2024年12月30日・2025年1月6日号
誌面ビューアーで読むINDEX
PART1 証言編 戦前・戦後復興・高度経済成長
日本的雇用「三種の神器」 戦争が生んだ日本経済の原型
戦争へと日本を駆り立てていった経済失政。戦後の日本は「東洋の奇跡」と呼ばれる高度成長をなし遂げる。だが、第1次石油危機で突然終わりを告げることになる。
PART1 証言編 戦前・戦後復興・高度経済成長
金解禁 田中秀征[元衆院議員、元首相特別補佐]
1956年に首相に就任した石橋湛山。その孫弟子に当たるのが、新党さきがけの代表代行を務めた田中秀征氏だ。湛山は戦前戦中、経済ジャーナリストとして活躍。金解禁論争で独自の論陣を張った。
PART1 証言編 戦前・戦後復興・高度経済成長
賃金統制令 能村盛隆[大和ハウス工業常務執行役員]
日本企業の人事制度の原点は、戦前・戦中にあった。企業の人事制度に詳しい大和ハウス工業の能村盛隆常務執行役員は、経済状況により人事制度は変化してきたと指摘する。
PART1 証言編 戦前・戦後復興・高度経済成長
戦後復興 島西智輝[立教大学教授]
立教大学の島西智輝教授は、戦後の復興を支えた石炭産業を研究する。「黒いダイヤ」として重宝された時代から、衰退へと向かう流れまで、膨大な資料からその通史を眺める。
PART1 証言編 戦前・戦後復興・高度経済成長
日本国憲法制定 西 修[駒沢大学名誉教授]
1946年11月3日、日本国憲法が公布された。9条2項と自衛隊の存在をめぐって、日本は約80年にわたって論争を繰り返してきた。西修・駒沢大学名誉教授は「9条と66条2項とは密接な関係がある。9条の解釈には、この関係の理解が欠かせない」と指摘する。
PART1 証言編 戦前・戦後復興・高度経済成長
高度経済成長 吉川 洋[東京大学名誉教授]
1951年に生まれ、高度成長期を少年・青年として過ごした経済学者、吉川洋氏。リアルな時代の変化を、若い感性で感じ取った。
PART1 証言編 戦前・戦後復興・高度経済成長
国民皆年金 浅野史郎[元宮城県知事、元厚生省年金課課長補佐]
1961年、国民皆年金が実現した。だが、人口動態の変化により80年代以降は給付抑制を続けざるを得なかった。浅野史郎氏は厚生労働省で改革を担う当事者だった。
PART1 証言編 戦前・戦後復興・高度経済成長
ニクソン・ショック 行天豊雄[元大蔵省財務官]
1971年8月16日。ニクソン・ショックの報が日本に伝わったその日、後に大蔵省(当時)財務官となる行天豊雄氏は、当時の財務官である細見卓氏のかばん持ちとして同省に詰めていた。ニクソン米大統領(同)による重大演説があるとの情報を得て、「ボイス・オブ・アメリカ」の放送を聴くことのできる短波ラジオを探し、そのアンテナを窓の外に伸ばした。
PART1 証言編 戦前・戦後復興・高度経済成長
ダイエー流通革命 中内 潤[元ダイエー副社長]
ダイエー創業者中内㓛氏の長男、中内潤氏は1980年にダイエーに入社。取締役や副社長を歴任した。「価格破壊」をスローガンに消費者の心をつかみ、まさに戦後の流通革命を成し遂げたダイエー。その栄枯盛衰を目の当たりにした。
PART1 証言編 戦前・戦後復興・高度経済成長
石油危機 田中浩一郎[慶応義塾大学教授]
1973年10月、第4次中東戦争が勃発。これは、遠く離れた日本の経済にも甚大な負の影響を及ぼした。イスラエルと戦うアラブ諸国が石油の武器化を進めたからだ。商社マンを父に持つ田中浩一郎・慶応義塾大学教授は小学6年生であったにもかかわらず、モノの値上がりや為替の動きがただ事でないことに神経をとがらせたという。
PART1 証言編 戦前・戦後復興・高度経済成長
IBM事件 田原総一朗[ジャーナリスト]
