2025-10-04

ラーメンから取れる日本栄養ラーメニウム

一週間にわたるヨーロッパ出張を終え、成田に降り立った瞬間、身体のどこかが強烈に「日本の味」を求めているのを感じた。出張中は決して食事に困ったわけではない。香り高いチーズも、芳醇なワインも、きちんと舌を楽しませてくれた。しかし、どこか満たされない。胃袋の奥に空いた「日本的な空洞」がうずき出すのだ。

寿司か、そばか、あるいは家庭的な味噌汁か。帰国直後の選択肢は多いはずだった。しかし、駅構内を歩きながらふと漂ってきた香ばしい匂いが、迷いを一瞬で断ち切った。ラーメンである。湯気の向こうで黄金色スープが立ち上る光景想像した瞬間、頭の中で「これしかない」と結論が下された。

カウンターに腰を下ろし、熱々の丼が目の前に置かれたとき、心身がふわりとほどけていくのを感じる。スープをすくい、麺を啜る。塩気、脂の旨み、そして微かに漂う煮干しの余韻――その全てが、海外では得難い「日本調和」を体現していた。ラーメンは単なる料理ではない。異国で失われかけた自分の重心を、再び日本に引き戻す「栄養素」なのだ

もし化学元素表に「ラーメニウム」という栄養素が存在したならば、それはきっと「日本人の精神的安定」を司る元素として記録されるだろう。ラーメニウムは、麺とスープ比率に応じて活性化し、摂取者の心身に「安心」と「帰属感」を供給する。海外での出張留学、あるいは長期の駐在経験した者が帰国して最初に求めるのがラーメンであることを考えれば、この仮説はあながち冗談でもない。

ラーメンから得られるラーメニウムは、栄養学的なビタミンミネラルとは異なり、精神の深層に作用する。疲労と緊張に覆われた心を解きほぐし、改めて「日本に帰ってきた」という実感を与える。それは科学教科書には載らないが、誰もが経験則として知っている普遍的事実である

そして私は今日もまた、湯気の向こうで立ち上るラーメニウムを胸いっぱいに吸い込みながら、「やっぱり日本食は身体ではなく心を養うのだ」と静かに頷くのである

帰国後のラーメン食べた記念に記す。

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