2007-03-21 Wed 14:11
ナトリウム吹いたwww いやあの、ナトリウム粉を口にしたらそりゃ大変なことになりますが、それ以前に着色剤として使おうとして魚に振りかけた時点で水と反応して水素が出て大事です。場合によっては爆発しますよ。命がけで着色ですか? そもそも、ナトリウムで着色って何事でしょう? 金属ナトリウムは銀色ですし、ナトリウムイオンも無色です。このニュース、何かおかしいですよね。 中国語のニュースをざっと見て、使用された物質がこちらであることが分かりました。化学式は Na4Fe(CN)6・10H2O なので、これなら納得です。黄色い色の原因となっているのはナトリウムイオンではなく、ヘキサシアノ鉄 (II) 酸イオンだということですね。 他国のニュースを訳して報道していただいている事についてはありがたいとは思いますが、ウソを報道することの無いように、科学用語はちゃんと調べていただきたいものです。 |
2007-02-28 Wed 02:06
【論文】万能細胞の論文に「重大不備」 02年ネイチャー誌掲載
論文はこれですね。 C. M. Verfaillie et al., Nature, 418, 41 (2002). Natureに掲載された事といい、他の論文に載ったデータを使いまわしていた事といい、Schön の時とよく似ていますね。 池田信夫 blog 論文捏造
Schön の件はちょうど2002年に話題になっていましたので、騒ぎの最中に新たな誤報が掲載されていたことになります。残念なことです。 さて、今回の件に当てはまるかどうかは分かりませんが、ちょうど良い機会なので前から思っていたことを書いてみます。意図的な論文捏造のニュースを見ていつも不思議に思うのが、「なぜ捏造しようと考えたのか」、ということです。自然科学分野では、再現実験が可能であることが非常に多いので、捏造がバレてしまう可能性は十分にある、というか長期的に見ればほぼ確実にバレると言えるわけです。それなのになぜ捏造データを使おうと思うのか、私にはさっぱり分かりません。 「実験する暇がないけど、実際に実験したらこのデータが出るはず」 との予測のもとに、「とりあえず他人に先を越される前に捏造データで論文を出しておいて、後でゆっくり実験しよう」 と考える人はいるのかもしれませんが、これは私にはとても真似できません。実際に研究を行ってきて、「こんなデータが出るはず」 との予測を (良い意味でも悪い意味でも) 何度となく裏切られてきた私としては、予測をもとに論文を書くなんて恐ろしくてとてもできたものじゃありません。 私なぞ比較にならないような天才たちの中には、「予測を外したことなど皆無だ」 と言い切る人がいるのでしょうか。そうでもなければ、「捏造しよう」 等という考えが出てくるはずがないと思うのですが……。 それとも、「生きているうちにばれなきゃ良い」 と考えているんでしょうか。しかし、メンデルやミリカンの実験データが作為的であったと疑われていることが未だに話題となり続けている様を見ていると、死んでからも批判され続けるような真似はしたくないなあ、と個人的には思うのですが、捏造する人達はそうでもないのでしょうか。まあ、悲しいことに私も含めほとんどの研究者は彼らのような大科学者と肩を並べられる確率なんてほぼ0なので、気にする必要はないのかもしれませんね。 ……って、書いてる端からこんなニュースが飛び込んできました。なんだかなあ。 【捏造】大阪府立大院生が論文データを捏造
というわけで、まとまっていませんが本日はこれにて。あ、「ばれなきゃやって良いのか?」 とかいう言いがかりはお断りします。そんなこと書いておりませんので、よろしく。 |
2007-02-23 Fri 00:37
【技術】鮮度長持ち!“溶けにくい氷”を開発「真水の氷と比べ溶けるまでにかかる時間が約2倍」[02/19]
これを見てニセ科学センサーが働かないようでは、科学者は名乗れません。「また水ネタかよ」 と言われそうですが、懲りずに批判してみます。 2ちゃんねらーのレスにも懐疑論が目立ちますね。
強調・着色は fw0 によります。 私も中国電機製造株式会社のトップページで公開されているpdfを読んで確認しました。代表取締役のコメントとして 「マイナスイオン効果」 などという単語が出ている時点で萎えますね。すでに他の大企業はこんなニセ科学用語を使用しない方向に動いている (リンク先のページ中ほどのデータをご覧ください) 中で、時代に逆行するのは勘弁していただきたいものです。 内容については、基本的には私も上記の2ちゃんねらーの意見に賛成です。いろんな成分が溶解している海水を使えば凝固点降下で氷水の温度が下がるので、鮮度保持力が高くなるのは当たり前です。よって、「 アルカリイオンやミネラルの抗酸化作用」 が影響しているとは認められません (そもそも、報道資料には『抗酸化作用』 などという単語は出ていないのですが、産経はちゃんと取材したのでしょうね?)。 また、示されているデータから判断する限り、早く冷えたり氷が長持ちするのは 「製氷時の冷却温度が-50℃であり、真水氷の-25℃より低いから」 だと推測できてしまいます。これはもう研究として無価値だとしか言いようがありません。 そしてこんな子会社の横暴を放置している中国電力も、記事として紹介する産経新聞もダメダメです。どちらも要反省です。 当blogで取り上げた程度では反響が小さいでしょうから、水と言えばこのお方と言える 天羽 先生辺りがとりあげてくださればありがたいんですが……。 水商売ウォッチング http://atom11.phys.ocha.ac.jp/wwatch/intro.html 事象の地平線::---Event Horizon--- http://www.cm.kj.yamagata-u.ac.jp/blog/index.php ■当blogの関連エントリ ・疑似科学の関係者は水が好きですねえ ・核分裂? |
