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【3月末公募用作品】~(4)そろそろ公募先を決める~

 うーむ、迷う……。

 こんばんは、ムラカミです。


 さて、応募先を決めずにスタートした【3月公募用作品】ですが、〆切まであと1か月となった今、そろそろどこに出すか決めなければなりません。


 3月末〆切の主な文学賞としては、

・第45回 文藝賞
・第40回 新潮新人賞
・第32回 すばる文学賞
・第21回 小説すばる新人賞
・第5回  ミステリーズ!新人賞

 などが挙げられます。


 で、今回ぼくが書いている作品は「ユーモアありサスペンスありのエンタメ小説」です(ただし、サスペンス色は都合により大幅減)。となると、当然エンタメ系の文学賞を選ぶ必要があります。

 名前的に一番エンタメっぽいのは【ミステリーズ!新人賞】ですが、この賞は純粋な推理小説かつ100枚までの短編を求めているので、残念ながら却下です。

 逆に正統派文学系の【新潮新人賞】も今回は方向性が違うので却下。


 残りの3つをエンタメ度の高い順に並べると【小説すばる新人賞】>【すばる文学賞】>【文藝賞】という順だと思うんですが、今回ぼくが書く程度のエンタメ度ならどの賞でも許容範囲だと考えています。

 そうすると、あとは賞の毛色の違いで判断するしかないんですが、普段のぼくならたぶん【文藝賞】を選びます。なぜなら、比較的すっきりとした作品を選ぶ賞、技術より感性を重視している賞、というイメージがあるからです。しかし、今回はぼくにしては複雑な話を書いているので、ちょっと違うかもなあという気持ちがあり素直に選ぶことができません。

 つぎに【小説すばる新人賞】と【すばる文学賞】。これらは両方とも読者を楽しませる力を問う賞というイメージがあります。ただ両者を比較すると、【小説すばる新人賞】は笑えてさわやかな作品、【すばる文学賞】は文学寄りで濃いめの作品、という違いがあるように思えます。


 以上のことを鑑みて、ぼくが今書いている作品を出すのにふさわしい賞は一体どこなのかを決めねばならないのです。迷うなあ。大いに迷いますよ、これは。



(熟考中)



 うーむ、だめだ。熟考の結果、本日中には決まらないことに決まりました。

 というわけで、もう少しだけ考えてみることにします。


 では、また明日。


(※上記の文学賞に対する見解はあくまで個人的なものなので、鵜呑みにしないようご注意ください)


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カフカ『変身』

変身 (新潮文庫)変身 (新潮文庫)
(1952/07/30)
カフカ


 ある朝、起きたら自分が虫になっていた、という面白小説です。


 本当になにをどうやったらこんな設定を思いつくんでしょうか。朝起きたら虫、それも気持ち悪い毒虫になってるんですよ。面白すぎでしょう。

 その虫になってしまった主人公グレーゴル・ザムザなんですが、事態をあまり深刻にとらえてなく「はやく服を着なきゃ仕事に遅れる!」とか言っているんです。いや、仕事どころじゃないだろ、それ以前に服着れないだろ、と突っ込みたくなります。

 そして、グレーゴルが仕事に来ないんで上司が迎えにくる場面、自力で鍵を開けられない彼は「すぐ行きます、すぐ行きます」とドア越しに言い訳するんですが、このやりとりがまた面白いんです。

 ついには心配してドアの前に集まった家族、上司と対面するんですが……当然気持ち悪がられ、上司は逃げだし、家族には部屋に戻される、というなんとも悲惨なグレーゴルなのでした。


 最後まで読むと、人によっては家族の絆について考えさせられたり、人間の孤独について考えさせられたりするんでしょうが、やっぱりぼくにとっては面白小説以外のなにものでもありませんね。こういうのが書きたい! と思わされる作品の1つです。


 ちなみに、以前この作品をモチーフにした掌編小説『変身』を書いたんですが、冒頭の出オチ的なインパクトで満足してしまい、あとは脇役の大げさなリアクションに頼り気味な当初の思惑とは異なる作品になってしまいまして……。

 本家のように、虫と日常が何の違和感もなく混在するような作品に仕上げたかったんですが、当時のぼくの力量では無理だったようです。(今でも無理ですが)


 そういう意味では、この本は、ぼくが目標とする本のうちの1冊と言えます。


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親孝行したいときに親はなし

 もっと頑張らねば……。

 こんばんは、ムラカミです。


 大学時代の先輩のお母さんが亡くなられたということで、土曜日に急遽お通夜に出ることになりました。年齢的にはうちの親と同じくらい(団塊くらい)でしょうから、非常に早すぎる死だとは思いますが、その反面決してありえないことではないんだなと改めて思わされました。

 というのも、実は昨年も大学同期の友人が母親を亡くしており、同い年の人間の母親の死という事実をこう短いスパンで見てしまうと、どうしても「ぼくらもそういう時期に来たのかな。これは決して他人事ではないんだな」と思ってしまうんです。


 恥ずかしながら、ぼくはこれまで「親孝行」と胸を張って言えるようなことは何1つしたことがありません。1番親が喜んだのは大学合格のときだと思いますが、これももう10年以上前の話です。その4年間は「息子さんは今何を?」の問いに堂々と答えることができた両親が、今となっては避けたい話題のトップに「息子さんは?」を挙げている始末です。

 物書きを目指すとかほざき、結婚の予定もとくになく、昨年は胃潰瘍と腸閉塞で入院騒ぎを起こし、「親孝行」どころか心配かけっぱなしで、逆に「親不孝」この上なしの息子だと思います。


