『テレプシコーラ』
山岸涼子のバレエマンガだが、山岸涼子なので単なるバレエマンガではない。
以前の『アラベスク』は少女マンガ的バレエマンガで、
つまり才能ある少女の成長に恋愛がからんだ物語。
それでも山岸涼子の片鱗は見えている。
とりわけ2部はすごいと思う。
(*ネタバレあるよっ↓)
たとえばソ連のバレエ界の第一線で踊りながら、その新規性が受け入れらず、
ヨーロッパへの亡命を計画するエーディク。
彼はいっしょに亡命しようと主人公のノンナを誘う。
彼女は結局ソ連にとどまることを選ぶが、
エーディクがバレエ団のヨーロッパ公演のときに亡命したために
政治的な問題となる。
バレエ団を守るため、ノンナの指導者ミロノフ先生がひとり責任を負ったことに
ノンナは自責の念にかられ、
自分も亡命しようとしていたと申し出ようとする。
だが、涙にくれるノンナに対し、彼女の先輩にして親友のアーシャがこう言う。
「いまあなたが申し出たら、問題はもっと大きくなる。
絶対、黙っているのよ。それがあなたへの罰」
このあたりが山岸涼子なんだよな。
異色の登場人物であるバイセクシュアルのカリンにしても、
その奇異な行動と心理の描き方がすごい。
ストーリーでは、カリンとノンナ、さらにミロノフ先生に見いだされた
もうひとりのバレリーナであるヴェータがからんで、
複雑な展開をみせる。もうここにくると、バレエの中に見える人間像なんだよね。
このリアリティは『テレプシコーラ』に引き継がれる、というか
もう3皮くらいむけたリアリティがあるんだよね。
アラベスクはフィクションの中のリアリティで、テレプシコーラは生のままのリアリティというか。
うーんフィクションといえばフィクションなんだけど…。
もうある種の甘さがないんだよなあ。
(あ、やっとテレプシコーラに入った。続きはさらにネタばれなんでクリック表示にしとこう)
で、やっとテレプシコーラ(笑)
最初は、ハンディを背負いながらも踊り続ける少女たちの話だと思っていたんだよね。
右足の股関節が完全に開かない六花(ゆき)ちゃん、
父からDVを受け、生活費を稼ぐために母に頼まれて
ポルノ写真のモデルをする空美(くみ)ちゃん。
(なぜ母がDV夫から逃げないかというと、夫の姉が元天才バレリーナで、
空美母は、彼女は守られるべき存在だと考えているからなのだな。
ちなみに山岸涼子は虐待などの社会問題をテーマにしたマンガもかなり書いている)
さらに、六花ちゃんの姉でバレエの才能をもち、頭もよい千花ちゃん。
千花ちゃんは後に膝をケガするので、その故障を背負って、ということだと思っていたのだ。
三者三様のハンディ。
(ハンディといっても、考えてみたら六花ちゃんがいちばん恵まれてるんだなあ)
でも…違っていた。
才能にあふれていた千花ちゃんは、バレエ団デビューの舞台上、
膝の靱帯を傷め、治療するもまたも同じところを故障。
結局、韓国で靱帯を生体移植する。
だが、膝に異物が入ったことが判明し、再手術しなければ治らないと医師に告げられる。
このあたりの展開があまりにも容赦ない。
誰もが、千花ちゃんの再起を願うのだけど…
みんなが千花ちゃんを強いと思っていたんだよね。
千花ちゃん自身も。
その強さが千花ちゃんを追いつめていく。
誰もが千花ちゃんが強いと思っているから、彼女は弱音を吐くことができない。
千花ちゃんの才能に期待しているため、ただ自分は踊りたいだけだと
主張することもできない。
学校でいじめにあっていても、誰にも打ち明けられない…
ようやく医師になるという道を探っても、周囲がバレリーナとしての彼女を
求めていることに絶望を深めていく。
そして、ふたたび彼女が「踊ってみる」と言い…その数日後
彼女はビルの上から飛び降りてしまうのだ。。。
何がショックって、、これがいちばんショックだった。
眠れないくらい。
千花ちゃんはなぜ死ななければならなかったのだろう、とずっと考えてしまった。
(架空の人物だってば^^;)
まあそういうことに向き合って、六花ちゃんは振り付けへの道を進むわけですね。
ここで1部が終了。
で、1部の途中から空美ちゃんは蒸発してしまったわけですが、2部では彼女が登場するはず。
ローラ・チャンがもしかして…なんて想像してますが。
バレエの才能を見込まれて裕福な家庭に引き取られて…とか。
以前の『アラベスク』は少女マンガ的バレエマンガで、
