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『Everything And Everyone』Patrick & Eugene

髭のむさいおっさん二人、それも人を舐めくさったジャケ(右の奴の足の上げ方!)。このどう考えても一見さんには手に取りづらすぎる最低の外見でずいぶん客を逃していると思うんだけど、これは聞かなきゃ損(でも試聴機がなければ買わなかったっつーの)。

Patrick DawesとEugene Bezodisのデュオで、パトリックがパーカッションとプログラミングを、ユージーンがヴォーカル、サックス、フルート、クラリネットなどなどを担当。肝心のサウンドは、簡単に言えば、ロックやダンス・ミュージックにジャズやワールド・ミュージックの要素を取り入れたもの。軽快なバンジョーのカッティングに太いベース音とダンサブルなビートが、サックス、トロンボーンがなだれ込むように現れる「Don't Stop」に始まり、世界的にヒットしたアークティック・モンキーズ「I Bet You Look Good On A Dancefloor」をシックなオールド・ジャズに仕立て上げ、「Llama」では完全にビーチ・ボーイズになりきる。ブラジル&アフロビートなインスト「Winter Light」、オールド・タイミーなホーン・アンサンブルとマリンバが穏やかな雰囲気を醸す(も妖しいミュージカル・ソウがそれを微妙に狂わす)「The Leprechaun」、ブラジル風のパーカッションにホーンとリコーダーが乗る「Ballad of the Woodsman」と続き、「Bag O' Monkeys」はアコーディオンにクラリネット、フルートが軽やかに舞う小粋なフレンチ・カリビアン。ウクレレをバックに歌う「Nevertheless」は“「マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー」ミーツ・ジャネット・クライン”な趣き、「Take A Step Back」は哀愁漂うジプシー風?ラップ、「Heaven, Earth」(どんあ曲名だ)はアフリカン・パーカッションがメインのインスト、と何の脈略もなく進み、バンジョーとホーンズをダンス・ビートに乗せ、ビートルズ風のコーラスを聞かせる「Altogether Now」でとりあえず締め、「Play It Again...」で彼らはホーンを鳴らしながら遠くへ去っていく…

だらだらと、思わず全曲書いてしまったけれど、結局何が良いって、徹底してコミカルなところ。この種の音楽が避けて通れない「○○の要素を取り入れ…」「○○の強い影響の下に…」なんて固っくるしさや、コロニアルだどーだといった批判の可能性をすべて飲み込んでおどけてみせる、そのスタンスが最高なのだ。もちろんアゲアゲな曲は楽しく(聞きながらほぼ無意識に「楽しい」と口に出してしまった)、ビーチ・ボーイズやビートルズ色の濃いポップ・ソングはセンス抜群。顔に似合わず、かなりポップ・ソング向きのユージーンのヴォーカルもまた良い。前のアルバムではビヨンセをカヴァーしてるらしいから聞かなければ。






【BEST ALBUM 2008 ロック/ポップス部門】

1. 『Welcome to the Welcome Wagon』the Welcome Wagon
2. 『The Movie』Clare & The Reasons
3. 『með suð í eyrum við spilum endalaust』sigur rós
4. 『Everything And Everyone』Patrick & Eugene
5. 『To Survive』Joan As Police Woman
6. 『Obituaries』Kenneth Pattengale
7. 『@#%&*! Smilers』Aimee Mann
8. 『Sunday Morning In Satuday's Shoes』Richard Julian
9. 『I'm Not There』O.S.T.
10. 『Jukebox』Cat Power

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圏外

11. 『Modern Guilt』Beck
12. 『Vampire Weekend』Vampire Weekend
13. 『Golden Boy』Reuben Butchart
14. 『JIM』Jamie Lidell
15. 『The Hottest State』O.S.T.
16. 『Hercules and Love Affair』Hercules and Love Affair
17. 『23rd & Stout』Chuck E. Weiss
18. 『Asa』Asa
19. 『19』Adele
20. 『Warpaint』The Black Crows
21.『The Odd Couple』Gnarls Barkley
22. 『The Rainbow Express』Ja Confetti
23 『El Madmo』El Madmo

これを4位にすることにどれだけ抵抗があったか…