 うちの両親も今は元気ですが、先輩や友人のことを考えると、この状況がいつまでも続くものではないことを頭に入れておかねばなりません。

 ――親孝行したいときに親はなし

 この言葉が現実にならぬよう、とにかく頑張ろう、そう誓わされた夜でした。


 では、また明日。

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綾辻行人『十角館の殺人』

十角館の殺人十角館の殺人
(1991/09)
綾辻 行人


 いわゆる「絶海の孤島もの」の本格ミステリ。クリスティーの【そして誰もいなくなった】みたいなやつです。


 昔、連続殺人事件の舞台となった孤島の舘「十角館」。そこにとある大学のミステリ研究会のメンバー7人が好奇心にかられて訪問するんですが、到着後まもなくメンバーの1人が殺されてしまいます。でも、そこはミステリ研の連中です。ただやられるだけではなく、それなりに推理して対抗しようと試みます。しかし、それを嘲笑うかのように殺人は次々と発生していき、そして最後には誰もいなくなってしまう……のかどうかは読んでのお楽しみ、という作品です。


 ぼくは綾辻さんの作品を読んだのはこの『十角館』が初めてだったんですが、当時は洋ものの本格(クリスティとかクイーンとか)ばかり読んでて、日本人作家でこてこての本格ないかなあと探していたときに、たまたま見つけたのがこの本だったんです。

 まったくの先入観なしで読んだんですが、正直びっくりしましたね。なんだこの面白さは、と。特に例のシーンについては「死神……そんな物の存在を認めろとでも言うのか……」級の驚きでした。


 結局、この驚きがきっかけでぼくは綾辻さんの「館シリーズ」をはじめ、日本人作家の本格ものを読むようになったわけでして、そう考えると、ぼくにとっては忘れられない1冊ですね。


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内P復活

 わーい。

 こんばんは、ムラカミです。


 今年の正月にやらなかったんでもうないのかと思ってたんですが、なんと来る3月22日の深夜、特番として放送されるようです。(公式HPより)

 やたーやたー。


 今年に入ってこれほどうれしい知らせがあっただろうか! いやない。(どっかの公募で1次通過してましたが、それよりうれしいですね)

 というわけで、はやくこいこい3月22日。

 そして、そのままレギュラーになあれ。


 では、また明日。

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川端康成『伊豆の踊子』

伊豆の踊子 (新潮文庫)伊豆の踊子 (新潮文庫)
(1950/08)
川端 康成


 なんでこんなに女性をいきいきと描けるんでしょうか。


 表題作の『伊豆の踊子』はもちろんですが、もっとすごいのは『温泉宿』という短編です。

 とある温泉宿で働いている女中たちや同じ村にいる娼婦たちなど、それはもうたくさんの女性が出てくるんですが、女性自体の描写(外見も内面も)、女性独特の人間関係の描写、そして1人1人の書き分け、そのすべてが本当にもうスーパーハイレベルで、匂ってきそうなほどリアルです。


 『伊豆の踊子』にしろ『温泉宿』にしろ、ストーリーは日常の一部であり、一見あってないようなものに思えます。しかし、季節をたやすく想像させる風景描写や登場人物の細かな心情描写を、美しい文章に魅せられてすいすい読んでいくうちに、実は作中時間も登場人物も結構なスピードで変化していて、そこにストーリーがきちんと存在しどんどん動いていることに気づかされます。

 さりげない、無駄のない、美しく簡潔な文章で描かれる世界。だから、短編なのにかなりの情報量を詰め込むことができ、その結果、ページをめくると季節も心情も変化するというスピーディな展開が可能なのだと思います。さらにすごいのは、情報量が多いのに窮屈さを微塵も感じさせないところです。むしろ、さわやか。


 いきいきとした女性を短いなかで何人も登場させることができるのは、感性だけではなく、この文章力があってこそなせる業なのかなと思ったりしています。


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ムラカミプロデュース・完結

 前回まで……大学時代の友人に披露宴の余興の仕切りを頼まれたムラカミ。本番当日、2度の練習会を経て完成度を上げた余興をもって、新郎新婦を全力で祝うことを決意する。

 こんばんは、ムラカミです。


 披露宴が始まって1時間30分経過。

 会場のドアの外で仮装を済ませ、友人一同、前の組の余興が終わるのを今か今かと待ちかまえている。順番としては余興3組のうち3番目。トリである。なかでは2組目の新婦友人一同による「てんとう虫のサンバ」が歌われているようだ。

 余興内MCを任されているぼくは、曲紹介や曲中演出のセリフをこの期に及んで小さな声で練習する。噛んだらおしまいだ。飛んだらおしまいだ。良いイメージはまったく浮かんでこない。

 ぶつぶつ呟いていると、いつのまにやら静かになっていることに気づく。いよいよか。なかでは司会者がぼくたちの紹介をしている声が聞こえる。

 友人の1人がドアに手を掛ける。ぼくはマイクを持ち突入の準備をする。入場曲であるハンセンのサンライズの牧歌的なイントロが流れ出す。アキレス腱を伸ばしながらそれを聞く。そして、そのスローテンポな曲調が突如として激しくなった瞬間、ドアが開かれぼくたちは飛び出した――



(余興中)



 最後のあいさつを終え、「撤収」のかけ声とともに駆け足で退場する。すべては終わった。

 ぼくとしては、というか客観的に見ても、大・成・功……だったと思う。ドアのなかから聞こえる拍手、友人たちのやりきったという表情、そしてなにより余興のなかで見せてもらった新婦の涙がそれを証明している。やった。喜んでもらえた。最高だ。皆で時間をつくって練習をして本当に良かった。


