に記号的でしかないのです。そして、「タバコを吸う演出」を格好いいと思い、「サボテンが花をつけている」を頭おかしいと思っている視聴者も、さすがに感度が悪いと言わざるを得ません。



 なので、『風立ちぬ』のように意図があって入れたものとは別にして(自分は好きではありませんが)、考えなしに喫煙の演技をやっちゃうのは、やはり一種のルーチンワークのように感じます。いや、もっと悪いのはルーチンであることすら気づかないことでしょう。そしてこれこそが、富野監督が苦言を呈したいことでしょう。

 この話は、もちろん多くの演出家とアニメーターの方は分かりきったことでしょう。しかしこのような「記号でしかない演技」は今なお氾濫しているのもまた事実である。受けてるから使っているのは分かるが、そんな受けてる演技をそのままではなく、もう少し理想を入れてもいいのではないかと切実に願います。

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 ちなみに、この件は『映像の原則改訂版』ではなぜか削除されました。かわいい女の子に関する話はそのまま残しましたが。
コメント

'); 日本禁煙学会の件の苦言に対するweb上での批判を見ると
「モデルのいる話だから」
「そういう時代の物語だから」
といったものが目につくのですが、実際の故・堀越二郎は煙草も酒もやらない人でした。
これは、堀越の評伝などには必ず記されている事実。

というわけで、上記のような批判は無知・誤解に基づくもので意味が無い、と言わざるを得ません。

なぜ、このような誤解を観客がしてしまうのか、といえば、それは、宮崎が自分の作った架空のキャラに「堀越二郎」などと名乗らせているからです。
くどくなるけど、主人公の名前が「堀二郎」や「堀越辰雄」だったら、このような誤解は生じなかったわけです。

そして、なぜ、非喫煙者だった堀越二郎が、『風立ちぬ』では喫煙者として描かれているかといえば、それはもう言わずもがなですが、劇中の「堀越二郎」はヘビースモーカーでもある宮崎が自己を投影したキャラだからです。

故人の影に隠れ無知な人たちを欺いて自分の悪癖を是認させよう、あまつさえ美化しようとさえする宮崎の根性を、やっぱり僕は肯定できませんね。
「家族を顧みず、禁煙を是とする世間の風潮も無視して、自分の世界に没頭し創作に全てを捧げる俺SUGEEE!」がやりたいんなら、ちゃんと誰の目にも明らかに、それが宮崎の自己肯定・自己美化されたものだと分かる架空キャラでやれ。

パ ン ツ 脱 い で な い じ ゃ ん か 、 卑 怯 者 。

パンツ下ろせないなら、せめて原作漫画の豚顔でやれよ。それでも、僕は苦々しさを覚えるでしょうけどね。
(つーか、やっぱり、そもそもからして、表に出しちゃ拙い性質の作品だったんじゃないかなあ……名作エロゲみたいなもんで、あくまで同好の士だけの間で楽しむもの、といったような)
starship #-|2013/08/15(木) 10:49 [ 編集 ]

'); そういえば、原発よりも煙草やめろw
宮崎本人は勿論、彼の周囲の人間にとっても、福一由来の放射線より副流煙のほうが、明らかに危険なんだから。
starship #-|2013/08/15(木) 14:40 [ 編集 ]

'); 不特定多数の人の目に触れる場のコメントなのに、随分と言葉が汚いですね。
今回の「風立ちぬ」の喫煙シーンについては、わたしも「その時代の実際の風潮なのに、何がいけないんだろう?」と思っていましたが、モデルになった人物は非喫煙者だったのですね。知りませんでした。
コメントでおっしゃられていることは正しくても、言い方が悪ければ、それは悪意のこもったコメントだな、とわたしは感じました。
気をつけていただきたいです。
たにぐち #-|2013/08/15(木) 18:25 [ 編集 ]

'); 日本禁煙学会に伺ったところ「過去の喫煙シーンを含む作品を(例えば)テレビで再放送するとテレビ局が条約違反」、「本編前に煙草の害を訴える一文を入れても条約違反」と言われました。例えば私は「12人の怒れる男」という映画(有名な作品です)が好きですが、何しろ白黒の時代なので喫煙シーンを含み、そうなるとテレビで再放送してもDVDを発売しても条約違反となるわけで、これではこの作品は誰も見ることができなくなってしまいます。本当にこれでいいのでしょうか?表現方法の問題ですまないように思います。
BOACK #-|2013/08/15(木) 19:11 [ 編集 ]

'); 前略 大塩です。

 私も煙草論争に一服介入しようと思いました。富野の『映像の原則』の当該箇所を読んだ記憶がありますが、私自身は煙草を吸う主人公に、却って新鮮と認識し。だから禁煙学会の声明も発言自体は自由と(不遜さを自覚しますが)思うけど、当時を物語るには必須の小道具という認識で。

