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「本当にサルから進化したの?」 追記アリ
そのつもりで「日経サイエンス」の記事も読み直し、PCの前に「さあ書くぞ」と座ったのではある。
しかし、あまりにも見逃せないものを発見して怒り心頭に発してしまひ、これから先に書くことになりました。
ことは時事通信のこの記事を読んだことから始まる。
ダーウィン映画、米で上映見送り=根強い進化論への批判
これをYahoo!ニュースのページで見つけたわけだが、関連ニュースとしてあげられたいたこれ↓
進化論の間違い 恵みキリスト教会札幌
読んでみたら、聖書原理主義者お得意の進化論否定のお話で「日本にもいるんだなぁ」ぐらいの感想しかなかったのだが、同じ教会が作っているこれ↓にはおじさんは怒った。
キッズ聖書クラブ
そしてその中の、
「本当にサルから進化したの?」
このページはさらに次ぎの三つのページに分かれている。
「本当にサルから進化したの?」
「地球て本当に何億年もたってるの?」
「化石ってどうしてできたの?」
内容はいつもの「創造論的進化論否定」を子供向けに書いただけの話なのでアホらしいからいちいち言及しませんけど、いくつか脳みそが沸騰しそうになるやつを挙げると:
本当にサルから進化したの?
だから、「サルから進化」したんぢゃないんだってばぁ。
むかし、むかし、人間はサルだったって?
そうだよ、あったりまえだろう?学校でもならったし、テレビやみんなもそう言ってるよ…
誰も言ってないってばぁ。
※1980年11月21日。とうとう進化論(しんかろん)はまちがいだということについて、 世界じゅうからあつまった学者たちがそうだんしました。
※けつろん
人間はサルから進化(しんか)したのではありません。神さまによってつくられたのです。
だからさぁ、てめぇらの宗教的教義について書くならウソ含みもともかく、こういう「せかいじゅうからあつまった学者たちが進化論はまちがいで、神さまによってつくられたというけつろんにさんせいしました」みたいな恥知らずなウソつくなよ。
イエスさんが泣くぞ。
調べて見たのだが、この「恵みキリスト教会」が何者なのかはよくわからない。
わかったことは、日本各地に支部があること、そして山岸 登という人が親玉くさいことぐらい。
ソースが2chぐらいしかみつからないので、あまりうっかりしたことは書けない。
Livedoorの「したらば掲示板」の中に、
「ひつじの掲示板」というスレッド群があり、その中のこれ↓
創造論・創造科学-聖書の天地創造は真実・有神進化論の誤り
に、「山岸登」氏の著書への言及があります。
この「ひつじの掲示板」のスレッドタイトルだけでも眺めてみてください。
頭がクラクラしてトリップできることだけは請け合います。
で、私ははっきり言って「宗教大嫌い人間」である。
だが、基本的に大の大人が信じる分にはなにも言うまいとは思う。
明らかに実害が見えている場合は別として。
以前ドーキンスの「神は妄想である」の発売直後に、私としては「我が意を得たり」と思い、どちらかというと「反・神は妄想である」の立場であったNANさんや地下猫さんとの議論に参加させていただき、その後は私なりにいくらか宗教に対し「穏便」になったつもりではあったのだが、ドーキンスの大きな論点である『「~教の子供は自動的に~教徒」はおかしい』という部分にはいまだに大きなこだわりがある。
(注:NANさんも地下猫さんもドーキンスが優れた生物学者であることは、もちろんよくご存知)
私も言いたい。
「ガキにも選択の余地は与えてやってくれ」、と。
とくに、今回のこのHPキッズ聖書クラブのようにウソを並べて洗脳するのはやめてくれ。
「地獄に落ちるぞ」と脅かすのもやめて欲しい。
これらは「虐待」ではないのか?
