GDPplusがGDPの単純平均より優れている3つの理由

18日エントリでは、米国の成長率が第一四半期に低くなるという問題についてのSF連銀の報告を紹介したが、Stephen Williamsonもこの問題を概観し、フィラデルフィア連銀のGDPplusを改善手法の一例として取り上げている。GDPplusについては、1年ほど前に、やはり第一四半期の成長率は見掛けほど悪くないという話に絡んで紹介したことがあったが、その元記事が掲載されていた(GDPplusの開発者の一人である)Francis Dieboldのブログで、改めてGDPplusが支出側と所得側のGDPの単純平均より優れている理由を3点挙げている。

  1. GDPplusは、支出側のGDPが利用可能だが所得側のGDPがまだ利用可能でない直近の期についても計算できる。というのは、カルマンフィルターによって欠落している所得側のGDPを内挿し、その予測値を推計に含めるからである。一方、単純平均は、所得側のGDPが欠落していれば計算できない。
  2. GDPplusは、望ましくも支出側と所得側の間に位置するという制約に縛られておらず、ましてや単純平均のようにちょうど中間に位置するわけではない。
  3. GDPplusは、以下の2つの理由により、第一四半期の落ち込み問題に対して頑健である。
    1. 所得側GDPを支出側GDPと混ぜている
    2. 時系列的に平滑化している

Dieboldは、第一四半期の落ち込み問題に関し、ジャスティン・ウルファーズのNYT記事を優れているとしてリンクすると同時に、同連銀のTom Starkのレポートにも素晴らしいレポートとしてリンクしている。


ちなみにフィラデルフィア連銀のサイト上のGDPplusによれば、4月末推計の15年第一四半期の成長率は1.65%、5月末推計では2.03%である。