 むしろ富野が勝っていると思うのは、大人社会を問題提起し続けている点と私は考え。だから私は、次の富野ガンダムに期待。

 草々
大塩高志 #/5LHBRow|2013/08/15(木) 19:20 [ 編集 ]

'); っていう程度の感想が、私個人の正直なところ。

それよりやっぱり私としては
富野話のこの手のものがとても好きですな。

あきまんだったかが話していた
リリ様の洋服の話もこれと同じことですよね。
(意味があれば良い。ということでしたが)

表現するものとして必要な心構えだと思っています。

こういう「記号で喜んじゃう」からオタクは嫌いって
いうような発言もしていたような…。

まそきぃ〜 #-|2013/08/16(金) 19:38 [ 編集 ]

'); starshipさん、コメントありがとうございます。

確かに、あのキャラ付けは私もとても気になります。
言わなかったのは、これはフィクションだから、それを言っていいかどうかを分からなかったんです。
でも、こうしてみると、故・堀越氏が煙草も酒もやらないことを知らない人も多いと感じました。
人の名前と半生を借りながら、そのような都合がいい仕上げに関して、私はとても不誠実だと思います。

そうです。パンツのたとえでいうと、結局紅の豚以上脱いでいないのです。
それが前話した、この遺書を嫌悪する訳でもあります。
富野監督はやたらと褒めていますし、その説明も理解できますけど、
その欺瞞は自分にとって、褒めるのに耐えられないものです。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/08/16(金) 23:31 [ 編集 ]

'); ご意見ありがとうございます、たにぐちさん。
他人を無理強いることができませんので、自分が気をつけるまでです。
口調は気にしてませんから、貴重な話を読めるだけで、とてもありがたい気分です。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/08/16(金) 23:39 [ 編集 ]

'); BOACKさん、ご意見ありがとうございます。
煙草だけでレーティングという話自体に疑義を持ちつつ、その前提で話させていただきますと、
現在の作品ならば、現在なりの倫理に気をつけるべきところはあると思います。

ただ一方、ご指摘のとおり、過去の作品まで口に出すのはまったくナンセンスだと思いますし、
煙草の害を訴える一文みたいな対応できることを、作品狩りみたいにやるのは許されないことです。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/08/16(金) 23:51 [ 編集 ]

'); 大塩高志さん、コメントありがとうございます。
このような私に未だにご意見をくださって、感激を覚えている同時に、申し訳なく思います。

この作品に煙草が必要かどうかと問われたら、必要だと思いますよ。
今回学会の苦言は一理あるとはいえ、所詮作品外の議論でしかないと思います。
とはいえ、この造型を作った宮崎に、不満を持ってないわけではない、というのが自分の立場です。

そういう意味でも、私も大塩さんと同じ理由で、富野監督の新作をとても期待しております。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/08/17(土) 00:06 [ 編集 ]

'); まそきぃ〜さん、そうですね。
記号論みたいな話自体は監督がいろんなところで言及したことありますので、
ちょうど手元にはいくつかありますので、機会があればまた皆さんに紹介したいです。

正直言いますと、私もみやざき氏の作品にそれほど興味がありませんでした。
今回の煙草論争のついでに、富野監督の発言を紹介するまでです。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/08/17(土) 00:12 [ 編集 ]

'); 実在の非喫煙者である人物を喫煙者としてリファインすること自体は良くも悪くもないと思います。
ただ、『風立ちぬ』の場合は、宮崎駿の自己投影が物凄いレベルで全編にわたって充満しており、大変独善的な理由によるものだと思いますので、kaitoさんと同じく好きではありません。

一方で、最近のバランスを欠いた(と自分には感じられる)禁煙推進の動きにも、非喫煙者ながら反発を感じていて、今回の禁煙学会の抗議についても100%首肯はできないなぁという感じです。
健康上の理由や子供への影響・周囲の迷惑というのは、建前としてもっともな分、逆に恐ろしいですから。

さておき、私は『映像の原則』は古い版しか持っていないのですが、改訂版ではタバコ部分が削られているんですね。
最近は、タバコに関する表現について、まさに今回の話題にも表れている通り敏感になっていて、小道具として使われることも少なくなってきたので、読者にとっての例えとしての身近さが少なくなったと考えたのかもしれません。女の子の例だけでも話は通じますしね。
グリーン #JUGsyThY|2013/08/17(土) 00:31 [ 編集 ]

'); グリーンさん、ご意見ありがとうございます。
私もまったく同感ですので、基本的にその話についてこれ以上どうこう言うつもりはありません。

タバコに関してはよく分かりませんが、海外の人から見れば、確かに日本にはたびたび行き過ぎた規制とかが浮上します。
そこらへんへのカウンターとして、日本の皆様の英知に頼る部分も多いでしょうから、頑張ってほしいと思います。

