『賃金とは何か』2刷
皆様のお陰で拙著『賃金とは何か―職務給の蹉跌と所属給の呪縛』(朝日新書)に2刷がかかりました。7月の初刷からほぼ半年ですが、まあまあロングセラーの道を歩み始めたと言っていいのでしょうか。
日本の賃金の歴史を過不足なく解説した本が長年にわたってなくなっていたことを考えると、そろそろこういうたぐいの本が求められていたのかもしれないな、という気もします。
ちょうど数日前に、ラスカルさんがブログで「今年の10冊」を挙げておられて、その中にこの拙著も入れていただきました。
2024年7月刊。本書を読むと、1954年の中労委調停における定期昇給の登場、日経連の生産性基準原理、さらに経済整合性論に基づく賃上げの抑制(1975年)や内外価格差解消に向けた労使協調(1989年)を経て、その後の長期デフレに関係する日本経済の「低賃上げ体質」が形成された実情がみえる。2000年代半ば頃、団塊引退に伴う賃金原資の余裕が一人当たり賃金上昇に寄与する、との分析をしたことがあったが、思えば、これも平均賃金を(大きくは)上昇させない定期昇給、「内転」論理の陥穽であろう。 ・・・・
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