 個人的にもう1つ付け加えるならば、ぼくのMCもなかなかの出来だったと自負したい。皆からも「はじめて上手くいったな」「今日のは良かったよ」という声が次々とかかってきた。「はじめて」「今日のは」は余計だが、幾度となくぼくのすべるスピーチを見ている彼らからしたら当然のことだろう。まあよい。“今日は”成功したんだから。

 ぼくがあまりに満面の笑みでいたせいか「でも、すべるパターンも見たかったよね」「ムラカミはすべってなんぼだもんな」などある意味期待はずれだったというような声が聞こえてきた。だが、残念ながらその機会はないんだよ、きみたち。もう余興は終わってしまったのだから。今度からはスピーチマスタームラカミとでも呼んでくれたまへ。わははは。


 披露宴が終わったあと、さて二次会へ行くかというときに、新郎が小走りでやってきた。「いやあ、今日のは良かったよ。みんなありがとう」新郎と皆がかたい握手をかわす。「でさ、二次会の乾杯のあいさつもムラカミにお願いしたいんだけど」そう言われ、一瞬目が点になった。二次会まで1時間。過去幾度となくすべってきた乾杯のあいさつだが、直前に依頼されたものはとくにひどかったことを思い出す。

「いやあ、今日のところは(満足したまま帰りたいし)……」と断ろうとすると「じゃあ、頼んだよ。おれ、準備があるから」と言い残し、新郎は小走りで去っていった。


 突然ふりかかったすべりの危機。あせったぼくは周りの友人どもに「どう? 乾杯のあいさつだって。 やらない? たのしいぞう」とふってみた。しかし、誰も受けない。それどころか、にやにやしてこちらを眺めている。さてはこいつら、人がすべるのを期待してやがるな。

 受けてしまったものは仕方がない(受けてないけど)。今日の余興で新境地を開いたぼくならなんとかなるはず。さっきの良いイメージを思い出せ。スピーチマスタームラカミの神髄を見せてやるんだ。ぼくはこれまでの参考にならない経験を捨て、今日の余興中の自分だけを頼りに、ひたすらあいさつの言葉を考え続けた。


 そして、1時間後。二次会が始まり、ぼくはすべった。

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明日は友人の披露宴で余興をするので……

 早めに寝ます。

 こんばんは、ムラカミです。


 衣装の準備よし!
 曲も動きも覚えた!
 あとは本番を待つだけだぜ!



 ……不安だ。実に不安だ。

 うわあああああああああ。


 では、また明日。 

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自転車くん2号、参上

 あの惨劇から3日……。

 こんばんは、ムラカミです。


 アパートの駐輪場から鍵付きの自転車を盗まれ、かなりしょんぼりしていたんですが、生活面での不便さを考えるといつまでもこのままではいられないので、本日新しい自転車を買ってきました。

 前の自転車は非常に乗り心地が良かったので、迷うことなく同じものを購入しました。ただ、色も形も同じですが1つだけ違う点があります。

 それは鍵の種類です。

 自転車くん1号の命を張った教訓を生かすため、今回はより強固な鍵をつけることにしました。この鍵ならば大丈夫なはずです、きっと。


 ――ぼくと自転車くん2号の新しい冒険がいま始まる!


 では、また明日。

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東野圭吾『名探偵の掟』

名探偵の掟 (講談社文庫)名探偵の掟 (講談社文庫)
(1999/07)
東野 圭吾


 ぼくの大好きな本格ミステリの1つです。

 よれよれのスーツにもじゃもじゃ頭、手にはステッキ。あの名探偵天下一大五郎が難事件を鮮やかに解決していくとっても痛快な物語の数々。本格ファンなら必ず楽しめる作品だと思います。


 扱う事件は本当に様々。

 密室、吹雪の山荘、時刻表トリック、バラバラ死体、童謡殺人などなど古典から引っ張り出してきたような題材がずらりと並びます。

 これらの使い古されたトリックに疑問を呈しながらも、それに新しい答えを用意し、楽しめる作品に仕上げる作者の力量、というか発想にはほんと脱帽です。


 個人的には、

 プロローグ
 第三章 屋敷を孤立させる理由――閉ざされた空間
 第五章 アリバイ宣言――時刻表トリック
 第十章 アンフェアの見本――ミステリのルール
 第十一章 禁句――首なし死体

 の五編がお気に入りです。


 本格ファンの本格ファンによる本格ファンのための小説。そんな呼び名がふさわしい1冊だと思います。


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海堂尊『チーム・バチスタの栄光』

チーム・バチスタの栄光(上) (宝島社文庫)チーム・バチスタの栄光(上) (宝島社文庫)
チーム・バチスタの栄光(下) (宝島社文庫)
(2007/11/10)
海堂 尊


 現役のお医者さんが書いた医療ミステリです。

 東城大学医学部が誇るバチスタ手術のエキスパート軍団“チーム・バチスタ”は、難易度の高いバチスタ手術で驚異の26連続成功をおさめていた。が、突然原因不明の術中死が連続発生し3人の患者を亡くしてしまう。単なる偶然が重なっただけなのか? もしかして医療ミスか? それとも故意による殺人か? 特命調査の任を受けた万年窓際医師と厚労省の変人役人のコンビがいざ“チーム・バチスタ”への調査を開始するが……。


 序盤から伏線が張りめぐらされていて読者も一緒に考える――という類のミステリではなく、窓際医師と変人役人がくせ者揃いの“チーム・バチスタ”1人1人を尋問し、巧みな話術によって事件を暴いていく過程を楽しむ作品だと思います。


 大学病院が舞台というと『白い巨塔』が思い浮かびますが、この作品でも派閥争い的な面白さやその中で生きる医師の苦悩、現代日本医療界の抱える闇、などがしっかりと描かれていてミステリ部分を抜いた医療ものとしても充分楽しめます。

 あと、やはり現役医師の強みでしょうか、ディティール描写に自信が窺えます。そして、その確かな描写力によって、少々キャラが暴走してもリアリティが損なわれません。


 ただ、映画版の竹内結子と阿部寛を想像して読むのは無理があるので、なんとか自分なりの主人公像を作って読むのが吉かと思われます。(『リング』と同じ理由です)


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自転車が盗まれた……

 ばかな!

