新・公募で作家になる方法
「公募で作家になる」ことを夢見る私ムラカミが、チャレンジ記録を書き綴っていくWeblogです。看板に偽りなしとなるその日まで。
【掌編】『教え子たちは師を超えて』
叔父の家はいつもにぎやかだ。
ここでの俺の役目はもっぱら子供たちの遊び相手。長女のアカネは6年生になったせいか最近だいぶしっかりしてきたが、3年生の長男ヨシオはまだまだやんちゃな盛りだし、次男のコタロウはこの春ようやく小学校に上がったばかりでまだまだ甘えん坊だ。
「よし、コタロウが小学生になった記念だ。今日はおまえらに面白い遊びを教えてやろう」
そう言うと、俺は手元にあった黒く小振りなトランクケースをテーブルの上に置き、神妙な動作でそれを開けた。黒いケースとは対照的に、中にはきれいな駒が均等に並んでいる。その色鮮やかな中身に興味を持ったのか、3人とも俺の前へと集まってきた。
「叔父さーん、しばらくテーブル借りますね」
奥にいる叔父に一声かけると、俺はテーブルの上へ麻雀牌を放り出した。
ここでの俺の役目はもっぱら子供たちの遊び相手。長女のアカネは6年生になったせいか最近だいぶしっかりしてきたが、3年生の長男ヨシオはまだまだやんちゃな盛りだし、次男のコタロウはこの春ようやく小学校に上がったばかりでまだまだ甘えん坊だ。
「よし、コタロウが小学生になった記念だ。今日はおまえらに面白い遊びを教えてやろう」
そう言うと、俺は手元にあった黒く小振りなトランクケースをテーブルの上に置き、神妙な動作でそれを開けた。黒いケースとは対照的に、中にはきれいな駒が均等に並んでいる。その色鮮やかな中身に興味を持ったのか、3人とも俺の前へと集まってきた。
「叔父さーん、しばらくテーブル借りますね」
奥にいる叔父に一声かけると、俺はテーブルの上へ麻雀牌を放り出した。
【掌編】『父の仇と呼ばれて』
雑踏の中、ふいに目の前に現れた少年がこう言った。
「父の仇! 覚悟!」
少年の手には刃渡り20センチはあろうかという短刀。かすかに震えるその両手でしっかりと握りしめられている。
――仇打ち?
あまりに時代錯誤な言葉にしばし思考が止まる。
一体……これは……何なんだ。その後、ゆっくりと回転し始めた脳によって発せられた俺の第一声はこうだった。
「ち、ちがう! 俺じゃない!」
「父の仇! 覚悟!」
少年の手には刃渡り20センチはあろうかという短刀。かすかに震えるその両手でしっかりと握りしめられている。
――仇打ち?
あまりに時代錯誤な言葉にしばし思考が止まる。
一体……これは……何なんだ。その後、ゆっくりと回転し始めた脳によって発せられた俺の第一声はこうだった。
「ち、ちがう! 俺じゃない!」
【掌編】『常に大豆を喰らう』
定食屋で冷や奴定食を食った。いつもの奴である。
冷や奴に醤油をかけて喰らうのだが、ここで俺はある事実に気付いた。
冷や奴に醤油をかけて喰らうのだが、ここで俺はある事実に気付いた。
【掌編】『祈り』
ふわりと体が浮かんだ。そして、ボンネットの上を転がる。
次に気がづいた時にはアスファルト上に横たわっていた。少し離れたところに、さっきまで乗っていたモスグリーンのマウンテンバイクのグンニャリとした姿が見える。
――轢かれたのか?
ふいに起こった事態、頭がじわりじわりと追いついてくる。ためしに、手足の指先を動かしてみると、しっかりと作動する。特に支障はないようだ。そのまま、膝を立て地に足をつけ、立ちあがる。どうやらこちらも問題ない。
よかった……。
四肢の無事を心から喜んでいると、視界の端にこちらへ歩み寄ってくる人影が見えた。細身の女性。ソバージュの髪を揺らしながら、小走りに駈けてくる。そう、彼女こそが俺を轢いた真犯人なのだ。
次に気がづいた時にはアスファルト上に横たわっていた。少し離れたところに、さっきまで乗っていたモスグリーンのマウンテンバイクのグンニャリとした姿が見える。
――轢かれたのか?
ふいに起こった事態、頭がじわりじわりと追いついてくる。ためしに、手足の指先を動かしてみると、しっかりと作動する。特に支障はないようだ。そのまま、膝を立て地に足をつけ、立ちあがる。どうやらこちらも問題ない。
よかった……。
四肢の無事を心から喜んでいると、視界の端にこちらへ歩み寄ってくる人影が見えた。細身の女性。ソバージュの髪を揺らしながら、小走りに駈けてくる。そう、彼女こそが俺を轢いた真犯人なのだ。