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2007.09.28

ゴルバチョフは語る

80万人を超える人々が犠牲になったスターリンの「大粛清」(1937-8)から70周年のフォーラムにおけるゴルバチョフ元ソ連共産党書記長の発言が報じられています。AP電 "Gorbachev warns of history whitewash"、ロイター電 "Gorbachev warns Russians against rise of Stalinism"。

プーチン大統領のもとのロシアでスターリニズムの時代を恐怖政治としてではなく、「黄金時代」としてとらえ直そうという風潮が強まっていていることに警鐘を鳴らす発言で、「だれが苦しんだかを覚えておかなくてはならない。それは私たちすべてへの教訓であるが、学ばなかった者も中にはいる」「社会が健忘症を患っていたら、その国は現在を生きることはできない。未来に向けて長期的な計画を立てることもできない」と、歴史修正主義を強く批判しています。

この記事でも触れられているロシアの歴史修正主義的な傾向については、今月初めの東京新聞の記事でも読むことができます。

プーチン大統領自身は、直接スターリンを擁護したことはないようですが、「他の国からロシアがその歴史に罪の意識をいだかせられるのはよくない」と発言しています。このような流れの中で、すでにロシアの若者の半数は「スターリンは賢明な指導者であった」「スターリンが行なった悪よりも善のほうが多い」と考えているそうです。

AP電の中に、ドイツのある都市にナチスの強制収容所の方角を示す標識が立っているという話が紹介されています。それを見た子どもが「ダッハウって何? ブッヒェンヴァルトって何?」と親に尋ねる。「そうやって歴史は受け継がれていくのだ」。フォーラムの参加者は、そう語っています。

私たちも同じように考えなければならない問題だと思いました。

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2007年 9月 28日 午前 12:00 | | この月のアーカイブへ

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今日、5月8日はフランスでは祝日。1945年5月8日、第二次世界大戦で枢軸国のくびきから解放された日。国民の祝日は本来普遍的な価値を祝うものだという考えにたてば、この日は、フランスが占領と圧政と屈従から解放された、誰に... 続きを読む

受信: 2007/09/30 0:39:09

コメント

うにさん、こんにちは。ひさしぶりに書き込みます。

>「そうやって歴史は受け継がれていくのだ」

本当にそうだと思います。ヨーロッパには街角のそこここに、歴史を知るための扉が開いていると思います。

ミュンヒェンの子どもは広場の名前が刻まれたプレートを見て、ドイツの子どもは学校の名前を聞いて、尋ねるのでしょう、「ショル兄妹って誰?ゾフィー・ショルって誰?」と。

パリの子どもは通りの名前が書かれたプレートを見て尋ねるのでしょう、「ジャン・ジョーレスって誰?ジャン・ムーランって誰?ガブリエル・ペリって誰?」と。

このエントリーだけでなく、「お布施の鉢を裏返す」のエントリーもぜひうちにトラックバックしてください。

投稿: 村野瀬玲奈 | 2007/09/28 19:46:18

村野瀬さん、こんにちは。読んでくださってありがとうございます。私も村野瀬さんのブログ、いつも読んでいますよ。

歴史への扉、作っていきたいですね。見落としているだけなのかもしれませんけど。後に来る世代に対する私たちの責任のようにも思います。

トラックバックとかしなくてすみません。村野瀬さんのところを避けているとかではなく、ふだん、ほとんどだれにも送っていないのでお許しを。

投稿: うに | 2007/09/29 1:55:47

その昔、ロシア革命の「正史」からトロツキーが抹殺されていたことに憤りを感じ続けていた身としては、やはりこの話題には反応してしまいます(苦笑)

「スターリンが行なった悪よりも善のほうが多い」と言い張る正統派コミュニストに、昔はウンザリしていたものですが・・・それが今では社会主義を否定したうえに、その最悪の人物を評価するとは、もう、サイテーといった感がします。

ヒトラーが肉体の虐殺者だとしたら、スターリンは魂の虐殺者だったのではないでしょうか。そう私は思っています。

投稿: 主義者Y | 2007/10/03 0:12:41

主義者Yさん、こんにちは。

まず、沖縄、お疲れ様でした。県民集会の様子、とても興味深く読ませていただきました。文科省も態度を変えてきたようですし(攻守逆転した場合のことを考えると、これも考えものですが)、沖縄の人々の声の結集が実りあるものになったように思います。

私はロシア史、ソビエト史などには全く詳しくないのですが、他人事なので「サイテー」になるに至った過程を客観的に見ることができるから、自分の社会のことを省察するのに役に立つかな、などと思っています。

投稿: うに | 2007/10/03 0:38:52

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