 こんばんは、ムラカミです。


 朝、今日も1日がんばるぞ! とアパートの駐輪場に向かったところ、ぼくの自転車が失くなっていました。

 ありえない――

 ぽっかり空いたマイスペースを見つめながら、しばらく呆然としていました。


――――――――

 駅前や店先に停めておいたのが失くなるのならまだわかります(撤去の可能性もありますし)。しかし、ぼくの場合はアパートの駐輪場から忽然と消え失せたんです。

 つまり、撤去の可能性皆無! イコール――盗難確定!?



 え? うそ? なんで?



 と半ばパニックになりながらも、時間がないのでやむを得ずその場をあとにしました。


 そして夜。

 朝のショックを引きずりながらとぼとぼアパートへ向かって歩いていたんですが、自転車のある生活が当たり前になっていたので歩くのが本当にかったるくかったるくてしょうがありませんでした。

「鍵はどうやって外したんだろう。防犯登録してあるけど戻ってこないかなあ」

「もしかしたら見間違いだったりして。掃除かなんかでどけただけかもしれないし。ほんとに盗まれたとしてもぼろくて返しにきてたりして、はは」

 そんなことを想いながら歩いていると、いつのまにやらアパートに着いていました。そして、そろーっと薄目でうかがうように駐輪場をのぞいてみると、そこには朝と変わらないぽっかり空いたマイスペースの姿があったのでした。

――――――――

 自転車くん、2年間ありがとう。

 重い荷物を入れたまま風で倒され変形してしまったカゴ。いつなんどき降るかわからない雨に備え後輪に挿しっぱなしだったカサ。すっかり錆びつきたまに鳴らすとジギジギおかしな音を奏でていたベル。

 いろんなところを走り回った記憶が昨日のことのように脳裏によみがえるよ。実際昨日も乗ったしね。肉まん買いにコンビニへ。

 まだまだこれからもずーっと乗っていたかったのに、まさかこんな形でお別れすることになるだなんて……。肉まんが最後になるだなんて……。ごめん。本当にごめん。


 では、また明日。

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岡嶋二人『クラインの壺』

クラインの壷 (新潮文庫)クラインの壷 (新潮文庫)
(1993/01)
岡嶋 二人


 こわー。

 バーチャルリアリティー過ぎて現実味薄いがなとか思ってたんですが、いざ読み終わってみたらこれがとってもこわいんですよ。現実にありえそうな気がして(現実味薄いとか思ってごめんなさい)。

 近未来的なゲームマシンを舞台装置に使うというユニークな設定、説明的でないのに映像が浮かんでくるテンポの良い文章、伏線の張り方と回収も見事なもので続きが読みたくなるなるSFミステリです。


 ゲームブック原作募集への応募作品がとある会社のアーケードゲームの原作として採用され有頂天の青年と、そのゲームのモニターとして雇われた少女。この2人が世界初の五感すべてで体験できるバーチャルリアリティゲーム「クラインの壺」の最終チェックのためテストプレイヤーとして仮想空間へと入り込むんですが……そっからあんなことやこんなことがあって、最終的にこわーとなります。


 とまあ、こわい話はこの辺にしておきまして、もうひとつ、ぼくがこの本を読んでアッと思ったのが「ゲームブック」という言葉です。

 子供のころ流行りましたねえ、ゲームブック。読むだけじゃ飽きたらずに、自分で書いて友達にやらせたりなんかして。今思うと、ほんといい迷惑だったろうなあ。

 物語も最後の方へ進むとだんだん適当になってきて、選択肢の1つが必ず「95へ」とか同じ番号ばっかり指すもんだから、すぐにゲームオーバーの選択肢がばれて簡単に回避されるんですよね。ばかだなあ、むかしのぼく。


 とついつい長話をしてしまいましたが、ぼくとゲームブックの話は本編とは一切関係ありません。あしからず。


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ムラカミプロデュース・その4

 前回まで……大学時代の友人に披露宴の余興の仕切りを頼まれたムラカミ。前回の練習会でダメ出しされた企画を修正し、衣装と音源も揃え、最後の練習会を迎える。

 こんばんは、ムラカミです。


 披露宴まであと1週間と迫った本日は、本番前最後の練習会の日。

 新宿駅に朝10時集合という過酷な条件のなか、誰1人として遅刻者と出さないという普段では考えられない快挙に今回の士気の高さが窺えます。


 まず、前回の練習会で20分超となってしまった大長編余興をなんとか10分弱にまで縮めた企画の流れを説明。

 笑いあり涙あり歌ありという注文のうち、笑いを大幅に削ったんですが、そのあたりにぼくの冒険心のなさが垣間見えたのか、みなさんちょっとテンションダウン。

 だって、仕方ないじゃないか! だいたい「ムラカミのすべらない話」とか無理に決まってんだろ! ぼくを誰だと思ってるんだ!


 と、笑いが減った理由を滔々と述べたところで、いざ練習開始。

 登場から歌、退場に至るまでほとんど曲に合わせて動くので、全員の息を合わせるのにかなり時間がかかったんですが、なんとか完成しました。

 とりあえず、これでぼくの仕事は終了です。あとは皆で本番をがんばるだけ。

 新郎はもちろん、新婦さんも喜んでくれるとうれしいなあ。


 では、また明日。

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【3月末公募用作品】~(3)アウトラインプロセッサでプロット作成~

 「Story Editor」見参!

