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井荻麟作詞論 第47回 「ターンAターン」

2015/02/03 17:31|井荻麟関連TRACKBACK:0COMMENT:0
このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - 井荻麟作詞論 第47回 「ターンAターン」
 井荻麟作詞論の記事は富野由悠季監督の作詞を語るものです。全部は100回以上の予定です。今日の第47回では、テレビアニメ『∀ガンダム』のオープニングテーマ「ターンAターン」について語りたいと思います。



ターンAターン
作詞:井荻麟/作曲:小林亜星/編曲:矢田部正/歌:西城秀樹

ターンAターン ターンAターン ターンA

刻が未来にすすむと 誰がきめたんだ
烙印をけす命が 歴史をかきなおす

 『∀ガンダム』は1993-94年放送の『機動戦士Vガンダム』で一旦離れた富野由悠季が5年を経て、ふたたびガンダムに復帰した作品だ。原作者という身に加え、20周年という節目に一旦不本意な形で終わってしまったガンダムの監督を務めることで、今まで商業色が強かった平成三部作にうって変わって、富野は作品作りにおいて製作サイドからかなり自由に任せられた。特にOPの作詞に関しては、93年の『機動戦士Vガンダム』OP1以来なので、オープニングが映像面に関しても作詞面に関しても、かなり原作者の色を反映している。

 そしてこの作詞の特筆すべき特徴は、ガンダムシリーズのスタイルを反映しながら、いわゆる「白富野」「復活富野」といった『ブレンパワード』以降の作風を継承する作りとなっている



 第33回の「Ζ・刻を越えて」と第39回の「STAND UP TO THE VICTORY」でも言及したが、Z以降の富野ガンダムのOPには「意志の表明」という共通的な特徴を持っている。それが劇中の登場人物のものであると同時に、監督から視聴者へストレートに訴える一種のメッセージともなっている。

刻が未来にすすむと 誰がきめたんだ
烙印をけす命が 歴史をかきなおす

 これはもっとも『∀ガンダム』という作品を象徴する詞と言えるのでしょう。この作品の世界観や時代背景を物語ったと同時に、今まで宇宙世紀という軸でどんどん設定年代と内容を掘り下げるガンダム作品、ひいてはどんどん先鋭化してしまっているロボットアニメから脱却し、ふたたび「ファースト」――つまり原点回帰という意志を、作詞の体を借りて訴えている。



 また、白富野的なところも見逃せない。

あなたとの間に 命ある形を
この星に捧げる 愛というしるしで


 これは、明らかにセックスのことを指している。ターンエーにめぐる逸話や劇中で見かける描写でもわかるとおり、富野がこの作品においてもっとも重視しているテーマはまさしく人の性の有り様。そして根源からターンエーという作品に出てくるあらゆる人物を支配しているのはほかでもなく、「セックス」というものだ。

 性別論に関して、男と女の結合こそが人の円融という考え方は今までの富野作品(アニメ・小説問わずに)にも出ている要素なのだが、これほどはっきりとセックスを世代論と地球の再生に緊密な連結にするのは、明らかに今までよりステップアップして、白富野以降のテーマを引き継いている



 さらに、作品におけるキーワードの一つであり、テーマの一つでもある「黒歴史」についての描き方も興味深い。

巡りくる切なさ 悲しみを払って

黒くくすんだ暦を 新たに書き直す

ゆるやかに育てて 傷口を癒そう


 と、このように黒歴史という言葉を別の形で再三に繰り返す。黒歴史は本編の言葉を借りて説明すると、「全否定・全肯定」という言葉に尽きるが、これら「切なさ」「悲しみ」「黒くくすんだ暦」「傷口」などといった歌詞に用いられた言葉からは、西城氏の声の重厚さ、さらに映像の色調も相まって、どうしても「全否定」的なニュアンスが強く入ってしまっている

 もちろん、富野はもともと全話にこの曲を使う意図があるということからわかるとおり、この曲は否定一辺倒な曲ではない。肯定のニュアンスもちゃんと入っている。そういう意味では、この曲はまさしく『∀ガンダム』という作品そのものを体現するものだと言える。

 しかしながら、一つの作品の構成要素が複雑に多様であるように、歌もまた一面的ではない。歌詞-歌声-映像の三位一体で与えられる威力は実にすさまじいもの。単独に聞くと、確かに重厚で荘厳な気品さえ漂っている絶品だ。しかし、対比が生まれると、どうしても比較的に落ち着いた性質を与えられるものだ。そういう意味では、もう一つのオープニングテーマと対になっているところはぜひとも見逃さないでほしいのだが、それは第51回の『CENTURY COLOR』で改めて語ろう。
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