半世紀にわたってジャーナリストの道を歩んできた田原総一朗氏。中でも大きな衝撃を受けたのが「IBM事件」だった。
PART1 バブルの生成と崩壊
バブルの原点に日米摩擦 膨張の夢に浮かされた日本
株価を3倍に押し上げた1980年代バブルの淵源は日米摩擦だった。過剰な内需振興策は株価と地価の暴騰を呼び、日本経済に深い傷を残した。
PART1 証言編 バブルの生成と崩壊
軽薄短小 高篠静雄[元ソニー副社長]
ソニーの小型音楽プレーヤー「ウォークマン」は、世界のカルチャーを変えた。開発者の高篠静雄氏が、重厚長大から軽薄短小へとシフトしていった時代を振り返る。
PART1 証言編 バブルの生成と崩壊
プラザ合意 中尾武彦[元財務省財務官]
中尾武彦氏は財務省財務官の職にあった2011年、戦後最高値(当時)の1ドル=75円に直面し、大規模な為替介入(13兆6000億円で1720億ドルを購)を指揮した。為替の現場を熟知する同氏は、1985年9月のプラザ合意に伴う介入をどう評価するのか。
PART1 証言編 バブルの生成と崩壊
日米半導体協定 菊地正典[元NEC半導体事業グループ統括部長]
菊地正典氏がNECに入社したのは1968年。以来、一貫して半導体の設計・開発に身をささげてきた。日の丸半導体の席巻と衰退を、現場の第一線で目にした。
PART1 証言編 バブルの生成と崩壊
日米構造協議 薮中三十二[元外務事務次官]
1987年、北米局北米第二課長に就任。MOSS協議(市場重視型個別協議)に始まり日米構造協議まで続く一連の日米経済交渉に最前線で関わった。
PART1 証言編 バブルの生成と崩壊
ソ連崩壊 兼原信克[元国家安全保障局次長]
1991年、ウクライナがソ連(当時)からの独立を進めていた時、外務省ソヴィエト連邦課の課長補佐だった兼原信克氏は、ソ連が崩壊するとまでは考えなかったという。
PART1 証言編 バブルの生成と崩壊
バブル崩壊 小峰隆夫[元経済企画庁調査局長]
1993年、経済企画庁(当時)の内国調査第一課長に就任。バブル崩壊が経済にもたらした弊害を経済白書に書き込んだ。
PART1 証言編 失われた30年
バブル崩壊の後遺症で「守りの経営」に 停滞した日本企業の競争力
バブル崩壊後、日本は30年に及ぶ経済の停滞を続けている。株価と地価の暴落は金融危機をもたらし、企業は貯蓄に回った。中国が急速に台頭。需要不足の日本はデフレにも苦しんだ。
PART1 証言編 失われた30年
国際水平分業 浅田 篤[元シャープ副社長]
1995年、「ウィンドウズ95」の発売は、インターネットの普及だけではなく国際水平分業生産が確立したことの象徴だった。世界初のトランジスタ電卓事業に腕を振るった浅田篤氏はシャープ副社長として、国際的なビジネスモデルの転換をどう見ていたのか。
PART1 証言編 失われた30年
規制改革 大田弘子[政策研究大学院大学学長]
民間出身ながら経済財政政策担当相や規制改革推進会議議長を務めてきた。現実との差異を埋める方法を、長年規制改革に携わってきた大田弘子氏はどう見るのか。
PART1 証言編 失われた30年
金融危機 安齋 隆[元日本銀行理事]
安齋隆・元日本銀行理事は1987年、同行本店考査局の考査役に就任した。金融機関の資産と経営内容を検査する役目だ。この時、バブルの芽が育っているのを目の当たりにした。
PART1 証言編 失われた30年
中国台頭 梶谷 懐[神戸大学教授]
中国経済を追いかけて30年。この分野で第一線に立つ梶谷懐教授は、「世界の工場」と呼ばれた台頭の時代から貿易摩擦が激化する現在のリスクの時代までを俯瞰(ふかん)する。
PART1 証言編 失われた30年
量的緩和 岩田一政[元日本銀行副総裁]
エコノミストの岩田一政氏は2003年3月、日本銀行の副総裁に就任した。同行は01年3月から、量的緩和政策を展開していた。