煙草に関して、映像の原則では二箇所くらい言及された部分があります。
二つ目は上の発言で、一つ目は非常に短いものでしたので、この記事で省略しました。
新版では、一応一つ目が「タバコ~~(最近は禁煙が進んできたので、それも無くなりました)」みたいな文章が追加されていますので、不適切な発言ではなく、あくまで文脈の流れで削除されたものでしょう。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/08/17(土) 00:31 [ 編集 ]

'); 「実在の非喫煙者である人物を喫煙者としてリファインすること自体は良くも悪くもないと思います」
「健康上の理由や子供への影響・周囲の迷惑というのは、建前としてもっともな分、逆に恐ろしいですから」

 あれ、ぼくコメントしたっけ? と錯覚するくらい、グリーンさんのコメントと同じ考えでした。

 伝記じゃないんでね、『風立ちぬ』は。

 個人的には、日本禁煙学会には微塵たりとも賛同しないほうが吉だと思っています(僕は非喫煙者です)。

 ぼくがこの団体を知ったのは、3年前にある絵本を回収させた騒ぎがあったからですが、その際にラジオ出演した幹部が話した内容は、視野狭窄・思考停止に陥った、それはそれは見事なものでした。
 
 それにしてもこの団体は、他の映画にも同じような意見を表明しているはずですが、これだけ騒ぎになっているのは、やっぱりジブリ映画だから、ですかねえ。
坂井哲也 #-|2013/08/17(土) 03:57 [ 編集 ]

'); これは海外と日本国内で感じた温度差の違いかもしれませんね。
単に今回の件を観ると、どうも「決して揺るがされることのない巨人のジブリvs
アリのタバコ大嫌い団体」と見えてますが、そうでもないですね。

ご指摘のとおり、創作および出版の自由を妨げるものであれば、厳しく糾弾すべきだと思います。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/08/18(日) 21:11 [ 編集 ]

'); こんにちは。
「風立ちぬ」観ました。個人的には宮崎氏はそれなりに”パンツを脱いでいた”と思います。品行方正に見えて、いじめられてる下級生を助けたりする次郎ですが、実は美しいものを追求することにしか興味が無い薄情者だったり、最初に出会った時は侍女のおきぬさんが気に入ってたのに結婚する段になったら「初めて会って帽子を取ってくれた時から好きだった」と嘘をついたり、街角で子守をする女の子にシベリヤケーキを勧めるときは無意識ではあるとはいえ”女の子によく思われたい”というスケベ心が内在してたり、そういう貧乏な階級に対してものを差し出すにあたっての相手のプライドも考えられなかったり、伴侶である菜緒子が結核なのにタバコをそばで吸ったり、そしてなにより彼女が田舎の療養所にかえって一人で死んでいくというのに一度も見舞いに行かず仕事を取った事、その人間的な欠落イコール宮崎氏自身の「俺ってこういう酷薄な人間だよな」という表明であると思われます。勿論、ステレオタイプな「ジブリ大好き!」みたいな諸々の細かいディテールを全然読み取らない種類の人たちにとっては「うっすら感動した。」的な物に見えるかも知れませんが、観る人によって見え方が違う多重的な構造の映画というのは、それはそれで正しいと思います。むしろああいう流れるようなふわっとした美しい映画の中にすさまじい残酷さや人間のいやらしさがサラッと織り込まれてるのは宮崎作品では珍しいので、タバコの描写をあれだけ執拗にやったのも「今までとは違う性質のものを作る」という覚悟の現われの一環であるとも取れます。「紅の豚」は主人公を豚に貶めて表層的にはかっこ悪かったけど内的な部分ではカッコを付けてたと思うので”パンツの脱ぎ度”では今回のほうが上かな?と。後、タバコですが、僕はタバコを吸いません。それどころか喘息持ちだったので近くで他人に吸われるのも迷惑でした。でもそんな僕でも「タバコのシーン?意図があるんならいくらでもやって良いんじゃないの?」というスタンスです。「映画で表現しないでくれ!!」といって隠しても、子供はタバコが存在する世界に生きてるんです。「ああいうものはあるんだよ。でも大人になるまで吸っちゃだめ!!というか、健康に悪いから大人になってもなるべく吸わないで」というのは保護する大人のやる(言う)べきことであり、その映像を糾弾するという方向に行くのはなんか違うだろう、というのが僕の考えです。銃を使った暴力表現にしてもそうだし、作り手の表現の幅を狭めまくって子供に目隠しするのは教育的にもちょっと違うかな、と思うし、表現の世界もつまらなくなってしまう気がします。一部の天才ならば(それこそ富野さんのように)それを逆手に取って新しい表現を手に入れる術もあるかもですが、それ以外の人々には行き過ぎた規制は表現を萎縮させていくばかりだと思います。
shuzo #.56ou876|2013/08/19(月) 16:08 [ 編集 ]