 こんばんは、ムラカミです。


 えらく久しぶりの【3月末公募用作品】の更新となりますが、みなさん元気ですか? ぼくはぼちぼち元気です。

 最近はアイデア書き尽くし作戦をひとまず終え、これをきちんとプロット化しようとしている段階なんですが、これがけっこう難航していまして……。

 なんせアイデアが多くて多くて、もうどう整理していいのやらわからんのですよ!

 と、贅沢な悩っぽく告白してみたりして。えへへ。


 とまあ、アイデアがうまく整理ができないというのが目下の悩みでして、そこで今回ご登場願ったのがタイトルにあるアウトラインプロセッサ。

 アウトラインプロセッサとは何なのか? ――というのを話し出すと長くなるので詳細はWikipediaに委ねることにしますが、簡単に言うと「アイデアまとめ作業支援ソフト」です。


 正直なところ、便利そうなWindows用のフリーソフトを探していたらたまたま見つけただけで、ぼくはこの手のソフトを使ったことがないので、本当に効率アップに役立つのかはどうかはわかりません。

 しかし、シンプルなソフトだけに操作もわかりやすく、もう少し使いこなせればアイデアまとめ作業もスイスイ進むんじゃないかなとか考えております。


 とりあえず、今回はこの「Story Editor」にてしっかりとプロット作りこむつもりです。


 では、また明日。


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最近、読書ブログになっている件について

 作家とは書く以上に読まなければならない――と誰かが言ってました。

 こんばんは、ムラカミです。


 今月に入ってから「読書」カテゴリばかり更新しているように見えますが、まったくもってその通りです。正解! お見事!

 というのもですね、カテゴリの新設とともに「読書(小説)」という目次を作ってみたのはいいものの、そのスカスカっぷりが目に余る状況でして、今現在これを何とか埋めようと必死になっているわけなのです。


 目標はとりあえずア行からワ行まで各行1作品以上は揃えること。

 その日が来るまではしばらく読書ブログライクなブログになると思います。


 公募で作家になるためには人様の何倍もの読書が必要なんです! 読んで読んで読みまくらなきゃ良い小説なんて書けやしないんですよ!


 と、偉そうに誰かの受け売りを述べたところで本日のところはお開きです。


 では、また明日。

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乙一『GOTH』

GOTH 夜の章 (角川文庫)GOTH 夜の章 (角川文庫)
GOTH 僕の章 (角川文庫)
(2005/06/25)
乙一


 グロい! もう一杯!

 という感じで、どちらかというとグロいのが苦手なぼくですが、読みやすい文章と内容の面白さに惹かれてついつい一気読みしてしまいました。


 猟奇殺人を趣味で調べるなど人間の残酷性に興味を持つ高校生の「僕」と、そのクラスメイトで同じ嗜好を持つ少女、森野夜。そんな2人の高校生が、さまざまな異常事件に興味本位で首を突っ込み自ら巻きこまれていく、というちょっと正気でない雰囲気ただよう短編集です。


 本格ミステリ要素を含んだ作品群はどれもレベルが高いんですが、個人的に1番楽しませてもらったのは「犬 Dog」。

 これには見事にやられました。読んでる途中で椅子からズッコケそうになりましたからね。「死神……そんな物の存在を認めろとでも言うのか……」みたいな感じで。それくらい驚きました。


 ただ、グロ耐性の低いぼくには一気読みはちょっと刺激が強すぎたようなので、しばらくグロ系の読書はお休みしたいと思います。

 グロいの! もうおなか一杯!(なんちて)


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司馬遼太郎『燃えよ剣』

燃えよ剣 (上巻)燃えよ剣 (上巻)
燃えよ剣 (下巻)
(1972)
司馬 遼太郎


 土方歳三が格好良すぎて惚れそうになる小説です。


 ぼくは生まれも育ちも長州なんで幕末ものを読むときはどうしても尊皇派になるんですが、この小説を読むときだけは打倒薩長の魁となるべき新選組隊士の1人となります。

 それくらい司馬遼太郎の描く新選組は魅力的なのです。


 で、どこが格好良いかというと基本的には全部なんですが、なかでも最高なのがラスト、劣勢のなか函館へと出陣する場面ですね。もうなんと言ったらいいのか、1ページ1時間くらいかけて読みたくなる、そのくらいなんですよ、そのくらい。いや、もっとか。


 人生、つねに武士でありつづけることを選んできた男が最後に下した決断。それは九死に一生の可能性さえない敵軍参謀府への白昼突撃。

 馬上、副長は言います。
「おれは函館へゆく。おそらく再び五稜郭には帰るまい。世に生き倦きた者だけはついて来い」
 そしてぼくは叫びます。
「副長ー!」

 結局、白煙のなか悠然と進んでゆく副長の姿を見つめることしかできないんですが、その背中から伝わってくる自分の生き方に対する信念、そしてそれを貫き通す覚悟、そんなとても真似できない男としての生き様を見ているだけで自然と憧憬の念を抱いてしまうのです。


 本当、格好良すぎですよ、副長。


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カール・ハイアセン『復讐はお好き?』

復讐はお好き? (文春文庫 ハ 24-2)復讐はお好き? (文春文庫 ハ 24-2)
(2007/06)
カール・ハイアセン


 結婚記念の船旅の途中、夫に船上から突き落とされた妻の復讐劇です。

 その妻が頭から海に突っ込み「アンチクショー」と夫を罵ったあと、たくましくも鮫だらけの海を陸へ向かって泳ぎ出す――という非常にインパクトのある冒頭シーンにより物語の幕は開きます。