あんたらがどんなおバカなことを信じてどうなろうが、俺の知ったこっちゃない。
どーか、そのおめでたいアタマでなんでも「疑うことをせず信じ」ていればよろしい。
だが、頼むから「何にも知らないガキを巻き込む」のはやめてくれ。
その一点について、俺はやはり「宗教(者)は有害である」について譲りたくない。
進化論に親しむためにはこんなサイトを訪れて欲しい。
ネット上には本当に役に立つ情報もいっぱいあるのだ、カスがほとんどだけど。
進化論と創造論~科学と疑似科学の違い~
忘却からの帰還
(トラックバック用お記事天使と悪魔で進化論を反証しようとする創造論者たち)
そして、おまけ。
以前に進化論と創造論~科学と疑似科学の違い~
の掲示板でいただいた「ゆんゆん探偵」さんの投稿。
NATROMさんとゆんゆん探偵さんの転載許可はいただいていませんが、お二人が抗議なさるとも思えないので、載せちゃいます。
実にわかりやすく読みやすいご説明。
ご堪能ください。
種とは? 投稿者:ゆんゆん探偵 投稿日:2008年 1月11日(金)14時14分30秒
実在する生物に、生物がどこまで遺伝的に変化し得るかを規定する「種の規範」のような機構はいまだに見つかっていません。つまり、生理学的な観点から言えば、生物は時間さえかければどこまでも変わっていく可能性のあることがわかっています。
種が際限なしに変化することを受け入れられるかどうかは「そういうこともあるかも知れない」「そんなことあるわけない」と判断する、人間側の受け取り方の問題だということです。
ちなみに、図鑑で別種と紹介されるような「見た目からして異なる」種への分岐には通常、数百万年単位の時間がかかります。人類の歴史の中で顕著な分岐があまり確認できないのはむしろ当然で、印象的な大きな分岐を見るには化石記録を当たる方が適当です。
古生物学的な観点から化石記録の記載を多数載せた進化論関連の書籍などを当たると、よっちゃんさんにとっては楽しい時間を過ごせるのではないだろうかと思います。
種の境界 投稿者:ゆんゆん探偵 投稿日:2008年 1月11日(金)13時50分58秒
よっちゃんさんの疑問は「種という確固たる存在が、別の種に変わることなどありえないじゃないか」という物だと思います。これは、ある意味持って当然の疑問です。大昔の人々も、みな同じような考えを持っていました。そうした素朴な考えが、現実の観察によって揺らぎ「種という概念」の修正を迫られてきたというのが、進化論の歴史のひとつの切り口です。
・古来人々は生物の種というのは不変なカテゴリだと考えていた。
・生物を家畜化すると、速やかにその形質が変化することが知られていた。
・地中から正体不明の動物の骨が見つかることが知られていた。
・大航海時代以降、博物学が発展し世界中の生物のカタログが出来上がった。
・今までの種の概念には当てはまりづらい、曖昧なカテゴリの生物の報告が増えて来た。
・生物を特徴によりカテゴリ分けすると、どうやら「種」は入れ子状(ツリー状とも言える)の分類を描くことがわかってきた。
・さらに生物の独自性は、地理的に近い場所に住む同系統の生物ほど似た特徴を持っているという傾向があった。
・以上の観察よりダーウィンは、「かつて存在した単一の生物が進化して現存するすべての生物になった」という仮説を見出した。
・だが、ダーウィンの頃は生物の遺伝の仕方が判明していなかったためもあり、賛否両論激しい議論を巻き起こした(ダーウィンの想像では遺伝子はコーヒーと牛乳がまざってコーヒー牛乳になるように受け継がれるものだった。だが、それでは生物の特徴は薄まるだけで現在のような多様性を生み出せるはずがない)。
・メンデルが発見していた遺伝の法則が再発見され、世界に広く知られることとなった。遺伝子が粒子性を持ち、混ぜてもこれ以上は混ざらないという限度があることがわかり、ダーウィンの抱えていた問題の一端が解決された。
・遺伝子の本体であるDNAが発見された。あらゆる生物は同一の機構「DNA」によって制御されていることが確認された。
・あらゆる生物に対して、DNAの配列が調査されるようになった。種間でDNAの差がどれくらいあるかを調べることによって、種の分岐した順番を推測できるようになった。また、DNA中の変異率が常に一定である特別な部分を調べることによって、おおよその分岐年代まで推測できるようになった。
・放射性元素による年代測定法が開発され、化石が地面に埋まった年代が正確に測定できるようになった。
・古生物学の発展。化石記録の増大により、古代の生物のカタログが埋まってきた(博物学の発展の時と似たことが起こった)。
・化石記録は、共通の祖先から進化によって現代の生物が分岐して生まれてきたことを強く示唆していた。年代を重ねるごとに、少しずつ姿を変えていく種の姿がはっきりと確認できる、いわゆる中間種の観察例が多数存在する。
・化石記録と、DNAによる種分岐の推測はとてもよく一致する。DNAシーケンスの解析により推測された分岐年代の地層から、実際に2つの種の共通祖先だと思われる化石が見つかったり、2つの種が持つ共通の形態的特長から推測される祖先種の特徴(2つの種が共通して持つ特徴は祖先種の時から持っていた可能性が高い)を持った化石が実際に見つかる、などの事例がある。蛇足だけどこれは「進化論は検証可能な予測を行えないので科学じゃない」という言説への有力な反論。
