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司馬遼太郎『新選組血風録』

新選組血風録 (角川文庫)新選組血風録 (角川文庫)
(2003/11)
司馬 遼太郎


 【燃えよ剣】が好きな方なら、必ず楽しめる作品です。


 『燃えよ剣』は副長土方歳三の生涯を主軸に据えて新選組の誕生から滅亡までを描いた物語ですが、この『新選組血風録』では近藤勇や沖田総司といった有名どころから名もなき平隊士に至るまで、様々な人物にスポットライトを当てられています。

 『燃えよ剣』では詳しく描かれなかったエピソードから、まったくの新しいエピソードまでいろいろと揃っているんですが、それらを単に男たちの内面を味わい深く描いた面白短編集に昇華させただけではなく、さらにそこから新選組という組織の特殊性というか不思議さを浮き彫りにするという、それはもう司馬遼太郎にしかできないような見事な手腕で“歴史”というやつが描かれています。


 個人的に好きなのは、

「長州の間者」
「虎徹」
「前髪の惣三郎」
「三条磧乱刃」
「沖田総司の恋」
「槍は宝蔵院流」
「四斤山砲」

 です。


 幕末の京都に刃の力だけでその名を轟かせた新選組。歴史上にも類をみないその組織の特殊さゆえに、入隊後に人が変わってしまう隊士も数多くいたようで、なんというか、1人1人にドラマあり、という感じですね。


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