'); shuzoさん、長いご意見ありがとうございます。
自分は基本的に規制がいらないけど、一定の配慮が必要という考えです。

パンツ話ですが、「それなりに”パンツを脱いでいた”」というのはまったく同意ですよ。
ただ、別に『逆シャア』を基準にするわけじゃないですが、
逆シャアに比べれば、やはり自分肯定を入れてる感じがすごくあります。
別に脱いでるほうが偉いわけじゃないですが、それで優劣を判別する意味はまったく無いですけど。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/08/19(月) 20:16 [ 編集 ]

'); 個人的には路上喫煙者を見かけたらソーラレイで一掃したいと感じてますが、今回の「日本禁煙学会」の主張は的外れだと思っています。
作品での煙草の扱いも、宮崎監督の意図は十分に汲みとれたので、その点においては必要だったと認められます。
おそらく、「煙草=夢想=毒=科学技術」というモチーフとしての意味合いもあったかと。

一方で、非喫煙者であるにも関わらず劇中で煙草を吸わせているということについては創作者のモラルの問題ではないでしょうか。
実在の人物をモデルとしながら自己を投影した人物像を創り上げること自体は問題ないと思いますが、元の人物が絶対にやらないような行為を入れるのであれば、変名等にするべきかと思います。
ましてやもう一人のモデルである堀辰雄は、結核を患った矢野綾子を甲斐甲斐しく看護していた訳ですから、なおさらでしょう。
智 #-|2013/08/20(火) 17:50 [ 編集 ]

'); 前半の話はまったく同意でございます。この作品に関して、その描写は必要だと思います。

そして後半の話に関して、さらに賛同でございます。
この部分はタバコ論争に関係ない話なので、記事の中で言及することはありませんでしたが、
コメント欄でもいろんな方が指摘してきたとおり、おそらく多くの人が違和感を抱いてしまうことでしょう。
この部分に関して、きちんと批判…ではないが、少なく公衆の評論に受けるべきだと私は思います。
kaito2198 #L2WcHO2o|2013/08/20(火) 18:15 [ 編集 ]

'); つまり、宮崎氏が喫煙者の自分を投影して、『堀越二郎』のキャラを作った。
ここで、無理があったのかも。堀越二郎と名乗りながら自分自身を出すという。煙草のシーンは「ここにいる堀越二郎は、本当は宮崎駿なんだよ」という演出と思っていたんですが
きっと、奥さんが風邪ひいて寝込んだり妊娠してても平気で吸ってたんでしょうな(肺がんで死んだ親父がそうだった)
ラストの奥さん、何て良い人なんだ。普通の奥さんがあそこにいる場合罵詈雑言を連発します

アメリカのグラフィックノベル『キングダムカム』みたいに。本編と直接関わらない見届け役を作り、それが豚頭の宮崎氏だったら皆が認めたんでしょう
森 和正 #SFo5/nok|2017/07/19(水) 09:58 [ 編集 ]

'); ご指摘のような見方は確かに成り立てると思います。
kaito2198 #-|2017/07/31(月) 10:15 [ 編集 ]

'); 以前のが判りにくかったので新しくします
>結核の奥さんの前で吸う >奥さんが療養所に行く
この場面で堀越二郎ならしないはずの煙草を吸っているはずです、堀越二郎ならしないだろう奥さんより仕事を取っての態度「ここにいる堀越二郎は、本当は宮崎駿なんだよ」というのを演出しているのだと。
堀越二郎の心情を出すなら、テープレコーダーを使うでしょう。本人はYS11まで関わっているので、映画の最初にオープンリール式のレコーダーに吹き込むシーンが有ってもいい。
>結核の奥さんの前で吸う「結核の妻の前で何も言えなかった」>奥さんが療養所に行く「妻が死に近づき、去っていくのに耐える事が出来ず、仕事に逃げてしまった」とか本編に入れれば論争はなかったんかな
森 和正 #SFo5/nok|2017/09/06(水) 17:25 [ 編集 ]

'); ご説明ありがとうございます。確かにおっしゃる通りだと思いました。
いずれにしても、宮崎監督本人を感じ取るとともに、作品としては綻びがある内容といわざるを得ないと思います。評価は人それぞれですが。
kaito2198 #-|2017/09/11(月) 10:31 [ 編集 ]

'); このコメントは管理者の承認待ちです
#|2020/12/04(金) 18:06 [ 編集 ]
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'); [2908]映画『風立ちぬ』…監督/宮崎駿  私も映画を観る前、堀越二郎が実は「煙草や酒をやらなかった人」という記事を 読んだ記憶あり。 また堀辰雄の小説から話を借...
プログラマー 大塩高志の断片談義 2013/08/15(木) 19:02
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