このように、進化論とは決して一直線にその結論を確認できた物ではありません。それまで持っていた種の概念と現実の違いを克服するため、数々の証拠とすり合わせをする中で発展してきた物なのです。人類が「種とは不変な物である」という思い込みを克服する過程そのものが、進化論の歴史だったと言ってもいいでしょう。
以上、種概念の把握という側面からの概観でした。
よっちゃんさんは現在、NATROMさんとの対話に集中されたいとのことですので、当方への返答は不要です。
ではでは。
9月14日追記:
コメント欄のさつきさんのご指摘、違う場所での南郷力丸さんのご指摘を受け、以下追記いたします。
まず、Wikipediaの「サル」より引用。
サル(猿/申/猴/猨/猱/狙)はサル目(霊長目)のうちヒトを除いたものの総称。ただし、生物学的観点から見れば、正確にはヒトもサルである。
ですので、「人間はサル」です。
私の今回の引用先である「キッズ聖書クラブ」の「サル」の記述の意味は「サル(猿/申/猴/猨/猱/狙)はサル目(霊長目)のうちヒトを除いたものの総称」であると読んだわけで、、私のツッコミもそれに乗っ取ったものですので、もしその読みが正しければその意味では誤ってないとは思います。
というのは、特に子供が考えがちな「動物園のサルはいずれ人間になるのか」というところに乗っかった記述だと思ったからです。
が、やはり私の書き方は正確ではありませんでした。
正解は「現在のサル目の生物(ヒトも含む)は共通の先祖から進化してきた」ぐらいでしょうか。(って、さつきさんのコメント通りなんですけど)
で、さらにややっこしいのは、さつきさんのコメント通り、その「共通の先祖」が「サル目(霊長目)のうちヒトを除いたものの総称」という一般的な「サル」の概念からすると「サル」っぽいということですね(笑)
で、とりあえずツッコミはツッコミで残します(現在のヒトが昔は現在のヒト以外のサルだったわけじゃない、あるいは現在のヒト以外のサルがいずれヒトになるわけじゃないぞ、ということで。あ~ややっこしい)
ところで、某所で「動物園のサルはいずれ人間になるのか」という話を南郷力丸さんにしたら、「もう人間になってるのがいる」(園長さんとか飼育係さんとか)と見事に突っ込まれました。
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Comments
でじゃぶ
No title
は、生物学的には誤りでしょうが、一般のヒトが考える「サル」は広い意味を持っているので、そこは突っ込むところではないような気がします。
つまり、
「本当にヒトと類人猿の共通の先祖といわれる<サルのような動物>から進化したの?」
ということで、答えは「イエス」ですね。
それより、
「地球って本当に何億年もたってるの?」
「化石ってどうしてできたの?」
のページを読んで、頭に血がのぼりました。
なんでもかんでも
一方で、
http://www.kanazawa-med.ac.jp/~hum-sci/sunadori149-TH.htm#SEC2
のように、キリスト教徒である方による、有用なソースも存在するのですから「キリスト教徒=進化論を理解もしないで否定する愚かな人々」みたいなステレオタイプは批判されて然るべき、と述べているのが私です。
ああ、もうひとつ
残念ながら、テレビや映画では無責任に「ヒトはサルから進化した」という表現や、チンパンジーを見て「私たちのご先祖さま」と云ったり、果てはゴキブリを見て「こいつがそのうちおれたちになるんだ」みたいな表現は尽きない気がす…。
たとえば日本でも人気の高い「HEROES」あたりは、そぉいう誤謬のテンコモリですな。
No title
ちょうどいいので、近々「自然主義的誤謬」についてのエントリをあげます。
akiraさん
ご引用の、
>進化論は罪悪です。進化論はすべての悪の元凶です。以下略
すごいですな。ここまで言うとは。
アメリカの根本主義者でも言わないでしょうねぇ。
まぁ、断定しちゃいけませんけど、ほぼカ○トっぽいですね、この教会。
>当教会は、聖書のみを神のみことばと信じ、学んでいる教会です。
エホバの証人(ものみの塔)・統一協会・モルモン教などとは一切関係ありません。
これらの団体のことでお悩みの方、またその他のことでお悩みの方は、ぜひご連絡下さい。ご相談に応じます。
こんなこと書いてありましたけど(笑)
さつきさん
>頭に血がのぼりました。
いや、ほんとにドタマにきました。
怒りに我を忘れて、一所懸命考えていた「弱い測定」の話がどっかすっとんじゃいましたがなほんとに。
NANさん
>どんな醜悪な教義であっても擁護すべき、なんてことは毛頭思っていませんよ(笑)
御意。
ご紹介いただいたリンクの方は本当によくわかっていらっしゃる。
こういう方やクハ72さんのような方ばかりなら私も文句ないんですけどね(笑)
NATROMさんのところでも「教会で学んだことは卑劣なる方法かなんかか」って言いたくなるような信者が多く居たのを覚えていますが、まぁ、最低を取り上げて全体を批判しちゃいかん、というのは、あの時のNANさんや地下猫さんとの議論で学んだことではあります。
ところで、「存在確率マイナス1」の話どうでした?