2007-01-06 Sat 16:55
http://www.sakurahelp.com/ さくらちゃんを救う会の公式ホームページで報告されておりました。手術成功、おめでとうございます。術後の経過も順調であるようお祈り申し上げます。 |
2007-01-05 Fri 01:36
鳥越俊太郎に聞く(2) ネットでも実名文化がいい http://www.j-cast.com/2007/01/02004697.html J-CASTニュースとオマニーの編集長同士の対談です。その中で、オマニーの市民記者をいかに増やすか、との質問に対し、鳥越さんは次のようにお答えになっています。
強調はfw0によります。この強調部は 鳥越 さんにしては珍しくマシな意見だな、と拝見しました。実名に限定されてはいるものの、ネットにおける内部告発に話が及んでいることには少し感心しました。私であれば、匿名による内部告発の重要性も同時に訴えるところですが、まあその点を期待するには 鳥越 さんが役者不足であることは分かっておりますので、上記の内容でも私にとっては十分驚きでした。 中央官庁に限った事ではありませんが、もし組織の内情を実名で暴く人が出てくれば、匿名の情報に比べて検証が行い易いというメリットがあります。ネット上において信頼できる情報を発信することを心がける身としては、当然ながら実名の告発の重要性も認めているつもりです。 下記のエントリでBigBang さんがおっしゃっているような問題点もあっていろいろ大変だとは思いますが、編集長として発言なさった以上、ぜひ頑張っていただきたいと思います。 オーマイニュースを巡る匿名性の問題について(2)---小倉弁護士に答える/ 心苦しいが鳥越編集長には勇退をお奨めする。 http://ultrabigban.cocolog-nifty.com/ultra/2007/01/__7361.html
もちろん、オマニーが内部告発者を使い捨てしてしまうようなことがあれば、少なくとも私は承知しませんよ。 ……などとちょっとオマニーを見直していたのに、この記事を読んだ直後に、オマニーの編集次長である 平野日出木 さんによる次の駄記事にぶつかってしまいました。いやはや、さすがオマニーと言うべきか、所詮オマニーと言うべきか。 【極私的2006年回顧】 言われたら、言い返そうぜ Web2.0 tp://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000004326
詳しい方は引用部をご覧になっただけで状況を飲み込めるのかも知れませんが、一応解説しておくと、上記記事は 佐々木俊尚 さんのオマニー批評記事に対する反論です。佐々木 さんの記事の一例をお示ししておきます。 平野日出木さん、本当にそれでいいんですか? http://blog.japan.cnet.com/sasaki/2006/11/post_8.html さて、佐々木 さんの記事に対する 平野 さんの主張を要約すると、「オマニーとしては、佐々木 さんに対しアドバイザーとして契約したにもかかわらず、その職務で得た情報を元にジャーナリストとして記事を書くとは何事だ!!」 ということのようです。 ……あのですね、おたくの編集長は、J-CASTニュースの取材に対して、「 中央官庁の役人が、実名で内部の腐敗を書いてもらえると活気付く」 とおっしゃっているのですよ? オマニーは、中央官庁に労働を提供して対価を得ている役人に対しては職務上得た知識をもって内部告発を行うことを推奨しておきながら、同様にして自分が批判されることは許さないのですか? 多寡こそあれ、(おそらく) CNETが 佐々木 さんに報酬を払っているのと同様にオマニーも市民記者に対して報酬が払われる (「内部告発の場合払わない」 との規約は無いはず) のに、佐々木 さんをジャーナリストとして認めず、官庁とオマニーの両方から報酬を貰うであろう役人はジャーナリスト (市民記者) と認めるのは差別ではないのですか? まあ、これがオマニー編集長と編集次長の考えなんでしょう。自分に都合のいいときだけ 『ジャーナリスト』 という肩書きの威を借りるのですね。よーく分かりました。 少し話がそれますが、関連記事です。オマニー、佐々木 さん、音羽 さん、というキーワードに興味をお持ちの方は必見です。 Parsleyの「添え物は添え物らしく」:オーマイニュースにお話しを聞きに行きます。 http://yaplog.jp/parsleymood/archive/479
との事ですので、私からも1つ質問の草稿を用意させていただきました。Parsley さん、お時間の限られる取材についてこのようなお願いをして恐れ入りますが、もし時間に余裕がございましたら、 「鳥越 さんは内部告発者をジャーナリスト (市民記者) と認めているのに、平野 さんが 佐々木 さんによる内部告発を取り上げてジャーナリストの看板を下ろすよう高圧的に迫るのは、オーマイニュースとしてはダブルスタンダードではないのですか?」 と、ご質問いただければ幸いです。 ■参考 取り急ぎ当blogにおける音羽さんとの 『議論もどき』 エントリのまとめを (玉石オマニー番外編2) http://fw0.blog37.fc2.com/blog-entry-326.html ■20070105 追記 十六夜達也 さんとネタがかぶってしまいました。詳細はコメント欄で。 |