『Með suð í eyrum við spilum endalaust』sigur rós
ほとんど聞いたことの無かったシガー・ロスですが、新作『残響』が超素晴らしい。暗いとか幻想的とかいうイメージしかなかったけれど、いやいや、その眩い陽光と青々とした緑をそのまま音にしたような朗らかな音が気持ちよすぎる。
シャキッと歯切れのいいギター、バタバタとした活きたドラムス、暖かく丸みのあるベースに柔らかなコーラスが次々と重ねられていく「gobbeldigook」から「inní mér syngur vitleysingur」、「góðan daginn」、「við spilum endalaust」と続く明るく開放的な流れに当初のイメージが軽く覆る。スフィアン・スティーヴンスにも似た、ホーンやストリングスを多用した賑やかなポップ・ソングばかり。色んな楽器があちこちに配されたかなりキラキラとしたサウンドだが、音は徹底してアコースティックだし、ヴォーカルは耽美的で儚げ、コーラスはとても丁寧に織り合わされていて、明るいだけでなく心地の良い温もりと幻想的で浮世離れした感じがある。そこがいい。が、この素晴らしい流れは、次の、気の遠くなるほど幻想的な前半から一転速度を高めポップに展開する大作「festival」で一度頂点を迎える。
前半のサウンドにあわせて音量を設定していたら後半何も聞こえなくなって驚いた、くらいに後半はグッとスロー・ダウンし、イメージ通りのシガー・ロスに。ほぼピアノとストリングスのみの曲が続き、その落差がすごいが、一音一音の余韻だけで聞かせるような(残響か)音数が極端に少ないピアノとにヨンシーの淡いヴォーカルはとても良く映え、これまた頂点を迎える最後の「All Alright」で泣く。前半の曲だけで一枚作ってくれたらとんでもない名盤になったとも思ったけれど、アルバム一枚は元気がもちませんでした的なこの展開も、何だか人間臭くて悪くない。シガー・ロス全部聞きなおさないと。
「gobbeldigook」「við spilum endalaust」ライヴ。
「inní mér syngur vitleysingur」
「All Alright」
【BEST ALBUM 2008 ロック/ポップス部門】
1. 『The Movie』Clare & The Reasons
2. 『með suð í eyrum við spilum endalaust』sigur rós
3. 『To Survive』Joan As Police Woman
4. 『@#%&*! Smilers』Aimee Mann
5. 『Sunday Morning In Satuday's Shoes』Richard Julian
6. 『I'm Not There』O.S.T.
7. 『Jukebox』Cat Power
8. 『Modern Guilt』Beck
9. 『Vampire Weekend』Vampire Weekend
10. 『Golden Boy』Reuben Butchart
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圏外
11. 『JIM』Jamie Lidell
12. 『The Hottest State』O.S.T.
13. 『Hercules and Love Affair』Hercules and Love Affair
14. 『23rd & Stout』Chuck E. Weiss
15. 『Asa』Asa
16. 『19』Adele
17. 『Warpaint』The Black Crows
18.『The Odd Couple』Gnarls Barkley
19. 『The Rainbow Express』Ja Confetti
20. 『El Madmo』El Madmo
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