PART1 証言編 失われた30年
女性活躍推進 寺田千代乃[アート引越センター名誉会長]
2002年、アート引越センター創業者の寺田千代乃氏が関西経済同友会代表幹事に就任した。主要経済団体初の女性代表だった。
PART1 証言編 失われた30年
リーマン・ショック 伊丹敬之[一橋大学名誉教授]
伊丹敬之・一橋大学名誉教授は、経営学者として半世紀にわたって日本企業を観察してきた。近著『漂流する日本企業』では、日本企業の50年史を読み解いた。一大転機としてリーマン・ショックを位置づける。
PART1 証言編 失われた30年
国際会計基準 竹内敏晃[日本電波工業会長]
国際会計基準(IFRS)を日本で初めて任意適用した日本電波工業の竹内敏晃会長。時価会計で、経営が鍛えられたと振り返る。
PART1 証言編 失われた30年
東日本大震災 橘川武郎[国際大学学長]
経済産業省総合資源エネルギー調査会の委員も務めた国際大学の橘川武郎学長。エネルギー基本計画を巡る議論に深く関わってきたキーパーソンが、日本の原子力発電政策の課題を指摘する。
PART1 証言編 失われた30年
M&A拡大 柴田英利[ルネサスエレクトロニクス社長兼CEO]
事業再編の制度は整ったが、魂を入れるのはこれからだ。投資会社などを経てルネサスエレクトロニクスに転じた柴田英利社長はM&A(合併・買収)などによる経営再建と成長の取り組みを語る。
PART1 証言編 失われた30年
異次元緩和 門間一夫[元日本銀行理事]
門間一夫氏は、2013年4月に異次元緩和が始まる直前まで、日本銀行で金融政策担当理事を務めた。その後も、国際担当理事として、日銀内から異次元緩和を見守った。
PART1 証言編 失われた30年
働き方改革 岩崎裕美子[ランクアップ社長]
広告会社時代に猛烈な働き方をしていたという化粧品会社、ランクアップの岩崎裕美子社長。その反省から、長時間労働をしない会社づくりを決意した。その軌跡は日本の「働き方改革」の進展と重なり合う。
PART1 証言編 失われた30年
新型コロナウイルス禍 尾身 茂[元新型コロナウイルス感染症対策分科会会長]
日常生活を大きく変えた新型コロナウイルス。専門家として感染抑制の陣頭指揮を執った尾身茂氏は「総括ができていない」と指摘する。
PART1 証言編 失われた30年
ウクライナ戦争 小泉 悠[東京大学准教授]
小泉悠・東京大学准教授はロシア安全保障戦略研究の第一人者だ。著書『「帝国」ロシアの地政学』において、ウクライナに侵攻したロシアが抱く秩序観を描き出した。
PART2
自由貿易を守る防波堤に 「豊か」で「強い」日本、企業の力でつくる
日本の実質賃金は30年続く減少基調。消費は伸びず、市場は精彩を欠く。世界に目を転じれば、グローバル化の反動で保護主義が勢いを増している。この難局を反転させるべく、豊かで強い日本をつくる。日本企業が原動力だ。
校了乙
24年12月30日・25年1月6日合併号特集「昭和100年の教訓」を担当記者が解説
2024年12月30日・2025年1月6日合併号特集「昭和100年の教訓 栄光と停滞、30人の証言」の読みどころを、担当した玄基正記者が3分間で解説する。
聞く校了乙
24年12月30日・25年1月6日合併号特集「昭和100年の教訓」を玄記者に聞く
日経ビジネス最新号の特集の読みどころを耳で聞く校了乙。2024年12月30日・2025年1月6日合併号特集「昭和100年の教訓 栄光と停滞、30人の証言」の読みどころを、担当した玄基正記者に聞きます。
PROLOGUE
第2特集
ネットフリックス、動画配信の黒船上陸10年 日本発の世界ヒット連発 「やりがい搾取」にもメス