そちらにコメントを頂戴できるかな、と、期待していたのですが。
猫さん
コメントありがとうございました。
エントリ途中まで読ませていただきました。
むずかしすぎです、あっしには。
本日は眠くなっちったのでまた明日格闘してみます。
sk-44さんの方も読まなくちゃならんと思うと少々気が重いですけど。
>「自然主義的誤謬」
これがまたよっくわからないのですよ、わたくし。
なんどか格闘してるんですけどね。
猫さんの記事が出たらもう一回負け戦に出陣してみます。
アメリカの創造論のサルまね
例えば、ミッションスクールの卒業生なら、「創世記の記述は、神を表現するために、当時の人たちの知識によって作られた、一種のたとえ」ということを習っていると思います。こういう解釈をするのを「現生クリスチャン」とすると、彼らは、創世記の記述は事実と考える「原始クリスチャン」から、進化したわけです。ところが、「恵みキリスト教会札幌」は「現世クリスチャン」ではないけれど、「原始クリスチャン」と同じ解釈をするからといって、いつか進化して「現生クリスチャン」になるわけじゃない。ってことですね。
例えば・・・・、の方がややこしい。
実は、今日、同じ様なテーマで書いたのです
実は、タイトルにあるように、今日(9月16日)、教育における科学と宗教を創造論で書こうと試みました、、、、、
難しくて半分も書くことができなかったのですが、
伊勢田さんを参考にして線引き問題について考察を加えようとしました。
それで、こちらにROMで伺ったら、なんとピタリのテーマ。
思わずコメントしています。
エントリーならびにコメント、すごく参考にさせていただきました。
フムフムです、、、、、
私のところは、これから発展、進化の途上ということで、大目に見ながら、またご覧いただければ嬉しく思います。
では、、、、、また。
進化論が信じられないからって、創造論にはしるこたぁ無いのに
南郷力丸さん
まぁ、よく読めばわかるんですけどね。
そうすっと「きっず」は進化じゃなくて「原始クリスチャン」に無理やり成長させられちゃうわけですな。
せとともこさん
さっそくお記事を拝読させていただきました。
わたしにとっても「宗教」の話は大テーマでございまして、お記事は大変に参考になりました。
ありがとうございます。
nobuさん
最近はなんぼか柔軟になりましたが、「善意の布教」(カルトっぽいエホバの証人だってみんな善意の人たちですしね。わたしとしては信じるのは自由だけど、御自分の脳内に飼っておいてよ、と、言いたい)と、「子供たちが自動的に親の宗教の信者になる確率が高い」は良し悪しあるとはいえ、納得がいかないところ。
しかし、「進化論が信じられないから創造論」であるよりは、「創造論ありきで進化論否定」ではないでしょうか?
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「波動医学」関係者お歴々が壮観
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だから、「サルから進化」したんぢゃないんだってばぁ。<
こういう議論をどっかで読んだような気が・・・でじゃぶでしょうか。
ま、それは置いといて。
過去に読んだ、某ものみの塔の子ども向け絵本に殆ど同じような文章が載っていたことを思い出しました。
ま、それも置いといて。
私もこの教会については2chスレ以上の知識を持ち合わせてはいませんので、滅多なことはかけないのですが。同系列の(2chでは総本山と書いてありますが)津久野キリスト恵み教会(http://www.tsukuno.com/)の進化論についての記述では
(http://www.tsukuno.com/message/kireru.htm)
>このような進化論的教育が現在の世相を作り出しているのです。進化論は罪悪です。進化論はすべての悪の元凶です。進化論がファシズムを生み出し、軍国主義を作り出したのです。マルクスは進化論のおかげで共産主義ができたと言って、ダーウィンに感謝したのです。共産主義者がどれほど多くの人間を殺してきたかは歴史が証しています。<
子どもがキレるのも軍国主義も、世の中の悪の大本は進化論的教育にあると書かれています。ちょちょんまげさんがおっしゃるように、「信じない者は地獄に堕ちる」と脅しながら、このようなことを子どもに教え込むというのは、心理的虐待に匹敵する行為だと思います。