『Harps And Angels』Randy Newman
スフィアン・スティーヴンスやクレア&ザ・リーズンズを始めとして現代バーバンク・サウンド的な音を聞かせる人たちが多く出てきていることは嬉しい。加えてヴァン・ダイク・パークスやランディー・ニューマンら彼らのルーツに当たる人たちが素晴らしい仕事をしていて、また嬉しい。ランディー・ニューマンのこの新作『ハープス・アンド・エンジェルズ』は本当にいいアルバム。プロデューサーはミッチェル・フルームとレニー・ワロンカー!だ。
ジャケットでランディーがピアノを弾いているのは汚いバイク屋だが、裏ジャケ~ブックレットを見るとそこには美しく澄んだ景色の幕が(幕だとすぐに分かる形で)かかっているという、その相変わらずの皮肉屋ぶり。いろいろなところで書かれているように歌詞も当然皮肉が散りばめられていて、「ブッシュは最悪だけどレオポルド三世とかシーザーとかってもっとひどいじゃん」と歌う「A Few Words in Defense of Our Country」とか。辛辣なものだらけだが、社会における立場の弱い人たちの目線から行われるそれは、ランディーのしゃべりかけるような特徴的なヴォーカル、ユーモアたっぷりの言い回しのせいか、温かささえ含み持つ。そういうのが一番いやらしいのだろうけど。
と言いながら国内盤じゃないし歌詞は英語なので全部読んだわけじゃない。ましてや耳では「ジャクソン・ブラウン~」ていうところしか聞き取れません。歌詞がどうとか言ってすみません…。それでもこのオーケストラ・アレンジの素晴らしさのために買ってから何度聞いたことか。ランディーのピアノを軸にして、ゆったりと優雅に流れるストリングスの調べはマジで過不足無しで、完璧だ。30分ちょいの短いアルバムだけれど、厳しい視線と人間的な温もりでいっぱいの、粋な名作。これは若手には作れまい。ランディー・ニューマンの変わらなさは素晴らしい。ちなみに僕は「Losing You」で泣いた。
【BEST ALBUM 2008 ロック/ポップス部門】
1. 『Welcome to the Welcome Wagon』the Welcome Wagon
2. 『The Movie』Clare & The Reasons
3. 『Fleet Foxes』Fleet Foxes
4. 『Skeletal Lamping』 of Montreal
5. 『Harps And Angels』Randy Newman
6. 『með suð í eyrum við spilum endalaust』sigur rós
7. 『To Survive』Joan As Police Woman
8. 『We Brave Bee Stings And All』Thao with the Get Down Stay Down
9. 『Obituaries』Kenneth Pattengale
10. 『Madam Owl』Jeff Hanson
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圏外
11. 『@#%&*! Smilers』Aimee Mann
12. 『Everything And Everyone』Patrick & Eugene
13. 『Sunday Morning In Satuday's Shoes』Richard Julian
14. 『I'm Not There』O.S.T.
15. 『Jukebox』Cat Power
16. 『Vampire Weekend』Vampire Weekend
17. 『Hercules and Love Affair』Hercules and Love Affair
18. 『Modern Guilt』Beck
19. 『Golden Boy』Reuben Butchart
20. 『JIM』Jamie Lidell
21. 『The Hottest State』O.S.T.
22. 『Team B』Team B
23. 『23rd & Stout』Chuck E. Weiss
24. 『Asa』Asa
25. 『19』Adele
26. 『Warpaint』The Black Crows
27. 『The Odd Couple』Gnarls Barkley
28. 『The Rainbow Express』Ja Confetti
29. 『El Madmo』El Madmo
ヴァン・ダイクとイナラ・ジョージのアルバムも書こうと思ったけどまた今度。
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