放射線の測定2
放射線の測定1では、放射線が物質を電離させる現象を利用して、
放射線のエネルギーや量を測定するという話でした。
どんな物質を利用するかというと、基本は気体です。
箱の中に気体(アルゴンなど)を満たしておいて、そこに放射線を通すと
気体が電離するので、箱に電圧をかけて電極に集めます。
これは1でも書いたように、電離箱、比例計数管、GMカウンター(ガイガーカウンター)などに
共通する原理です。
では、電離箱、比例計数管、GM(自動車会社みたいだw)の違いは何かといえば、
それは電圧にあります。
電圧が低すぎると、電離した電子とプラスのイオン(電子をはぎとられた原子)が
すぐに結合してしまいます。
そこで、あるしきいとなる値以上の電圧をかけないと、
集めたイオンの数は、放射線の個数やエネルギーを反映しないことになります。
電離箱や比例計数管、GMはいずれも、放射線のエネルギーが高いほど、
個数が多いほど、集められるイオンの数が大きくなります。
しかし、それぞれ電圧が異なるので、集められるイオンの数は違ってきます。
電離箱は放射線のエネルギーと個数をイオン数に正確に反映します。
つまり、放射線のエネルギー×個数に比例してイオン数が増えます。
(実際には放射線のエネルギーはいろいろあるので、単純なかけ算にはなりませんが)
別の方向から考えると、これは放射線が物質に与える影響をも反映していると見ることができます。
計測されたイオン数というのは、放射線が物質を電離させる能力を示しているわけですから。
ということで、電離箱は放射線の計測器というだけでなく、
放射線の線量計としても使用できることになります。
でも、ここで一点問題があるのがわかりますか?
電離箱はイオンをつくるために気体を利用していますよね。
線量計というのは、体内に入った放射線が体にどのくらいのエネルギーを与えたかを
測定するはずです。
体は気体ではなく、液体と固体でできています。
つまり、気体に与えられたエネルギーをもとに、
体に与えられたであろうエネルギーを計算する必要があるわけです。
(ちなみに線量計の単位は生物学的な影響を加味した線量シーベルトで出ますが、
実際の測定値はエネルギーの吸収量つまり吸収線量のグレイじゃないかな。
アルファ線や中性子線を浴びないかぎりはグレイとシーベルトは変わらないので)
もうひとつ問題があります。
体の厚みや内部の状態(脂肪が多いか筋肉が多いか)は
人によって違いますし、表面積も違います。
ですから、同じ場所に立っていたとしても、個々人で受ける放射線の量は
微妙に違っていることになります。
とすると、放射線量を表示する機器というのは、
ある特定の体型の人を想定して、計測値から換算しているのかなと
想像しますが、実際のところはよくわからないので今度調べてみることにします。
あれ、電離箱の話で終わっちゃった。比例計数管、GMはまた次回。
あ、線量計は電離箱形式のものだけではないっす。
放射線のエネルギーや量を測定するという話でした。
どんな物質を利用するかというと、基本は気体です。
箱の中に気体(アルゴンなど)を満たしておいて、そこに放射線を通すと
気体が電離するので、箱に電圧をかけて電極に集めます。
これは1でも書いたように、電離箱、比例計数管、GMカウンター(ガイガーカウンター)などに
共通する原理です。
では、電離箱、比例計数管、GM(自動車会社みたいだw)の違いは何かといえば、
それは電圧にあります。
電圧が低すぎると、電離した電子とプラスのイオン(電子をはぎとられた原子)が
すぐに結合してしまいます。
そこで、あるしきいとなる値以上の電圧をかけないと、
集めたイオンの数は、放射線の個数やエネルギーを反映しないことになります。
電離箱や比例計数管、GMはいずれも、放射線のエネルギーが高いほど、
個数が多いほど、集められるイオンの数が大きくなります。
しかし、それぞれ電圧が異なるので、集められるイオンの数は違ってきます。
電離箱は放射線のエネルギーと個数をイオン数に正確に反映します。
つまり、放射線のエネルギー×個数に比例してイオン数が増えます。
(実際には放射線のエネルギーはいろいろあるので、単純なかけ算にはなりませんが)
別の方向から考えると、これは放射線が物質に与える影響をも反映していると見ることができます。
計測されたイオン数というのは、放射線が物質を電離させる能力を示しているわけですから。
ということで、電離箱は放射線の計測器というだけでなく、
放射線の線量計としても使用できることになります。
でも、ここで一点問題があるのがわかりますか?
電離箱はイオンをつくるために気体を利用していますよね。
線量計というのは、体内に入った放射線が体にどのくらいのエネルギーを与えたかを
測定するはずです。
体は気体ではなく、液体と固体でできています。
つまり、気体に与えられたエネルギーをもとに、
体に与えられたであろうエネルギーを計算する必要があるわけです。
(ちなみに線量計の単位は生物学的な影響を加味した線量シーベルトで出ますが、
実際の測定値はエネルギーの吸収量つまり吸収線量のグレイじゃないかな。
アルファ線や中性子線を浴びないかぎりはグレイとシーベルトは変わらないので)
もうひとつ問題があります。
体の厚みや内部の状態(脂肪が多いか筋肉が多いか)は
人によって違いますし、表面積も違います。
ですから、同じ場所に立っていたとしても、個々人で受ける放射線の量は
微妙に違っていることになります。
とすると、放射線量を表示する機器というのは、
ある特定の体型の人を想定して、計測値から換算しているのかなと
想像しますが、実際のところはよくわからないので今度調べてみることにします。
あれ、電離箱の話で終わっちゃった。比例計数管、GMはまた次回。
あ、線量計は電離箱形式のものだけではないっす。
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- at 23:37
- [シリーズ・勝手に解説しちゃうぞ]
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つづきに期待.
いろいろあるんですね.勉強になります.ちまたでは,こういう基本的なことを把握しないで,数値ばかりが議論されているように思います.
つづきに期待.