つまり才能ある少女の成長に恋愛がからんだ物語。
それでも山岸涼子の片鱗は見えている。
とりわけ2部はすごいと思う。
(*ネタバレあるよっ↓)
たとえばソ連のバレエ界の第一線で踊りながら、その新規性が受け入れらず、
ヨーロッパへの亡命を計画するエーディク。
彼はいっしょに亡命しようと主人公のノンナを誘う。
彼女は結局ソ連にとどまることを選ぶが、
エーディクがバレエ団のヨーロッパ公演のときに亡命したために
政治的な問題となる。
バレエ団を守るため、ノンナの指導者ミロノフ先生がひとり責任を負ったことに
ノンナは自責の念にかられ、
自分も亡命しようとしていたと申し出ようとする。
だが、涙にくれるノンナに対し、彼女の先輩にして親友のアーシャがこう言う。
「いまあなたが申し出たら、問題はもっと大きくなる。
絶対、黙っているのよ。それがあなたへの罰」
このあたりが山岸涼子なんだよな。
異色の登場人物であるバイセクシュアルのカリンにしても、
その奇異な行動と心理の描き方がすごい。
ストーリーでは、カリンとノンナ、さらにミロノフ先生に見いだされた
もうひとりのバレリーナであるヴェータがからんで、
複雑な展開をみせる。もうここにくると、バレエの中に見える人間像なんだよね。
このリアリティは『テレプシコーラ』に引き継がれる、というか
もう3皮くらいむけたリアリティがあるんだよね。
アラベスクはフィクションの中のリアリティで、テレプシコーラは生のままのリアリティというか。
うーんフィクションといえばフィクションなんだけど…。
もうある種の甘さがないんだよなあ。
(あ、やっとテレプシコーラに入った。続きはさらにネタばれなんでクリック表示にしとこう)
で、やっとテレプシコーラ(笑)
最初は、ハンディを背負いながらも踊り続ける少女たちの話だと思っていたんだよね。
右足の股関節が完全に開かない六花(ゆき)ちゃん、
父からDVを受け、生活費を稼ぐために母に頼まれて
ポルノ写真のモデルをする空美(くみ)ちゃん。
(なぜ母がDV夫から逃げないかというと、夫の姉が元天才バレリーナで、
空美母は、彼女は守られるべき存在だと考えているからなのだな。
ちなみに山岸涼子は虐待などの社会問題をテーマにしたマンガもかなり書いている)
さらに、六花ちゃんの姉でバレエの才能をもち、頭もよい千花ちゃん。
千花ちゃんは後に膝をケガするので、その故障を背負って、ということだと思っていたのだ。
三者三様のハンディ。
(ハンディといっても、考えてみたら六花ちゃんがいちばん恵まれてるんだなあ)
でも…違っていた。
才能にあふれていた千花ちゃんは、バレエ団デビューの舞台上、
膝の靱帯を傷め、治療するもまたも同じところを故障。
結局、韓国で靱帯を生体移植する。
だが、膝に異物が入ったことが判明し、再手術しなければ治らないと医師に告げられる。
このあたりの展開があまりにも容赦ない。
誰もが、千花ちゃんの再起を願うのだけど…
みんなが千花ちゃんを強いと思っていたんだよね。
千花ちゃん自身も。
その強さが千花ちゃんを追いつめていく。
誰もが千花ちゃんが強いと思っているから、彼女は弱音を吐くことができない。
千花ちゃんの才能に期待しているため、ただ自分は踊りたいだけだと
主張することもできない。
学校でいじめにあっていても、誰にも打ち明けられない…
ようやく医師になるという道を探っても、周囲がバレリーナとしての彼女を
求めていることに絶望を深めていく。
そして、ふたたび彼女が「踊ってみる」と言い…その数日後
彼女はビルの上から飛び降りてしまうのだ。。。
何がショックって、、これがいちばんショックだった。
眠れないくらい。
千花ちゃんはなぜ死ななければならなかったのだろう、とずっと考えてしまった。
(架空の人物だってば^^;)
まあそういうことに向き合って、六花ちゃんは振り付けへの道を進むわけですね。
ここで1部が終了。
で、1部の途中から空美ちゃんは蒸発してしまったわけですが、2部では彼女が登場するはず。
ローラ・チャンがもしかして…なんて想像してますが。
バレエの才能を見込まれて裕福な家庭に引き取られて…とか。
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「テレプシコーラ」.ますます面白くなりそうですね.