 フロリダの湿地汚染に対する怒りがテーマとして背景にあるんですが、内容はまったく重くなく、むしろ軽快そのもの。

 変人揃いのキャラクターたちのバカバカしいほどユニークな言動に引っ張られ、物語は驚くほどスピーディに進んでいき、気がついたら読み終わってる――そんな感じです。


 単純明快な勧善懲悪劇でアタマを空っぽにして楽しめるんですが、読後に何も残らないわけでもなく、作者が込めた環境汚染への怒りに共感する気持ちがほんのり残ります。

 変態キャラたちによる痛快コメディサスペンスで学ぶ環境問題――そう考えるとなんだか違う意味ですごい本のような気がしてきます。


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『ハリウッド脚本術―プロになるためのワークショップ101』

ハリウッド脚本術―プロになるためのワークショップ101ハリウッド脚本術―プロになるためのワークショップ101
(2001/03)
ニール・D・ヒックス、Neill D. Hicks 他


 ハリウッド映画の脚本家が書いた脚本の指南書です。

 観客を満足させるためにはどう書くべきか、ということを大学の講義のように順序立てて説明しています。


――――――――

 この本の最大の特徴は、途中にたくさん出てくる「書き込み練習問題」というページの存在です。

 一部抜粋すると、



□あなたの主人公がする最初の劇的選択は何ですか?

□なぜ、あなたの主人公は、もっと容易な手立てを取る代わりに、その選択をする必要があるのですか?

□主人公が劇的選択をすることで、まず何が起こりますか?

□主人公の劇的選択により、他の登場人物たちはどんな影響を受けますか?

(第4章 スクリーンの登場人物――あなたの主人公は誰か? より)



 というような設問が数ページごとに設定されています。書き込み欄もあるので、ペンさえあれば直に書き込むこともできます。


 読んだ内容を理解させたあとすぐに問題を解かせるというのは、数学のチャート式と同じく解法の覚え方としては非常に有効な手段だと思います。

 そして、この本に載っている内容を理解し設問に全部答えたあかつきには、構成のしっかりしたツボを押さえた物語ができあがるはずです。


 やったね! 問いに答えていくだけで物語が作れるぜ!


 といきたいところですが、しかしながら、世の中そんなに甘くはありません。

 設問を解いて気づいたら面白物語ができてた! というのはあくまで設問を全部解けたらの話です。


 自分が考えたアイデアを設問に沿って答えていくだけだから簡単だろう――とか思ったそこのあなた! とりあえず、先に挙げた4つの問いに答えてみてください。

 どうですか?

 できましたか?

 主人公の劇的選択決まりましたか?

 ……よし、いいでしょう。スラスラ書けた人もそうでない人も、とりあえずこの4問に答えることができたなら、物語内での主人公の目的とその達成のために起こすアクションが見えてきたはずです。

 いいですよ。その調子その調子。

 では、その勢いであと100問ほど答えてください。

 ……ん? 多い?

 何言ってんですか。まだ始まったばかりですよ。

 では次いきましょう!



□あなたの主人公の外的な目的を特定してみましょう。

□この最初の外的な目的は(内的な欲求ではなく)違った外的な目的に、取って代わられますか?

□その外的な目的は、どのようにして観客に明確に識別されるようにしていますか?

□その外的な目的は、どのようにして観客に関わりのあるものとされていますか? もし主人公が目的に達しなかったら、観客は何を失いますか?

(第4章 スクリーンの登場人物――主人公は何を望んでいるか? より)



 ちょっと難問が多いですが頑張ってください。

(しばし待つ)

 ……え? 意味がよくわからない?

 ちゃんとその前の本文を読めば大丈夫ですよ。たぶん。

 翻訳にちょっと難がありますけど、大筋はわかりますから。

 って、あれ?

 あ、ちょっと、どこ行くんですか!

 あと90問以上残ってるんですよ!

 一緒に面白物語作ろうって誓ったじゃないですか!

 ねえ! ねえってば!

 ……あーあ、行っちゃったよ。

――――――――

 というわけで、この本、内容とコンセプトは良いんですが、設問の多さと難しさがネックでして、これらを全部解くつもりで取り組むとおそらく挫折します。

 最大の特徴である「書き込み練習問題」も、読書の障害となっては本末転倒なので、まずは内容をしっかり理解しつつ読み進めるのがベターかと思われます。

 ちなみにぼくの場合は、目を引いた設問や利用できそうな設問だけピックアップしといて、それらを発想のきっかけやアイデア文章化の際に使ったりしています。


 設問をフルに使って物語を作るも良し。ぼくみたいにツール感覚で使うも良し。まったく使わなくて内容だけ吸収するも良し。

 訳がこなれていないのでやや読みにくさはありますが、ハリウッド式三幕構成が実例付きで丁寧に解説されてますし、物語というものをシステマチックに学びたい方には非常にためになる1冊だと思います。


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読書(創作技術)


『ハリウッド脚本術―プロになるためのワークショップ101』

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今さらフリーセルにはまる

 こんばんは、ムラカミです。


 先日、WindowsのノートPCを入手して以来、枕元でふと浮かんだアイデアを書いたり、見たい番組をHDに録画したり、Macでは使えなかったフリーソフトを使ってみたり、などなど大変重宝しています。

 で、せっかくなのでWindowsの使い方をもう少し勉強しようと、いろんなプログラムを起動させて遊んでいたんですが、その流れでゲームプログラムを一通りやってみたのが運の尽き。見事、フリーセルにはまってしまいました。


