フォト
2024年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ

« 『日本の雇用と中高年』へのネット上書評あれこれ | トップページ | ある有名な経営者の言葉だそうです »

2014年8月11日 (月)

正規AKBとバイトAKBの処遇格差の合理性について

2040819_201408110738045001407721125もう、アイドル好きの労働法関係者が舌なめずりしながらいろんなことを書こうとしているでしょうから、餌だけ投げ込んでおきますが、

http://www.oricon.co.jp/news/2040819/full/(AKB48、時給1000円で「バイトAKB」募集)

バイトAKBは、プロダクションに所属していない中学生以上の女性を対象(経験不問)に、書類による1次審査と2度のオーディション審査を経て9月下旬にメンバーが決定。合格者は運営会社AKSと時給1000円でアルバイト契約を結び、AKB48の一員としてライブや握手会などのイベント、テレビ番組やCM出演など現メンバーと一緒に活動するため、日常的に都内のレッスン場へ通えることも条件となる。

 勤務時間は午前7時~午後9時内で法定労働時間を遵守。中学生は法定労働時間(修学時間を通算して1週間40時間、1日7時間)以内、中学卒業後18歳未満は同(1週40時間かつ1日8時間)以内、18歳以上はその限りではなく、深夜業務も発生する。活動期間は来年2月末までの約5ヶ月間で、その後3ヶ月契約更新になるほか、社保完備、交通費支給、衣装貸与、食事補助がつく。

ふむ、さすがに労働基準法には違反しないようにと、細かく考えられているようですが、この有期雇用契約による非正規労働者たちの時給1000円という処遇については、正規AKBメンバーとの業務内容等の相違に基づき、合理的な説明がちゃんとできるようになっているんですよね、秋元さん。

(追記)

>そもそも芸能人と芸能プロダクションは雇用関係ではありませんよね?この記事では社保完備ともありますが、どういう扱いになるんでしょうか?

投稿: 通りすがり | 2014年8月12日 (火) 19時27分

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-8a7f.html(ゆうこりんの労働者性)

・・・この「実態は異なる」という表現は、労働法でいう「実態」、つまり「就労の実態」という意味ではなく、業界がそういう法律上の扱いにしている、という意味での「法形式の実態」ということですね。 そういう法形式だけ個人事業者にしてみても、就労の実態が労働者であれば、労働法が適用されるというのが労働法の大原則だということが、業界人にも、zakzakの人にも理解されていない、ということは、まあだいたい予想されることではあります。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-f75b.html(タレ・スポの労働者性と育成コスト問題)

これは、実は大変深いインプリケーションがあります。芸能人やスポーツ選手の労働者性を認めたくない業界側の最大の理由は、初期育成コストが持ち出しになるのに足抜け自由にしては元が取れないということでしょう。ふつうの労働者だって初期育成コストがかかるわけですが、そこは年功的賃金システムやもろもろの途中で辞めたら損をする仕組みで担保しているわけですが、芸能人やスポーツ選手はそういうわけにはいかない。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-d5d3.html(芦田愛菜ちゃんの労働者性)

ところで、それにしても、芦田愛菜ちゃんのやっていることも、ゆうこりんのやっていることも、タカラジェンヌたちのやっていることも、本質的には変わりがないとすれば(私は変わりはないと思いますが)、どうして愛菜ちゃんについては労働基準法の年少者保護規定の適用される労働者であることを疑わず、ゆうこりんやタカラジェンヌについては請負の自営業者だと平気で言えるのか、いささか不思議な気もします。 ゆうこりんやタカラジェンヌが労働者ではないのであれば、愛菜ちゃんも労働者じゃなくて、自営業者だと強弁する人が出てきても不思議ではないような気もしますが。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-a7a8.html(ボワソナード民法と労働者性)

実は、ここには書いていないのですが、現行民法の前のいわゆる旧民法(ボワソナード民法)には、こういうスポーツ選手や芸能人の契約が、雇傭契約であるとはっきり明言されています。・・・もちろん当時は「労働者性」などという言葉はありませんが、少なくとも「角力、俳優、音曲師其他の芸人」は、この後に出てくる「仕事請負契約」などではなく、「雇傭契約」であることは明らかであったわけですね。

なお、このほかにも、「~~の労働者性」というのは、本ブログで繰り返し繰り返し取り上げてきているペットテーマですので、ご関心あれば検索してみてください。 そんな単純な話ではないことがわかるはずです。

« 『日本の雇用と中高年』へのネット上書評あれこれ | トップページ | ある有名な経営者の言葉だそうです »

コメント

早速撒餌に飛びつきたいと思いますが、これって、「所定労働時間」、「休日(若しくはこの反対解釈としての所定労働日)」が予め提示されているのでしょうか?。少なくとも記事の説明を読む限りでは、単なるアルバイトの囲い込み。つまり、実際にに労働させるかどうかや、労働日における所定時間を、使用者がほしいまま決めるということではないかと思います。深夜労働についても、「法定時間外」なのか、「所定時間外」なのか、はたまた協定した時間外労働の上限に収まるのかどうか?。

正規メンバーとの待遇の差が合理的かどうかもさることながら、これでは労働市場の独占です(果してその公共性は何処へ???)。
結局は今自治体で流行っている保育士や看護師資格者の「登録型パート」の亜種で、それもタレント性やそれに伴い現場交換性が無いことに起因して、仕事をいったん断ると干される(その代替えに次の労働者が既に囲い込まれた私的労働市場でスタンバイしているわけで…)とか・・・。

そもそも芸能人と芸能プロダクションは雇用関係ではありませんよね?この記事では社保完備ともありますが、どういう扱いになるんでしょうか?