動画配信で世界最大手の米ネットフリックスが、日本で1000万人の会員を獲得した。潤沢な作品制作予算に加え、制作会社とのきめ細かな連携が世界的ヒットを生む。過酷な労働環境の改善にも着手。映像制作のゲームチェンジャーとなりつつある。
編集長インタビュー
[独占インタビュー]NetflixピーターズCEO「日本発コンテンツはまだ伸びる」
全世界で2億8000万人超の会員を抱える動画配信最大手、米ネットフリックス。グローバル戦略の要諦は世界約50カ国で制作活動を進めるローカルチームだ。かつて日本市場の開拓も任された共同CEOは拡大の手を止めない。
連載
連載小説「チップス」
真山仁「チップス/ハゲタカ6」 第5章 諸行無常(5)
2024年4月20日 台湾・台北 台北市信義路二段194號にある点心料理の老舗・鼎泰豐の特別個室で相模は、フリージャーナリストの北村悠一を観察していた。国連在籍時代、多くのジャーナリストとつきあっていた経験からすると北村は、親しみやすい雰囲気を醸し出しながら、油断ならないタイプと感じた。
BOOK
『丹波哲郎 見事な生涯』~昭和を代表する丹波哲郎のスター性
大スキな昭和の大俳優の本格評伝。面白くないわけがない。自伝も読んだが、本書はさらに面白い。裕福な名家に生まれた丹波の家には使用人が多数いた。ロールス・ロイスの運転手は英国人。
from 日経Gooday
認知症は改善する可能性 20週間の積極的な生活改善で実証
認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)、または初期のアルツハイマー病は、健康的な食事や運動、十分な睡眠などの生活習慣の工夫や、ストレスの軽減によって改善する可能性があることが、米国で行われた無作為化比較試験で明らかになりました。
時事深層
プロの洞察(超音速機)
特許が示す次世代機の開発 コンコルドの夢と失敗生かせるか
過去のものと思われている超音速旅客機にこのところ、新たな動きが出ている。米ブーム・テクノロジーは開発・製造に様々な汎用技術を適用。独自技術は騒音規制・速度制限を加味する最適化アルゴリズムに独自性がある。
MOBILITY
ホンダと日産、経営統合に向けた協議開始 米中EVリスクが生む新連合
ホンダと日産が経営統合に向けた協議に踏み切ったのは、両社にとって主要市場である米中での地殻変動が背景にある。中国の販売不振に加え、米国では次期トランプ政権による自国保護主義が立ちはだかる。「トランプリスク」が大再編に向けた引き金となった。
EPILOGUE
編集長の視点/取材の現場から
転換期に生きる100年の教訓
今年の年末年始はいつも以上に特別なものに感じられます。年明けに米トランプ政権が誕生し、世界がガラリと変わる可能性がある。主要国で政治的な混乱が立て続けに起こるなど不透明感が強まっていることもあります。そして日本。戦後80年、昭和100年という節目であり、デフレから抜け出せるかどうかの試練の年がやってきます。
日経ビジネス 私の読み方
ハイレゾ・志倉喜幸社長「AI産業に原発は不可欠」
昨今、画像処理半導体(GPU)などを大量に搭載した人工知能(AI)の計算用のデータセンターが需要を伸ばしている。我々は計算用のデータセンターを早ければ半年ほどで新設できる。ただ、AIの計算に大量の電力を必要とするデータセンター構築では、電力の確保がボトルネックになる可能性は高い。
賢人の警鐘
長谷川眞理子氏「世界の人口増加は頭打ちに。新秩序を見据え社会制度を見直せ」
世界中で人口減少が問題になっている。このままでは社会制度を維持できないと取り沙汰されるが、人口が増えていくことを前提とした社会を根本から見直し、新たな秩序を築く必要がある。長い目で歴史を見れば、人類の総人口は地球上でこれまでほとんど増えていなかった。1万年ほど前に文明が生まれた際も少し増えた程度だ。