 このゲームは恐ろしいゲームですよ。

 ルールは単純なのに非常に奥が深い。詰め将棋のように何手も先を読むという洞察力と推理力が要求されます。適当にやっていたらアッという間に手詰まりになり、万事休す。その代わり、先を読み切りきれいに勝ったときの爽快感といったらありゃしません。

 そんな感じで、負けたら悔しくてもう1回、勝ったら爽快感を味わうためにもう1回。まさにエンドレス。ほんとに際限なくやってしまうのです。怖いですねえ、恐ろしいですねえ。


 というわけで、ぼくは本日をもってフリーセルを引退することにしました。

 目標の10連勝も達成しましたし、ここらへんで引いておかないと、1年後にはフリーセル名人の肩書き以外なにもない人間になってしまいます。

 みなさんもフリーセルのやりすぎにはご注意くださいね。


 では、また明日。

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折原一『倒錯のロンド』

倒錯のロンド (講談社文庫)倒錯のロンド (講談社文庫)
(1992/08)
折原 一


 あの江戸川乱歩賞で受賞はしなかったものの、その面白さゆえ最終候補ながら出版された本作品。


 落ちたのに出版ってそんなに面白いのか? でも個性強すぎて受賞逃したんだろうから多分読者を選ぶタイプなんだろうな。さて、どれどれ――とか思いながら読み始めたんですが、数ページ読んだ時点ですぐに確信しました。あ、ぼく選ばれたな、と。

 というのも、主人公がうだつの上がらない小説家志望の男性でして、しかも「文学賞の〆切迫ってんのにプロットできねー。このままだと1日20枚とか書かなきゃ間に合わねー。あー、どうしよー」という実に悩ましい一人称語りから始まるのです。

 これが感情移入せずにいられようか!


 その後、主人公は天啓を得て大自信作を書き上げるのですが、盗作の憂き目に合い、さらにはそれを先に発表されてしまいます。作品は大絶賛され、世間の評価を一身に受ける盗作者。それを見て、怒り狂った主人公は復讐を誓う……という展開で物語は進んでいきます。

 盗作とは……許せん! 懲らしめておやんなさい!


 と、そうやって感情移入全開で読んでいると、気付かないうちに作者の罠に引っかかり、最後にアッと驚かされるわけです。

 確かに題材やトリック的には正統派ではないかもしれませんが、文章は読みやすく展開もスピーディで個人的には読者を楽しませることを念頭においたミステリだと感じました。

 あと、一度でも小説を書いたことがある人ならば、それだけで普通の読者の2倍は楽しめると思います。


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サンデーとマガジン間違えた……

 やっちまったああああ!

 こんばんは、ムラカミです。


 ぼくはいい年をして未だに週刊少年サンデーを購読しているんですが、今日はとんでもない失敗をしてしまいまして……。


――――――――

 本日コンビニでマガジンを立ち読みした後、積み上げられたサンデーの上から3冊目くらいを抜き取ってカゴに入れ、ご飯と牛乳と食後のアイスを追加し、そのままレジで会計を済ませました。

 そして帰宅後、風呂の湯をため、サンデー読みながら長湯をするぞー! と意気込んでいたところ、袋の中から出てきたのがなんとマガジンだったのです。

 ほんと、出した瞬間の絶望感といったらなかったですね。立ち読みしてなければまだ救いはあるんですが、『一歩』と『零』も読んでしまい、もうマガジンに読むべきものは残っていなかったので、本当にショックでした。


 何年ぶりかはわかりませんが、過去にも数度犯したことのあるこの過ち。しかし、何回経験しても慣れるということはなく、マガジンを取り出した瞬間愕然としそのまま倒れ込む、というパターンに今回も変化はありませでした。

 買うときに気付かなかった自分への怒り、訪れるはずだった至福の時を喪失した悲しみ、その2つのない交ぜになった感情がぼくを襲い、ノックアウトするのです。

 ああああああ、もおおおおお、ぼくのばか!

――――――――

 というわけで、失意の真っ只中ではありますが、せっかく買ったしもったいないのでマガジンでの長湯にチャレンジすることにします。


 では、また明日。

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宮部みゆき『レベル7』

レベル7(セブン) (新潮文庫)レベル7(セブン) (新潮文庫)
(1993/09)
宮部 みゆき


 「レベル7」とは何なのか? というのは口が裂けても言えないので、とりあえずインパクトのある冒頭部分をちらりと紹介。


 女子高生は「明日 レベル7まで行ってみる 戻れない?」という言葉を残して失踪する。若い男女は記憶を失い、目が覚めたときには腕に「レベル7」という謎の文字を発見する。

 失踪譚と記憶喪失譚。まったくわけのわからない謎だらけの状況が提示され、そして、「レベル7」という同じキーワードを持った2つの物語が同時進行でスタートする……。

 以上。ここから先は言えません。


 というわけで、内容ではなく小説としての印象を。

 宮部みゆきさんの超絶技巧が冴えわたる一級品のミステリです。緻密なプロットによる話運び、本格ミステリのような謎解き、人情のある登場人物――って、あれ? なんかこう書くと宮部さんの現代物どれにでも当てはまるような……(『火車』とか『スナーク狩り』とか)。


 やっぱり今作は感想を書くこと自体が無粋ですね。興味のある方はぜひ「レベル7」まで行ってみてください。そうすればぼくが言ったことをわかっていただけると思います(何も言ってないけど)。


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舞城王太郎『世界は密室でできている。―THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS 』

世界は密室でできている。―THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS (講談社文庫)世界は密室でできている。―THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS (講談社文庫)
(2005/04)
舞城 王太郎