前回につづいて、少し、脱線気味の投稿になりますが・・・

聞きかじっただけの情報なのですが、例えばプロ野球選手についても芸能人と同じように、日本では個人事業者であるとされているようです。舞台部門でも劇団四季の役者やメンバー(キャストだけでなくその他のエンジニアもそうであったと思います)。年収数千万や億単位の報酬額であれば、まあ納得できる部分はあります(労務提供の代替え性の有無はさておいても)。
ところが、アメリカではプロ野球選もNBAも労働者であったと思います。本人の代替え性の欠落や球団支配人・監督の指揮権限などはこれに基づいているそうですね。これが我が国では、試合中の指揮権はルールブックでそれが一部は担保できる(そういうスポーツのルールだということで)ものの、練習や合宿キャンプ等での労働関係類似(というか労働者性が相当あるわけですが…)。ファーム選手、年収で言えば400万円とかでも、個人事業主ですよね。私生活や球団キャンプまで公式試合のルールブックで規律できるわけもありません。また、新国立劇場なんかで度々問題になった合唱団メンバーなんかも、労組法の団結権があっても、雇用関係(労働法的には労働関係)は裁判で争っても一部しか認められてはいないようです。古くはフリーカメラマンの瀬川さんも労災で死亡して、事後に遺族が裁判で相当争ってようやく労災保険が下りたとか。
グラデーションの相当濃い人も、労働者性を認めるのが困難な状況があります(何せ「個別に争え!」というのですから)。労働契約法が、ここいらをどれくらい整理したのか疑問です。法制度の直接の保護者も居ない(労基法における監督官や派遣法における需給調整官のような行政庁もない)わけですしね。
ですから、労基法上の労働者であることと、労働契約(雇用契約)が成立していることと、実際に保護が発動されることとは、3つとも違うということになると思います。
ボアソナード民法は、よくできていたと思います(「手段債務契約は全て雇用だ!」という意味だと思います)。が、そもそも私人間(企業間)で、労働力の売買ができるようになっていることが忘れられていると思います(実際には昔から雇用以外の手段債務契約が存在している訳でして…)。個人的には、人身売買も含め禁止すべきだと思います。
今も昔も、手段債務(労働力の時間切り売り)は労働者性が濃くあるわけで・・・。

この手の話で、最近注目されるのが、東京ディズニーリゾートのキャストが「労働者」なのかどうかということですね。

で、本文中の「ゆうこりんやタカラジェンヌが労働者ではなく、彼女たちと同じことをしている芦田愛奈が、なぜ労働者とみなされるのか」という話も、なるほどそうなのか。という感じです。

ただ、この場合は、タカラジェンヌとゆうこりんは「成人」であるのに対して、芦田愛奈は「未成年」だからということになると思いますが。どうでしょうね?

あと、意外だったのは、上のコメントでメジャーリーガーとNBAの選手が「労働者」と位置付けられていることでしょうか。

で、本題のバイトAKBに関してですが、選ばれる当事者の少女たちにとっては、自分たちが「労働者」と見なされるかどうかよりも、「AKB」という「共同体」の一員になれるかどうかの方が、より重要なのではないかと思います。

結局、使う側はその点を承知の上で計画的に、「共同体」の枠の中に囲い込んでやっていこうそういう腹なのだと思いますが。

こちらのブログには労働法関係の著者など専門家の方が多く訪問されております。小生のような素人の投稿にレスポンスいただけるのは光栄です。
アメリカのプロ選手の労働者性に関しては下記「日本労働研究雑誌」に掲載の報告書(ながの・ひでお氏 法政大学)の最後の方にかかれておりましたので、ご参照くだされば幸いです。
http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2005/04/pdf/020-022.pdf
あと、厚労省「2011年3月9日 第4回労使関係法研究会 議事録」などもアメリカなどにおける労働者・労働者類似の者・事業者という概念で説明されているという報告などがおもしろいです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ah7r.html
よろしければご参照ください。

endouさん、コメントありがとうございます。

メジャーリーガーとかに関しては、他のところで(共産党云々)、で「CALLLING(自分の人生(及び存在)と引き換えにしても、成し遂げるべき業)」の一例として、引き合いに出したので少しだけメジャーリーガーがどういう立場なのか、関心があり、「なるほどそうなのか」と思ったわけです。

そういう意味から考えると、アメリカではディズニーランドのキャストもやはり「労働者」と位置づけられるのでしょうか?

なんにしても、そういう立場の人たちからすれば、本文中の「ボワソナード民法」の方が、現行民法よりも、より望ましいのは確かなのでしょう。

ともあれ、日本では企業が「共同体」と化していることから、色んな矛盾と混乱が発生していて、労働問題もその中から考えるべきでしょうが、そういう視点が欠落していることに、問題があると思います。

というよりも、日本の場合には「労働者」であるかどうかよりも、「どこの共同体の一員(メンバー)」なのかが重視される傾向があると思います。

実際の話、今回の話題のバイトAKBに応募する少女たちにとっては、自分たちが「労働者」と見なされるかどうかよりも、「AKB」の一員になれるかどうかの方が、優先度が高いでしょうから。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 正規AKBとバイトAKBの処遇格差の合理性について:

« 『日本の雇用と中高年』へのネット上書評あれこれ | トップページ | ある有名な経営者の言葉だそうです »