 密室だらけの小説です。

 事件が起きたー! と思ったら次のページでもう解決かよー! というくらいの勢いでドンドン進んでいきます。そりゃもうすごいスピード感で、今までの謎解き探偵小説とは一線を画しています……が、しかし、この作品はミステリではありません。青春ドラマです。

 主人公の「僕」とその親友で中学生にして名探偵のルンババが19歳になるまでの成長過程を描いています。


 普通、青春ドラマと言うと少年マンガや少女マンガのようにスポーツ、恋愛、学校生活などを題材にしたものが多いんですが、この小説ではその題材が密室殺人事件なのです。

 中学から高校、そして大学へと進んでいくなか、主人公とルンババは数々の密室事件と死体の山を乗り越えて成長していく――と書くとシュール系の小説みたいですが、そうじゃないんですよ。

 笑いあり涙あり、胸をえぐるような痛みありの見事なまでの青春小説として成立しています。ぼくはこの小説読み終わった後、まず『バッテリー』が頭に浮かびましたからね。全然タイプは違うのに。


  いやあ、それにしても小説って本当に自由でいいものですね


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ムラカミプロデュース・その3

 前回まで……大学時代の友人に披露宴の余興の仕切りを頼まれたムラカミ。苦悩の末、注文を一通り盛り込んだ企画を作り、いざ練習会へ向かう。

 こんばんは、ムラカミです。


 昨日述べたように、本日第1回余興練習会が開かれました。新宿に集合したのが15時で、解散したのが23時。大雪の中、どんだけやる気満々なんでしょうか。大学時代に培った友情はプライスレス、ということですかね。

 で、問題のぼくが昨日まとめた企画なんですが、実際にやってみるとこれが好評で好評で――というわけもなく、それはもう見事なたたき台っぷりを発揮しました。


 遠慮なくたたいてくれる仲間どもの意見を聞いて、修正と再構成を試みるんですが、そこは仕切り下手でリーダー性皆無のぼくですから、まとめるどころか面白いと思ったものを片っ端から詰め込んで、余計にわけのわからない企画になっていきました。

 結局、23時になった頃には大筋以外は原型をとどめていない、どう見積もっても20分は超えるであろう大長編の余興ができあがったのでした。めでたしめでたし。



 というわけにもいかず、どうにかこれを10分にまとめ直さないとなりません。でないと、新婦さん側の余興「親戚の叔父さん一同による祝いの唄」に迷惑をかけてしまうからです。

 他にも衣装の選定やBGMの用意など意外とやること山積みで正直アップアップですわい。わはははは。ワー。


 では、また明日。

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ムラカミプロデュース・その2

 前回まで…………大学時代の友人に披露宴の余興の仕切りを頼まれたムラカミ。その注文の多さに絶句し引き受けたことをちょっぴり後悔する。

 こんばんは、ムラカミです。


 披露宴まであと20日となり、明日日曜日に第1回余興練習会が開かれることになりました。第1回ということは第2回、第3回とあるわけで、皆どれだけ気合いが入ってるんだという話なんですが、有り余る気合いは熱き友情の証であり、余興をぜひとも成功させたいという強き思いの証なのでしょう。その心意気や良し!

 あとはそれに応えられる企画があれば良いだけです……が、なぜかその企画を考えるのはぼく1人。熱き友情はいったいどこへ行ったんでしょうか。おーい。


 とぼやいていても何も進まないので、とりあえず今まで考えていたものを基にたたき台となる企画を作ってみたんですが、試行錯誤し過ぎたせいか自分でも良くわからない内容に仕上がってしまいました。

 はたしてこの企画で笑いあり涙ありとなるのだろうか。逆にスピーチだけでなく企画もすべりし者という烙印を押されはしないだろうか。と不安は募るばかりですが、ひとまず皆に見せてご意見ご感想を伺ってこようと思います。

 まあ、たたき台ですから、沢山たたかれてなんぼなんですよ。うん、本当にね、たたかれてまくってこそのたたき台ですから。どんと来いですよ。わはははははははは……はあ。


 では、また明日。

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アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
(2003/10)
アガサ クリスティー


 クリスティー作品の数多い傑作のなかの1つ。

 絶海の孤島に招待された10人の男女が1人、また1人と殺されていき、そして最後には誰もいなくなる……のかどうかは読んでのお楽しみ、という作品です。 

 ぼくの独断と偏見によるクリスティーランキングでは『オリエント急行の殺人』『アクロイド殺し』『ナイルに死す』『白昼の悪魔』『火曜クラブ』『検察側の証人』といったトップ5クラスに次ぐ、トップ10圏内の作品群に属しています。


 章分けが細かく非常にテンポの良い構成、疑心暗鬼になってゆく人物描写の巧みさ、そして読者の期待を裏切らない見事なラスト。

 とくに最後の犠牲者の描写は特筆ものです。


 それにしても、謎解きや犯人探しに重きを置いているわけでもなく、とりわけ魅力あるキャラクターが出ているわけでもないのに、なんでこんなに面白いんでしょうか。

 もしぼくが書いたらこうはいきませんよ。まず孤島で見知らぬ男女10人って時点で人数多すぎてとても処理できません。似たような人物が3、4人死んだところでグダグダになり、残りの殺人は死因や殺害方法がかぶりまくります。そして混乱した作者と登場人物によって物語は唐突に終わりを迎えることになるでしょう。島噴火とか原住民登場とか無責任な方法で。


 キャラや謎解きに依存せずとも、ストーリーとアイデアだけでこれだけのサスペンスを構築できるとは……ほんとクリスティーさんの凄さは北半球を駆け抜けますな。


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